公務員の仕事内容とは?職種から必要な資格まで徹底解説!

高校生873人が答えた、就きたい職業ランキング1位の公務員。

男子高校生では1位、女子高校生も4位と男女ともに人気の高い職業だ(※)。

人気の理由としては、「人のために働くのがいいと思ったから。(北海道/女子/大学)」「安定しているしやりがいがある。(山梨県/男子/就職)」などが理由にあがった。

また、「安定と人の役に立つ仕事だから」「男女格差が少なく、収入が安定しているため」などの理由から、保護者にも人気だ。

みんなは公務員にどんなイメージをもってる?

「役所で働いている人」「街の安全を守る警察官」「消火活動をする消防士」など、すべて正解だけれど、公務員はそれだけではない。

海の安全を守る「海上保安官」や、違法薬物を取り締まる「麻薬取締官」なども公務員。

公務員にはどんな仕事があるの?

詳しく見てみよう!

(※)リクルート進学総研調べ 期間:2021年9月14日~10月28日 【第10回 高校生と保護者の進路に関する意識調査2021】より

公務員とは

「将来を見据えた地域作り・国作り」をする人のことです。

公務員の仕事内容はさまざまですが、「携わらない領域はない」と言えるほどみんなの生活に密着した仕事を行います。

地方公務員であれば教育、治安、消防、水道、交通、文化事業など地域にかかわる生活全般の仕事を行います。

国家公務員であれば、国全体にかかわる仕事をします。

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「地方公務員」と「国家公務員」の大きく2種類がある

公務員には、地域の住民たちのために働く「地方公務員」と、国づくりに貢献するために働く「国家公務員」とがある。

同じ公務員の仕事でも、仕事や試験内容が違うので、確認しておこう。

地方公務員

高校生に人気の職業、公務員の仕事を徹底解剖!どんな職種があるの?

地域の人々の暮らしに役立つことが仕事

【地方公務員の仕事内容】

各都道府県の市・区役所などで働く一般職員や、公立の学校で働く教育職員、警察で働く警察官など、すべて地方公務員。生活とのかかわりが深いから、仕事のイメージもつきやすいはず。

仕事内容は「地域にかかわることすべて」。

教育、治安、消防、水道、交通、文化事業などさまざまなものがある。

大きく、「行政職」と「技術職」に分けられ、技術職のほうが“土木”や“建築”などの専門知識を生かした仕事をする。

市・区役所で働く地方公務員の仕事を例にすると、戸籍住民登録や証明書の発行などの窓口業務から、道路や公園、公共施設などの整備・管理、福祉や教育に関連した相談対応、災害対策などさまざま。

また、その都市の産業を盛り上げ、さらに新しい産業を生み出すために企業を誘致したり、イベントを企画したりする仕事もある。役所での仕事は2~3年ごとに部局の異動があるため、幅広い仕事を経験することも多い。

地方公務員の仕事をひとことで表すのは難しく、言うならば、「その地域の人々の暮らしに役立つことすべて」が仕事だ。

【地方公務員になるには?】

地方公務員の採用試験は自治体や職種によって異なるが、上級(大卒程度)・中級(短大卒程度)・初級(高卒程度)に区分して試験を実施していることが多い。

※この区分は基本的に試験の難易度の目安であり、学歴に応じたものではない。

「行政職」と「技術職」でも試験内容は異なり、技術職のなかでも土木・建築・機械・電気といった区分ごとに、出題内容は違う。

基本的には一次試験は筆記試験、二次試験は面接で、自治体によっては三次試験まであるところもある。

また、教員や警察官などはそれぞれに採用試験があるので、調べてみよう。

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国家公務員

高校生に人気の職業、公務員の仕事を徹底解剖!どんな職種があるの?

国民の幸せのため、国づくりに貢献する

【国家公務員の仕事内容】

国家公務員とは、国に勤務し、国全体にかかわる仕事をする人のこと。

・自衛官などの「特別職」と、その他の「一般職」とに分かれる。

一般職の中でも、「総合職」と「一般職」とに分かれ、総合職は東京霞が関の各省庁(本省)で、一般職は各省庁の出先機関で働くことが多い。

出先機関とは、財務省なら各地の財務職・税関、厚生労働省なら各地の労働局など。

本省庁で企画・立案されたことを、出先機関が実行している。

国家公務員の仕事の根本にあるのは「国民の幸福」。

国民の生活を豊かにするためのニーズを探り、必要な政策をみつけ、その政策を実現するために法令を立案し、調整して執行することにより、国づくりに貢献する。

以下、いくつかの省庁の仕事を紹介しよう。

●財務省
主に国のお金を扱う仕事。

人々の生活を安定させ、より良くするために必要なお金を集めてその使い方を計画する。

このほか、国と国の経済の結びつきがうまくいくように世界の国々と話し合ったり、正しく貿易が行われるようにルールを決めたりするのも財務省の仕事。

●環境省
環境省の仕事は、震災からの復興・除染、自然環境の保全、自然とのふれいあいの促進、野生生物の保護や国立公園の管理、資源のリサイクルの促進などさまざま。
特に盛んなのが、再生エネルギーの分野。海に浮かぶ風力発電所「浮体式洋上風力発電プロジェクト」も推進している。

