空港の仕事には何がある?パイロット、CA、航空整備士etc. 空の玄関口を支える仕事22選
空港の仕事には、パイロット、客室乗務員、航空整備士などの飛行機に直接かかわる仕事、グランドスタッフ、空港案内・旅客サービスなどの空港を訪れたお客さまに接する仕事、入国審査官、税関職員、空港警備などの空港や飛行機の安全・安心を守る仕事がある。
海外と日本を結ぶ「空の玄関口」である空港。
そこでは、さまざまな役割を持つプロフェッショナルたちが日々活躍している。
「空港で働きたい」「飛行機が大好き」など、小さいころからあこがれている人も多いだろう。
今回は、空港の仕事の詳細、魅力ややりがいまで、詳しく解説する。
<<目次>>
★飛行機に直接かかわる仕事
実際に飛行機を操縦したり、機体を整備するなど、大好きな飛行機の間近で働くことができる仕事
パイロット
※空港で働く仕事パイロット
【どんな仕事?】
飛行機を目的地まで安全に操縦する。
【どうすればなれる?】
日本で航空会社のパイロットになるには、主に3つの方法がある。
1つめは「自社養成パイロット」で、一般企業と同様の就職活動を行い、パイロット訓練生として航空会社の入社試験を受け、入社後に2年半のパイロット訓練を受ける。
4年制大学または大学院の卒業が条件。
2つめは、航空大学校を卒業して、航空会社に入社する方法。
航空大学校への出願は、短期大学・高等専門学校を卒業もしくは大学2年以上の修了が条件。
3つめは、大学の航空機操縦を専門とする学科やコースで操縦免許を取得し、航空会社に入社する方法。
2つめと3つめは、航空大学校や大学で小型機の免許まで取得し、入社後にジェット旅客機の訓練を受ける。
※空港で働く仕事パイロットは精神面・感情面で自分をコントロールが必要
【どんな人が向いている?】
パイロットに求められる能力は多岐にわたり、代表的なものでは、精神面・感情面で自分をコントロールできること、周囲の人たちとしっかりコミュニケーションが取れること、自分で考えて行動できる人間であること、視野が広く一度に複数のタスクをこなせること。
トータルで人間性を高め、自分の能力を伸ばす努力をしておくことが大事になる。
【どんな勉強をすればいい?】
パイロットに必要な知識やスキルは、養成校や航空会社での訓練で習得できるため、入学試験受験時や就職活動時に専門的な勉強は必要ない。
しかし、パイロットの身体検査は非常に厳しいため、健康な身体づくりが絶対条件。
また、英語は一般的な大学生程度のレベルが求められる。
【仕事のやりがいは?】
現役パイロットの志望動機は、小さいころからの空を飛ぶことへのあこがれと、高いレベルでの仕事を求めていることに大きく分けられる。
パイロット(機長)は、飛行機1機の機体とお客さまに対する責任者であり、求められるもの・責任とも非常に大きく、その分やりがいを感じることができる。
毎日違った環境(路線・気象条件・異なる仲間など)で働くため、常に新鮮な気持ちでいられるのも魅力。
また、世界中の感動的な景色や美しい空をコックピットの大きな窓から見ることができるのは、パイロットの特権。
【取材協力・写真提供】
ANA
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客室乗務員(キャビンアテンダント)
※空港で働く仕事客室乗務員(キャビンアテンダント)
【どんな仕事?】
航空機内において、乗客の快適な空の旅をサポートするサービスに務める。
緊急事態が発生した場合などには、乗客の安全を確保する保安業務も大切な仕事。
【どうすればなれる?】
専門学校・短期大学・4年制大学または大学院を卒業後、航空会社に就職するか、客室乗務員専門の人材派遣会社に登録する方法もある。
就職時、TOEIC(R) Listening & Reading Test 600点程度以上の英語力が求められる。
※空港で働く仕事客室乗務員(キャビンアテンダント)は協調性が求められる
【どんな人が向いている?】
笑顔で接客応対ができる人。
ほぼ毎回初対面のクルーと一緒に仕事をするので、コミュニケーションを取りながら働ける協調性のある人が向いている。
【どんな勉強をすればいい?】
英語は必須。
さらに、国内線・国際線を問わずグローバルなお客さまが増えているので、英語だけでなく、いろいろな言語に触れておくと良い。
アルバイトなどで接客の経験があると、サービスに使える言葉のバリエーションが増える。
