都市開発とは?街づくりで地域を活性化する仕事、街に貢献する仕事10選
都市開発とは、一定のコンセプトの下にビルや商業施設などを設計し、都市空間を作ること。地方自治体、複数の企業や専門家が参加するプロジェクトで魅力ある「街づくり」に取り組むスケールの大きな仕事だ。
漠然と「街づくり」に関わる仕事がしたいと思っていても、具体的にどんな働き方があるのかはよくわからないという高校生も多いはず。
どんな場所で、どんな仕事ができるのか、詳しく見ていこう。
目次
- 都市開発とは?まず最初に知っておこう!
- 都市開発プロジェクトに関わる主な会社・組織
- 都市開発に関わる仕事とは?街づくりに関わる仕事の種類
- 1.都市計画プランナー(デベロッパー、ゼネコン、建築設計事務所、地方自治体)
- 2.プロジェクトマネージャー(デベロッパー、ゼネコン、建築設計事務所)
- 3.テナント企画(デベロッパー、建築設計事務所)
- 4.建築設計(デベロッパー、建築設計事務所)
- 5.土木設計(デベロッパー、建築設計事務所)
- 6.ランドスケープアーキテクト(デベロッパー、建築設計事務所)
- 7.環境調査(建築設計事務所)
- 8.施工管理(ゼネコン、専門工事会社)
- 9.建築職人(専門工事会社)
- 10.造園職人(専門工事会社)
- 都市開発に関わる仕事の最新の業界事情
都市開発とは?まず最初に知っておこう!
都市開発とは、住みやすく魅力ある街づくりを目指し、ビルや商業施設、広場や公園などの屋外スペースなどで構成される都市空間を作ること。全体的な方向性を決めるプランナーから、ビルや商業施設を設計する設計士、広場や公園をデザイン・設計するランドスケープアーキテクト、都市開発プロジェクトが円滑に進むよう管理するマネージャー、建築現場で働く職人まで、関わる人たちの専門性も役割もさまざま。
街に賑わいをもたらし、地域活性化にも貢献できる、ダイナミックでやりがいのある仕事だ。
都市開発プロジェクトに関わる主な会社・組織
都市開発は、複数の企業が参加する大規模なプロジェクトとして進められるのが一般的。
地方自治体、デベロッパー、建築設計事務所、ゼネコン、専門工事会社、金融機関などが中心となり、地域住民や有識者・コンサルタントなどの意見も採り入れながら、街づくりの計画を進めていく。
開発が自然環境に悪影響を及ぼさないよう、環境コンサルタント会社などもプロジェクトに参加する。
1.地方自治体
地方自治体の仕事は、住民の意見を吸い上げながら、地元の歴史や未来像を踏まえてどんな「まち」をつくりたいかを提案すること。都市整備や建築に関わるさまざまな法律や条例と照らし合わせながら、開発計画の遂行管理も行う。
「都市計画局」「まちづくり局」などの職員が業務を担当する。
2.デベロッパー(不動産開発会社)
デベロッパーの仕事は、都市開発プロジェクトの中核となり、開発に必要な土地の取得、都市計画のコンセプトづくり、中心となる商業施設の企画やテナント誘致、資金調達、開発後の施設運営など幅広い業務を担当すること。鉄道会社の不動産開発部門も、沿線の都市開発でデベロッパーと同様の役割を担っている。
3.建築設計事務所
建築設計事務所の仕事は、ビルや商業施設のほか、周辺の公園まで含むランドスケープ(景観)のデザイン・設計を行うこと。コンセプトに沿ってまちの機能やイメージを形作るため、建築、構造、設備、土木、ランドスケープなど、さまざまな分野の設計の専門家が活躍している。
4.ゼネコン(総合建設会社)
ゼネコンの仕事は、開発プランに沿ってビル・商業施設・公園などの工事の計画を立て、必要な専門工事会社に依頼し、工事の進行を管理すること。発注者から開発プランを受け取る元請けの立場であることが多いが、大手ゼネコンの場合は都市開発のコンセプトづくりから手掛けることもある。
