研究者は「数学オタク」―シンデレラ・テクノロジー【後編】
プリクラをはじめとする“変身”の技術「シンデレラ・テクノロジー」。前編では「どんな技術か」ということを紹介した。
後編の今回は、研究者の久保友香さんにスポットを当てる。数学と美術や歴史などの学問に「女ゴコロ」が複合的に絡んだこの研究に、久保さんがどうやってたどり着いたかを、みんなと同じ高校のころからさかのぼって追ってみたい。
■数学の公式は「暗記したことがない」けど大得意
久保さんは高校時代から大の数学好き。他教科の授業でも、隠れて数学の問題を解いているような生徒だった。
数学にはたくさんの定理や公式が登場するが、久保さんはそれらを丸暗記することはいっさいせず、いつも自分で公式を作るところから始めていた。同じ問題を何度も繰り返し解いたことで解答スピードが上がり、テストで時間が足りなくなることはなかったという。
■アニメや浮世絵への興味も研究に取り入れる
高校卒業後は得意の数学をもっと勉強するため、慶應義塾大学の「理工学部・システムデザイン工学科」、東京大学大学院の「新領域創成科学 研究科」へと進み、博士課程まで修了した。
理系の道まっしぐらのように見えるが、絵画やアニメなど日本の大衆文化にも興味があった。そのため博士号を取る際には、数学だけにフォーカスした研究ではなく、浮世絵などにみられるデフォルメ(特徴を誇張・強調した表現方法)をコンピューターで解析するという研究で論文を書いた。
さらには、中学・高校を女子校で過ごし、周りの女の子たちをたくさん観察してきたことも研究テーマに影響していく。
そんな好奇心から、女の子の抽象的な「かわいくなりたい」という気持ちに寄り添うシンデレラ・テクノロジーを研究した。
文理の境を飛び越え、また複数の学問を組み合わせたテーマを研究する久保さん。それだけでも一風変わっているが、情報工学のなかでも、久保さんの研究方法は特殊だという。
「わかる~」と共感する理系女子も多いのでは? そんなみんなへ、久保さんからメッセージをもらった。
今は、1つの学問を追究するだけではなく、領域をまたいだハイブリッドな研究が求められることも多くある。みんなも、自分だけの強みを生かした研究テーマを見つけてみては?
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◆大学や専門の研究機関で、コンピュータや情報機器などに関する専門的な研究・開発を行う。【情報工学研究者】
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