●国土交通省
「日本の暮らしを充実させる、日本の経済を活性化させる」ことを目指して、快適に暮らせる日本をつくるため、住まい環境の整備や、地域の交通をより便利にするための政策などを行う。
観光庁、気象庁、海上保安庁も国土交通省の組織のひとつ。
日本の魅力を海外に発信したり、気象や地震情報を提供したりするのも、国土交通省の仕事なのだ。

●厚生労働省
「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指して、赤ちゃんから老人まで、国民みんなが安心して一生を送るために暮らしをサポートするのが仕事。
医療保険などの社会保険制度の整備、予防接種などを通じた病気の予防、失業者への就職支援、健康に働ける職場環境づくり、食の安全を守るための検査など、人々の生活に直結する事案を取り扱うことが多い。
 

【国家公務員になるには?】

国家公務員には「一般職」と「特別職」がある。
自衛官や裁判所職員などの「特別職」はそれぞれの機関が採用試験を実施している。
「一般職」については、国家公務員の人事管理を行う人事院が実施する国家公務員採用試験に合格することが必要となる。
国家公務員採用試験には、
①総合職試験(院卒者試験)・総合職試験(大卒程度試験)
②一般職試験(大卒程度)・一般職試験(高卒程度)
③専門職試験
④経験者採用試験

がある。

総合職試験は、第一次試験、第二次試験ともに筆記試験が課され、論文試験もある。第二次試験は加えて面接も行われる。

一般職試験は、第一次試験が筆記試験、第二次試験が面接となるところがほとんど。職種によっては、身体検査・体力検査などもある。

なお、「国家公務員採用試験の最終合格=採用」ではなく、採用されるためには希望する府省での面接(官庁訪問)を受ける必要があり、面接試験に合格すると採用となる。

専門職試験は、税務職員採用試験、気象大学校学生採用試験などのことで、それぞれ試験時期や試験内容が異なるので調べてみよう。

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外国と関わる公務員の仕事

入国審査官

入国審査官の仕事の様子
国際空港などで、不法入国などがないよう管理する

【入国審査官の仕事内容】

入国審査官の仕事は今、変革の時を迎えている。
2019年4月に「出入国在留管理庁」が設立され、従来の仕事である「出入国審査」「在留外国人の適正な管理」「難民の保護」に加え、「外国人の受入れ環境の整備」の任務が加わった。

出入国審査は、外国人の入国に際してパスポートやビザが有効であるか、入国目的に虚偽がないかなどの審査を行い、問題ない場合は入国を許可する。外国人の出国、日本人の出帰国についても、その事実の確認を行う。

外国人の在留管理は、滞在目的の変更や在留期間の更新などに対して審査を行い、申請の許可および拒否を決定する。また、不法入国や不法滞在者などに対して、退去強制の決定、送還の手続きなどを行うのも入国審査官の仕事だ。

難民の保護は、条約上の難民である者に対する難民の認定、難民と認定された人への難民旅行証明書の交付などを行う。

新たに加わった外国人の受入れ環境の整備は、内閣官房とともに外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の開催や対応策の取りまとめなどの業務がある。

いずれの仕事も、外国人の出入国や在留の管理を通じ、日本の安全と、国民・在留外国人双方の生活の安定を目的としており、社会・経済・文化の発展の一翼を担う仕事だ。

【入国審査官になるには?】

入国審査官は「国家公務員」。

入国審査官になるには、人事院が実施する国家公務員採用一般職試験に合格することが必要になる。 試験は大卒程度と高卒程度に分かれており、第一次試験は筆記試験および作文、第二次試験では面接が行われる。

国家公務員採用試験に合格後、出入国在留管理庁の面接試験に合格すると採用となる。
まずは法務事務官として業務経験を積み、その後、入国審査官のキャリアがスタートする。