5.専門工事会社
専門工事会社の仕事は、ゼネコンから依頼を受け、都市開発の現場の工事を請け負うこと。ビル工事を専門とする建築職人が集まる会社から、配管を扱う会社、空調などの機械設備を扱う会社、造園会社、ベンチを作る会社まで、数多くの会社が都市開発プロジェクトに関わっている。
6.金融機関
金融機関の仕事は、都市開発プロジェクトに必要な資金を融資すること。
民間主導で行う都市開発プロジェクトには安定した資金調達が不可欠となり、それを支えるのが銀行や、都市開発を専門に公的な資金を貸し付ける金融機関だ。
開発後の収益性などを見極めながら、都市開発プロジェクトへの融資を行っていく。
建築学を学べる学校を探す
●土木工学について詳しく知る
土木工学を学べる学校を探す
都市開発に関わる仕事とは?街づくりに関わる仕事の種類
都市開発に関わる仕事、街づくりに関わる仕事には、プランニング、環境調査、デザイン・設計、テナント誘致、進捗や予算の管理、建築、造園など、さまざまな種類がある。
非常にスケールの大きな仕事のため、デベロッパーがコンセプトづくり~デザイン・設計~商業施設の企画・テナント誘致などの「考える」部分を担当し、実際に建築現場で「つくる」のは、ゼネコンや専門工事会社に任せるなど、得意な分野を生かした分業体制がとられている。
それぞれの仕事の内容と、どの会社・組織と結びつくのかを併せて紹介しよう。
1.都市計画プランナー(デベロッパー、ゼネコン、建築設計事務所、地方自治体)
都市計画プランナーとは、建築・土木・都市工学・地域コミュニティ・ビジネスなど、街づくりに関係する幅広い知識を生かし、都市開発のコンセプトや事業計画の立案に携わる仕事。地元住民や自治体、企業の間に立って意見や利害の調整をし、都市開発の計画を実現へと導いていく。
2.プロジェクトマネージャー(デベロッパー、ゼネコン、建築設計事務所)
プロジェクトマネージャーとは、工事の進捗状況や予算の状況などを管理するまとめ役として、都市開発プロジェクトを統括する仕事。社内外の関係者とコミュニケーションをとり、円滑にプロジェクトが進むよう指示するほか、工事の遅れや予算不足などの問題が起きたときは解決に向けての調整役になる。
3.テナント企画(デベロッパー、建築設計事務所)
テナント企画とは、大規模商業施設をメインにした都市開発において、コンセプトに沿った魅力的なテナントを集める仕事。候補となる店を選び、出店を交渉するなど、商業施設をプロデュースする役割を担う。
デベロッパーの企画・開発部門のほか、テナント企画を専門とする会社もある。
4.建築設計(デベロッパー、建築設計事務所)
建築設計とは、都市開発プランにあるビルや商業施設などを設計する仕事。外観や内観、機能面をデザイン・設計する意匠設計、地震や荷重に耐えられる建物の骨組みを設計する構造設計、電気設備や配管設備を設計する設備設計と役割が分かれる。
設計を担当するには、一級建築士や技術士などの資格が必要となる。
●建築学について詳しく知る
建築学を学べる学校を探す
5.土木設計(デベロッパー、建築設計事務所)
土木設計とは、都市開発プランにある道路、橋、河川などを設計する仕事。地盤や地質など土木工学の専門知識が求められ、土による圧力や、地盤が支えることができる荷重などを計算して、安全なインフラを設計する必要がある。
建築設計事務所のほか、土木専門の設計会社で活躍する人も多い。
●土木工学について詳しく知る
土木工学を学べる学校を探す
6.ランドスケープアーキテクト(デベロッパー、建築設計事務所)
