世界の食料の3分の1が捨てられている【映画で学ぶ!世界の今】

様々な社会課題に関連する映画を配給するユナイテッドピープルが映画で学べる世界のトレンドや知っておくべき現実について紹介するコラムです。

第11回 世界の食料の3分の1が捨てられている


(c) Mischief Films

世界で食料が年間13億トンも廃棄されている現実を知っていますか? これがどれぐらいの量かというと、世界で生産される食料のおよそ3分の1にも及びます(※1)。世界には、約7億9

※1 「世界の食料ロスと食料廃棄」国際連合食糧農業機関(FAO)

※2 「数字で見る飢餓」国連WFP

※3 2016年10月「食品ロスの削減とリサイクルの推進」農林水産省

廃棄食材だけで料理を振る舞う「0円キッチン」の取り組み

なぜこのようなもったいない状況になってしまっているのでしょう?食料廃棄は、最終的に消費される家庭やレストランといった場所だけではなく、スーパーマケットや農場など、流通や生産の現場にいたるまでの様々な場面で発生しています。

2017年1月21日に劇場公開となるドキュメンタリー映画『ゼロ円キッチン』は、世界から食料廃棄をなくすために“食料救出人”のダーヴィド・グロスがヨーロッパ5ヵ国を巡り、廃棄された食材だけで料理を作って振る舞う取り組みを紹介する映画です。

例えばダーヴィドは家庭の冷蔵庫を抜き打ちチェックしに行き、そのままだと放置され、捨てられてしまう食材を“救出”します。そして、その食材を使って料理を作り、まだ美味しく食べられることをご家庭の方々に伝える取り組みをします。

彼はこう言います。

冷蔵庫を見直せば意識の変革を起こせるのです。


(c) Mischief Films

農場では規格外の大きさのためにスーパーなどで売られることなく捨てられてしまう野菜を“救出”。地域の人々を招いて食事会を開催し、野菜のサイズが一般的に売られているサイズと異なっても、美味しく食べられることを味わってもらいます。

また、スーパーのゴミ箱に行き、小さなキズがある、少し腐ってしまった、賞味期限が切れたなどの理由で捨てられてしまったまだ食べられる食材を救い出していきます。

ダーヴィドは5週間のヨーロッパ5カ国の旅で、690kgもの食材を救い出しました。そして、これらの食材を使って料理を作り、各地で出会った人々の意識を変革していくのです。

フランスのスーパーでは食料廃棄が禁止に!

映画『0円キッチン』にもフランスの大型スーパーが食料廃棄をすることを禁止にした市の市長が登場するのですが、今年2月3日には、フランス全土の大型スーパーで売れ残った食品を廃棄することを禁止し、慈善団体に寄付することを義務付ける食料廃棄禁止法が成立しました。

この法案作りに奔走したクルーブボア市の市議会議員アラシュ・デランバーシュさんは、大学生時代に食費の捻出に苦労した経験から、食料廃棄の問題に関心を持ったといいます。市議になってから地元のスーパーを巡ると、廃棄食料が盗まれないようにとゴミ箱に鍵がかかっている状況だったそうです。その後、食料廃棄禁止法を成立させるために約20万人の署名をインターネットで集め、見事に法を成立させたのです(※4)。

※4 2016年2月17日 「フランス:売れ残り食料、廃棄禁止…大型スーパー」毎日新聞

私たち個人や家庭でできることは?

冒頭で説明したように、日本でも年間約632万トンもの食べられる食料が捨てられてしまっています。私たち一人ひとりが普段からできることはなんでしょうか?まずはレストランなどの飲食店で、食べ残しを減らすことです。それからご家庭では、値段が安いからといって買いすぎず、必要な食料を必要な量買い、その都度使い切ることで捨てる量を減らすことができます。普段捨てられている野菜の皮や茎、冷蔵庫に残った半端な野菜も工夫次第で美味しく料理することもできます。食べられるものを捨てるなんてもったいないという意識で、ぜひご自身でできそうなことにチャレンジしてみてください。

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