また、チームで仕事をするので、チームワークが求められるような部活・サークル活動などの経験をしておくと役立つ。
【仕事のやりがいは?】
日本のさまざまな地域や世界各国を訪れることで、いろいろな食や文化に触れることができる。
たくさんのお客さまとの出会いがあり、「ありがとう」という言葉をいただけるのが喜び。
サービスだけでなく、飛行機とお客さまの安全を守る大切な任務もあり、若いころから責任感を感じられる、やりがいの大きい仕事。
【取材協力・写真提供】
ANA
※現在、ANAでは、人材派遣会社に登録する方法での客室乗務員の採用は行っていない。
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航空管制官
【どんな仕事?】
空港内にある管制塔で、レーダーや無線電話を使って、航空機が安全に飛行できるよう誘導。
パイロットに離陸・着陸の許可を出し、方向や高度の指示をする。
航空機同士が接触しないよう、常に注意して空を見渡す重要な仕事。
【どうすればなれる?】
4年制大学・短期大学・専門学校などを卒業後、まず国土交通省が行っている「航空管制官採用試験」に合格すると、国家公務員として国土交通省に採用される。
その後、航空保安大学校で8カ月の学科・技能研修を修了すると、各地の空港または航空管制部に配属される。
そこで実地訓練を経て、技能証明を受けてから航空管制官として管制業務に就く。
【どんな人が向いている?】
直接顔を合わせることができないパイロットに対して的確な指示をする重要な任務があり、同僚の管制官やほかの空港職員、気象庁職員などとの連携も必要になるため、コミュニケーション能力が求められる。
小さなミスが重大な事故につながることもあるので、冷静に状況を把握して正しい判断が下せる決断力と責任感も必要。
【どんな勉強をすればいい?】
航空管制官採用試験では、一般的な国家公務員の試験科目に加えて、英語のヒアリングや読解、英会話などの試験もある。
パイロットとの交信はすべて英語で行われるため、英会話力は必須。
【仕事のやりがいは?】
子どものころから飛行機が好きで、縁の下の力もちとして安全なフライトを支えたい、人のためになる仕事がしたいという人が多い。
常に事故と隣り合わせの緊張感の中で、自分の誘導によって無事にフライトが終えられると、安心感とともに達成感も味わえる。
パイロットからの「ありがとう」という言葉が一番のやりがい。
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グランドハンドリング(航空機支援業務)
※空港で働くマーシャラーの仕事風景
【どんな仕事?】
航空機内、制限区域(ランプ内)、ターミナル内などで、定期便やビジネスジェット便のさまざまな地上支援業務を行う。
マーシャリング(航空機の誘導)、トーイング(航空機の牽引)、ボーディングブリッジの接続、航空貨物や旅客手荷物・機内食の運搬、給油・汚水給水、機内清掃など、航空機の到着と出発に伴う幅広い業務がある。
また、マーシャリングの仕事を行う人をマーシャラーと呼ぶ。
【どうすればなれる?】
航空会社やグランドハンドリング業務を請け負っている会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にないことが多い。
※空港で働くグランドハンドリングの仕事風景
【どんな人が向いている?】
とにかく飛行機が大好きな人。
飛行機の運搬には多くの人がかかわっているため、なによりもチームワークを大切にできる人。
【どんな勉強をすればいい?】
業務内容に応じて、「大型特殊自動車免許」「危険物取扱者」などの資格が必要になるが、就職してから取得することが可能。
専門学校や大学などでグランドハンドリングの専門知識を身につけておくと有利。
【仕事のやりがいは?】
安全第一で業務を行い、貨物の搬送が遅れるなどのイレギュラーなことが起きても、最終的にオンタイムで飛行機を送り出せたときが一番のやりがい。
手の動作でパイロットにサインを送って航空機を誘導するマーシャラーは、定められた位置にピタリと飛行機を停止できた瞬間、大きな達成感がある。
【取材協力・写真提供】
ANA(グランドハンドリングの写真)
日本空港テクノ株式会社 (マーシャラーの写真)
※空港で働く航空整備士
【どんな仕事?】
空港や格納庫などで、航空機が安全に運航できるよう、整備・点検・修理および改造を行う。
【どうすればなれる?】
