高校生のための業界研究・職業研究!進路選択に役立つポイントを解説

高校生にはあまりなじみがない「業界研究」。

一般的には、就職・転職に際して、自動車業界、福祉・介護業界、旅行業界…などの「業界」について調べることを意味する。

自分は進学するから就職はまだ先…と思っているかもしれないが、実は高校生のうちに業界研究をやっておくことには大きなメリットがあるのだ。

業界研究のメリットやノウハウなど、高校生に向けたポイントに絞って解説しよう。

監修者プロフィール

吉田純子(よしだ・じゅんこ)さん
「リクナビ」編集長。
2002年、株式会社リクルート入社。以来、20年にわたりHR(人材)事業領域に従事する。
新卒採用・中途採用・教育研修等の提案営業を経験した後、事業スタッフ職、リクナビおよび新商品企画、子会社社長、営業部門の部門長を経て、2021年4月より大学・学生支援組織の部門長、さらに2022年4月より「リクナビ」編集長を兼務。

『リクナビ』とは
リクルートが運営する新卒採用の就職情報サイト。
企業の採用情報だけでなく、企業研究、自己分析に役立つ情報や就活体験談、就職イベント情報などを提供している。

業界研究とは?

高校生・大学生の4人に3人が「知らない・よくわからない」

高校生・大学生を対象に行ったアンケート調査※によると、全体の44.9%が「業界研究という言葉を聞いたことがない」と回答し、30.8%が「業界研究という言葉は聞いたことがあるが、どういうものかよくわからない」と回答した。

進学する高校生や就職活動を始める前の大学生にとっては、やはり「業界研究」は身近なものではないようだ。


業界研究をどのくらい知っていますか

※(株)マクロミルが高校生・大学生を対象に実施した「仕事に関するアンケート」(2022年1月実施)より。

業界と職種ってどう違うの?
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「業界研究」とは、一般的には就職や転職する際に、自動車業界、福祉・介護業界、旅行業界…などの「業界」について調べることを意味する。

「業界」と似たワードに「業種」や「職種」があるが、まずはその違いを押さえておこう。

・業界…取り扱うもの(商品・サービス)による分類
例)自動車業界:メーカー、輸入商社、ディーラー、メディア(自動車情報誌)など

・業種…企業がかかわる事業による分類
例)建設業、製造業、サービス業など

・職種…個人がかかわる仕事内容による分類
例)営業職、経理職、研究職など
 
同じ業種でも、仕事の内容はさまざま。

また、同じ職種でも、業界・業種によって仕事の内容が異なることもある。

「業界」「業種」「職種」の3つの観点を掛け合わせながら、職業を多角的に見ていくことが大切だ。
★世の中にどんな職業があるのか知りたいなら
スタデイサプリ進路netの職業紹介ページ

★目指す職業に就くための学校のことをもっと知りたいなら
資料請求ページ


進路選択に業界研究って必要?

高校生のための業界研究・職業研究!進路選択に役立つポイントを解説
先のアンケートで「業界研究がどういうものか知っている」「業界研究をしたことがある」と答えた人のうち、92.1%が「将来の職業を選択する際、業界研究は重要だ」と回答。

リクナビの吉田編集長も、「高校生の場合は、将来の選択肢を広げるために、自分が自分らしく輝ける場所を見つけるために、ぜひ業界研究をしてほしい。直近の進路選択にも有効」とアドバイスする。
自分が「知らないこと」を「やりたい」と思うことは不可能です。

ですから、将来の選択肢を増やすためには、「知っている」の範囲を広くしておくことが大事。

国内だけでも、380万以上の企業があり、新卒者採用を行っている会社は6万社とも10万社とも言われています。

自分が知っている企業や仕事はほんの一部だけなんだと自覚し、まずは世の中にどんな業界や職業があるのかを知ることから始めましょう。(吉田編集長)

業界研究にはほかにもメリットが!?

高校生が業界研究を行うもう一つのメリットが、今やっている勉強が、社会に出たときにどう役立つかが見えることです。

先生に言われたからやる、テストで良い点をとるためにやる…という勉強は、モチベーションが上がらないもの。

でも、業界研究や仕事調べにより具体的な業務内容を知り、高校で学んでいることの意義が見えてくると、勉強に向かう姿勢も変わるはずです。

業界研究は、勉強への意欲向上にも役立つのです。

どんな業界がある?

