高校の定期テストとは?対策・勉強法・スケジュール・教科別のポイントまで完全ガイド!

高校の定期テストとは、ひとつの学期に2回、実施されるテストのこと。学期の前半に行われるのが中間テスト、後半は期末テスト、学年末に行うテストを学年末テストと呼ぶこともある。学期ごとの成績の最も重要な評価材料になり、評定平均に大きく影響するものだ。

そこで、高校の定期テストの勉強法、勉強スケジュールの立て方、教科別のポイント、学習効果を高めるコツなどを、高校教員歴37年の堀浩司先生に教えてもらった。

目次

今回教えてくれたのは
堀 浩司先生
堀浩司先生
滋賀県の公立高校(守山高校、草津東高校など)で教員歴37年。「行き先指導ではなく生き方指導」「家から近い大学ではなく夢から近い大学」などを大切にした、3年間の体系的な進路指導を推進。現在は、龍谷大学高大連携推進室フェロー、旺文社『蛍雪時代』アドバイザー、さんぽう講師としても活躍中。

高校の定期テストの特徴、中学との違いは?

高校の定期テストの特徴、中学との違いは?
高校の定期テストは中学より科目数が増えて順位変動しやすい
高校の定期テストは、授業で学んだ内容がきちんと身についているかをチェックし、成績評価に反映するために行われている。定期テストの点数で学期ごとの成績が評価され、評定平均に大きく影響していく。

中学の定期テストと高校の定期テストとの違いは、「科目数が増える」「難易度が上がる」という2点が大きな特徴となる。

学校推薦型選抜や指定校推薦を目指す人にとっては、定期テストでしっかり高得点を取り、評定平均を上げることが重要。
一般選抜を考えている人にとっても、定期テストの勉強は、入試問題に取り組むための基礎力を固めるのに欠かせないと言えるだろう。

定期テストの科目数が増える

高校では、国語なら「現代文」「古典」、数学は「数学Ⅰ」「数学A」、社会は「歴史」「地理」、理科は「物理」「化学」「生物」「地学」といったように、1教科が複数に分かれるため、科目数が増えます。当然、勉強する範囲が広くなるので、最低でも2週間前からの対策が必要です。(堀浩司先生、以下同)

定期テストの難易度が上がる

高校の定期テストの大きな特徴の一つが、中学とは母集団が異なることです。公立中学の場合、幅広い学力層の生徒が存在します。しかし、高校は、高校入試を経て入学した生徒集団なので、同レベルの学力の生徒が大半です。

高校の定期テストは生徒の学力層を考慮して問題作成されるので、極端に簡単な問題は出題されにくく、テストの難易度が上がり、高校1年生では同じくらいの点数を取る人が多いでしょう。ある程度の学力がある人なら、中学では多少、さぼっていても、そこそこの点数が取れていたと思いますが、高校では、しっかり勉強しないと、見たことのない点数を取ってしまうことも…

定期テストの難易度は上がりますが、もともと同レベルの学力の生徒が集まっているので標準偏差が小さく、頑張って勉強すれば、学年での順位が大幅にアップします。中学とは違った感覚で、順位が急激に上がったり下がったりするので、その変動の大きさにとまどうかもしれません。

ポイントを自分で整理する必要がある

高校には、中学にいなかったタイプの学者肌の先生もいます。中学の授業だと、先生が黒板に色を変えて書いたり、プリントの太字で強調したり、大事なポイントを比較的わかりやすく見せてくれていたと思います。

しかし、高校ではそんな親切な先生ばかりとは限らず、中学ほどきっちりポイントを整理してくれない不親切な先生に出会うかもしれません。その場合、ポイントとなる部分を強調させてノートを取り、プリントにマーカーをするなど、自分で定期テストに出そうなところをまとめていく必要があります。

