「高度専門士」を詳しく解説!専門士、学士との違いは?就職に強いって本当?
専門学校への進学を考えている高校生にぜひ知ってほしいのが、「高度専門士」の称号。高度専門士とはどういう称号なのか、どうしたら得られるのか、どんなメリットがあるのか、詳しく解説しよう。
高度専門士とは?
高度専門士ってどんな称号?
大学の学部を卒業すると「学士」、大学院の修士課程や博士前期課程を修了すると「修士」、大学院の博士課程や博士後期課程を終えると「博士」という称号が得られる。
そして、専門学校を卒業すると、「専門士」という称号が得られる。
専門士の称号があると、大学への編入学が可能になる。
専門士の称号が付与される専門学校の要件は以下のとおり。
2. 総授業時間数が1700時間(62単位)以上
3. 試験等により成績評価を行い、その評価に基づいて課程修了の認定を行っていること
基本的には、要件を満たした専門学校で4年間の教育課程を経た人に与えられる。
4年間をかけて専門分野について学び、知識や技能を身につけたということで、学士と同等に評価され、大学院への進学も可能だ。
高度専門士の称号が付与される専門学校の要件は以下のとおり。
2. 総授業時間数が3400時間(124単位)以上
3. 体系的に教育課程が編成されていること
4. 試験等により成績評価を行い、その評価に基づいて課程修了の認定を行っていること
「学士と高度専門士はどう違うのか、どちらが良いのかという質問をよく受けます。
大学は「学問」を学ぶ場所であり、専門学校は「仕事をする力」を身につける場所。
4年間でどちらを突き詰めたいのかによって選択しましょう。
専門士(2〜3年制)と高度専門士(4年制)の扱いの差は、業界・分野によって大きく異なります。
まだ社会に広く認知されているとは言えない部分もあるので、その業界でどれくらい知られているかを志望校の先生などに聞いてみるとよいでしょう。」
(東京ホテル・ウェディング&IR専門学校 副校長 若杉 亮先生)
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高度専門士のメリットは?
※高度専門士の称号は就職時のアドバンテージとなることも多い
高度専門士の大きなメリットが、就職活動時にアドバンテージがあること。4年間にわたり専門知識・技能を修得し、経験を積んできたという実力が評価され、専門学校で2〜3年間学んだ専門士よりも待遇が良いケースが多くなっている。
また、分野によっては4年生大学卒の学士と同等もしくはそれ以上に評価されるケースもあり、即戦力のあるスペシャリストとして期待されるようになっている。
もう一つのメリットが、大学院への進学。
2〜3年制の専門学校を卒業した場合は、大学に編入し、学位を取得したうえで大学院に進学する必要がある。
一方、4年制の専門学校を卒業して高度専門士の称号を得た人は、そのまま大学院への進学が可能。
つまり、4年制大学卒と同等にみなされるのだ。
「就職活動時のアドバンテージは、ホテル・ウェディング業界では非常に大きいと言えます。
実践を中心に学んできた専門士の場合は、オペレーションや接客業務といったスペシャリストとしての採用が中心です。
一方、実践に加えてマネジメントや経営などの理論についても学んだ高度専門士の場合は、将来のマネージャー・幹部候補生として採用されるケースが多くあります。
もちろん、待遇も大きく異なります。
ほかの分野でも、4年制コースでは理論と実践の両方を学び、企業との共同プロジェクトなどに参加するケースも多いため、就職活動時にアピールできる要素がたくさんあると言えるでしょう。」
(東京ホテル・ウェディング&IR専門学校 副校長 若杉 亮先生)
高度専門士の称号を得るには?
高度専門士の称号を得るには、ただ4年間専門学校に通えばいい、というわけではない。先に挙げた要件を満たす4年制のカリキュラムをもつ専門学校で4年以上学び、課程修了の認定を受ける必要がある。
以下に要件を再掲する。
2. 総授業時間数が3400時間(124単位)以上
3. 体系的に教育課程が編成されていること
4. 試験等により成績評価を行い、その評価に基づいて課程修了の認定を行っていること
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なお、高度専門士の称号が得られる専門学校の一覧は、 文部科学省のHPにも掲載されているので、参考にしてみよう。
「高度専門士という称号を得られることはもちろんですが、4年間をかけて専門分野についてじっくりと学ぶことは、就職後も必ず役立ちます。
将来的なキャリアアップにもつながるでしょう。
短期集中で専門知識やスキルを身につけてすぐに働く…という選択肢だけでなく、長期的な視点で将来を見据えた際に有利になる4年制専門学校という選択肢もあることを、高校生にはぜひ知っていただきたいと思います。」
(東京ホテル・ウェディング&IR専門学校 副校長 若杉 亮先生)
高度専門士を取得して活躍する先輩の声
※高度専門士の課程で学んだことは卒業後にどう役立つ?先輩の声を聞いてみよう
東京デザインテクノロジーセンター専門学校スーパーゲームクリエイター専攻卒(2021年3月卒)。
高度専門士の称号を得て卒業後、(株)ファンタジスタ勤務。ゲームクリエイターとして活躍中。
それまでは「専門学校は2年間、長くても3年間」というイメージだったので、そんな選択肢もあるんだなと思いました。」
ゲーム学科には3年制もありますが、私の学年は4年制の学生の方が多かったです。」
私の場合は、専門学校に行ってゲームの仕事に就くか、大学で学んで学校の先生になるかで迷った時期もありましたが、より身近で親しみのあったゲーム業界への道を選びました。」
私はゲームのデザインやアプリ開発について学んでいたのですが、副専攻としてサーバーの通信分野についても学んだことで、仕事をするうえで役立つプラスアルファの知識やスキルを身につけることができました。」
私は学校の先生に就職先を紹介してもらったのですが、その際にも高度専門士であることをアピールしました。」
私はそのなかでもプログラマーとして、さまざまなゲームの制作に携わっています。」
普段、仕事をするなかで、ジワジワと効いていると感じます。」
選択肢のひとつとして、高度専門士を知っておこう
※高度専門士についてよく理解し、納得できる進路選択をしよう
じっくり学べる、就職に有利、大学院への進学も可能…という魅力的な高度専門士。ただ、「専門士よりも高度専門士が誰にとってもよい」というわけではない。
大事なのは、「選択肢があることを知る」ということ。
自分が専門学校に何を求めるのか、社会に出てどうなりたいのかをよく考えたうえで、2〜3年制(専門士)で学ぶのか、4年制(高度専門士)で学ぶのか、はたまた大学で学ぶのかを決めよう。
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取材・文/笹原風花 構成/寺崎彩乃(本誌)
取材協力/東京ホテル・ウェディング&IR専門学校 東京デザインテクノロジーセンター専門学校