法科大学院(ロースクール)の入試を解説!勉強はいつから?入試までのダンドリと受験の攻略法

法曹になるための主要ステップである法科大学院の「最新情報」「志望校選び」「試験対策」について、解説します。

監修者プロフィール  乾 喜一郎
監修者プロフィール
乾 喜一郎 リクルート進学総研主任研究員(社会人領域)

元『法科大学院入試ガイド』編集長。資格や社会人大学院など専門誌の編集長を長く務め、これまで取り上げてきた。

3000人以上の事例をもとに学習者の立場から提言。

文部科学省等の各種事業で有識者委員を歴任。
 
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法科大学院受験までのダンドリ

既修者コース、未修者コース、どちらを目指すかによって入試に向けたダンドリも異なってきます。

【既修者コースの受験生の場合】

既修者コース(2年)では法律専門科目試験が課されます。

そのため、早めのスタートが必要なのは既修者コース。

ゼロから法律知識を身につけるのであれば、できれば法科大学院入試の1年半程度前から予備校などを利用して勉強を始めましょう。

※法曹コース在籍者を対象とした特別選抜については、個別の大学院の情報を確認してください。

【未修者コースの受験生の場合】

未修者コース(3年)は小論文や面接、書類審査で人物中心の選抜を行います。

未修者コースは既修者コースに比べ短期間での対策が可能です。

法科大学院入試の8~10カ月前から準備を始めれば、じっくりと小論文・面接対策を進めることができます。

法科大学院の出願と入試時期

出願準備の時期には注意が必要です。

6月からは私立大学の法科大学院の最初の出願期間に入るため、そのころまでに志望校の選定や受験プランを決めておくことができるよう、候補の法科大学院の資料や出願書類を請求するなど準備を進めておきましょう。

7月には私立大学の入試がスタート。

そして、6~10月にかけて国立大学の出願時期を迎え、8~10月が国立大学の入試時期となります。

なお、国立大学で二次募集がある場合は、11~1月が出願時期。

1~2月ころに試験というスケジュールとなります。

また、私立大学は、複数回にわたって入試を実施する大学が多く、年明けに出願し、2~3月に受験できるところも多いです。

早ければ秋には合格が決まりますが、法科大学院進学で大切なのはここから。

入学までの期間は法律科目の勉強に充てましょう。特にそれまでに法律科目の勉強をしていない未修者コース合格者は、この時期に基礎を習得しておかないと、入学後に授業についていけなくなるリスクがあります。

入学予定者を対象とした教育プログラムをもつ法科大学院もあります。

法科大学院出願の際の主な提出書類

志望理由書(ステートメント)