大学入試に大きく影響する

定期テストで高得点を取れば、評定平均を上げることが可能です。保健体育・芸術・家庭など、期末テストしかない科目は、提出物以外で1回のテストで点数を稼げるチャンス!特に学校推薦型選抜や指定校推薦を目指す人は、定期テストの結果が大学入試に大きく影響します

一般選抜の場合も、定期テストで知識の定着度や学習到達度、自分の得意分野や苦手分野を知ることが受験勉強につながっていくのです。

高校の定期テストで高得点を取るための対策

高校の定期テストで高得点を取るための対策
毎日の授業に集中して積極的に質問しよう
高校の定期テストで高得点を取る対策としては、「授業」「アウトプット」「計画」が3本柱。毎日の授業に集中してのぞみ、予習~授業~質問~復習の学習サイクルを習慣にしていく。勉強したことは、問題集を解き、友達と教え合うなど、アウトプットをすると確かな記憶として定着する。具体的な目標を設定し、全体像を見渡した計画を立てよう。

日々の授業を大切にする

高校の定期テストで高得点を取るには、なんといっても授業!集中力Maxで授業を受けて、授業時間内に可能な限り理解することが基本中の基本です。いかに集中して授業にのぞむのか、そのためには予習をしっかりしておくことが必須になります。

わからないことはすぐ質問する

授業でわからないことがあったら、すぐに質問する姿勢が大事です。疑問を残したままにしないよう、授業中や授業が終わった後、先生に質問して、早い段階でわからないことを解消しましょう。予習して授業を受け、疑問点を質問して復習する、この学習サイクルを毎日の学習習慣にしておくと、定期テストの勉強がスムーズにいきます。

友達と教え合いをする

高校の定期テストで高得点を取るための対策
友達に教えることがアウトプットになる
「わかったつもり」ではテストの得点につながりません。記憶は、インプットだけでなくアウトプットすることで、より確かなものになります。「友達に教える」ことで、あやふやな記憶が明瞭になり、確かな記憶として定着するのです。自分の得意分野は積極的に友達に教えて、わからないところは友達に聞きましょう。勉強を教え合う友達の存在は、励みにもなりますよ。

問題演習に時間をかける

「覚えたはず」で済まさず、問題集などをくり返し解くことで、アウトプットできるかどうか試しておきましょう。アウトプットにしっかり時間を使うことが大事。アウトプット力を磨くことは、受験勉強にもつながっていきます。

計画的なスケジュールを立てる

高校の定期テストは科目数が増えるので、うまく勉強計画を立てることが重要。点数を稼げそうな優先順位の高い科目・分野から先に取り組めるようスケジューリングしましょう。定期テストの科目全体をしっかり見渡して、「コスパのいい分野=時間をかけた分だけ得点力がアップしそうな分野」を優先して取り組む計画を立てることをおすすめします。

範囲が広すぎる教科、あまり理解できていなくて時間がかかりそうな分野から何も考えずにテスト勉強を始めて、沼にはまってしまい、優先度の高い科目・分野が後回しにならないよう注意!

具体的な目標を決める

わかりやすくリアルな目標があると、モチベーションが上がり、テスト勉強を頑張ることができます。「得意な数学Ⅰで80点以上取る!」「苦手な生物はクラス平均以上!」など、具体的な数字で目標を決めておきましょう。

ただし、「3教科で学年1位!」といった高すぎる目標は達成しにくく、モチベーションにつながらないので、ちょっと背伸びをして、あるいはジャンプして、ギリギリ届くぐらいのイメージで目標設定するのがコツです。

高校の定期テストの勉強スケジュールの立て方

定期テストの勉強には、計画的なスケジューリングが必須!そこで、単元が終わってから、テスト3週間前~前日までの流れに沿って、効果的な勉強スケジュールの立て方を紹介しよう

単元が終わったら 教科書とノートでポイントをチェック
3週間前から2週間前 テスト勉強に必要なものをそろえる
2週間前から1週間前 勉強時間を見積もって学習計画を立てる
1週間前から直前 テストの時間割に合わせて計画を微調整
前日 弱点ノートなどを使って見直しをする

