ランチパック担当者に聞いた! 商品企画の仕事とは?

定番の「ピーナッツ」「たまご」から「横手やきそば風」「いちご大福風味」まで、豊富なラインナップのヤマザキ「ランチパック」。お昼や部活帰りによく食べるという高校生も多いだろう。

 

このランチパックは全国版だけで毎月4~5種類の新商品が登場し、ご当地ものも含めると常時約70種類を販売。

 

B-1グランプリやご当地ゆるキャラとのコラボ商品、大学生との共同開発商品もある。

 

みているだけでも楽しいラインナップだが、どんな人がどのように企画しているのだろうか。山崎製パン株式会社の商品開発担当者を訪ねた。

 

ランチパック担当者に聞いた! 商品企画の仕事とは?_01

 
 

■最初の仕事は早朝のパン配達

 

ランチパックの商品企画をメインで担当しているのは、マーケティング部マーケティング第二課の保田(やすだ)高宏さん。菓子パンを中心に商品企画する課に所属し、保田さんはランチパックのほかパイやデニッシュ、ドーナッツなどを担当している。

 

小さいころからパン好きで、「高校時代は朝ご飯に食パンを1斤食べていた」というが、当時あこがれていた仕事はパンとはまったく関係ないものだったという。

 

「人のためになるような仕事をしたくて、ぼんやりと『教師』になりたいと思っていました。しかし、大学進学後、その学科では教員免許が取れないことを知って…。大学時代の4年間、デパ地下のベーカリーでアルバイトをしていた経験から食品メーカーに興味をもち、山崎製パンに入社しました」

 

入社後、保田さんが最初に配属になったのは、岡山工場のセールス課。早朝3時からトラックを運転してお店にパンを配達し、帰りに注文を取ってくるというハードな仕事だ。その後も地方で営業などを担当し、入社10年以上経ってから本社の現在の部署に異動になった。

 
 

■仕事でも役立つ部活の経験

 

商品企画は会社全体の売り上げに直結する重要な仕事だけに、さまざまな部門で経験を積んでから就くケースがほとんどだという。1万7000人近い従業員が働く会社だが、商品開発に携われるのはほんのわずか。売れる商品を生み出せるかどうか、保田さんの責任も重い。

 

保田さんの仕事は自分のデスクに座っているだけではない。販売店を訪問している営業担当者から売れ筋や要望をヒアリングしたり、試作品について製造部門と議論したり、商品の特長を生かしたパッケージデザインを作るために宣伝部と打ち合わせたり…、さまざまな部門と連携して進められる。

 

高校時代はバスケットボール部の副キャプテンを務め、「早朝から夕方まで部活に明け暮れた」という保田さん。その経験は仕事に生きているという。

 

「部活動を一生懸命やった経験から学んだことは、働くうえでのベースになっていると思います。社会も部活動も、1つの目的に向かって結束していくことや人間関係が大切なことなど、基本的には同じですから」

 

また、食べることも仕事の1つだ。

 

「数多くの商品を担当しているので、1日に何度も試作品を食べます。体重も気になりますし、食べ過ぎてイヤになることも…。でも、そうした苦労の末に良い商品ができた時は快感です」

 

ランチパック担当者に聞いた! 商品企画の仕事とは?_02

 
 

■月5億円を売り上げたヒット商品も

 

好みが多様化していて、大きなヒットが生まれにくいといわれる現代。パンの商品サイクルは早い。1年間好調に売れ続ければ定番商品となるが、4カ月で姿を消す商品も少なくない。

 

保田さんが手がけた中で最もヒットしたのは、スティック状のデニッシュ「サクリスタン」だ。材料と包装にこだわり、これまでにないサックリとした食感が話題となり、発売月にいきなり5億円を売り上げた。

 

「売れ行きは出荷数でわかるのですが、取引先様からの好評の声や、ランチパックのサイトやツイッターなどで『おいしい』といった書き込みをみると、喜んでいただけていることを実感してうれしくなりますね」

 

保田さんが思い描いているのは、単にヒットを飛ばすことだけではなさそうだ。

 

「おいしい商品を開発して、私たちで新しいブームを作ってみたい。今の日本ではパンを食べるのは朝だけという人が多いですが、そうした食文化をも変えていくような仕掛けができたらいいですね」

 

「パンの商品企画って楽しそう」と興味をもった高校生は、今どんなことを頑張ったらいいだろうか。最後にメッセージをもらった。

 

「いろんな分野に興味をもって、いろんな経験を積んでください。この仕事では常に頭を柔らかくしておくことが大切。知識や経験が豊富で引き出しが多いほど自由な発想ができ、良い商品が作れると思いますよ」

 

 
もっと知りたい人はコチラ→
◆消費者のニーズを分析し、人が買いたくなるような食品・飲料を設計していく【商品企画・開発(食品・飲料)