4年制大学または大学院の理系学部、工業高等専門学校(本科・専攻科)、航空専門学校などを卒業後、航空会社や整備関連会社などに就職する。
理系の学校であれば学科は問われないことが多いが、就職時、TOEIC(R) Listening & Reading Test 450点レベルの英語力が推奨される。
※空港で働く航空整備士の仕事風景
【どんな人が向いている?】
航空機整備の仕事はチームワークが命。
全体のパフォーマンス向上を第一に、現場の課題を的確に判断し、解決に向けて行動できる人。
また、自ら体得したスキルを惜しみなく後輩の指導に生かす度量の深い人。
【どんな勉強をすればいい?】
理系の知識と語学力を身につけておく。
入社後に、専門分野ごとに体系的な教育・訓練を行い、各種整備士の国家資格を目指すことができるため、航空機に関する知識がなくても理系のセンスがあれば大丈夫。
【仕事のやりがいは?】
お客さまを安全快適に運び続けるためにも、整備士の行う整備作業は完璧でなくてはならず、工具の整理整頓ひとつでも厳しく指導されるほど、非常に責任感のある仕事。
航空機が飛び立っていく瞬間や安全に戻ってきたときに、大きな喜びを感じることができる。
【取材協力・写真提供】
ANA
ケータラー
【どんな仕事?】
空港の近くにあるケータリング工場に勤務して機内食を調理したり、出発前・到着後の航空機に機内食を搬入する。
また、機内で使用される物品の保管と搭載も行う。
【どうすればなれる?】
航空会社やケータリングサービスを請け負っている会社に就職する。
外国の航空会社にも機内食を提供していることが多く、外国人の客室乗務員と会話する必要があるため、TOEIC(R) Listening & Reading Test 500点程度の英語力が求められる。
【どんな人が向いている?】
日によって、航空機の機種、お客さまの数が異なり、その場の作業時間や作業内容など、各便に合わせた臨機応変な対応が必要になるため、常に先のことを考え、柔軟性ももち、 瞬時に行動できる人が適任。
さまざまな部署を経由し、お客さまへ機内食・機用品が提供されることから、他部署との調整事項も多く、コミュニケーションを取りながら働ける人。
【どんな勉強をすればいい?】
外国の航空会社の客室乗務員との会話に不自由しないレベルの語学力を身につけておきたい。
入社後、フードローダー車を運転して機内に搭降載するための大型自動車免許を取得するので、普通自動車免許(マニュアル)が必要。
【仕事のやりがいは?】
直接お客さまと接する機会は少ないが、客室乗務員を通じて「おいしくいただけた」などのコメントをもらえるとうれしい。
機内でのさまざまな状況を感じ、自分たちにできるサービスを行って、客室乗務員から「ありがとう」と言われると達成感を得られる。
調理部門・機用品部門・搭載部門・コントローラー部門など、いろいろな部署・人のチームで成り立っていることから、チームの一員として働けることにやりがいを感じられる。
【取材協力・写真提供】
ANA
★空港を訪れたお客さまに接する仕事
搭乗客のサポートをしたり、空港施設内での接客など、直接お客さまに応対する仕事
グランドスタッフ
※空港で働くグランドスタッフの仕事風景
【どんな仕事?】
空港における旅客ハンドリング業務を行う。
具体的には、国内線および国際線の航空券の発券や搭乗手続き、手荷物カウンター、搭乗ゲート、到着ロビーなどでのお客さまへのサービス、バックオフィスでの工程管理を担当。
また一部外国航空会社の業務も受託する。
【どうすればなれる?】
専門学校・高等専門学校・短期大学・4年制大学または大学院を卒業後、航空会社に就職するか、航空会社専門の人材派遣会社に登録する方法もある。
就職時、外国からのお客さまの応対ができるレベルの語学力が求められる。
※空港で働くグランドスタッフはさまざまなお客様に対応
【どんな人が向いている?】
常に前向きで、人と接することが好きな人。
空港では多くの人と接するので、常に笑顔で会話を楽しみ、そこからお客さまの要望をくみ取り、こたえられるよう行動できる人。
また、飛行機を飛ばすためにはチームワークが欠かせないため、普段から同僚と積極的にコミュニケーションを取り、安全運航を守ることも重要な仕事。
【どんな勉強をすればいい?】
英語は必須。
グローバル化が進み、空港には多国籍のお客さまが訪れるので、さまざまな言語に触れておくとコミュニケーションの幅が広がり、業務に生かせる。