なお、法務事務官から入国審査官になるための特別な試験はない。

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外交官

外交官の働く場所
世界を舞台に国益を守り、国際社会に貢献する日本の顔

【外交官の仕事内容】

外交官とは、激動する国際情勢の中で、日本の国益のために、日本を代表して相手国政府の要人や各国代表と向き合う仕事。その仕事内容は多岐にわたる。

例えば、世界各地に200を超える在外公館(大使館・総領事館・政府代表部のこと)に駐在する外交官の場合、自国を代表して相手国政府との交渉や連絡、政治や経済情報の収集・分析、現地の人が日本を正しく理解し、親しみをもってもらうための広報文化活動などを行っている。また、その国に滞在している自国民の生命・財産を保護することも重要な仕事の一つだ。

また、国連・サミット・G20といった国際会議の中で話し合われる事案について、具体的な政策を練り各国と交渉する役割も外交官が担う。
そのほか、途上国を支援する政府開発援助(ODA)などの国際協力活動や、各種条約や規約など、二国間・多国間で結ばれる決まりごとの条文作成にも外交官が携わっている。

【外交官になるには?】

外交官になるには、人事院が実施する国家公務員採用総合職試験に合格し官庁訪問(面接)を経て外務省に採用されるか、外務省が独自に行っている外務省専門職員採用試験に合格し採用される必要がある。

どちらの試験も21歳以上30歳未満であれば学歴を問わず受験資格が得られるが、難易度は公務員試験の中でもトップクラス。

◎国家公務員採用総合職試験
政策の企画・立案などに従事する職員の採用を目的とした試験。試験は筆記と面談で構成されており、院卒者試験ではグループでの討議試験も行われる。

TOEFL iBT(R)テスト、TOEICListening & Reading Test、IELTS、実用英語技能検定(英検(R))のいずれかのスコアや級に応じて加算措置がとられるため、受験対策としてもスコアを獲得しておくとよい。

◎外務省専門職員採用試験
各言語や地域のスペシャリストの採用を目的とした試験。筆記試験、論文試験に加え外国語試験があり、英語、フランス語、スペイン語、アラビア語、タイ語、中国語、朝鮮語など15の言語から一つを選択できる。

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航空管制官

航空管制官の仕事の様子
空の交通を守るスペシャリスト

【航空管制官の仕事内容】

航空管制官は、航空機が安全に飛行できるよう誘導するのが仕事。
航空機同士の安全な間隔を設定するため、無線を使ってパイロットと通信し、 離着陸の順番を決めて許可を出したり、経路や高度などの指示を出したりする。

航空管制官の主な業務は以下の3つ。
①飛行場管制業務
空港にある管制塔の上部(コントロールタワー)から目視で航空機を捉え、離陸・着陸の許可、飛行場面の走行経路の指示などを出す。

②ターミナル・レーダー管制業務
空港から約100km圏内の航空機をレーダーで捉え、着陸順序を決定し、侵入角度・高度・コースなどの指示を行う。離陸した航空機を他の航空機と安全な間隔を保ちながら上昇させるのもここでの業務だ。

③航空路管制業務
全国4カ所にある航空交通管制部で、飛行中の航空機に対して経路や高度の指示などを行う。外国からの通過機にも同様に管制業務を提供している。

【航空管制官になるには?】

航空管制官は「国家公務員」。

航空管制官になるためには大学か短大、高等専門学校を卒業後、国土交通省が行う「航空管制官採用試験」に合格する必要がある。

第三次試験まであり、一般的な国家公務員の試験科目に加えて、航空管制官として必要な記憶力・空間把握力の試験、英語のヒアリングや読解、英会話などの試験も課される。さらに、視覚や聴覚などが業務に直接影響するため、身体的な適性も図られる。
航空機のパイロットとの通信はすべて英語で行われるため、仕事をするうえで英語力は必須だ。

採用後は、航空保安大学校で8カ月間の研修があり、研修終了後に全国各地の空港や札幌・東京・神戸・福岡にある航空交通管制部に配属される。

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身近で働いている、公務員の仕事

消防士

高校生に人気の職業、公務員の仕事を徹底解剖!どんな職種があるの?