 

<単元が終わったら>教科書とノートでポイントをチェック

各科目の単元ごとに復習する習慣をつけることが大事。
「単元が終わった週の土日は必ず復習」をマイルールにすることをおすすめします。最近は、定期テストを廃止して、単元テストを導入している高校も徐々に増えています。単元テストがあっても対応できるくらいに復習しておきましょう。単元ごとだと、定期テストよりも範囲が狭くて勉強しやすく、終わってすぐなので記憶も残っていて、学力アップにつながりやすくなります。

文系科目なら、教科書とノートを照らし合わせて、ポイントをチェック。理系科目は、教科書の例題や類題をもう一度見直します。
教科書やノートを見て授業をふり返り、ポイントをおさらいしておく
と、テスト勉強にかかる時間の見積もりがしやすくなります。

1科目あたり1時間~1時間半くらい、ややこしいと思った単元、苦手な科目は2時間が目安。土日を使って週末に復習する習慣をつけておくと、受験勉強にもつながっていきます。

<3週間前から2週間前>テスト勉強に必要なものをそろえる

定期テスト3週間前になったら、まずテスト勉強に必要なものをそろえます。授業のノートやプリントのヌケモレがないかをチェック。欠席したり、授業中に寝てしまったり、ノートを取れなかった部分があれば、友達に写させてもらいます。

テスト範囲の全体像をつかみ、この分野は特にヤバイ…と気になったら、先生や友達に質問して、ある程度は理解しておきましょう。苦手分野は全部しっかりと時間をかけて勉強する必要があるので、3週間から2週間前までに手をつけて、後回しにしないことが大事です。

<2週間前から1週間前>勉強時間を見積もって学習計画を立てる

定期テスト2週間前になったら、テスト範囲全体を確認して学習計画を立てます。しっかりと時間をかけて苦手分野に取り組まないといけない教科を優先してスケジューリング。テスト範囲の教科書を通読し、各科目の全体像をつかんでおきましょう。この科目は範囲が広くて手ごわい、この科目はサラッと復習すれば大丈夫そうなど、必要な勉強時間をうまく見積もることがポイントです。

テスト範囲のノートを通読し、理解が追いついていない分野があれば、できるだけ早めに先生や友達に教えてもらいましょう。あとは自分で復習すれば、他人に聞かなくても大丈夫という程度まで理解を深めておくといいですね。

<1週間前から直前>テストの時間割に合わせて計画を微調整

定期テスト1週間前に時間割が発表されたら、学習計画を微調整します。例えばテスト期間が、木曜日から翌週の水曜日まで、というように休日をはさむ場合は、土日の使い方が重要ポイント。後半の月曜日から水曜日までの科目は土日に集中して取り組むことにして、前半の木曜日と金曜日の科目の優先順位を上げるとか、同じ日に行われる科目の組み合せも考えて、勉強スケジュールを調整しましょう。

直前1週間にやることは、文系科目の場合、学習計画に従って、教科書・ノート・用語集をベースにインプットをしていく。授業で使っている各科目のノートとは別に、直前おさらい用「弱点ノート」を作って、理解が足りていない部分を書き出したり、教科書やプリントをコピーして貼ったりしておくことをおすすめします。

理系科目の場合は、計画に従って、教科書・ノート・傍用問題集をベースに、例題やA問題(基本問題)、B問題(難易度の高い問題)を解いていく。問題ごとにチェックボックスを作って、「大丈夫」「少しアヤシイ」「再度復習が必要」など、定着度を〇△✕でチェックしておくと、その後のテスト勉強や直前の見直しで、どの問題を優先すればいいか、わかりやすくなります。