グランドスタッフとして必要な知識は入社後の研修などで学べる。
【仕事のやりがいは?】
航空会社の顔として、お客さまの空の旅をサポートできることに、やりがいと責任の重さを感じる。
お客さまと一番最初に対面するグランドスタッフは、まさに航空会社の顔。
その一瞬で会社の印象が決まると言っても過言ではないので、お客さまの立場に立ち、1人でも多くのお客さまから自社の飛行機に乗りたいと思っていただけるようなサービスを提供し、空の旅をサポートできることに喜びを感じられる。
お客さまから「あなたに会えて良かった」「この航空会社で良かった」など感謝の気持ちをいただけるとうれしく、自身のモチベーションの向上にもつながる。
【取材協力・写真提供】
ANA
※現在、ANAでは、人材派遣会社に登録する方法でのグランドスタッフの採用は行っていない。
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空港案内・旅客サービス
※空港で働く空港案内・旅客サービスの仕事風景
【どんな仕事?】
空港ビル内ロビーで、空港利用者への情報提供および案内業務(ターミナル施設案内・フライトインフォメーションなど)、空港からの各種交通アクセス乗車券やリムジンバスのチケットの販売、国内・海外旅行傷害保険の取り扱いも行っている。
【どうすればなれる?】
空港ビルの案内・旅客サービスを請け負っている会社に就職する。
基本的な英語力(TOEIC(R) Listening & Reading Test 470点以上、英検準2級以上)が求められる。
【どんな人が向いている?】
人とかかわるのが好きな人。
お客さまに寄り添うホスピタリティ精神やコミュニケーション能力も必要。
【どんな勉強をすればいい?】
外国からのお客さまの応対をすることが多いため、英語力は必須で、多言語を習得していると有利。
ビジネスマナーは入社後の研修で身につけることもできる。
【仕事のやりがいは?】
お客さまとのコミュニケーションを通して、おもてなしと思いやりの心で適切な情報提供や案内ができて感謝されたとき、楽しい旅行のサポートができたということにやりがいを感じる。
【取材協力・写真提供】
羽田旅客サービス株式会社
ターミナルサービス
※空港で働くターミナルサービスの仕事風景
【どんな仕事?】
空港ビル内で、手荷物カートやショッピングカートの管理と整理、手荷物の一時預かり、コインロッカーの管理など、空港に必要不可欠な各種サービスを行う。
国際線のターミナルビルの場合、24時間営業なので、深夜や早朝勤務もある。
【どうすればなれる?】
空港ビルのサービスを管理している会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にない。
【どんな人が向いている?】
手荷物の一時預かり・カート管理ともに接客対応があるため、笑顔でお客さまに接することができる元気な人。
【どんな勉強をすればいい?】
基本的なビジネスマナーや接客の勉強をしておくと役に立つ。
語学力は、ないよりはあったほうが良い。
【仕事のやりがいは?】
空港ターミナルビル内で、海外からのお客さまとも直接ふれあい、コミュニケーションをとることが楽しい。
お客さまの楽しい旅行やビジネストリップに少しでも役に立つことができればと常に考えることで、やりがいをもって働くことができる。
【取材協力・写真提供】
日本空港テクノ株式会社
販売スタッフ
※空港で働く販売スタッフの仕事風景
【どんな仕事?】
空港ビル内の食品・雑貨・ブランドブティックなどのショップや免税店のスタッフ。
ショップの運営や商品の販売、接客、商品管理などを行う。
【どうすればなれる?】
空港ビル内のショップや免税店を運営する会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にないことが多い。
【どんな人が向いている?】
接客業のため、コミュニケーション能力やマナーなどの知識が求められる。
24時間稼働している空港では、24時間営業のショップもあるため、自分でしっかり時間の管理ができる人が好ましい。
【どんな勉強をすればいい?】
外国人のお客さまが多いため、英語や中国語を学んでおくと有利。
会社によっては、語学力がなくても、英語や中国語の社内研修があってスキルアップできる。
【仕事のやりがいは?】
空港という非日常的な空間で、毎日、海外からのお客さまと会話できることが大きな楽しみであり、外国語が好きな人にとっては、語学力を大いに生かせることが魅力。