火災や災害の現場で人の命を守り、防災にも努める

 

【消防士の仕事内容】

消防士の仕事は大きく
①消火活動 ②救急活動 ③救助活動
に分けられる。

消火活動は、火災現場に駆けつけて消火を行う仕事。逃げ遅れた人がいないかを確認し、人命救助を最優先に、最小限の被害に抑えられるよう消火活動に当たる。

救急活動は消防士の仕事の中で最も頻度が高い仕事で、要請を受けて救急車で現場に急行し、急病人やけが人を病院に搬送する。

救助活動は、火災現場で逃げ遅れた人や、地震や土砂災害で建物の下敷きになった人などを救助する仕事。

その他にも、火災などを防ぐために、建物・消火設備の検査をしたり、消防訓練の指導などを行う「予防活動・防災活動」をしたりすることも、消防士の大切な仕事だ。

【消防士なるには?】

消防士は「地方公務員」であるため、消防士になるためには、各自治体が実施する消防士を対象とした採用試験に合格する必要がある。

試験は、大卒程度、短大卒程度、高卒程度に区分されていることが多いので、学歴に応じてチャレンジができる。

東京消防庁の消防官採用試験の場合、
一次試験…教養試験・論文試験(作文試験)・適性検査
二次試験…身体・体力検査、口述試験がある。

採用試験に合格したら、各地の消防学校に入学して、必要な知識・技術・規律などを身につける。半年、消防学校で生活を送ったあと、消防本部や消防署に配属される。

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警察官

高校生に人気の職業、公務員の仕事を徹底解剖!どんな職種があるの?

人々の生活と安全を守るため、防犯活動と、事件・事故の迅速な解決をする

【警察官の仕事内容】

警察官には「国家公務員」と「地方公務員」の2種類がある。

「警察庁」で働く警察官は国家公務員、「警視庁」などを含めた「都道府県警察」で働く警察官は地方公務員だ。

※警視庁は東京都を管轄する機関。

警察庁には、国家に関わる公安や警察組織全体の調整、各都道府県の警察を指揮・監督するといった役割がある。

都道府県警察で働く警察官は、地域、交通、刑事などの部門から成り立っている。

犯罪の調査・取り調べ・逮捕を行うのは、刑事警察部門。交番にいる警察官は、地域警察部門の警察官だ。それぞれの部門で、公共の安全や社会の秩序を守るための活動をする。

「人を助けることに喜びを感じる」「気はやさしくて力もち」そんな人にうってつけの仕事だろう。

【警察官になるには?】

警察官になるには、「警察官採用試験」に合格しなければならない。

採用試験を受けるためには高校卒業以上の学歴が必要で、警察官の採用試験は、一般的に大卒程度、短大卒程度、高卒程度といった形で区分が設けられている。

試験内容は「警察庁」と「都道府県警察」とで異なる。
国家公務員である警察庁の警察官になるには、まずは国家公務員試験をクリアする必要がある。その後さらに、警察庁の採用試験を受ける。

地方公務員である都道府県警察の場合は、各都道府県が行う公務員試験に合格することが条件だ。
どちらも試験は、教養試験・論文試験・身体検査・適性検査・面接試験などが行われる。

採用後は、一部の職種を除き警察学校に入学して、警察官として必要な知識を身につける。

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救急救命士

高校生に人気の職業、公務員の仕事を徹底解剖!どんな職種があるの?

救急車の中や救急現場で救急救命処置を行うスペシャリスト

【救急救命士の仕事内容】

救急現場(主に救急車の中)において、人命を助けるための救急救命処置を行うことが主な仕事。心肺機能が停止状態になった重度のけが人や病人に対しては、救急車内で医師と連絡(メディカルコントロール)を取りながら救急救命処置を行うことができる。

また、自然災害なども多い日本では、通常の救助活動も消防が担当し、救急救命士の資格をもった救助隊員が多く活躍している。その経験と知識を生かして人命救助に携わる。

【救急救命士になるには?】

救急救命士になるには、「救急救命士国家試験」に合格しなければならない。

試験を受けるための受験資格も必要で、文部科学大臣指定の大学か厚生労働大臣指定の救急救命士養成校で2年以上学び、定められた単位を取得することで得ることができる。

さらに、救急救命士国家資格を生かした仕事に就くためには、現在、消防士となることがほぼ規定のルートで、各自治体が実施する消防士を対象とした採用試験に合格する必要がある。

救急救命士も消防士同様、地方公務員だ。

救急救命士国家試験の出題範囲は、医療従事者として必要とされる医学知識と治療技術に関するものが多い。救急救命士国家試験と消防士採用試験は出題内容もまったく異なるため、どちらの学習も必要となる。

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保健師

保健師の仕事
保健指導を通して地域で暮らす人々の健康を守る、予防医療のエキスパート

【保健師の仕事内容】

保健師の仕事は、病気になる人を一人でも少なくするための「予防」や「対策」がメイン。

公務員である行政保健師の場合、保健所、市区町村の保健センター、役所などの公的機関に所属し、その地域に暮らす乳幼児から高齢者までの誰もが健康的で幸福な毎日を送れるようにサポートするのが仕事だ。

