2025年の日本で「自分らしく働き、稼ぐ」ことを実現するためには?
今から10年後、高校生のみんなが社会に出て働くころ、日本の働く現場はどうなっているだろう?
良くなっている? それとも、悪くなっている?
また、そんな時代を「生き抜くために必要な力」とはどんなものだろう?
「2025年―働くを再発明する時代がやってくる」というレポートをまとめたリクルートワークス研究所の研究員の方に教えてもらった。
■今から10年後の日本はどうなっているの?
このレポートでは、日本で働く約6万人の膨大なデータベースをもとに、10年後を予測している。これによると次のような変化が起こると言う。
働く人の数: 6274万人→6091万人 3%減
働かない人の数: 4525万人→4651万人 2.7%増
一人当たりの年収: 355万円→341万円 4%ダウン
■好待遇で働けるチャンスが減る一方、自由な働き方が登場
「グローバル化や国内の人口減少を受けて、企業を取り巻く環境は厳しくなっています。2025年にかけて、社員数をしぼりこんだり、賃金をおさえたりする企業が出てくるでしょう」
と言うのはこのレポートをとりまとめた、ワークス研究所・主任研究員の中村天江さん。
2025年にかけては、このように働くチャンスが減り、十分に稼げなくなるリスクが増えていくのだ。ところが、同時に全く反対の動きも起きていると中村さんは言う。
「2025年には人口の多い団塊世代が75歳になり、働けなくなります。その子供たちである団塊ジュニア世代は、介護と仕事の両立に直面して、今のような長時間労働や転勤は受け入られない。そうなると企業は仕事に合うだけの労働力を確保できません」
そのため、企業はこれまでは雇わなかった層を活用したり、今までよりも自由度の高い働き方を導入したりするようになるのだそうだ。
■限られた人だけが働く時代から「誰でも、いつでも、どこでも」働ける時代へ
「ひと昔前のように、社員として一つの会社を勤め上げれば、給料は上がり続け、家族を養えるほど稼げたという時代はもう戻ってこないでしょう。でもそんな社会は、型にはまっていて選択肢の少ない社会だったともいえます」
「今は高齢者の方、女性の方、外国籍の方など、いろいろな人が働ける時代。そしてこれから企業は安定して働き手を確保するために、在宅ワークやフレックス出勤など、働く人が都合に合わせて時間や場所を選んでいろいろな働き方ができるように環境を整備するようになるでしょう」
ある意味、これから先の未来のほうが自由で柔軟な社会になるかもしれないと、中村さんは話す。
■これからの日本で働くために必要な「4つの力」とは?
そんな多様な働き方が広がった10年後の日本で働くことに楽しさややりがいを感じるためには、どうしたらいいのか? 中村さんは大事な「力」を4つあげてくれた。
1. 自分を生かせる環境を選ぶ力
本当に自分を生かせる場所、例えば「育児をしながら働けるか」、「社会に貢献したいという思いを共有できるか」などを細かくチェックするのだ。選べる時代だからこそ「選ぶ力」が問われる。
2. より深い専門性を身につける力
「アプリ開発ができる」「企業同士の合併をコーディネートできる」などなど…。どんなことでもいいので価値のある技術やノウハウなどをもっていることが大切。この能力があるから会社に貢献できるという強みがある人が評価される。
3. 変化に適応し続ける力
これからの時代、仕事に必要な知識も、職場の人員構成も、会社そのものも、大きく変わっていくことが予想される。ずっと同じ環境にいた人は、変化に対応するのが難しくなってしまう。変化を越えるスタンスを心がけて。
4. 自分の働きに見合う待遇を主張する交渉力
企業が成長し続けることが難しい時代、働く人の待遇(給料や勤務時間など)が悪くなるリスクは常についてまわる。今までの日本ではお金に関する話をしないのが美徳という考え方もあり、学校でも交渉力について学ぶ機会は少なかったかもしれないが、自分にはこれだけの待遇を受ける権利があると主張し、遠慮せずにきちんと交渉する力が必要。
これからやってくる10年後の未来。もし企業も政府も働く人もピンチをチャンスに変えて、多様な人が自分のスタイルに合った働き方をみつけて仕事ができるようになれば、働く人の数は今より115万人増えて6389万人(1.8%増)となり、一人当たりの所得も年間7万円増えて362万円(1.9%アップ)になると、今回のレポートでは予測している。
そんな明るい未来を実現するのは、今この記事を読んでいる君たちだ。「自分たちの手で、今までにない新しい働き方を作り出すんだ」という前向きな気持ちをもってほしい。