報酬はお米30kgだけじゃない!「奨学米」とは?
奨学金ならぬ、「奨学米」という取り組みを知っているだろうか。
「奨学米」とは、学生が農家から、お金ではなくお米を提供してもらう制度。その代わりに学生は、農家の手伝いや地域イベントに参加する。学生と農家が、お互いに助け合うしくみなのだ。
農家の手伝いって大変じゃない? お米はどれだけもらえるの?--実際に奨学米生になって4年めという大学生にインタビューしてみた。
■埼玉に住む大学生が福島県只見町・新潟県新潟市で農作業
話を聞いたのは、埼玉県深谷市に住む前橋工科大学4年の松本一希さん。大学1年の時、友達に奨学米のことを教えてもらい、「農作業ってどんなものかな」と軽い興味で申し込み、奨学米生になった。
奨学米生への参加は一年単位だ。年3~4回、提携している農家のところへ手伝いに行き、最後は参加状況に合わせて最大30kgのお米が支給される。
松本さんの初めての奨学米生ツアー参加は、3年前の6月。新宿駅に集合した奨学米生約20人と共にバスで新潟へ。農家に1泊して2日間、農作業を手伝った。
8月と10月も農家の家庭で生活を共にしながら農作業を手伝い、11月には収穫した米30kgが贈呈された。小さな苗から見守ってきた奨学米の味は格別だという。
以来、松本さんは4年間、奨学米生を続けている。今年度は新潟と福島の2ヵ所の奨学米生として、年7~8回農作業を手伝った。もうすぐ収穫した新米が届く。また、松本さんにとっては、そこでの農家の方やほかの奨学米生との交流も「収穫」のひとつだという。
■農業や食への関心を高める効果にも期待
松本さんが利用しているのは、株式会社奨学米が手掛ける奨学米プロジェクト。学生のツアー参加費は1回あたり6000円だけで、東京からのバス、宿泊、食事が提供される。
農家は無償で自宅に学生を泊める。農作業の手伝いのほか、参加者が農業や食への関心を高めたり、その産地のお米のファンになってもらう効果も期待しつつ、学生との交流を楽しんでいるようだ。
お米以外にも得るものがありそうな奨学米。みんなも大学生になったら挑戦してみては?
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藤崎雅子
高校の先生方向けキャリア教育の専門誌にて、全国の高校の取り組みを取材しレポートする連載を担当するなど、教育関係の雑誌やサイトを中心に活動。ほか、二児の母としての目線を生かした様々なテーマの取材・執筆活動を行っている。