仕事の範囲は多岐にわたり、新生児がいる家庭への訪問、産後間もない女性への保健指導、乳幼児健診や予防接種のサポート、成人病・生活習慣病やエイズ対策、身体障がい者や精神障がい者への生活支援、家庭内虐待への介入などがある。

高齢化を背景に、高齢者の在宅ケアや生活支援も昨今、重要度を増している。

新型コロナウイルスや新型インフルエンザなど、感染症に対する調査・感染予防・医療機関との調整なども保健師の仕事だ。

【保健師になるには?】

保健師になるには、国家資格である「看護師免許」と「保健師免許」が必須。

免許の取得には、卒業と同時に2つの国家試験の受験資格を得られる4年制の大学や専門学校に入学するほか、3年制の短大・専門学校で先に看護師免許を取得した後に1年制の保健師養成学校で保健師免許の取得を目指すルートもある。

企業や医療機関などで働く保健師の場合、看護師免許と保健師免許さえあればよいが、国の省庁や都道府県の保健所、市区町村の保健センターや役所で保健師として働く場合には、2つの免許を取得したうえで、公務員試験に合格する必要がある。

試験内容は各自治体によって大きく異なり、保健師の専門試験がある自治体もあれば面接だけという自治体も。実技試験、論文などがある場合もある。

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国を守る!公務員の仕事

自衛官

高校生に人気の職業、公務員の仕事を徹底解剖!どんな職種があるの?

日本の領土と国民を守り、国際社会の平和を担うプロ集団

【自衛官の仕事内容】

自衛隊は、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の3つの組織からできている。
自衛隊の仕事を大きく分けると、
①国の防衛 ②災害派遣 ③国際貢献 の3つがある。

国の防衛は、外国からの侵略を警戒し、必要によっては自衛力を行使することもある。近年の社会情勢を受けて、核、生物・化学兵器などあらゆる事態への備えが求められている。

災害派遣は、地震や火山噴火といった自然災害が発生したときに、国民の命や財産を守ることを目的に捜索や救助、医療、防疫、給水、炊き出しなどを行う仕事。

国際貢献は、国際平和に協力する活動で、紛争地域での平和監視や、大規模災害が起こった国での救助や捜索、医療の提供などを行う。

これ以外にも自衛官の仕事は多くあり、音楽演奏を主な任務とする音楽隊員もいる。

【自衛官になるには?】

自衛隊は、「特別職」の国家公務員。

試験内容は、筆記試験と口述試験、身体検査などがあるが、進路によって異なる。

自衛隊の中核となる「一般曹(そう)候補生」、2年または3年を一任期として勤務する「自衛官候補生」のほか、防衛大学校や防衛医科大学校への進学、また海上自衛隊・航空自衛隊のパイロットを養成する航空学生になるといった進路があり、それぞれに採用試験がある。

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海上保安官

高校生に人気の職業、公務員の仕事を徹底解剖!どんな職種があるの?

海の安全維持から、救助作業まで。海の危機管理を行うスペシャリスト

【海上保安官の仕事内容】

海上保安官の仕事は幅広いが、大きくは「海上業務」と「陸上業務」の2つに分けられる。

海上業務は、密輸や密航など海の上で行われる犯罪の取り締まり、災害や事故が起こったときの救助活動など、海上で発生する問題を解決する。

陸上業務は、海や空で働く海上保安官と連携して、海洋調査、海図の作成、海の交通を整理するなど、幅広い業務を行う。

転覆した船から人命を救助するなど、より専門的な働き方をする海上保安官もいる。

【海上保安官になるには?】

海上保安官になるには、海上保安大学校か海上保安学校に入学する必要がある。

どちらの学校も、試験は国土交通省職員の採用も兼ねているため、入学時から国家公務員として扱われ給与が支払われる。

海上保安大学校または海上保安学校の試験に合格することが採用に直結しているとも言え、卒業後は海上保安庁の各部署に配属される。

海上保安大学校は、海上保安庁の幹部職員を育てるために国が設置した省庁大学校。

試験科目は
一次試験…基礎能力試験・学科試験・作文試験
二次試験…人物試験・身体測定・体力検査がある。

海上保安学校は船舶運航システム課程、航空課程など5つの課程に分かれており、それぞれに試験が実施される。基礎能力試験は全5課程にあり、数学や物理などの学科試験は試験種目が課程によって異なる。身体検査、体力検査なども行われる。

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国税専門官

高校生に人気の職業、公務員の仕事を徹底解剖!どんな職種があるの?