この段階になっても、一人では解決できない分野、先生や友達に聞かなければわからない分野が出てきたら、必ず翌日中にクリアするようにしましょう。

<前日>弱点ノートなどを使って見直しをする

定期テスト前日は、弱点ノートやチェックボックスを使って、翌日の科目の総復習をします。

文系科目は、教科書・ノート・用語集をベースにしたインプットのおさらい。弱点ノートの見直しをします。問題集や参考書があれば、アウトプットすることで記憶を確かめましょう。

理系科目は、教科書・ノート・傍用問題集をベースに、例題やA問題、B問題のおさらい。チェックボックスに従って見直し、テスト前の10分間の休み時間では、どこを復習しておけばいいのか、優先順位を決めておくといいですね。

高校の定期テストに向けた勉強法【教科別】

定期テストに向けた勉強法として、教科別にどんなことをやればいいのか。具体的な対策を紹介しよう。

国語 教科書を読み込み、ノートを見返してポイントを整理
英語 教科書を音読、和訳して、単語や文法などをチェック
数学 例題や類題をくり返し解き、解答解説や別解まで読み込む
理科 問題集や参考書を使ったアウトプットで理解を深める
社会 教科書を読み込み、丸暗記ではなく背景まで理解しておく
保健体育・芸術・家庭 教科書、ノート、プリントで重要事項をインプット

 

<国語>教科書を読み込み、ノートを見返してポイントを整理

【現代文】
・テストで出題された本文を見て、「この段落の、この部分」と判断できるくらいに教科書を読み込んでおく。
・本文の漢字の読み書き、語句の意味を完璧に覚える
ノートを見返し、ポイントを整理。その段落の“肝”となる部分を再度理解しておく。
・「学習の手引き」など、復習に適したまとめのページの問題がスラスラ答えられるようにしておく。
・教科書準拠問題集やプリントを用いて、各ポイントについて問いに答えられるようにしておく。

【古典】
・テストで出題された本文を見て、「この段落の、この部分」と判断できるくらいに教科書を読み込んでおく
本文の現代語訳がスラスラできるようにしておく。単語の意味も覚える
・現代語訳しにくい箇所(誤って訳しやすい箇所)について、文法・句法をチェック。古文では特に助動詞・助詞・敬語の意味&働きをしっかり押さえておく。漢文では句法(否定、反語、抑揚、比較など)をしっかり押さえておく。
ノートを見返し、授業中に先生が説明したポイントをチェック。単語、文法、句法に加えて、古典常識や背景、和歌の修辞、文学史なども押さえておく。

<英語>教科書を音読、和訳して、単語や文法などをチェック

教科書の本文を音読して、単語&熟語、イディオムの意味をチェックする。
・本文を何度も読み込み、文法事項(否定、疑問、関係詞、時制、受け身など)を確認する。
・本文を和訳しながらノートを見返して、授業中に先生が説明したポイントをチェック。正確な訳出のポイント(文法、単語の意味、意訳など)をふり返っておく。
・教科書準拠のワークやプリントを用いて、各ポイントについての問いに答えられるようにしておく。
・本文の音源(CDなど)を聴き、日本語訳を意識しながら、暗記できるぐらいまで本文に慣れておく。
・例えば、単語200語を覚えるなら、20語ずつ10日間ではなく、50語ずつ4日間で覚えて、5日目から2周目に入る。1語1語、完璧に覚えるより、7割でいいから何周もする

<数学>例題や類題をくり返し解き、解答解説や別解まで読み込む

教科書の例題、類題をくり返し解き、問題を見たら解答が思い浮かぶくらい暗記する。
・ノートを見て、授業で扱った問題で手ごたえの悪かった問題を解き直す。
・傍用問題集のA問題のうち、授業で扱った問題や教科書に載っている問題と同じタイプの問題を解答する。解答解説を丹念に読み込み、同じ問題が出れば解けるところまで仕上げておく。
・教科書や問題集の章末問題、傍用問題集のA問題のうち授業で扱っていない問題、余裕があれば傍用問題集のB問題も、同様に取り組んでおく。
・公式を覚えるだけでなく、公式の成り立ちや使い方など、背景的な部分も含めて理解したうえで、その分野の典型的な問題がしっかり解けるようにしておく。
・「別解」が載っている問題を見返し、この方法もある!と記憶のインプットを重ねて理解を深める。別解をチェックすることで、似たような問題が出たときの応用力をつけていく。
・上記の勉強をするなかで、手ごたえのアヤシイ問題、よく間違えてしまった問題について、間違いノートを作っておき、テスト直前に見返す

