MBA、ビジネススクールって?何を学ぶの?自分にあった学校の選び方も解説
ビジネスパーソンのスキルアップ・キャリアアップの場として注目されているビジネススクール。大学を卒業した人やすでに社会人として働いている人がビジネスについて実践的に学ぶ場として通っています。
そんなビジネススクールの概要や最新情報、合格までのダンドリについて、解説します。
目次

監修者プロフィール
乾 喜一郎 リクルート進学総研主任研究員(社会人領域)
資格や社会人大学院など専門誌の編集長を長く務め、これまで取り上げてきた。
3000人以上の事例をもとに学習者の立場から提言。
文部科学省等の各種事業で有識者委員を歴任。
MBAとは、ビジネススクールとは
MBAとは、Master of Business Administrationの略称で、日本語では経営学修士号とよばれる学位であり、いわゆる資格ではありません。ビジネススクールとは、ケースメソッド(事例研究)やディスカッションを通して実践的に学ぶスタイルのMBAプログラムを提供している大学院の通称です。
ビジネススクールを修了するとMBAという学位が得られ、経営に関する体系的な知識やその応用力を養ってきたことの証明となります。
今は国内のビジネススクールが充実しています
バブル期以前などは、MBAを取得するにはアメリカなどの海外のビジネススクールに留学しなければいけないという時代もありましたが、それはもはや昔の話。日本国内の専門職大学院の充実によって、「修了後すぐにその国で就職したい」「ゼロからその国での人脈を形成したい」などといった特別な目的がある場合を除き、ビジネスパーソンにとっては働きながら学ぶことができる国内のビジネススクールのほうがむしろ効果的な時代になりました。
会社で起きているリアルな課題を大学院で生かし、そこで学んだことを今度はすぐに業務で試してみる…といった生きた学習が可能だからです。
ビジネススクールにはどんなカリキュラムがあるのか
カリキュラムは大学院によって違いはありますが、経営戦略、マーケティング、会計・財務、人事・組織など、経営に必須の主要科目はすべてのビジネススクールで学ぶことができます。また、ビジネス理論だけでなく、論理的思考力やリーダーシップなど、ビジネスに必須のヒューマンスキルを養うことができるのも共通の特色といえるでしょう。
上記の主要分野以外では、例えば、IT、グローバルビジネス、起業家養成などに力を入れ、強みや個性を打ち出しているケースもあります。
MOT(技術経営)やアカウンティング、ファイナンスなどの実務家を養成する大学院も広義のビジネススクールです。
ビジネススクールの特色
ビジネススクールの大きな特色の一つは、働きながら学ぶ社会人が主な対象となっているところです。学部を卒業後すぐに進学する人もいますが、仕事をもっている社会人が、仕事のなかで感じている課題を解決するための力や、今後のキャリアアップのために自分自身が必要だと感じた力を養うために通う人が中心となっています。
大学院によっては一定期間以上の実務経験があることが受験資格となっているところもあるので確認が必要です。
標準的な修業年限は2年ですが、1年で修了できるビジネススクールもありますし、3年以上の長期履修が可能なビジネススクールも多数あります。
また、社会人も働きながら通えるよう、平日夜間と週末に通える夜間開講、昼夜開講を実施している大学院が非常に多いのも特色の一つです。
さらに、都市部で働くビジネスパーソンが通いやすいよう、ターミナル駅周辺にサテライトキャンパスを設置しているビジネススクールも多数あります。
MBA・ビジネススクール最新事情
通学がますます便利になっています
ビジネスパーソンが通いやすい環境は、もともと多くのビジネススクールで整備されていましたが、その整備はますます進んでいます。その一つがサテライトキャンパスの充実。
東京・名古屋・大阪などの大都市には、ターミナル駅周辺のビルにビジネススクールのサテライトキャンパスが次々に開設されているので、自分の通勤ルートに気になる大学院があるかどうかはしっかりチェックしておきたいところ。