ランドスケープアーキテクトとは、都市開発プランにある広場や公園、屋上庭園、街並みなどをデザイン・設計する仕事。ビルなどの建築物や周囲の風景と調和する景観と、人が快適に過ごせる屋外空間を創造する。
ランドスケープアーキテクトとして活躍するには、建築に関する知識のほか、造園などの知識も必要となる。
7.環境調査(建築設計事務所)
環境調査とは、計画されている都市開発が環境に悪影響を与えないかどうかを調べる仕事。環境測量士の資格をもつ専門家が、工事中の大気汚染や騒音・振動、建築物が完成した後の日照や風の変化などを事前に調査する。
活躍の場としては、建築設計事務所や環境コンサルタント会社などがある。
8.施工管理(ゼネコン、専門工事会社)
施工管理とは、工事の実施計画を立て、現場の安全、工程の進捗状況、工事のクオリティ、予算などを総合的に管理する仕事。現場監督として工事現場で働くだけでなくデスクワークも多い。
関連する資格には施工管理技士があり、建築・土木・造園などの部門別に試験が行われる。
9.建築職人(専門工事会社)
建築職人とは、ビルなどの建築現場で作業し、設計図に沿って建築物を形にする仕事。高所に足場を組んで鉄骨の組み立てなどを行う鳶(とび)工、タワークレーンを操作するオペレーター、鉄筋を加工する鉄筋工、コンクリートを流し込む型枠を作る型枠大工など、多くの工程の中にさまざまな種類の仕事がある。
●建築職人、大工について詳しく知る
建築職人、大工を目指せる学校を探す
10.造園職人(専門工事会社)
造園職人とは、樹木や草花、石や木などを組み合わせ、公園や庭園などを造る仕事。公園・庭園などのデザイン・設計から、工事のプランニングや管理、整地、樹木や花の選定、植栽・剪定などを行い、都市開発ではビルの屋上庭園や壁面などの緑化も手掛ける。
●造園職人、造園士について詳しく知る
造園職人、造園士を目指せる学校を探す
都市開発に関わる仕事の最新の業界事情
より豊かで、安心・安全・クリーンな街づくりをめざす「スマートシティ」
これからの街づくりを考えるうえでカギとなるのが、AI、ビッグデータ、loTなどのテクノロジーを活用し、安全性と快適性に優れた新しい住環境を構築する「スマートシティ」。
環境、エネルギー、交通、通信、教育、医療、防災・減災など、現代の都市が抱えるさまざまな社会課題を解決するアイデアとして注目されている。
スマートシティで実現を目指しているのは、自動運転技術による移動効率化、データ収集による交通渋滞の回避や災害予測、ロボット監視による防犯システム、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの有効活用、電力供給の安定化、ドローンによる自動配達、キャッシュレス決済、遠隔教育・遠隔診療など。
府省庁や地方公共団体、研究機関、大学、民間企業など「官民連携」での取り組みが活発化しており、IT・不動産・建設・住宅・インフラ・電機・自動車・物流をはじめとした幅広い業種の企業が技術とノウハウを持ち寄り、スマートシティの開発プロジェクトに参加している。
●建築学について詳しく知る
建築学を学べる学校を探す
●土木工学について詳しく知る
土木工学を学べる学校を探す
病院で働く仕事ってどんな仕事があるの? 医師・看護師から医療事務まで大公開!
子どもに関わる仕事8選!保育士、幼稚園教諭、心理士etc.必要な資格と仕事内容を解説
教育に関わる仕事とは?社会の未来を担う人を育てる職業14選
医薬品に関わる仕事とは? 医療機関、薬局、製薬メーカー、研究機関、場所別に仕事内容を解説!
心理に関わる仕事とは?子どもから高齢者まで人々の心の健康をサポート
取材・文/伊藤敬太郎(原文)、ミューズ・コミュニティー イラスト/桔川 伸
コンテンツ提供/ リクルート進学総研『キャリアガイダンス』
★ほかの職業の記事も読む