「高校生の君たちへ」 キングコング西野亮廣が 今、思うこと

突然、テレビ番組内でお笑い芸人からの引退を宣言!
 
次に何をするのかと思えば、絵本作家に転職。
 
さらには大ヒット中の絵本をWeb上で無料公開し、常に世の中に旋風を巻き起こすキングコングの西野亮廣(にしのあきひろ)さん。
 

「肩書きに固執するのはくだらない」「『10万部売れるコト』よりも、『1億人が知っているコト』のほうが遥かに価値がある」そんな考えを即座に実行する行動力、「ウォルト・ディズニーを倒す!」と豪語するような大胆な発言は、自分の進むべき道に迷っている高校生たちに、明るい未来へと歩く姿勢を見せてくれる。
 
そんな西野さんに、高校生のうちにしておいたほうがいいことを聞いてみた。
 

1.なりたい職業は急いで決めなくていい

 

漫才をしたり、絵本を描いたり、学校を作ったり、やりたいことを自由に実現させている西野さん。
 
でも、進路に迷っている高校生たちは、まず自分のやりたいことがわからない。
 
そんな人は、どうすればいいの?
 
「高校生の君たちへ」 キングコング西野亮廣が 今、思うこと
 

------自分がどうありたいか、その姿勢だけ決めておけばいいと思う

「何がしたいかわからない人は『未来人』だと思います。なぜなら、すべての職業には寿命がある。
 
これからはいろいろな職業がすごいスピードでなくなって、『一生ひとつの職業を勤め上げることが美しい』みたいなことは通用しなくなるから。転職・転職・転職が当たり前の時代がくると思うんですよ。
 
つまり、何がしたいかわからないのは悪いことじゃなくて、未来対応できているってこと。
 
ただ決めるとしたら、職業じゃなくて、外枠というか姿勢を決めておくといいんじゃないかな。『とにかくお金持ちになる』とか『とにかく人に喜んでもらう』とか、自分の姿勢だけ決めておけば、その時代に合ったやり方があるから。
 
ぼくは『とにかく人を楽しませる』って決めている。
 
今は、漫才やったり、絵本を描いたりしているんですけど、例えば農業のほうが人を楽しませられるって思ったら、すぐそっちへ行きますよ。
 
上の世代の人は『お前は何がしたいんだ』って問うけど、これからは職業を決めちゃうことのほうが危ない時代になるから、迷っているのは間違いじゃない。迷っているってことは、時代に合っているってことだから、自信をもっていいと思うんです」

 
「高校生の君たちへ」 キングコング西野亮廣が 今、思うこと
 

------好きなことを仕事になるまで徹底して続けてほしい

「自分の姿勢を決めるには、とにかく欲望に従ったほうがいいですね。『ご飯をいっぱい食べたい』とか、『女の子にモテたい』とか、『ずっとゲームをしていたい』とか、何の仕事をしたいかわからない人でも、欲望は絶対あると思うんです。
 
ぼくたちの親世代の人は、『好きなことをして生きていけるほど世の中は甘くない』と言うけど、【給料=ストレスの対価】という時代は終わっていきます。
 
ストレスがかかる仕事はロボットがやってくれるようになって、これから先は欲望に従ったことでしか食べていけない時代がくる。
 
だから、自分が好きなことをいかに仕事化するか、それが大切になってくるんです。例えばゲームが好きなら、仕事になるまでゲームをすればいい。
 
めちゃくちゃ好きなことを徹底してやったほうがいいと思います」

 

2.とりあえずやったほうが成功する確率は上がる

 
何かやりたくても、なかなか動き出せない。準備しないとできない。やり続けるほど好きなことはない。
 
そんな人には?
 

------ひたすら動いて、失敗してもいいからやってみてほしい

「とにかく自分で考えて動く。動かないとわからないから。体験学習というか、動いて思い知ったほうが手っ取り早い。"準備して準備して考えているだけの人“より、ひたすら"試して試して前へ進んでいく人“のほうが成功していると思います。
 
とりあえずやった方が確率は上がるから、まず動いてほしいですね。例えば大御所の芸人さんは、大御所になったからそういう立ち居振る舞いをしているわけじゃなくて、そういう立ち居振る舞いを続けてきた人が大御所になった。
 
結果を出している人は最初からやり続けていて、それなりに風当たりを受けて、失敗したり、痛い目に合いながら、それでも動いてきたから成功しているんです。
 
だから、とにかくやったほうがいいですね」

 
「高校生の君たちへ」 キングコング西野亮廣が 今、思うこと
 

それでも、やっぱり、自分が何をやりたいのかわからない。何から始めていいのか迷ってしまうという人は、どうすればいいの?
 

------例えばダイエットで生活を変えて情報を入れ替えてみては?