<理科>問題集や参考書を使ったアウトプットで理解を深める

【物理】
・数学と同じやり方で、例題や類題をくり返し解く。ただし、公式の丸暗記だけでなく、「公式が導き出された過程」についてノートを見直し、授業を思い出して、しっかり理解しておく。
・傍用問題集をフル活用して、多くの演習を積んでおく。

【生物】【地学】
教科書、ノート、プリントを照らし合わせて、各項目を整理しながらインプットする。用語や概念については、時間をかけて人に説明できるぐらいにしておく。
・実験データや図表に基づく問題に対応するため、「何が原因でこういう結果になるのか」理屈を意識しながら実験や図表が導く事実・結果をインプットしておく。
傍用問題集や網羅型の参考書を用いて、アウトプットを取り入れながら、知識を整理していく。「遺伝」など、頻出分野であり、差がつく分野は、特にこの学習が有効。

【化学】
教科書、ノートを参照して、元素記号・化学式・物質名・現象名などの基本知識を整理し直す
・参考書を読み込み、整理し直した基礎知識を上塗りしていく。
・傍用問題集や参考書を使って、数学の「例題」「類題」レベルの問題を解き、アウトプットすることで理解を深めていく。
・生物・地学と同様の学習法から始めて、物理と同様の学習法の両方を進めていくイメージ。

<社会>教科書を読み込み、丸暗記ではなく背景まで理解しておく

【世界史】【日本史】
教科書を読み込んで、大きな流れをつかむ
・ノートを見直して、それぞれの時期のポイントを覚え直す
・事件名、人名、地名(国の領域を含む)などに注意し、用語集を活用して、細かな点の理解を深めておく。
・考査範囲の各事項について「誰が」「いつ(年代・どんな背景で)」「何を(事件など)」「どうなった(結果)」と説明できるぐらいに知識を整理しておく。背景をしっかりつかんでおくと、受験勉強につながる質の高い学習となる。
・例えば徳川歴代将軍や中国の王朝など、たくさんのことを順番に覚えるには、一日に何回か見る場所に貼っておくなどして、1回で覚えるのではなく、くり返すことで記憶の上塗りをしていく。

【地理】
教科書、ノート、地図帳、プリント、資料集を同時並行で照らし合わせながら、1単元ずつ知識を整理してインプットしていく。
・特にポイントになるのが資料集。写真・分布図・統計グラフ・地形図などを見て、略図から地形の名称を答えたり、雨温図を見て気候区分を答えたりできるよう、各地域の特徴を「文章」だけでなく「資料」としてつかんでおく。
・重要事項は丸暗記ではなく、地域の特徴が現れる背景・理由を説明できるようにしておく。

【公民(現代社会、政治経済)】
徹底して教科書を読み込む
・本文と関連する統計資料(教科書、資料集)を参照し、具体的にイメージしておく。数字の丸暗記ではなく、こういう数字がこういう状況を表している、と理解できるようにする。
ノートを参考にして、授業を思い出しながら、資料集の重要事項の着眼点を整理しておく。

<保健体育・芸術・家庭>教科書、ノート、プリントで重要事項をインプット

教科書、ノート、プリントを突き合わせて、重要事項をインプットする。

※単位数が少ない科目で、後回しになりがちな科目だが、しっかり準備すれば得点できるので、「副教科」という考えは捨てて、軽視せずに取り組む。1回のテストで評定平均を上げるチャンスだと考える。

