保育士と幼稚園の先生、資格や仕事の内容はどう違うの?

●少子化でも保育士は人材不足

 

高校生の“なりたい職業”ランキングで、女子部門では必ずといっていいほど上位になる保育士・幼稚園教諭。

 

「少子化だから就職が厳しそう」と思う高校生もいるかもしれないが、それどころか保育士は人材不足。

 

保育所に入りたくても順番待ちですぐには入れない“待機児童”の解消は社会的にも緊急課題で、政府はこれからの5年間で今より40万人多く子どもを預かることができるよう、受け皿を増やす方針を打ち出している。今後もニーズは伸びていく見通しだ。

 

幼稚園にしても、園児数は減少が続いているものの、教員数はほぼ横ばい。幼稚園教育の質が重視されるなか、先生のニーズは決して減ってはいないのだ。

 

ところで、子ども好きの高校生も、保育士と幼稚園の先生のどっちを目指すかは迷うところでは? ここでこの2つを整理してみよう。

 

●保育士は保育、幼稚園の先生は教育がメイン

 

まず保育士と幼稚園の先生の仕事の違いについて。

 

<保育士>
●働く場所……保育所、児童養護施設など
●対象年齢……0歳~6歳の乳幼児
●主な仕事の内容……乳幼児の世話(保育)
●必要な資格……保育士

 

<幼稚園の先生>
●働く場所……幼稚園
●対象年齢……3歳~6歳の幼児
●主な仕事の内容……幼児の教育
●必要な資格……幼稚園教諭(一種か二種)

 

大きな違いは対象年齢。0~2歳児は幼稚園の先生の対象外。また、保育がメインか、教育がメインかという仕事内容の違いもある。それに伴って、必要な資格も違う。

 

ただし、最近は保育の現場でも“教育”の要素が求められる傾向があり、保育園と幼稚園が一体化した施設も増えている。そのため、保育士と幼稚園教諭の両方の資格を取って活躍する人も増加。そのほうが就職の際にも有利になっているのだ。

 

その点を踏まえて、次に“なるまで”のステップを説明しよう。

 

●ダブル取得で専門性も就職の選択肢も広がる

 

保育士取得には、
(1)専門学校、短大、大学の保育士養成コースを卒業する、
(2)国家試験を受験するという選択肢がある。
ただし、国家試験は難関なので、高校生が目指すなら、(1)の進学して資格を得るのが一般的。

保育士になるには

 

一方、幼稚園教諭は、大学・短大の子ども学科、保育科など幼稚園教諭免許状が取得できる課程で学んで卒業すれば取得できる(大学卒は一種免許、短大卒は二種免許。種類によって給与や就職後のキャリアに違いが出る場合もあるので注意)。

幼稚園の先生になるには

 

なお、最近は、専門学校も短大も大学も、保育士と幼稚園教諭の両方を取得できるコースが増えている。専門学校でも通信制短大と連携して2年で両方取得できるところは今や珍しくない。

 

つまり、目標とする資格で大きく分けると、短大か専門学校に進んで2年間で保育士と幼稚園教諭二種を目指すか(一部3年制のコースもあり)、大学に進んで4年間で保育士と幼稚園教諭一種を目指すかという選択肢があるわけだ。

 

もちろんどちらか一つの資格だけを目指すことは可能だが、就職や将来のキャリアを考えれば、両方を取得するメリットは大。児童福祉からピアノまで学ぶことはたくさんあるが、どれも現場で生きてくる知識・技術だし、保育所と幼稚園の両方を視野に入れて就職活動することもできる。

 

というわけで、保育士と幼稚園の先生のどっちがいいか…は、迷っているなら今慌てて決めなくても大丈夫。実習などを重ねながら、じっくり自分の適性を考えてみよう!

 
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