志望理由書(ステートメント)は、なぜ法曹を目指すのか、どのような法曹になりたいのか、なぜその法科大学院を志望するのかなどをまとめた書類。

「自己評価書」「志願者報告書」などとよばれる場合もあります。

書式や文字数は大学院によって異なります。

自由に記述するタイプもあれば、質問に答える形式も。

文字数は「1200字程度」「1500字程度」「2000字以内」といったパターンが一般的です。

志望理由書自体が書類選考の材料となるほか、面接も志望理由書の内容に沿って行われることが多いため、重要な書類です。

特に未修者コースの場合は、相対的に配点が高くなるので重要度はアップします。

大学卒業(見込)証明書

出身大学で発行してもらいます。

書類の作成・発行に数日を要する場合もあるので早めに手配しておくことが大切です。

成績証明書

大学の成績が記入された書類です。

以前は、大学生が出願する場合は特に重視される傾向もありましたが、最近はそれほどでもないようです。

ただし、法科大学院の勉強にまじめに取り組む姿勢があるかどうかを判断する材料にはなるので、あまり成績が悪いようだとマイナスになる場合もあります。

各種語学検定のスコア

語学検定のスコアなどは任意提出とされているのが一般的です。

語学力を重視する法科大学院では一定の評価の対象となります。

提出可能な検定の種類などは事前に調べておきましょう。

志願票、入学願書、履歴書、職務経歴書、推薦状・推薦書など

そのほかの主な提出書類は、志願票、入学願書、履歴書、職務経歴書(社会人の場合)、指定課題などです。

志願票以外は、法科大学院によって提出の必要があるものもないものもあるので、事前にチェックしておきましょう。

大学の指導教員や職場の上司(社会人の場合)などに書いてもらう推薦状・推薦書は提出してもしなくてもOKという法科大学院もあれば、受け付けないという法科大学院もあるので要チェック。

法科大学院の試験攻略法

志望理由書(ステートメント)の攻略法

書き方で、一番のポイントは抽象的、理念的になりすぎないこと。

法科大学院の志望理由書では、どの分野でどのような取り組みをしていきたいのか、できるだけ具体的に記述することが求められます。

例えば、「企業法務をやりたい」ということだけを書いても、漠然としていて、具体的な業務のイメージが湧きません。

企業法務にもM&A、企業再生などさまざまな分野があるので、そこまで絞り込んで、なぜそれをやりたいのか、そのために法科大学院でどのような科目を学ぶ必要があるのかまでしっかり考えてから書くことが大切です。

そのためには、自分が興味のある分野についてインターネットや新聞などで最新の動向まで含めて調べておくことが重要。

就職活動の際の業界研究のようなものだと考えればいいでしょう。

例えば、医療過誤の問題を取り上げるなら、被害者側だけでなく、病院・医師側の視点でもリサーチをし、多角的に現状を理解しておくことがポイントです。

また、志望理由書は書いて終わりではありません。面接試験が課される場合には、志望理由書の内容に基づいて質問をされるので、自分が書いた内容について、しっかりと頭に入れておくことも忘れないようにしましょう。

小論文の攻略法

法科大学院の小論文試験では、法律の専門知識が問われることはありません。

そのため、社会科学の枠にとどまらず、幅広いテーマで出題されるのが特徴です。

まず取り上げられるテーマについて知見がないと対応できないので、『日本の論点』など時事問題をコンパクトにまとめた書籍を読み、何が課題なのかということに加え、賛否両方の意見を理解し、自分なりの考えをまとめてみましょう。

また、実際に書くトレーニングも重要です。

前述の書籍からテーマをピックアップし、賛成・反対の意見をそれぞれ60分、1500字でまとめるのがオススメ。

その後、改めて書籍の該当項目を読んでみると、より理解も深まります。

なお、小論文は、「結論→理由→(反対意見)→まとめ」という構成が一般的。

あまり細かい点にとらわれずに論旨の明快さを意識して書くことがポイントです。

また、書いた文章は人に読んでもらうことが重要。

大学の先生や予備校の講師にチェックしてもらうことも大切ですが、その分野に詳しくない知人・友人・家族などに読んでもらい、わかりにくい点などを指摘してもらうのも有効です。

法律専門科目

法律専門科目の試験攻略法

既修者コースの受験者には法律専門科目の試験が課せられます。

司法試験に対応して、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の7科目が出題される法科大学院もあれば、憲法、民法、刑法の基本3科目、またはこれに1~2科目を追加して出題する法科大学院もあります。

対策を始める前に志望校の出題科目をしっかり調べておきましょう。

前年から科目の増減がある場合もあるので、最新の情報のチェックが不可欠です。

なお、ゼロから法律の勉強を始める場合は、予備校を利用して効率的に学ぶことがオススメです。

そのうえで、志望校の過去問を繰り返し解くトレーニングは必ずしておきましょう。

ひとくちに法律専門科目といっても、大学院ごとに出題傾向に個性があり、そこが把握できると対策も立てやすくなります。

また、予備試験も同時並行受験する場合、その対策がそのまま法律専門科目試験の対策にもなります。


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