高校の定期テスト対策で学習効果を高めるコツ

高校の定期テスト対策で学習効果を高めるコツ
勉強を始めて最初の30分間は集中力をキープ

テスト勉強の学習効果を高めるには、まずは効果的な優先順位をつけた計画を立てること。勉強する時は最初の30分間の集中力をキープすることが大事。寝る前と翌朝に暗記科目をおさらいしたり、人に教えるアウトプットをくり返したりすることで、しっかり記憶を定着させることができる。さらに、目標達成した姿をイメージすることで、モチベーションを上げていこう。

優先順位をつけて計画を立てる

まずは、優先順位をしっかりつけて計画することが大事。全体像を見渡して、限られた時間に、どれを、どのくらいやるのか、優先する順番を考えてスケジュールを立てます。

定期テストの2週間前に計画を立てて、1週間前にテストの時間割をチェックしてスケジュールを微調整。勉強にかけた時間が得点アップにつながるコスパの良い分野に優先して取り組む計画を立てるといいでしょう。例えば、時間をかけて漢字や単語を完璧に覚えても、テストの配点は少ないと思います。先生に、どこを覚えておくといいか、コスパの良いところを聞きに行くと、プチ解説してくれるかもしれませんよ。

最初の30分はとにかく全集中!

人間の脳は「集中モード」に達するまでに平均30分程度かかるといわれています。その30分間に何かで勉強の邪魔をされると集中力は0に戻り、それをくり返すと気力がなくなって、「もうだめだ、集中できない」という状態に陥ってしまいます。これを「地獄のリターン運動」と言います。そうならないために、勉強を始めて最初の30分間、集中力を妨げるものはシャットアウト。スマホなど、気を散らしそうなものは近くに置かないようにしましょう。

集中力が落ちてきた…と思ったら、適度な休憩をとることも必要。チョコレートやブドウ糖のサプリメントなどで脳に栄養を届けるといいですね。勉強している時、脳はものすごくエネルギーを使いますが、脳の栄養補給になるのはブドウ糖だけなので、勉強前や勉強中はブドウ糖をおすすめします。

暗記科目は寝る前に勉強する

人間の記憶は、睡眠中に定着するといわれています。そこで、寝る前に暗記科目を勉強して、その日にインプットしたことをふり返っておきます。しっかり眠ることも記憶の定着には重要なので、1日7時間睡眠を確保しましょう。翌朝、10分~15分くらい早く起きて、前夜に覚えたことを確認すると、記憶の二度塗りができて、さらに効果的です。

アウトプットで記憶を定着させる

友達と問題を出し合ったり、教え合いをしたりして、休み時間を上手に使いましょう。「人に教える」というアウトプットをすると、あやふやだった理解が確かなものになり、効果絶大!人に教えるつもりで、声に出して説明してみるだけでもいいと思います。自分で自分に説明してみたり、家族に聞いてもらったり、アウトプットをくり返すことが大事です。

成功イメージを頭に描く

高校の定期テスト対策で学習効果を高めるコツ
100点を取った時の自分を想像してみよう
クラストップの点数を取ってドヤ顔をする自分。苦手科目でもクラス平均点を上回り、胸を張る自分。うまくいった時のイメージを具体的に頭に描くと、モチベーションアップになります。友達からほめられたらどうリアクションしようか、ライバルに勝った時に何て言いながら成績表を見せようかなど、具体的に思い描いてみるとテンションが上がりますよ。

高校生のタイプ別・定期テスト対策のアドバイス

ここでは、高校生のタイプ別に、どんな対策をすればいいか、紹介しよう。<このタイプのあるある>で3つ以上当てはまったら、その対策をチェック!複数のタイプに当てはまる人は、合わせ技で試してみよう。

真面目だけど不器用な完璧主義タイプ

<このタイプのあるある>
☑  ノートをきれいにまとめようとしすぎて時間が足りない
☑   ワークを1ページ目から順番にやりたくなる
☑  「全部理解してからじゃないと次に進めない」と思ってしまう
☑  1日の目標をクリアしないと落ち着かず、夜更かししがち
☑   テストで最後の問題までたどり着けず、時間切れになる

