法、経済、経営などの社会科学系学部の志願者数が激減

大学受験生の理系志向が高まる一方で、社会科学系学部の人気が急落──。

 

2007年度入試から2012年度入試までの志願者数の変化をみるとこの傾向は明らかだ。理、工、農、医・歯・薬・保健など理系分野の学部は年々志願者数が伸びている。例えば、私立大学の工学部の志願者数は、2007年度の34万2286人から2012年度には43万3579人にまで増加。受験生人口が減少傾向にあるなかで、約9万人も増えた。

 

一方で人気低下が著しいのが、社会科学系学部で、中でも法・政治、経済・経営・商の落ち込みが、特にここ2年で目立っている。

 

●法・政治(私立)
2010年度:24万5443人
2011年度:23万1135人
2012年度:21万864人

 

●経済・経営・商(私立)
2010年度:59万1042人
2011年度:56万7498人
2012年度:53万9916人

 

この動きに関して河合塾 教育情報部の富沢弘和氏は次のように解説する。
「就職に関する不安感が高まるなか、より専門性が身につきそうに感じられる理系学部の人気が上昇しています。同じ理由で、資格取得につながる教育、医療、家政などの系統も手堅く伸びていますね。一方で、社会科学系学部は、就職という観点から考えると、高校生にとっては決め手がないように見えるようで、理系、資格系人気の煽りを受けています。今の高校生に関しても、文理分けで理系を選択する生徒が増加しており、今後も社会科学系の人気は下げ止まらないと予測されます」

 

というわけで、文低理高の流れは今後も続いていきそう。

しかし、こうした傾向を受けて、実践的に学べるプロジェクトワークやフィールドワークを導入するなど、受験生を引きつけるための取り組みに熱心な社会科学系学部も増えている。ムードや先入観だけにとらわれず、「それぞれの大学・学部でどんなことが学べるか」をしっかり調べてから判断することも高校生にとっては大切になるだろう。

 

※データはすべて河合塾調べ(2012年度のデータは2012年5月11日現在)