世界中のお客さまの多彩なニーズにこたえるため、ダイナミックに変わっていく日本の玄関を肌で感じることができて、刺激も多い。
【取材協力・写真提供】
株式会社羽田エアポートエンタープライズ
レストランスタッフ
※空港で働くレストランスタッフの仕事風景
【どんな仕事?】
空港ビル内のレストランでのサービスや調理、ラウンジでの接客を行う。
【どうすればなれる?】
空港ビル内のレストランを運営する会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にないことが多い。
【どんな人が向いている?】
ホールスタッフは接客業なので、人と接することが好きな人、自然と笑顔になれる人。
調理スタッフの場合は、料理をすることが好きな人。
食べることが大好きで、「食」に興味があると、日々スキルアップできる。
【どんな勉強をすればいい?】
ホールスタッフは外国人のお客さまと接することが多いため、英語や中国語などの語学力があるに越したことはない。
調理スタッフの場合は、専門学校などで調理師免許を取得しておくと、即戦力として活躍できる。
【仕事のやりがいは?】
高校生のときに飲食店でアルバイトをして、やりがいや楽しさを感じたから就職した、という人も多い。
お客さまの反応がダイレクトに伝わってきたり、毎日たくさんの外国人とさまざまな話ができることは、空港内のレストランならでは。
【取材協力・写真提供】
東京エアポートレストラン株式会社
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★空港や飛行機の安全・安心を守る仕事
空港内で事故や犯罪を未然に防いだり、安全なフライトをサポートする仕事。
運航管理者(ディスパッチャー)
※空港で働く運航管理者(ディスパッチャー)の仕事風景
【どんな仕事?】
空港ターミナル内のオフィスで、各空港の気象状況や混雑状況を把握。
機体の整備状態や乗客・搭載貨物の重量などもふまえて、安全で快適なフライトが実現するよう、飛行計画を作成して機長に提供する。
必要に応じてパイロットと無線で交信することもあり、飛行中にイレギュラーな事象が発生した際、地上からさまざまなアドバイスを行うため、「地上のパイロット」とも呼ばれている。
【どうすればなれる?】
航空会社などに就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にない場合が多いが、英語力はあったほうが良い。
【どんな人が向いている?】
条約や国内法、航空機メーカーや航空会社が定めたマニュアルを順守することで、安全な飛行が成立する。
暗記や表面上の知識だけに頼るのではなく、ルールを本質から理解しようとする姿勢が求められる。
働く上では一人ひとりがプロとして判断し、意見を述べ、同僚の考えに真摯に耳を傾けることが重要。
【どんな勉強をすればいい?】
マニュアルや用語には相当な量の英語が含まれており、外国人乗務員とのやり取りもあることから、ある程度の英語力が求められる。
TOEIC(R) Listening & Reading Testなどは目安になるが、大切なのは間違った文法でもいいから話そうとする度胸なので、会話力を身につけておきたい。
【仕事のやりがいは?】
気象状況が悪い場合など、機長が着陸進入の最終判断をして、その許可は航空管制官が行うが、着陸をやり直したり目的地を変更したりして、お客さまに不安を与えることがないように、気象情報をモニターしてアドバイスをするのは、運航管理者の重要な役目。
お客さまの顔が見えない場所で働いているが、ご搭乗いただいたお客さまへの感謝の気持ちを伝えるバトンをパイロットに託し、安全な運航をサポートすることでこたえている。
【取材協力・写真提供】
ANA
入国審査官
【どんな仕事?】
全国の国際空港などで、日本に入国しようとする外国人に対する入国審査を行う国家公務員。
パスポートやビザが有効か、日本での活動が入管法に規定する在留資格に該当するか、違法な荷物を持ち込んでいないか、虚偽の申請をしていないかなど審査することで、不法入国者を阻止する。
帰国に関しても、同様に審査する。
【どうすればなれる?】
国家公務員採用一般職試験を受験。
中学校卒業後2年以上経過していれば高校を卒業していなくても受験可能。
最終合格者の中から、各地方入国管理局の面接試験に合格した人が入国管理局職員として採用される。