真面目だけど不器用な完璧主義タイプは、目の前の科目や問題に集中するあまり、全体像を忘れてしまい、各科目にかけるべき時間とパワーのバランスが悪くなってしまいがち。定規を使ってていねいにマーカーをしたり、ノートをカラフルに色分けしたり、テストで最後の問題を見られず時間切れになってしまったり、という人もこのタイプといえる。
このタイプの人は、まずテスト範囲全体を見渡し、2週間前に計画を立てる時、「勉強に充てられる総時間」と「各科目の勉強に必要な時間」を引き算して、マイナスにならないよう時間配分を決めます。各科目の配当時間が決まったら、各分野、各内容の配当時間を決めていく。総枠を意識しておくことが大切です。わからないところがあったら、自分で何とか解決しようとして時間ばかりかけるのではなく、早い段階で先生や友達に聞いて、次へ次へと進めていきましょう。

やる気スイッチが入りにくく、集中力が続かないタイプ

<このタイプのあるある>
☑  「明日からやる!」が口ぐせ
☑  勉強を始める前に机の片づけをしてしまいがち
☑  スマホ通知が気になってすぐ手が止まる
☑  30分集中したら「今日は頑張った」と満足してしまう
☑  「本気になればできる」自信があるが、なかなか本気が出ない

なかなかやる気スイッチが入らず後回しにしてしまったり、すぐに気が散って集中力が続かなかったりするタイプは、「やればできる」「本気になったらできる」と謎の自信をもっていて、なかなかエンジン全開にならない人も多いのではないだろうか。
やる気スイッチが入らない人は、とりあえず机の前に30分間座って、教科書を開いてみること!マラソンでいう「ランナーズハイ」状態になるまで、とにかく勉強をやめないよう頑張ってみます。得意科目から取り組む、簡単な問題から始めるなど、頭のウォームアップを意識するといいでしょう。

集中力が続かないタイプなら、スマホを手の届かないところに置いて、着信音も聞こえないようマナーモードに設定。家族や友達に「今日中にこれを終わらせる!」と宣言して、後に引けない…という状況を作り出してもいいですね。目標となる友達や、勉強を教え合える意識高い系の良い意味でのライバルを作ると、刺激を受けたり、その人のペースのマネをしてみたり、叱咤激励してもらったりできますよ。

部活動や趣味で忙しく時間が取れないマルチタスクタイプ

高校生のタイプ別・定期テスト対策のアドバイス
部活で忙しい人はスキマ時間を活用
<このタイプのあるある>
☑  練習や大会が続いて、気づいたらテスト1週間前
☑  帰宅後すぐ寝落ちしてしまう
☑ 「部活が落ち着いたら勉強しよう」と思っているうちにテスト当日
☑  スキマ時間に勉強しようとしても疲れて集中できない
☑ 「両立しよう」と思うけど、どっちも中途半端になりがち

部活動や趣味などに忙しすぎるマルチタスクタイプは、テスト1週間前になっても部活動の調整練習があって十分な学習時間を取れないことがあるだろう。時間ができても、ついつい部屋のそうじや学習机の片づけがしたくなるとか、撮りためた録画を見たくなることも。
時間がない人はスキマ時間の活用がポイント。自分の1日のスケジュールを見直してみると、勉強できる時間があちこちにあるはずです。通学の電車の中でスマホをいじる代わりに単語を覚える、SNSではなく勉強アプリを開く、休み時間に友達とおしゃべりするのではなく勉強を教え合うなど、ちょっとした時間をムダに過ごさないこと。

部活動が終わったら、ダラダラせず、できるだけ早く帰宅。「〇時になったら机に向かう」というマイルールを厳格化するといいですね。友達や家族に「この時間は勉強に集中する」と宣言しておくと、やらざるを得なくなるし、邪魔をしないよう協力してくれるかもしれません。