業界の分け方・呼称はさまざまだが、一般的には以下のような業界に分けられる※。

ピンときた業界やワードがあれば、チェックしておこう。
メーカー
自動車、鉄鋼、食品、化粧品、医薬品など

◆サービス・インフラ
教育、福祉・介護、公社・官庁、人材サービス(人材紹介・人材派遣)、鉄道、航空・空港、レジャー・アミューズメント・パチンコ、ホテル、旅行、外食・レストラン・フードサービス、不動産

◆商社
総合商社

銀行・証券・保険・金融
都市銀行、地方銀行、損害保険、生命保険、証券、信用金庫

情報(広告・通信・マスコミ)
出版・雑誌、放送・テレビ・ラジオ、広告

百貨店・専門店・流通・小売
ファッション・服飾雑貨・繊維、ドラッグストア・医薬品・化粧品・調剤薬局

◆IT・ソフトウエア・情報処理
ソフトウエア、情報処理
 
※リクナビ「業界ナビ」より
★世の中にどんな職業があるのか知りたいなら
スタデイサプリ進路netの職業紹介ページ
 
★目指す職業に就くための学校のことをもっと知りたいなら
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高校生のための業界研究のポイント

高校生のための業界研究・職業研究!進路選択に役立つポイントを解説
続いて、高校生が業界研究をする際のポイントについて、吉田編集長にアドバイスをいもらった。

自分が興味のあるものを分解してみる

「業界研究」の第一歩は、世の中にはどんな業界があるのかを広く知ること。

自分にとって身近で興味のもてるものを「分解」してみましょう。

具体的には、その商品やサービスが自分に届くまでのプロセスを紐解きます。

例えばアニメなら、企画、製造(制作)、流通、販売…などのプロセスがあります。

「アニメにかかわる仕事=アニメーター、声優」という印象が強いかもしれませんが、実はさまざまな業種・職種があることが見えてきます。

次のステップとしては、そこから「流通」「販売」など、周辺の業界・業種へと広げていきましょう。

身近な同業他社を比較してみる

ハンバーガーショップ、カフェなど普段よく利用する店舗について、同業他社を比較してみると、見えてくることがたくさんあります。

オーダーを受けてから調理するバーガーショップもあれば、作り置きしてすぐに提供できるようにしているところも。

背景にある企業理念や組織カルチャーの違いが、商品やサービスの違いに反映されているものです。

普段からアンテナを張り、何が違うのか、その背景に何があるのかを探ってみると、おもしろい発見がたくさんあるはずです。

「何を・誰と・どんな環境で」の視点をもつ

「何を」は扱う商品・サービスのことで、わかりやすいですね。

「誰と」は、一緒に働く人だけでなく、どんなお客さんを対象にしているか…という視点も含みます。

商品・サービスを誰に届けたいのかというのは、仕事内容や働き方だけでなく、仕事のやりがいや仕事を通して得られる価値に深く関係します。

「どんな環境で」は、デスクワークが中心なのか外回りや現場業務が中心なのかなど。

「何を・誰と・どんな環境で」の視点で、いろんな業界や業種、職種を見てみるといいでしょう。

自分の得意を活かせるか、想像してみる

さまざまな業界・業種を見ていくなかで、「なんかおもしろそう!」とピンとくるものに出会ったら、自分はそこでどう活躍できるか…を考えてみましょう。

例えば、ユニークなアイデアを考えるのが得意なら企画、フットワークが軽くコミュニケーションが得意なら営業など、自分ならどういう職種で力を発揮できそうか、イメージしてみましょう。

そのためにも、自分は何に興味があるか、何が得意か(強みは何か)など、自分のことを振り返る機会も大切です。

高校生のための業界研究のハウツー


 

インターネットで検索する

まずは手軽なネット検索から。

リクナビをはじめ大学生向けの就職活動支援サイトなどで調べてみよう。

社会人インタビューなども読んでほしいが、良い部分が強調されているという冷静な視点も忘れずに。

興味をもった業界については、業界団体のホームページなども見てみよう。

身近な人に聞いてみる

リアルな社会人の声を聞くには、一番の方法。

保護者や親戚、知人など、身近な人にどんな仕事をしているのかを聞いてみよう。

保護者が働く会社名は知っていても、実際、どんな仕事をしているのかはあまり知らないもの。

仕事の内容だけでなく、どんな時にやりがいを感じるか、何が大変かといったことも深掘りしてみてほしい。

新聞・ニュースを活用する

業界の最新情報を得るために、新聞やニュースも活用しよう。

コロナ禍でも成長している業界や、最近注目されている業界など、トレンドが見えてくると業界研究も楽しくなってくるはずだ。

業界ごとに新聞や広報誌を出しているところもあるので、マニアックに知りたい場合は読んでみてもおもしいだろう。

★働く先輩の声を聞きたいなら
先輩たちの仕事紹介ページ

★目指す職業に就くための学校のことをもっと知りたいなら
資料請求ページ

まとめ:高校時代の業界研究の経験は、必ず活きる!

高校生のための業界研究・職業研究!進路選択に役立つポイントを解説
「自分が輝ける選択肢は、思っている以上にいっぱいある」と吉田編集長。

数ある職業から適職を見つけるためには、まずはいろんな世界があることを「知る」ことが大切なのだ。

高校を卒業して社会に出る人はもちろん、今すぐ就職活動をしない人も、いつか仕事を選ぶ日が来たときに、必ず高校時代の「業界研究」の経験が生きるだろう。


取材・文/笹原風花 監修/吉田純子(リクナビ編集長) 構成/寺崎彩乃(本誌)


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