将来の夢がない人へのアドバイス!夢を見つけるための高校生活の送り方と考え方
全国の高校生310人に「進路について悩んでいますか?」を聞いたところ71.3%が悩んでいると回答!そのうち33.5%が自分のやりたいことがわからなくて悩んでいると回答した。
つまり、全体の2割以上の高校生が将来の夢がないという結果に!
でも、そもそも将来の夢がないってダメなことなのだろうか?
高校生活を送るうえで、将来の夢をみつけるためにできることはあるのだろうか?
そんな素朴な疑問をリクナビの吉田編集長にぶつけてきた!
吉田純子(よしだ・じゅんこ)さん
「リクナビ」編集長。
2002年、株式会社リクルート入社。以来、20年にわたりHR(人材)事業領域に従事する。
新卒採用・中途採用・教育研修等の提案営業を経験した後、事業スタッフ職、リクナビおよび新商品企画、子会社社長、営業部門の部門長を経て、2021年4月より大学・学生支援組織の部門長、さらに2022年4月より「リクナビ」編集長を兼務。
目次
高校生で将来の夢がないのはダメなこと?
まずは、将来の夢がないってダメなことなのか、吉田編集長に聞いてみたところ「夢がなくてもまったく問題なし!」と教えてくれた。
「スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱された理論によると『個人のキャリアの8割は偶然から作られる』ものだからです。
これを『計画的偶発性理論』といいますが、『夢を探そう』『やりたいことをみつけよう』と思って行動しても、実際にみつけられる人は2割しかいないということなんです。
だから、無理に夢をみつけようと頑張らなくても大丈夫です」(吉田さん)
将来やりたいことをみつけるために今からできること9選
では、高校生活を送るうえで自分の将来やりたいことをみつけるためにできることはあるのかを詳しく教えてもらった。目の前のことに一生懸命に取り組む
「自分の目の前にあることに一生懸命に取り組むことからスタート。
将来やりたいことは、自分が知っていることのなかでしか生まれないから、いろいろなことを一生懸命やることで、たくさんの経験を積むことが大事です。
ふれてきた経験が少ないほど、自分のなかから湧きでる選択肢は少なくなってしまいます。
経験を増やすことで、やりたいことの選択肢が増えていくので、高校の授業、部活動、趣味、アルバイト、ボランティア活動など、どんな分野でもいいから、まずは目の前のことを頑張ってやってみて、いろいろな経験をして世界を広げてください」(吉田さん)
うまくいったことを振り返る
「いろいろなことを経験したら、必ず『うまくいったこと』『うまくいかなかったこと』の両面をふり返りましょう。
『うまくいかなかったこと』に対しては、ふり返って反省する人が多いのですが、特に『うまくいったこと』をふり返ってみることがポイント。
うまくいった理由に注目したり、そこで発揮された『自分らしさ』をみつめたりすることを意識してみるといいですね。
記録に残しておくと思い出しやすいので、ふり返りノートを作ってもいいし、スマートフォンにメモ書き程度で、ちょっと思ったことを書いておくだけでもOKです。
『うまくいったこと』には自分らしさがつまっていることが多いと思いますから、自分は何が向いているのか、気づくことができるかもしれません」(吉田さん)
周囲から自分について意見をもらう
「自分が思っている得意なこと、苦手なこと、長所や短所に対して、周囲の人たちの客観的な意見を聞いてみましょう。
友達、先生、家族、部活動の先輩、アルバイト先の年齢が近い先輩など、自分のことを知っている人たちに、『私は〇〇が得意だと考えているんだけど、どう思う?』『ぼくの短所って、どんなところ?』などと質問するといいですね。
自分で認識している姿と、人から見られている姿は、一致する人もいれば、かなりずれているケースもあります。
同じ意見なら自分の思っていることに確信がもてるし、違っていたら本当にそうなのか考えてみると、自分では気づかなかった発見があるかもしれませんよ。
褒められても『本当にそうかな』と思ってしまう場合もあるかもしれませんが、客観的な意見も大事。
長所だと言われたら、素直に『そうかもしれない』と一度受け止めてみてください。
新たな強みを得て行動が変わることもあるので、いったん周囲の意見を信じて、意識して行動してみるといいと思います」(吉田さん)
いつもとはちょっと違うことをやってみる
「やったことの中からしかやりたいことはみつからないもの。好奇心を大切にして、日常生活のなかで些細なことでもいいから、ちょっと違うことをやってみましょう。
いつもより早い時間に学校へ行くとか、買い物に行く街を変えてみるとか。
SNSで「なぜこれ?」と思うような写真をみつけたら、今までなら気にかけなかった場所やお店へ行ってみるとか。
SNSは好きなものだけ見ていると視野を狭くしてしまうけど、あえて違うチョイスをすることで世界が広がるかも。
そういうちょっとした違いを日常生活に取り込んでみると、新しい発見があって、やりたいことをみつけるきっかけになるかもしれませんよ」(吉田さん)
うまくできなくてもやり方を変えてトライ!