適正に税金を徴収するために調査・チェックする

【国税専門官の仕事内容】

財源の確保は、国をきちんと動かしていくうえでとても大切なこと。そのためには個人や企業などの納税者から、適正な税金を徴収することが必要になる。
そこで活躍するのが国税専門官だ。

国税専門官は、
①適正な納税額が申告されているか調査・検査を行う「国税調査官」
②期限までに収められていない税金の催促や滞納処分を行う「国税徴収官」
③悪質な脱税者に対して家宅捜査など強制捜査を行い告発する「国税査察官」
の3つに分かれる。

税金を適正に徴収することは国の存立や国民の幸せに直結する。その責任を負う仕事だけにやりがいは大きい。

【国税専門官になるには?】

国税専門官は国家公務員。

国家公務員の人事管理を行う人事院が実施する国家公務員試験のひとつである専門職試験の「国税専門官採用試験」に合格し、採用されることで国税専門官になることができる。

受験資格は、「大卒新卒者および新卒予定者であるか、または人事院が同等の資格があると認める者」とされており、実際、受験者の大半は大卒だ。

また、21歳以上30歳未満という年齢制限もある。

第一次試験は筆記試験で、合格すると個別面談と身体検査の二次試験へ進むことができる。

さまざまな研修が用意されているのも国税専門官という仕事の特徴。

採用後は全員、まずは税務大学校で約3カ月間基礎研修を受ける。

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テレビでもよく見る!?公務員の仕事

刑務官

服役中の人たちの生活指導や職業訓練に当たる

【刑務官の仕事内容】

刑務所で働く刑務官の場合、刑務所内を見て回り問題がないか確認するほか、職業訓練の指導、悩み相談に応じるなどして、受刑者が社会復帰できるようにサポートするのが主な仕事。刑務所の警備業務に就く人もいる。

拘置所で働く場合、拘置所は罪を疑われている人または起訴された人を裁判が終わるまで収容している施設のため、職業訓練や刑務作業などはなく、収容者の逃走や証拠隠滅の防止が主な仕事となる。

【刑務官になるには?】

刑務官は国家公務員で、刑務官になるためには「刑務官採用試験」に合格する必要がある。ほかにも刑務官になるルートとして、「国家公務員Ⅰ種・Ⅱ種」の採用試験、急に欠員が出たときなどに不定期で行われる「刑務官採用選考(公募)」もあるが、刑務官になる人のほとんどは「刑務官採用試験」を選んでいる。

試験において学歴は問われず、受験資格は試験実施年度の4月1日現在、17歳以上で日本国籍の男女。この試験は法務省が実施しており、基礎能力試験・作文試験・面接試験・身体検査・体力検査などがある。

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麻薬取締官

高校生に人気の職業、公務員の仕事を徹底解剖!どんな職種があるの?

法学と薬学の知識を生かして、違法薬物を取り締まる専門職

【麻薬取締官の仕事内容】

麻薬取締官は、麻薬や覚せい剤といった違法薬物の不正な売り買い、それにともなう犯罪を取り締まる。

特別司法警察職員とも呼ばれ、刑事と同様に犯罪者と対面したり、捜査や容疑者を逮捕したりすることもでき、小型武器で武装することも認められている。

厚生労働省大臣の指揮の下、違法薬物にかかわる犯罪捜査や医療用として使用される薬物の監督・指導、不正薬物の成分の検査・鑑定などが主な仕事。

また、薬物乱用防止の啓発活動なども麻薬取締官の大切な仕事の一つだ。

麻薬取締官は全国でも300名ほどしかいないため、社会から求められる役割も大きい。

【麻薬取締官になるには?】

麻薬取締官は国家公務員。

麻薬取締官になるには、厚生労働省地方厚生局麻薬取締部の採用試験に合格して採用される必要がある。

採用試験の応募資格は2通りで、「国家公務員一般職試験に合格する」もしくは「薬剤師の国家資格をもつ」ことが条件となる。

まずは4年制大学の法学部、または薬剤師養成課程のある大学を卒業することが近道。

国家公務員一般職試験は「行政」「電気・電子・情報」のどちらかを受験する。試験は基礎能力試験と専門試験、一般論文試験、面接からなる。

薬剤師の国家資格は、大学の薬学部で6年間の薬剤師養成課程を修了することで受験資格を得られ、試験では薬学の専門知識のほかに、法規や倫理も問われる。

麻薬取締部の採用試験に筆記試験はなく、採用面接などにより成績優秀者が採用される。

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裁判官

裁判官の仕事の様子
法秩序を維持し、人権を守る司法の番人

【裁判官の仕事内容】

全国にある裁判所(最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所)で、訴訟を審理し、事実を認定したうえで法律を適用し、判決を下す。
国民の権利擁護と法秩序を維持するのが職務。