「ゼロから物を産むなんて、もうありえないことだから、これからの時代は情報の編集作業になると思うんです。
 
やりたいことがわからないというのは、編集する素材がない状態だから、素材を増やさなくてはいけない。だから、まず情報を入れ替える作業をしてみてほしい。
 
例えば今まで会ったことのない人に会うとか。ぼくがそういう相談を受けたときは『まずやせろ』って言いますね。ダイエットをすると、食べるものから生活態度から変わってくるから、『一回だまされたと思って3キロやせて生活を変えてみたら』と言うんです。
 
情報を変えると、やりたいことがみつかりやすくなりますね。
でも、迷うことは間違いじゃない。だって今の世の中は選択肢が多いんですもん。迷いますよ。迷っていいと思いますよ。
 
好きなことって、いきなりMAXでハマらないじゃないですか。ぼくの漫才だって、ほめられたり、結果がでるから、より好きになっていった。
 
みんな第一歩めはそんなにハマってなくて、好きになるのはグラデーションですもん。だから、まずやってみるといいと思います。それを好きになれなかったらやめればいいし。とにかく止まっている時間がもったいない。やってから対応を考えればいいんですよ」

 

3.お金の正体が何なのか知っておいてほしい

 

 
「お金の奴隷解放宣言」をして、大ヒット中の絵本を全ページ無料公開した西野さん。
 
高校生に向けて、「これだけはしておいたほうがいい!」ということを聞いてみると、やはり「お金の勉強」だそう。
 

------お金は「信用」を数値化したもの

「お金って一体何なのか? それを学校の先生や親が教えられないのは罪だと思います。教えなければ教えないほど、蓋をすればするほど、お金がすごく汚いものになっちゃう。
 
でも、お金は生きていくうえで水や空気と一緒くらい必要なもの。お金がなくなって自殺することもある。だから、高校生といわず小学生のうちから、お金の正体を知っておいたほうが、未来は明るくなるんじゃないかな」

 
学校では教えてくれない、親も知らないお金のこと。どうやって勉強すればいいの?
 

「ぼくか、ホームレスの小谷に聞いてほしいですね。小谷は日給50円で生きているけど食いっぱぐれてないし、結婚式をしようと思ったら何百万円も集めることができた。
 
ぼくは、お金とは『信用を数値化したもの』だと考えていますが、それを証明してくれるのが小谷の体験談なんですよ」

 

------『恩を売る』ことでホームレスが250万円稼いだ

「ホームレス小谷は『自分の1日』を50円で売っていて、例えば草むしりを頼まれたら、朝から50円で一所懸命に草むしりをするんです。
 
そうすると『50円じゃ申し訳ないな』と思った人が昼ご飯をごちそうしてくれる。丸一日ずっと草むしりをして、夜ご飯まで食べさせてもらうことも。
 
毎日毎日50円で仕事をして、『恩を売る』ということを続けていたら、20kgくらい太って、鬼ごっこの人数合わせで小谷を買った女の子と出会って2日めで結婚しちゃったんですよ。
 
そして挙式費用を集めるために結婚式に参加できる権利を1口4000円で募ったら、2~3週間で250万円も集まった。今まで小谷を50円で買った人たちが『あの小谷くんが結婚するなら4000円くらい出すよ』と言ってくれたんです。
 
つまり、小谷は『お金持ち』ではないけど『信用持ち』だった。子どもの頃、おばあちゃんに言われた『困っている人がいたら助けてあげなさい』『人のためになることをしなさい』ということが、きれいごとじゃなくて、今の時代では、きっちりお金になって返ってくる。
 
それを体現しているのが小谷なんですよね。
これからは、まずお金のことを把握して、『信用を稼ぐ』ことを自分で体験して知っていったほうがいいと思います」

 
「高校生の君たちへ」 キングコング西野亮廣が 今、思うこと
 

 

------「お金は要りません」といったら逆に絵本が売れた

 

西野さんが『えんとつ町のプペル』を作るときも、小谷さん同様にインターネット上で企画をプレゼンして支援金を集めるクラウドファンディングという仕組みで1000万円以上の制作費を集めてスタートさせた。
 
3293人もの一般の人たちが西野さんを信用してお金を出してくれた。
 
ちなみに、お金を介さなくても人を楽しませたいと考えてWeb上でのみ無料公開した『えんとつ町のプペル』は、絵本が売れなくなるどころか、話題になったことでより多くの人に広まり、逆にもっと絵本が売れたそう。
 
無料で読んで「この絵本ならお金を払ってもいい」と得られた信用、「お小遣いなんてもらえない幼稚園児や小学生でも手に入れられるモノにしたい」という西野さんの心意気への共感から生まれた信用が、結果的にお金へと変わった例だ。
 

ドキドキしてる? 飽きてない?

 
最後に、「高校生たちへ、ひと声かけるとしたら?」という質問をぶつけてみた。
 

「あえて言うとしたら、『飽きてない?』ですかね。ドキドキしていないとヤバイ。そうじゃないと食っていけない時代になるから、ドキドキすることをみつけたほうがいいと思います。興味ないことはやめちゃっていい。飽きたらやめたほうがいいから。
 
そして、『そんなことやってええの?』『そんなん作っちゃうの?』『それが仕事になるの?』って思うような、何かおもしろいものを見せてほしい。ぼくは未来が超好きだから。明るい未来を見たいですよね」

 
「高校生の君たちへ」 キングコング西野亮廣が 今、思うこと
 

「信じぬくんだ。たとえひとりになっても」
 
絵本『えんとつ町のプペル』のセリフのように、ネットでいろいろな意見を言われても、向かい風をチャンスだと考えて、革命を起こし続けていく西野さん。
 
みんなも、自分を信じて、まずは好きだと思えることからやってみよう!
 
「高校生の君たちへ」 キングコング西野亮廣が 今、思うこと
 

■キングコング・西野亮廣
 
1999年、梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。お笑い芸人として活躍しながら、絵本・小説・エッセイなど著書多数。
4年半かけて、イラストレーターだけでも33人という前代未聞の完全分業制で作った絵本『えんとつ町のプペル』は、27万部を超えて大ヒット中。
 
「高校生の君たちへ」 キングコング西野亮廣が 今、思うこと