学びたい社会人の要望にこたえ、独自性の高いプログラムをもっている地方大学が東京のビジネス街に社会人向けのサテライトキャンパスを設けたり、都市部に本拠地を置く大学が地方都市にサテライトキャンパスを置いたりするケースもあります。
また、オンラインでの受講に対応している学校もあり、自らの都合に合わせて学ぶことができる環境も整っています。
出張先からオンラインで授業に参加できる大学院や仕事で受講できなかった授業をオンデマンドで履修することができる大学院もあります。
開講日時のフレキシビリティも高まっています
夜間開講の場合、平日夜間と土曜昼間の開講というパターンが一般的でしたが、日曜日にも開講するビジネススクールも多数あります。土日のみの通学で修了できるビジネススクールも一般的になりました。
パソコンなどの端末があればどこでも学べる通信制ビジネススクールも登場しています
オンライン対応のある国内大学院のほか海外大学の通信制MBAプログラムもいくつか登場しており、なかには日本語で受講できるプログラムもあります。1科目からピンポイントで受講できる
例えば、「数字に弱いので、一度会計の基礎を学んでおきたい」「商品企画部門に異動になったので、短期間でマーケティングを学びたい」といったビジネスパーソンのピンポイントのニーズに対応して、科目等履修で1科目から受講できるビジネススクールも一般的になりました。修得した単位は、その後正規入学する場合に、修了単位として認められる制度を導入しているビジネススクールもあります。
教育内容のトレンド
「DX」「グローバル」がキーワードとなっており、「ずっと文系だけれどデジタル化の動向をキャッチアップしたい」という人に向けた科目が増加傾向。AIやデータサイエンスなどの教科を扱っている学校もあります。
経営者として問題の本質を見極めることができるよう、倫理学や社会学といった科目を設けるビジネススクールも。
また「ビジネスで使える英語力を磨きたい!」という人は、海外ビジネススクールの日本校で学ぶという選択肢もありますし、英語で授業を行うプログラムを設けている国内ビジネススクールも増えてきています。
留学生を多数受け入れていたり、海外MBAとの交換留学プログラムを設けていたりするビジネススクールもあり、英語を鍛えながらグローバルな環境で学べる機会は確実に広がってきているといえるでしょう。
学べる分野に関しては、多様化・専門化の傾向もあります。
例えば、ロジスティクス、サービス業、金融、医療など、業界や分野に特化したプログラム・コースを設けているケースも最近では目立つようになってきました。
目指せる資格は?
MBA(Master of Business Administration)
MBA(Master of Business Administration)は経営学系の大学院修士課程または専門職学位課程を修了すると授与される学位です。経営戦略、マーケティング、会計・財務、人事・組織などの経営に関する体系的な理論、論理的に考え戦略を組み立てるためのビジネス・フレームワーク(MECE、3C分析、4P分析、SWOT分析、バリューチェーン、5フォース分析など)を習得していることの証明として、国内の企業でも認知されています。
なお、MBAは世界各国の経営学系大学院で取得することが可能です。
欧米には伝統あるMBAが多数ありますが、最近では国内MBAの充実度、認知度も上昇しており、国際認証を取得しているビジネススクールも登場しています。
海外留学をせずに、働きながらMBA取得を目指すビジネスパーソンが増えています。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営に必要な体系的な知識と経営コンサルティングの能力を認定する国家資格です。1次試験合格後、2次試験(実技と面接)に合格し、さらに実務補習を受けるか、診断実務に15日以上携わると登録することができます。
なお、1次試験合格者が、一部のビジネススクールで開講している「中小企業診断士登録養成課程」を受講・修了すると、2次試験と、その後の実務補習(または診断実務)が免除となります。
経営コンサルティングに関する実務能力をビジネススクールで養うこともできるため、2次試験ではなく、こちらの登録養成課程ルートを選択する人も少なくありません。
ビジネススクール合格までのダンドリ
