AI&ロボットで替えのきかない「人間だからこそできる」仕事って何がある?【リクナビ進学ジャーナル】
日本の労働人口の49%がAI & ロボットで代替可能に!?
人工知能(AI)は、技術分野のホットなトピックの一つ。
例えば、グーグルの検索エンジンや会話ができるスマホアプリなどにAIは活用されており、高校生にとっても今や身近な存在になってきた。
もちろんAIの可能性はまだまだこんなものではなく、今後も加速度的に進化を続けていくといわれている。
今、人間がやっている仕事もどんどんAIとロボットに取って代わられるようになる──。
もう私たちはそんな時代に足を踏み入れているというわけだ。
このテーマに関しては研究も進められている。
2015年12月、オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究に取り組んでいる野村総合研究所は、「10~20年後には日本の労働人口の49%がAIやロボット等で代替可能になる」と発表。
ニュースなどでも大きく取り上げられた。
AIやロボットでの代替可能性が高い職業、低い職業
人の代わりにAIやロボットが務められるようになる可能性(=代替可能性)が高い職業、低い職業の例も具体的に挙げられている。
<代替可能性が高い職業の例>
●一般事務員
●駅務員
●会計監査係員
●銀行窓口係
●スーパー店員
●建設作業員
●製パン工
●倉庫作業員
●宅配便配達員
●データ入力係
●電気通信技術者
●貿易事務員
<代替可能性が低い職業の例>
●ケアマネジャー
●経営コンサルタント
●ゲームクリエイター
●外科医
●柔道整復師
●小学校教員
●商品開発部員
●人類学者
●ツアーコンダクター
●バーテンダー
●フリーライター
●ミュージシャン
これらはあくまで一例だが、これから進路を検討する高校生にとっては「自分がなりたい仕事はどうなの!?」と当然気になるところだろう。
ただ、この話を理解するには注意が必要。
上記の「代替可能性が高い職業」も、あくまで、技術的には代替可能になるというだけの話で、実際に代替されるかどうかはまったく別の問題。
決して10年後、20年後にはなくなる職業というわけではない。
問われるのは創造性やコミュニケーション力
それでも、この結果は、「将来の仕事」を考えるうえで大きなヒントにはなりそうだ。
研究に携わった野村総合研究所ICT・メディア産業コンサルティング部主任コンサルタントの岸浩稔(きしひろとし)さんに話を聞いてみよう。
「『代替可能性が低い職業』の特徴は、人類学者のように抽象的な概念を整理したり生み出したりする仕事、ケアマネジャーのように他者とのコミュニケーションが大切な仕事、商品開発部員のように決まったパターンがなく、常に新たな発想が必要な仕事という点ですね。
これらはコンピュータがいくら発達しても簡単には代わりは務まりません」
それに対して、決まったパターンがあり、複雑なコミュニケーションが求められない仕事はAIやロボットの得意分野。
具体的にどの仕事が、ということは今の段階では何とも言えないながら、いずれAIやロボットに取って代わられる職業が増えてくるのは確実だろう。
「一生安泰な仕事」という考え方がもう古い!?
「仮にある職業でAI・ロボットへの代替が進んだとします。
しかし、そのときにAI・ロボットを使ったより良いサービスなどを考えるのは、まさに決まったパターンがない仕事ですから人間の役割です。
このように、AIなどの発達で、これからは新しい仕事も次々に生まれていきます。
この先、一つひとつの職業のあり方はもちろん、“コンピュータにできないことを人間がやる"というかたちに労働社会の構造そのものが大きく変わる可能性も大きいのです」
なるほど、そう考えると、この研究結果から将来有望な業界や職業を見つけ出そうというのはちょっと短絡的かもしれない。
「一生安泰な仕事は何?」という発想自体がもう古いともいえそう。
それよりも大切なのは、AIやロボットでは替えのきかない能力を磨くことにありそうだ。
その能力とは、岸さんが挙げたとおり、創造力、コミュニケーション力、発想力など。
AI・ロボットがさらに進化する未来に備え、そんな観点から進学先を検討するのもありなのでは?
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