病気を見つけるプロフェッショナル「臨床検査技師」

学校の健康診断でレントゲンを撮ったり、病院で超音波を当てたり、血液を採ったりするなどの検査をしたことがある人も多いのではないだろうか。

 

これらの検査をして、病気や異常を見つけるためのデータを医師に提供するのが「臨床検査技師」の仕事だ。

 
 

■早期発見で医師をサポート

 

都内の病院で働く中谷有希さん(25歳)が臨床検査技師になろうと思ったきっかけは、高校生のとき、中谷さんの祖父が入院したことだったという。その際、病気を早期の段階で発見してくれたのが臨床検査技師だったと知り、この職業に就こうと決意した。

 

臨床検査技師になるためには、養成課程がある専門学校、短期大学、大学等に入学し、所定の科目を履修することが必要となる。

 

中谷さんは「病院での実習やレポートの作成などやるべきことは多かったけれど、臨床検査技師になるため、がむしゃらに突き進みました」と話す。現場の技師たちの姿勢に感動し、「自分もいつかあの場所に立ちたい」と思ったことが、中谷さんを動かす原動力だった。

 
 

■一つの検査を専門に行う技師が多い

 

臨床検査技師と一言で言っても、仕事の内容は幅広い。血液検査や細菌検査などを行う「検体検査」や超音波や心電図などの「生理機能検査」など、全身を細かく調べるためにたくさんの検査がある。国家試験に合格するためには、すべての検査について学ぶ必要がある。しかし、病院に就職すると、すべての検査を担当するわけではなく、一つの検査セクションで専門的に行う臨床検査技師が多い。

 

病気を見つけるプロフェッショナル「臨床検査技師」

 

中谷さんの場合も同じで、主に超音波検査をメインに担当しているという。それはまさに高校時代、祖父が検査した内容だった。

 

「あこがれていた超音波検査の担当になってうれしかった。同時に責任感と緊張感が生まれました」と話す。3年目の今でも「検査結果を見誤れば、命にかかわることだってある。命に直結する仕事だから、日々勉強することが大事」という先輩技師からの言葉を忘れずに、結果と向き合っている。日々、忙しく過ごしているときこそ、この言葉を思い浮かべ、気を引き締める。

 

時には、正確さだけでなくスピーディーさを求められることがある。例えば、患者さんが緊急で病院に来た場合だ。そんなときこそ、臨床検査技師としての技術が問われる。検査するのに手間取り、時間がかかってしまうと患者さんが苦しむことになる。中谷さんは、少しでも患者さんの負担を減らすよう、迅速な検査をするように努めている。時間との勝負で気が張るが、異常を的確に見つけたときには、大きなやりがいを感じるという。

 

病気を見つけるプロフェッショナル「臨床検査技師」

 

「資格を取ってからがスタート」というのが「臨床検査技師」の仕事だ。日々、勉強し、知識を増やし、医師が診断するための材料をそろえる。診断材料を揃えるだけにとどまらず、医師などに対して検査のアドバイスなども行うことがある。これには一定以上の検査データ解析・診断能力も備わってなければならないのである。

 

命に携わる仕事であり、その責任感は大きい。しかし、その分仕事から得られる達成感は計り知れないものがある。医療技術の向上や高齢化社会の中で、検査のニーズが高まるであろうこれからの未来。「病気を見つけるプロフェッショナル」は、今後ますます必要とされる仕事になるだろう。

 
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