最初は「法務事務官」として採用され、勤務経験を重ねると「入国審査官」になれるが、そのための試験などは特にない。
【どんな人が向いている?】
冷静な判断力と迅速かつ正確な事務処理能力が必要。
さまざまな外国人と接するため、国際感覚やコミュニケーション能力、マナーなどのスキルも欠かせない。
【どんな勉強をすればいい?】
4年制大学や短期大学、専門学校などで、法律・経済・行政学などを学び、国家公務員試験対策の勉強をする。
外国人と接する仕事なので語学力を磨いておきたい。
【仕事のやりがいは?】
日本に入国する外国人の犯罪を未然に防ぎ、国民の生活を守るという大きな責任感がある。
世界各国から訪れる外国人とのコミュニケーションが楽しく、外国人をサポートすることにやりがいを感じる人も。
税関職員
【どんな仕事?】
国際線の空港内に設置されている税関で、輸出入品の書類を審査したり、実際に麻薬探知犬やX線検査装置などを使って品物を検査し、麻薬や拳銃など禁止されている品物が隠されていないか、関税や消費税などの税金が正しく徴収されているか、取り締まりをする。
入国カウンターでは、旅行客の手荷物検査を行う。
【どうすればなれる?】
国家公務員採用一般職試験を受験。
中学校卒業後2年以上経過していれば高校を卒業していなくても受験可能。
最終合格者の中から、各税関での採用試験に合格した人が「一般職」の税関職員として採用される。
ただし、税関は港にもあるため、必ずしも空港勤務になるとは限らない。
【どんな人が向いている?】
海外からの麻薬などの禁止薬物や拳銃の密輸入を防ぎ、日本国内の安全を守るという強い正義感のある人。
不正を行っている人に対して、毅然とした態度で取り締まりができる人。
【どんな勉強をすればいい?】
4年制大学や短期大学、専門学校などで、法律・経済・貿易などを学び、国家公務員試験対策の勉強をする。
外国人と接する仕事なので語学力を磨いておきたい。
【仕事のやりがいは?】
警察官とは違った立場から日本の平和に貢献したいという人が多い。
禁止薬物や拳銃などが日本国内に持ち込まれてしまった場合、何らかの犯罪を生み出す危険が生じる。
それを取り締まり、密輸入をさせないことで、テロを防いだり、国民の安全を守るという大きな使命を担っている。
空港警備
※空港で働く空港警備の仕事風景
【どんな仕事?】
空港ビル内で、さまざまなニーズをもったお客さまに「絶対安全・快適空間」の提供ができるよう、施設警備・保安検査その他サービスを行う。
具体的には、ビル内の巡回や点検、防災センターでの防災システムの監視業務など、24時間・365日体制で空港を利用されるお客さまの安全を守る。
ハイジャック、航空機爆破などの不法妨害行為や航空事故を未然に防ぐためには、保安区域に入場する空港関係者やお客さま、所持品、搬入商品などに対し、X線透視手荷物検査装置や金属探知機などで検査を行う。
さらに、困っているお客さまには積極的な声がけをして、必要に応じたご案内も行っている。
【どうすればなれる?】
空港ビルの警備を請け負っている会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にないことが多い。
【どんな人が向いている?】
警備の仕事に必要な資質は、何と言っても責任感や使命感。
「私が守る」という責任感をもって、日々の仕事に取り組める人。
警備だけでなく、ご案内などの接客も行うため、コミュニケーションをとれる人が好ましい。
緊急事態発生時には、迅速かつ正確な判断力と、問題発見に必要な観察力や集中力、そして仲間と協力して成し遂げるチームワークも重要。
【どんな勉強をすればいい?】
外国からのお客さまの応対をすることもあるため、語学力はあったほうが良い。
【仕事のやりがいは?】
空港警備という重要な仕事にあこがれる人が多い。
空港警備員として、緊急事態発生を未然に防いだり、有事の際は事態を極小化に抑えること、お客さまだけでなく空港職員を含む空港全体に安心安全で快適な空間を提供する「縁の下の力もち」のような仕事にやりがいが感じられる。
【取材協力・写真提供】
羽田エアポートセキュリティー株式会社
車両整備士
【どんな仕事?】
空港に隣接する整備地区で、航空機の運航を地上で支援する特殊車両の点検・整備・修理を行う。
【どうすればなれる?】
航空会社や車両整備関連会社などに就職する。
車に関する基礎的な知識があると有利だが、必須条件ではない。
