【先輩たちの実例紹介】海外大学への進学費用&奨学金の活用術
「海外の大学ってあこがれる! だけど、何となくお金がかかりそう…」
「奨学金をもらう人もいるって聞くけど、実際はみんなどうしているの?」
こんなふうに、海外大学進学に興味があるけれど、費用面の心配をしている人も多いのでは? そこで、アメリカの私立大学に通う3人の大学生に、実際にかかった進学費用や奨学金について聞いてみた。
【実例】かかる費用は年間約600~700万円。奨学金は約300~400万円
取材に協力してくれた大学生は、海外大学進学者の団体「AFS-CONNECT」のメンバー3人。まずは、それぞれのプロフィールとともに、「1年間の学生生活にかかる費用(学費・生活費の合計)」と「1年間に受けている奨学金」を紹介しよう。
※$1=120円で計算したおよその額
■青島勇太さん(Knox College/専攻:経済学)
「とりあえず大学受験してとりあえず就活する」という流れに抵抗があり、将来を決める手がかりを求めて留学した。アメリカの留学先では、学生同士で学術的なことや社会問題について日常的に話し合う環境で、刺激的な毎日を送っている。
・かかる費用 …568万円(年)
・受けている奨学金…264万円(年) ※別途留学1回で60万円
■花堂佳月さん(DePauw University/専攻:音楽)
中高6年間はオーケストラ部でチェロ演奏に熱中していたが、将来の夢は音楽家ではなく、音楽を通した社会福祉活動をすること。それには、音楽科と他の学科を並列にもつアメリカの大学が適していると聞き、悩んだ末に留学。今後は音楽と社会学の二重専攻で学ぶ予定で、忙しいが充実した毎日を送っている。
・かかる費用 …689万円(年)
・受けている奨学金…394万円(年)
■日高健さん(Carleton College/専攻:映画・メディア)
少人数のディスカッションやエッセイを重視し、考える力を鍛えることのできる環境で勉強したいと考えて渡米。批判的にものを考える力、アメリカ文化の理解と視野を広げることを目指して勉強中。
・かかる費用 …723万円(年)
・受けている奨学金…400万円(年)
もう少し詳しい内容を表にまとめると、次のようになる。
これはあくまでこの3人の「ある1年間」のケース。進学先の国・地域、大学や専攻によって大きく違い、為替レートによる変動があることも知っておきたい。
【奨学金情報】返済しなくていい「給付型」も
日本の場合、私立大学に通う寮暮らしの学生の生活費(学費と生活費の合計)の平均は約198万円(※)だ。3人の支出の合計は600万~700万円程度で、日本での学生生活に比べるとかなり高い。しかし、3人とも奨学金を受けて負担を半分程度まで減らしている。
日本の奨学金は将来返済が必要な「貸与型」が多いが、海外には返済の必要がない「給付型」も充実している。3人が受けている奨学金の多くは「給付型」だ。
奨学金には日本の大学生がよく利用する日本学生支援機構(給付/貸与)をはじめ、地方自治体や民間団体(給付が多い)など、国内外にさまざまな種類のものがある。「日本の団体の奨学金の競争率は年々上がっている」(花堂さん)というなか、「使える奨学金を積極的に探して応募することが大事」と日高さん。
夏~秋に募集を始める奨学金もあるので、下記のようなWebサイトを活用して早めに情報収集してみよう。
・日本学生支援機構(海外留学全般)
・日米教育委員会(アメリカの場合)
また、大学が個別にもつ奨学金(家庭の経済状況が厳しい人向け/成績が優秀な人向け)もチェックしておきたい。「大学の欲しい人材と自分の得意分野が合うと、奨学金が支給されやすい」と青島さん。自分に合う大学を探すことが、費用面でも有利になりそうだ。
「日本では有名でなくても、自分を必要としてくれる大学で満足のいく生活を送ることができる。自分の経験からそう感じています。費用がネックになっているようなら、少し志望校の範囲を広げてみるといいかもしれません」(花堂さん)
今回はアメリカの大学について紹介したが、ヨーロッパやアジアには学費が日本より安い大学もある。「学費が高い」というイメージだけで進学をあきらめる前に、学費の実例や、費用を抑える方法を探ってみよう。
※日本学生支援機構(JASSO)「平成24年度学生生活調査結果」住居形態別・収入平均額及び学生生活費の内訳(大学昼間部)より
協力:高校生の進路選択を支援する海外大学進学者の団体「AFS-CONNECT」