患者さんのリハビリをサポートする心強い味方「理学療法士」
病気やケガなどの回復を目指してリハビリテーションを行う患者さんの横で、寄り添いながら歩く練習をサポートする。時には電気や光線などを使って回復を促す。それが「理学療法士」の仕事。
理学療法士は、病気、ケガ、高齢、障害などで運動機能が低下した人に対して、基本動作ができるようにサポートする職業で、国家資格が必要だ。
活躍の場は、病院や老人保健施設、リハビリテーション施設などだが、近ごろはスポーツ分野でも注目を集め、スポーツ選手の復帰をサポートする重要な役割を担っている。
■「理学療法士」と「作業療法士」の違いは?
「理学療法士」と「作業療法士」。どちらも名前は聞いたことがあるかもしれないが、その違いは何だろう?
「理学療法士」は、「座る」「立つ」「寝返る」「起き上がる」などの動作の回復をサポートすることが基本の仕事になる。歩けるようになるためのプログラムを提案したり、リハビリ中には患者さんの横について支えたり、電気や光線などを使って回復を促したりするのがメインの仕事だ。
一方、「作業療法士」は、日常生活を送るために必要な動きをサポートするのが仕事。例えば、食事をしたり、入浴したり、時には、趣味の編み物をサポートしたり。生き生きと過ごすために、体だけではなく、こころもサポートするのが「作業療法士」だ。
■患者さんと喜んで、泣いて、笑った日々
患者さんの回復の手助けをするだけではなく、誰かのために一生懸命になりたいという思いのもと、石原 亜希代さんは、理学療法士になったという。理学療法士の仕事は「毎日が感動の連続です」と話す。たくさんの感動の中でも特に印象に残ったエピソードがある。
理学療法士を目指す専門学校の養成時代、実習で病院を訪れたときのこと。事故でひざを骨折し、手術後リハビリに奮闘する70歳代の女性に出会った。
「どのくらいの力で脚を曲げたらいいのか、どんな顔をして患者さんの身体に触れたらいいのか、とにかく怖かった」という。それでも同じ時間を共有していくうちに、その女性とうまくコミュニケーションが取れるようになった。すると、自然と回復するスピードも速まり、実習が終わるころにはかなり回復した。
そして、実習最終日。その女性から「本当に良くしてくれてありがとう。あなたと会えなくなるのが本当に寂しい」と声を掛けてもらった。患者さんと共に歩んだ経験が石原さんの理学療法士になるという夢を決定づけた。
身体が回復するまでには、時間がかかる場合もある。そんなときも患者さんの表情をよく見て、どんな気持ちでいるのかを理解しようと努力する。「ほんの一瞬の表情でも見逃さないように集中するように心がけている」という。
理学療法士に求められるものとは?の質問に、石原さんはこう答えた。「人のために何かをしたいという気持ち、誰かのために一生懸命になることができる心構えを持つことが大事です」。
越えなければならないいくつもの困難を乗り越えた日。歩けるようになった患者さんの後ろ姿を見送った日。患者さんと一緒に喜びの涙を流した日。ふだんの生活では得られないような感動のドラマが理学療法士には待っている。
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