キミは「いかだ下り型?」それとも「山登り型?」コレって何のこと?

「キャリア」という言葉はよく聞くけれど、その正確な意味はわからない人が多いのでは?
 
簡単にいうと、「キャリア」とは「仕事の経歴」であると同時に、仕事を通じてどんな自分になるかという「自己イメージ」も意味するという。
 
「いかだ下り」と「山登り」。
 
実はこれはキャリア形成の代表的な2つの方法だ。
 
「いかだ下り」とは、仕事をするうえではどんな状況に置かれようと、その状況で自分ができることに主体的にかかわり、力をつけていく働き方。どんな川でもいかだに乗って、流れを乗りこなしていくさまに例えている。
 
「山登り」は、自分が目指す目標を決めて、その目標に向かって一歩一歩進んでいく働き方。一つの山を定め、コツコツと登っていくさまに例えている。
 

偶然の出会いやご縁を大切にする「いかだ下り」

 
もし将来の夢がはっきりと決まっていなくても、働こうという意欲をもち続け、働き続ければ、自然にキャリアは形成される。このイメージがしっくりくる人はいかだ下りタイプといえる。
 
「キミはいかだ下り型?それとも山登り型?」コレって何のこと?
 
いかだ下りタイプはどんな仕事、職場にあっても偶然の出会いやご縁などを大切にしてスキルを磨きネットワークを構築することで、自分の価値を高めていくことができるだろう。
 
その反面、積極的に望んだ状況ではないという思いが強いと、受け身になったり、生活のためといやいや働いたり、もっと自分に合う状況があるのではないかと不満を募らせてしまうリスクがあるので注意しよう。
 

「山登り」タイプは夢がかなわない場合もめげない気構えを

 
将来なりたい職業や興味のある分野がはっきりしていて、その目標に向けて突き進みたい人は、山登りタイプといえる。
 
「キミはいかだ下り型?それとも山登り型?」コレって何のこと?
 
山登りタイプは、本当にこの職業でいいのかと悩んだり努力することに疑問を感じたりすることが少なく、やりがいも感じやすい。
 
その反面、何かの理由で夢がかなわなかったり、あきらめたりすることになった時、立ち直れないほどダメージを受ける恐れがある。
 
また目標に集中するあまり、視野が狭まり周囲の状況に対応する力が伸びにくくなるリスクもある。
 
山登りタイプは、目標にこだわりすぎず、状況の変化や周囲の要望にも目を向ける柔軟性を意識してもつようにするといいだろう。
 

まずは「いかだ下り」をして力をつけてから「山登り」するのもアリ

 
ちなみに近年、日本では社会人になって最初の10~15年は「いかだ下り」で社会人基礎力を身につけ、30~40代にかけて目標を定めて「山登り」を始めるといい、という考え方が提唱されている。
 
「キミはいかだ下り型?それとも山登り型?」コレって何のこと?
 

「日本で一般企業に就職する場合、たいていは希望とは違う仕事、予想外の仕事をまかされます。もともと職種別採用より、総合職採用が多いため、どんな仕事をまかせられるかわからないのは当然なのです」

 
というのはリクルートワークス研究所の豊田義博さん。
 

「入社前から綿密に目標を定めると、思い描いたスタート地点にすら立てないことに失望してしまいます。入社後は、まずはどんな川でもエイッといかだに飛び乗って激流があろうと岩場があろうと、即興で対応してなんとか下っていこう、と考えたほうが自然です」

 
どんな状況でも10~15年くらい、全力で取り組んでいると「仕事を通して到達したい山は何か」を考える力がついてくる。その時点で「どの山に登りたいか」を決めて「山登り」を始めればよいという。
 
だから今具体的な将来の夢が決まっていなくても、焦って決めなくてもいい。それより、たとえ不本意な状況に置かれても、めげずにそこで自分を生かす意欲や勇気をもつ力、自己信頼の気持ちを育てることが大事なのだ。
 

高校時代は、全力を出す経験を積み、自信をつけてほしい

 

「高校時代にできることは、例えば学校行事や部活動、課題研究など、自分で考え、行動することが必要な場面で全力を出し切ることですね。そんな経験の積み重ねが、自分がどんな状況でもやっていけるという自信や、自分がどんな風に集団の中で力を発揮できるのか分析するチャンスになると思います」

 
とアドバイスしてくれた豊田さん
 
「キミはいかだ下り型?それとも山登り型?」コレって何のこと?
 
キミは山登りタイプ?それともいかだ下りタイプ?どんなキャリアを重ねたい?少しずつ考え始めてみてはどうだろう?