「目の前のことに取り組んだり、新しいことにチャレンジしたりしたとき、『難しい』『自分には向いていない』と思っても、すぐ辞めないことは大切です。一回やってみて、うまくできなくてダメだと思ったら、やり方を少し変えてみる。
この『ちょっと変えてみる』は必ずやってみてください。
もうちょっとだけ続けてみて、それでもどうにもならなかったら、『自分にはできないことが学べた』とプラスに受け止めて、次の道へ行けば大丈夫。
すぐあきらめてしまわないで、もう少し頑張ってみようと思って、ひとふんばりができるかどうか、一度は続けてみることが大事です」(吉田さん)
考え込まずにダメなら次へ
「一生懸命に取り組んでも、誰だってうまくいかないことはたくさんあります。でも『次はうまくいくんじゃないか』『今回失敗しておいてよかった』とポジティブに気持ちを転換することが、やりたいことをみつける行動につながるコツ。
うまくいかなくても落ち込んだりしないで、『次に生かせる学びが得られた』などと、必ず意味がある行動だったと楽観的に考えましょう」(吉田さん)
うまくいっている人のマネをしてみる
「自分のやり方に固執せず、人からアドバイスをもらったり、うまくいっている人のマネをしたりしてみましょう。うまくいかなかったときは、別のやり方をみつける大きなヒントになります。
うまくいっているときも、柔軟性をもって、いろいろなやり方を考えてみると、さらに良い方法がみつかるかもしれません」(吉田さん)
自分との共通点をみつけるために進学先を調べる
社会にでるとき、大事なポイントは、まず自分を知ること。
そして、社会、企業、仕事について知り、自分との共通点をみつけることが大事です。
自分のあこがれだけで企業研究をして、そこの会社で活躍できる自分の素養があるのかないのかがわからないと、面接で説得力のある自己アピールをすることができません。
一方で、自分については研究するけれど、企業について知らなければ、やりたいことがみつけられないでしょう。
進学先を選ぶときも同じように、自分を知って、大学や専門学校などについて調べて、共通項を探していくことが大切です。
オープンキャンパスへ行ったり、大学や専門学校などのホームページでシラバスを見たり、教授や先輩の話を聞いたりして、自分との共通点をみつけていきましょう。
同じような学問を学べる学校でも、同レベルの偏差値でも、学校によってカラーがあります。
それらを比べるときに、自分だったらどちらで頑張れるか、どちらが自分に合っているか、という観点で選んでいくことがポイントです。
自分自身をわかったうえで、自分らしさを伸ばすことができる進学先を探していけるといいですね」(吉田さん)
いつもと同じ生活を送っていても目的意識をもって生活すると今まで見えなかったものが見えてくる。
ちょっとしたことが将来の夢をみつける1歩となるかも!?
進学先を選ぶときに意識しておくべきこと
ここからは進路選びがすぐそこまで迫っているという高校生に向けて、進学先を選ぶうえで意識したいことを吉田編集長に聞いてきたよ。学校や企業が重視している『基礎力』を高められるか?