裁判の種類には、刑事、民事、行政、労働、非訟、家事、少年等の事件などがある。

主な裁判での仕事を紹介しよう。

◎刑事裁判で判決を下す
殺人や窃盗など、法律で定めた犯罪や違法行為をした疑いがある人の刑事責任を問うのが刑事裁判。

裁判官は起訴状に基づき、起訴された被告人とその弁護人の主張を聞き証拠を調べたうえで、被告人が有罪か無罪かを決め、有罪の場合にはどのような刑とするかを判断して判決を下す。

◎民事裁判で判決を下す
民事裁判では,お金の貸し借りや社員の雇用問題など、日常生活に起こる法律上の争いを解決する。

裁判官は、訴えを起こした原告と訴えられた被告の双方の主張を整理し、提出された証拠を調べたうえで、法律に照らして判決を言い渡す。

民事裁判では、双方に話し合いを勧めて和解による解決を図ることも多い。

【裁判官になるには?】

裁判官になるには、司法試験に合格しなければならない。

司法試験を受けるにはまず受験資格を得なくてはならず、以下2つのルートがある。

① ルート1/法科大学院ルート

大学を卒業後、法科大学院入学試験を経て法科大学院に進み、法学の既修者は2年間、未修者は3年間の専門教育を修了する。

② ルート2/予備試験ルート

司法試験予備試験に合格する。予備試験は受験資格制限がいっさいなく、大学在学中でも受験できる。

受験資格を得て、いよいよ司法試験となる。

司法試験は短答式による筆記試験および論文式による筆記試験から構成される。

司法試験に合格してもすぐに裁判官になれるわけではない。司法修習生として1年間、裁判所・検察庁・弁護士事務所の3カ所で実務を学び、司法修習の修了試験である司法修習生考試に合格することでやっと裁判官になるための資格を得ることができる。さらに面接に合格すれば、裁判官として任官される。

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検察官

検察官の仕事
犯罪に訴えを起こすことができる唯一の職業

【検察官の仕事内容】

殺人や窃盗といった刑事事件が発生した時、その捜査にあたるのが検察官。犯罪の捜査というと警察官を思い浮かべるかもしれないが、警察の仕事は事件の詳細を調べて被疑者を捕まえるところまで。
警察から捜査書類と被疑者の引渡し(送致)を受けたところから検察官の仕事がスタートする。

検察官の仕事は大きく
①犯罪捜査・起訴不起訴処分 ②法の正当な適用の要求 ③裁判の執行の指揮監督
の3つに分けられる。

犯罪捜査・起訴不起訴処分は被疑者の取り調べや、被害者等への聞き込み、証拠品を集めるなどして捜査を行い、事件を裁判所に起訴するか・しないかを判断する。

法の正当な適用の要求とは、起訴した事件の裁判に立ち会い、犯罪が立証できる証拠を提出したり証人尋問などを行ったりして被告人が有罪であることを証明し、適切な刑罰を求める求刑を行うこと。

裁判で決まった懲役・禁固や罰金などの刑が執行されるよう指揮・監督するのも検察官の仕事だ。

【検察官になるには?】

検察官、裁判官、弁護士は「法曹三者」と呼ばれ、なるためのルートは同じ。
検察官になるには、法科大学院を修了するか司法試験予備試験に合格し、司法試験に合格する必要がある。

これまでは大学を卒業後、法科大学院に進むルートが司法試験の受験資格を得るためには確実で早道と言われていたが、近年は法曹への近道として司法試験予備試験に挑戦する傾向が強まっている。

2020年の司法試験予備試験の合格率は4.17%で、2011年の試験開始以降最高だった。
また、2020年の司法試験の合格者数の1位は「予備試験合格者」で、合格率も89.36%とトップ。合格者数2位の「東京大学法科大学院」の合格率は59.43%だった。

司法試験に合格した後のルートは検察官も裁判官も同じで、司法修習では同じ内容のカリキュラムを受け、それぞれの立場から事件を見ることで裁判実務の幅広い能力を習得する。
法曹資格を得た後、法務省の面接に合格すれば晴れて検察官として任官される。

検察官を目指せる学校を探す

みんなが目指した公務員の職種(2020年度)