【どんな人が向いている?】
ひたむきな努力ができる人。
空港内で活躍している多種多様な車両を整備するためには幅広い知識や経験が必要。
機械と向き合うことが多い整備業においては、日進月歩で進化している技術に対応していくために、日頃から知識や経験を自分で進んで磨いていく姿勢が求められる。
【どんな勉強をすればいい?】
普通自動車免許は必須で、車に関する勉強をしておくと良いが、それよりも、日頃から勉強や部活を前向きに取り組み、知識や経験を率先して磨いていく姿勢を意識したい。
【仕事のやりがいは?】
直接お客さまと接する機会がなく、「縁の下の力もち」的な役割の仕事だが、航空機の運航を車両整備を通じて支えるという重要な役割の一翼を担っている。
自分が整備した車両が空港で元気に活躍している姿を見るとうれしく、「自分の仕事が航空機の運航を支えている」というやりがいをもって働くことができる。
【取材協力・写真提供】
ANA
★快適な空港環境をバックアップする仕事
空港施設の整備や管理など、お客さまが利用しやすい環境づくりをする仕事
環境・清掃管理
※空港で働く環境・清掃管理の仕事風景
【どんな仕事?】
空港ビル内外における環境美化の維持と快適な空間の提供。
施設の清掃だけでなく、協力会社との作業調整なども行っている。
【どうすればなれる?】
空港ビルの清掃を請け負っている会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にないことが多い。
【どんな人が向いている?】
掃除をすることが好きな人、コミュニケーションをとることが好きな人。
現場での作業だけでなく、報告書の作成や協力会社とのやりとりもあるため、デスクワークが好きな人も向いている。
【どんな勉強をすればいい?】
仕事に就いてから、清掃や害虫駆除に関する講習の受講や資格の取得が必要になってくる。
【仕事のやりがいは?】
空港を訪れたお客さまに「いつもきれいですね」と、直接お褒めの言葉をいただけることがうれしい。
羽田空港の場合、英国SKYTRAX社が実施する国際空港評価において、清潔さなどを評価する部門で2016年から2018年まで3年連続で第1位に選ばれていて、「世界一きれいな空港」という誇りをもって仕事に励んでいる。
【取材協力・写真提供】
日本空港テクノ株式会社
グリーンサービス
※空港で働くグリーンサービスの仕事風景
【どんな仕事?】
空港ビルや敷地内外の観葉植物をはじめとする植物の育成・管理、緑地の管理、イベントのディスプレイやメンテナンスなど。
フラワーショップでの商品販売も行っている。
【どうすればなれる?】
空港ビルのグリーンサービスを請け負っている会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にない。
【どんな人が向いている?】
毎日、植物と向き合うので、花や樹木が好きな人。
観葉植物の搬入や緑地における炎天下での作業もあるため、体力を必要とする仕事。
各植物の特性や管理方法に興味があり、向上心をもって専門知識を広げられる人。
【どんな勉強をすればいい?】
仕事に就いてから、フラワーやガーデニングなどの資格の取得が必要になる場合もあるので、植物の勉強をしていると役に立つ。
【仕事のやりがいは?】
空港ビル内外で植物のお世話をしているとき、お客さまからお褒めの言葉をいただけると励みになる。
空港が好きで、その空間に植物で彩りを添えたいと思って、この仕事を選んだという人も。
【取材協力・写真提供】
日本空港テクノ株式会社
インフラ設備管理・運用
※空港で働くインフラ設備管理・運用の仕事風景
【どんな仕事?】
機械室・電気室・事務室・ショップ・旅客ロビー・空港職員通路など、空港ビル内すべての電気・空調・給排水・防災などの設備を安定稼働させるため、点検・測定・不具合が発生した際の迅速な復旧や、IT機器の運用管理も行う。
【どうすればなれる?】
空港ビルのインフラ設備管理・運用を行っている会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にないことが多い。
【どんな人が向いている?】
電気や機械などに興味がある人。
空港の場合、24時間体制で365日、休みなく監視する必要があるため、不規則な勤務時間帯でも対応できる人。
【どんな勉強をすればいい?】
資格は入社してから取得することができるが、電気・機械・情報など、工学系の勉強をしていると重宝される。