「進学先を選ぶときに意識しておきたいこととして、企業や学校がどんな人を求めているのか?を理解しておくことです。
図からもわかるように『企業が学生に求めるもの』は、実は短期間で習得可能な資格スキルではなく、『性格・価値観』や『基礎力』という個人の特性が重視されているのです。
そのためまずは『基礎力』を上げていくことが、大事になるのです 」(吉田さん)
意欲的に学べる、取り組めるか?
これからの時代、変わりにくい個人特性である『基礎力』が重視されることはわかったが、どうすれば伸ばせるのかをさらに聞いてみた。「『基礎力』は大学や専門学校などの学び、学外の活動など、さまざまな経験を通じて伸ばすことができます。
学校以外の部活動、サークル活動、アルバイト、ボランティアなどでも、いろいろな『基礎力』を伸ばすことができるのです。
大切なのは『基礎力を伸ばす』ことに意識を向けて学ぶことができるかどうかです。
このことは進路先を選ぶときも同じです。
どんな学校に進むか、どんな専門を学ぶか、ということも大切なのですが『どういったスタンスで学ぶか』ということは非常に重要になります。
もちろん医師や保育士など、具体的な職業が決まっているなら、その資格を取得するための学校に進まなければいけませんが、何を意識して伸ばすかを理解して意欲的に取り組んだか、意欲的に学んだのかによって、夢を叶える力は変わります 」(吉田さん)
「基礎力」ってどんなことだろう!と思った人もいるのでは?ひと言に「基礎力」といっても実はいくつかのカテゴリに分かれている!自分の伸ばすべきところや強みを知っておくと意識的に行動できるかも!
途中であきらめずやりきれるか
進学先を選ぶうえで意識したいことについて、ほかにはどんなことがあるのか、さらに聞いてみた。
「たまに高校生から『なぜ大学や専門学校へ進んで勉強するのか? 』ということを聞かれることがあります。
私はその答えのひとつとして、『逃げない力』をつけるためだと思っています。
社会に出たら、お給料をもらうために、やりたくない仕事もやらなくてはいけないことがあります。
一方で目の前のことに対して一生懸命になれたら、そこで得た経験をもとにチャンスが広がっていくかもしれません。
自分らしさにたどり着くためにも、勉強から逃げないことが大事。
だからこそ、自分が1度これを学ぶと決めたことをやりきりましょう。
『嫌なことから逃げない』『決めたことをやり抜く』という経験は、社会に出たときにすごく役に立ちます。
少しぐらい失敗したからといってあきらめずにやり続けられることは何だろうと一度考えてみてください」(吉田さん)
吉田編集長から高校生のみんなへアドバイス&メッセージ
最後に進路選びで悩んでいるみんなへアドバイスをもらったよ!失敗という概念は捨てよう!
「進路選びで失敗したくない、失敗したときに取り戻せないのが不安、という人がいます。しかし、現代はものすごく変化が激しい社会で、安全策が安全でなくなる可能性もあるから、失敗しないという概念を捨てたほうがいいと思います。
みんな失敗しながら自分らしい道を探す、というくらいの気持ちでいたほうが成功に近くなると思います。
同じ失敗をするんだったらやりたくないことで失敗するより、やりたいことで失敗したほうが後悔は少ないですよね。
昨今、企業の平均寿命は24年といわれています。
定年まで約40年間、働き続けようと考えていても、24年でその会社がなくなってしまうかもしれないのです。
会社だけでなく、職種や業界を変えて転職するのも当たり前の時代です。
うまくいかなかったとしても、こういうケースはうまくいかないんだと学び、次へ生かすことができれば、それは失敗にはなりませんよ。
大学や専門学校などでも、やりたいことをやってみて、どうだったか、常に学んでいけばいいと思います。
やってみて、やっぱり好きだ、自分に向いていると感じたら続ければいいし、違ったなと思ったら、領域を変えればいいのです」
(吉田さん)
まずは自分のことを知ることから始めてみて
将来の夢がない、やりたいことがみつからないという人は、夢がなくても大丈夫!焦らず教えてもらった9個のことを少しずつ始めてみよう!そこからさまざまな経験をして、自分を知り、大学や専門学校などについて知ることで、自分が頑張ることができる進学先をみつけることができるはず。
監修者/吉田 純子 取材・文/やまだ みちこ 構成/黒川 安弥