ロケットを作りたい!は夢じゃない!?開発に携わるための道とは
H2AロケットやMRJが大きな話題に
2015年は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と三菱重工が開発するH2Aロケットが初の商業用打ち上げに成功。
また、三菱航空機などが開発する旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の初飛行も大きなニュースに。
“国産"のロケットや旅客機が注目された年だった。
そもそも日本は技術先進国でありながら、ロケットと旅客機の開発に関してはアメリカなどに比べて後れていた(MRJは約50年ぶりの国産旅客機)。
しかし、ここに来て流れは変わり、航空宇宙産業は日本の未来を担う産業として期待が膨らんできている。
そう聞いて、ワクワクしてきた高校生も多いのでは?
ただし、ロケットや旅客機を開発しているメーカーとしてニュースなどで名前が挙がるのはごく限られた大企業。そこに就職するとなると競争はかなり厳しそうだ。
やっぱり「ロケットや旅客機を自分の手で開発する!」というのは夢のような話なのだろうか?
ロケット&航空機は幅広い理工系技術の集合体
「そんなことはありません」と力強く話してくれるのは日本大学の理工学部 航空宇宙工学科の宮崎康行教授だ。
「ロケットや航空機には百万~数百万個の部品が使われており、理工系のさまざまな技術が用いられています。そのため、中小企業を含め、多数の企業が参加する大規模なプロジェクト形式で開発事業が進められています。また、国産機の開発はもちろんですが、技術力を買われて海外のプロジェクトに加わっている企業もすでにたくさんあります。技術者・研究者としてロケット・旅客機の開発に携わるチャンスは決して小さくはないのです」
例えば、エンジンの開発は機械系メーカーの仕事だし、燃料ならエネルギー系・化学系メーカーの仕事。
機体の材料は素材メーカーが研究・開発しているし、一つひとつの電子部品なども専門のメーカーが作っている。
世界に誇れる技術を生かしてバネやモーターを提供している中小企業もある。
ドラマ『下町ロケット』を見ていた人ならイメージが湧くはずだ。
なるほど、思っていたよりずっと就職先は幅広そうだ。では、そのためには大学や大学院ではどんな勉強をしたらいいのだろうか?
ロケットや航空機に関係する学問を総合的に学びたいなら航空宇宙工学などの学科が王道。
一方、機械工学、制御工学、電気・電子工学、情報工学、材料工学など工学系の各学科、さらに物理学や化学などの学科をステップにする道も。
「夢を夢のままで終わらせない」が実現できる分野
「世界でも最先端の技術が求められる領域なので、どれでもいいので何か一つ誰にも負けない得意分野を磨くことが非常に大切です。同時に『ロケットや航空機に使うにはどうしたらいいか』を考えるには、関連する他分野の知識も幅広く必要になりますね」
さて、そうなると漠然と『ロケットや飛行機を作りたい』と考えているだけでは進路を絞り切れないかも。
だからこそ、ロケットや飛行機がどのように作られているのかを掘り下げて調べながら、なかでもどんな技術を専門にしていきたいかまで高校生の間にイメージしておきたい。
興味がある世界ならそんなプロセスもきっと楽しめるはずだ。
「航空宇宙開発の分野には本当に好きでやっている人たちが集まっています。何より大切なのはその気持ち。『夢を夢のままで終わらせない』が実現できるまれな分野なんです」
なお、ロケット分野では現在H2Aの次のH3ロケットの開発が本格化している段階。
「今の高校生が社会に出るころにはさらにさまざまな分野の技術者・研究者へのニーズが高まっているはず」と宮崎教授は言う。
チャンスはさらに広がっていくということ。
ウズウズしてきたキミ!
さっそく書籍やオープンキャンパスなどで情報収集をはじめてみては?