VR(バーチャル・リアリティ)に関わる仕事とは?ゲーム、エンタメ、医療etc.分野別に紹介
VR(バーチャル・リアリティ:仮想現実)とは、まるで現実の世界のようなリアルな仮想空間を創り出す技術のこと。ゲームなどのエンターテインメント分野で普及し始めているほか、医療、ビジネス、教育、観光などの分野でも活用が期待されている。
すでに体験済みの高校生もきっと少なくないはず。
そんなVRに関わる会社やさまざまな仕事をまとめて解説!
目次
VR(バーチャル・リアリティ)の活用が期待されている分野
昨今では、一部の人が知っている特別なものから、生活の一部となりつつあるVR。
ゲーム、エンターテインメント、不動産、旅行、医療など、現在、VRが活用されている分野、実用に向けた研究開発が進んでいる分野をピックアップ。
もちろん、これら以外でも幅広くVR活用の可能性は広がっている!
ゲーム
ゲームはVRの活用が進んでいる分野。VR元年の2016年からVRゲーム機の普及が進み、スマホやPC用のVRゲームコンテンツも急速に充実。
オンライン上でほか人とマルチプレイを楽しむなど、新しいコミュニケーション手段として発達している。
エンターテインメント
テーマパークなどで空中や深海、恐竜の世界といった非日常のVR映像を体感できるアトラクションが充実。VR機器を使って自身の動きを反映させた3DCGキャラクター(バーチャルアイドル)が動画を配信する「VTuber」も大流行している。
不動産
不動産業界では、直接現地に行かなくても、HMDやスマホを使って物件やモデルルームを見学できるVR内見サービスを導入する店舗が増えている。外出自粛や非対面・非接触が求められるコロナ禍においてニーズが拡大し、利用が急速に伸びている。
旅行
旅行もVR導入が進んでいる分野。自宅にいながらの疑似旅行体験は、高齢者・身体が不自由な方でも利用できるなどのメリットがある。
映像に加えて、匂いや音、風の動きまで体験できるなど、よりリアリティを追求したサービスも登場している。
※HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着するだけで、現実とは異なる非日常空間を臨場感たっぷりに体験できる
医療
医師が患者のVR映像を見ながら遠隔手術をする技術や、手術中に目視が難しい内臓をVRの3D映像で確認できる技術などの研究が進んでいる。また、VR映像を使った手術シミュレーションでは、時間や場所の制約なく手技の訓練が可能となり、医師のスキル向上にも役立つ。
プロモーション
商品やサービス、ブランドの広告にVR動画を導入する企業も増加。例えば自動車なら、運転している感覚を体感できるVRプロモーションなども。
事故のシチュエーションをVRで追体験できるコンテンツも開発され、購買意欲の喚起だけでなく、交通安全の啓発にも活用されている。
研修
ホテルなどの接客サービス研修のほか、製造現場の作業教育、建設会社の高所作業訓練などへのVR導入例も。現場のリアルな環境を体感しながら学ぶことができ、労災事故の予防や危険予知、安全意識の向上にもつながっている。
教育
ICT化が進む教育現場でも、VRを活用した新しい学びが模索されている。教室にいながら世界中を社会科見学できるなど、体験学習においてVRは有効な教育ツールになりうると評価されており、子どもたちの能動的な学び=「アクティブ・ラーニング」をサポートする。
VR(バーチャル・リアリティ)開発を行っている主な会社
VR制作会社
VRのコンテンツ制作や新しいVRサービスの企画・提案などを手がける会社。エンターテインメント系企業やゲーム会社、IT企業、一般企業の依頼を受けて開発を行うほか、自社で独自のサービスを開発することも。
多くは急成長中のベンチャー企業だ。
ゲーム会社
VRゲームは、各ゲーム会社が、今こぞって力を入れている領域。スマホゲーム、PCゲーム、家庭用ゲーム、アーケードゲームそれぞれで、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して楽しむVRゲームコンテンツが次々に開発されている。
IT企業
多様なネットサービスや製品・アプリの開発に取り組んでいる総合型のIT企業も、可能性に満ちた領域としてVRに注目。VR専門の部門や子会社を立ち上げてVRエンジニアなどを積極採用し、新しいVR技術やVRサービスの研究開発を進めている。
広告代理店
今や多くの企業がVRを活用した新しいビジネスの開発に関心をもっているが、その先導役となっているのが大手広告代理店。VRを活用した新しい広告体験やイベントの企画のほか、広告効果を計測する実証実験を大手企業と協働して実施し、VR広告の価値最大化を目指している。
大学・研究機関
VRはまだまだ進化する分野。今は、視覚と聴覚で仮想空間を知覚する技術がメインとなっているが、大学や研究機関では、仮想空間で触覚や嗅覚、味覚などもリアルに感じることができる最先端技術の研究やデバイス開発が行われており、一部実用化も始まっている。
※VRについて学べる大学の学部・研究室や専門学校も。これからますます注目が集まる分野だ
VR(バーチャル・リアリティ)開発に関わるさまざまな仕事
VR機器開発者
ユーザーがVRを体感するためのハードウェアの研究・開発を行う仕事。視線の動きを追跡するアイトラッキング技術を搭載したHMDや専用ゴーグル、手に装着してVRの世界で触覚を感じることができるウェアラブルデバイスなど、より高度な体験を目指した新しいVR機器が開発されている。
VRプロデューサー/ディレクター
VRコンテンツの企画・提案や制作スタッフの選定、制作の管理などを行う。VRを使った新しいコンテンツやサービスを生み出すうえで重要な役割を担うため、VR技術の知識に加え、発想力なども重要。
VRエンジニア
「Unity」などのゲーム開発ツールや「Java Script」「C#」などのコンピュータ言語を使い、VRコンテンツの3D空間や3DCGキャラクターの動きをプログラミングする技術者。数学や物理の知識も求められる。
3DCGデザイナー
「Maya」「3ds Max」といった3DCGソフトを駆使して、VRコンテンツに登場する3DCGキャラクターや背景をデザインする。形を作るモデリング、動きをつけるアニメーション、映像や音声を加工するエフェクトといった作業があり、工程によって必要なソフトを使いこなす技術が必要。
VR(バーチャル・リアリティ)業界の最新事情
※自宅にいながら、世界中の人々と言語の壁を超えてコミュニケーションできるのもVRならではの魅力
VR技術で社会課題を疑似体験する取り組みも
コロナ禍において、ビジネス・プライベート問わずオンラインで人とつながることが一つのコミュニケーションとして認知されるなか、VRコンテンツやサービスもより多様化。アバターを介して人々が交流したり、仕事をしたり、遊んだり、買い物をしたりできる仮想世界(メタバース)は次世代SNSとして注目を集め、世界的IT企業大手が次々とネタバース事業に進出し、投資・開発を進めている。
また、「認知症体験」「ワンオペ育児をする子育て家庭の日常体験」「貧困問題」「難民問題」といったVRコンテンツを通して社会課題を疑似体験し、理解を深めるなど、VRを活用した体験型学習はSDGs教育の新たなアプローチとしても注目されている。
コンテンツ提供/ リクルート進学総研『キャリアガイダンス』
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取材・文/伊藤敬太郎(原文)、ミューズ・コミュニティー(2022年3月、一部更新)
イラスト/桔川 伸
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