ひと口に「公務員」といっても、上記のように身近なものから日常生活とはやや縁の薄いものまで、さまざまな職種がある。

実際のところ、多くの人が就いているのはどんな職種なのだろう。

2020年度の人事院の統計データをもとに、高卒程度試験からの採用が多かった公務員の職種をチェックしてみよう。

国家公務員一般職

国家公務員は、省庁や税務署、裁判所などの国家機関に勤務する人のことだ。

その中には「総合職」と「一般職」の2種類があり、一般職は主に総合職の業務を補佐する役割を担う。

いわゆる「官僚」「キャリア」と呼ばれる総合職が政策の企画立案などを行うのに対して、一般職は事務処理などの定型的な業務に従事して、企画立案をサポートするのだ。

税務職員

税務職員は「税のプロフェッショナル」として、税金の申告が適正になされているかを調査したり、滞納がある場合は税金の督促や差し押さえなどの処分を行ったりするのが仕事。

「国税調査官」「国税徴収官」「国税査察官」の3つの職種に分かれており、これらを総合して「国税専門官」と呼んでいる。

どの職種であっても、国税庁に勤務する国家公務員の扱いとなる。

海上保安学校学生

海上保安学校とは、海上保安庁の職員として採用された学生が、海の安全を守るために必要な学術や技能を身につけるための教育機関。

京都府舞鶴市に本校があり、入学と同時に国家公務員の身分が与えられ、給与の支給を受けながら海上保安官になるための教育を受けることができる。

カリキュラムは「船舶運航システム課程」「航空課程」「情報システム課程」「管制課程」「海洋科学課程」の5種類があり、養成機関は課程によって1~2年。

卒業後は巡視船艇や海上保安部署、海上交通センター、航空基地等に勤務する。

入国警備官

入国警備官は、出入国在留管理庁に所属する国家公務員。

不法入国、不法残留、不法就労など、在留目的外の活動をしている外国人や、法律に違反する活動をしている疑いのある外国人についての情報を調査し、国外に退去させる手続きなどを行っている。

勤務先は、全国にある出入国在留管理局やその支局・出張所のほか、入国者収容所などで、違反者の身柄を拘束したり、本国への強制送還時に空港・港湾まで護送したりすることもある。

公務員になるための準備

公務員といってもさまざまな種類があるが、共通しているのは採用試験に合格する必要があること。

採用試験の受験資格は職種によって異なり、地方公務員の場合は自治体によって異なるケースもある。

種類や職種によって受ける試験が異なるため、どんな学部・学科で学んでも目指せる職種もあれば、技術系など専門性の高い職種の場合は、あらかじめ関連する知識や資格が取得できる学部・学科で学ぶ必要があることも。

公務員試験には「高卒程度」「大卒程度」といった区分があるが、これはあくまでも試験の 難易度を表すものであり、資格としての学歴が求められているわけではない。

つまり、高卒でも「大卒程度」の試験を受けることができる。

ただし、医療や福祉にかかわる職種など、専門性の高い一部の職種は受験資格で学歴が求められることもある。

現時点で興味のある職種がある場合は、早めに受験資格をチェックしておいて損はない。

公務員試験のなかでも「国家公務員採用総合職試験」は特に難易度が高いといわれており、受験する場合は資格スクールに通うなど、本格的な対策が必要になることも。

大学進学後に就職を考えている場合も、就きたい職種に応じて学部・学科を選んだほうがいい場合もあるので、できることなら将来希望するキャリアから逆算して進学先を選びたいところだ。

勉強は2年生の9月からが理想


大学に進学せず、高校卒業後に公務員としての就職を目指す場合、いつごろから試験勉強を始めればいいのだろうか。

「高卒程度」の公務員試験を受けるなら、高校2年生の9月ごろを目安として対策をスタートしたい。

ただし、当然のことながら試験対策に要する期間は基礎学力によって変わってくるため、もっと早く始めなければならない人もいれば、もう少し遅くても間に合う人もいる。

基礎学力に自信のない人は、高校1年生のうちから対策を始めたほうがいいだろう。

「高卒程度」の公務員試験では、数学を使う場面が多いので、特に数学が苦手な人は要注意。

「今高校で勉強していることがよくわからない」という人は、中学校の復習から始めて、根気よく学んでいこう。

公務員とは、国や社会のためになくてはならない仕事

高校生なりたい職業で人気の公務員!どんな仕事があるの?

ひとことに公務員といってもその仕事はさまざまで、「携わらない領域はない」と言えるかもしれない。

求められるのは、「将来を見据えた地域づくり・国づくり」に貢献すること。

安心・安全な世の中があり、仕事があり、社会福祉があり…人々の生活を豊かにするために必要なものを国民に提供し、それらを常にアップデートさせていく。

「地域を活性化させ、国をつくる」。簡単なことではないだけにやりがいも大きい。

ここで紹介した以外にも公務員の仕事はあるので、こちらも要チェック


文/ミューズ・コミュニティ(2023年6月一部追加) 構成/黒川 安弥
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