【仕事のやりがいは?】
設備管理の仕事は、まさに「縁の下の力もち」で、空港ビル特有の設備を正常に稼働させて、安全と安心を裏側から支えるという大きなやりがいがある。
【取材協力・写真提供】
日本空港テクノ株式会社
工事施工管理
※空港で働く工事施工管理の仕事風景
【どんな仕事?】
空港ビル内を中心に、各設備の更新工事、店舗のリニューアル工事、オフィスのレイアウト変更工事などの施工管理を行う。
【どうすればなれる?】
空港ビルの工事を請け負っている会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にないことが多い。
【どんな人が向いている?】
建築現場が好きな人、モノ作りが好きな人。
現場での作業だけでなく、資料作成や顧客・協力会社との打ち合わせもあるため、デスクワークや人と接することが好きな人も向いている。
【どんな勉強をすればいい?】
資格は入社してから取得することができるが、建築・電気・機械など、建設業界にかかわる勉強をしていると、知識やスキルが役立つ。
【仕事のやりがいは?】
フライトを優先した作業時間の順守や空港ならではの工具管理など、厳しいルールはあるが、その分、工事が完成したとき、お客さまから喜ばれたときの達成感は大きい。
【取材協力・写真提供】
日本空港テクノ株式会社
物流サービス
※空港で働く物流サービスの仕事風景
【どんな仕事?】
空港ビル内のおみやげ店やブランドショップ、免税店などで販売されている商品の検品・配送・仕分け・倉庫管理から運送に至るまで、品質・安全管理を徹底している。
海外から輸入される免税商品の通関手続きも行っている。
【どうすればなれる?】
空港ビルの物流サービスを請け負っている会社に就職する。
特定の学歴や必須資格、採用条件は特にない。
【どんな人が向いている?】
大量の荷物を効率良く配送するには仲間との協力が必要となるため、チームワークを大切にできる人。
コミュニケーション能力のある人。
時間の組み立てができる人。
【どんな勉強をすればいい?】
お客さまに英語で話しかけられる場合があるので、語学力を身につけておくと良い。
免税商品の通関手続きをするには、通関士の資格取得を目指す。
【仕事のやりがいは?】
多くの人が利用する空港で、商品の欠品がないように物流管理をする仕事は、ただ荷物を運ぶだけでなく、お客さまが楽しく買い物をされるサポートをして、空港の価値を高めることができる。
【取材協力・写真提供】
株式会社日本空港ロジテム
空港管理・運営会社社員
※空港で働く空港管理・運営会社社員の仕事風景
【どんな仕事?】
空港旅客ターミナルの建設・管理運営を行う。
ターミナル内の事務所や店舗の不動産賃貸、駐車場の管理運営など、幅広い業務がある。
また、グループ会社を通じて、免税店・おみやげ店・レストランなどの店舗運営、旅客案内サービス、警備などの仕事も行っている。
【どうすればなれる?】
空港管理・運営会社に就職する。
羽田空港国内線旅客ターミナルの場合は「日本空港ビルデング株式会社」。
入社時に語学などの必須資格は特にないが、幅広い業務があるので、何か自分をアピールできるものがあるとよい。
【どんな人が向いている?】
どんなサービスを提供すれば、お客さまに満足していただけるのか、そんなアイデアを常にもち、仕事を楽しめる人。
世界に誇れる空港づくりに挑戦したいという意欲のある人。
【どんな勉強をすればいい?】
仕事内容によって求められる資格やスキルが異なるため、まずは自分がどんな仕事をしたいのか考えて、それに必要な専門知識やスキルを身につけておくと良い。
【仕事のやりがいは?】
さまざまな部署があるため、空港内の店舗づくりや空港の良さをPRする仕事など、多種多様な経験が積めるとともに、いろいろな形で空港運営に携われることが魅力。
小中学校の社会科見学や修学旅行などで空港や関連施設を見て、「いつかここで働きたい!」と夢を抱いたという人も。
【取材協力・写真提供】
日本空港ビルデング株式会社
空港と聞いて真っ先に思い浮かんだ仕事、身近にもある仕事、初めて知った仕事など、実にさまざまな働き方がある。
自分にはどんなことが向いていそうか、どんな活躍をしたいのか、子どものころからのあこがれを実現できる仕事を探してみよう。
構成/編集部 ※2024年5月一部追記
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