苦手意識が強くて、苦手科目・分野から逃げがちなタイプ

<このタイプのあるある>
☑  苦手教科の勉強を始める前に、まずお気に入りの教科から手をつける
☑ 「これ昨日もやったし!」と得意分野ばかりくり返す
☑  苦手な教科のノートやワークを開くだけで気が重くなる
☑  苦手教科のワークが真っ白のままテスト前日
☑ 「赤点さえ取らなきゃOKでしょ」と自分に言い聞かせてしまう

苦手意識が強くて、ついつい苦手科目・分野から逃げがちなタイプ。「食わず嫌い」で苦手科目を避け、後回しにしたあげく、結局、苦手克服のための時間を十分に確保できなくなってしまうことも。
苦手意識が強い人は、1日15分~20分程度の短時間でもいいので、毎日少しずつ苦手科目に取り組むようにしましょう。心理学では、くり返し接すると、印象や好感度が高まり、関心の度合いが高まるという「ザイオンス効果」があるといわれています。例えば「○○が終わったらお気に入りの動画を見る」「○○が暗記できたらスイーツを食べる」など、ごほうびを決めてから始めるとモチベーションが上がります。

戦略が立てられない手当たり次第タイプ

<このタイプのあるある>
☑  その日の気分で科目や勉強時間を決める
☑   勉強時間を計画しても守れたためしがない
☑  気づいたら同じ単元ばかり何度もやっている
☑  ノッているときは超集中、でも飽きると即スマホ
☑  「今日は何を勉強するんだっけ?」から1時間経ってる

戦略が立てられず、手当たり次第に勉強してしまうタイプは、その日の気分で無計画に始めてしまいがち。気持ちがのっていると集中力が続くが、飽きてしまって途中で放り出すことも多々ある。計画通りにいかないもの、なんて勉強スケジュールを軽視することのくり返し。
手当たり次第にならないよう、2週間前の計画をしっかり立てることが重要。計画のコツは「足し算、掛け算、割り算、引き算」で、どの勉強に何時間かけるかを算出することです。

足し算:各科目でやるべきことをリストアップ
掛け算:1日5時間×10日間で50時間、とかけられる総勉強時間を計算
割り算:50時間÷7教科だから各科目7時間ちょっと、と各科目にかけられる時間を計算。この科目は3時間プラス、この科目は2時間マイナスなど、強弱をつける
引き算:7時間のうち、教科書の読み込みで2時間、ノート確認に1時間、問題集に3時間など、優先順位の高いものから順に進めていく計画を立てる。時間が足りないと思ったら、他の科目からもってくるか、1日5時間を6時間にするとか10日間を14日間にして掛け算の数字を増やす

高校生の定期テストについてのQ&A

高校の定期テストについて、いつ行われるか、期間、目指す点数の目安など、よくある疑問を堀先生に聞いてみた。

高校の定期テストはいつ?

高校生の定期テストについてのQ&A
高校の定期テストは年5~6回、行われている
高校の定期テストは年5回または6回

・1学期中間テスト/5月中旬
・1学期期末テスト/6月下旬または7月上旬(学園祭などの学校行事により異なる)
・2学期中間テスト/10月中旬
・2学期期末テスト/12月上旬
・学年末テスト/2月下旬~3月上旬

※3学期中間テストの形で2月上旬にテストを行う科目もあります。
※定期テストを廃止して、単元テストを導入している高校も、徐々に増えています。

高校の定期テストの期間は?

高校の定期テストは、中間テスト4日間、期末テスト4日間または5日間が標準的。1学期中間テストは範囲が狭いため、抱き合わせ教科(1時間で「現代文」と「古典」など)を実施して2日間または3日間になる場合もあります。土日をはさむかどうかで、かなり対策が変わってくるので注意しましょう。

高校の定期テストでは何点取ればいい?

範囲のわかっているテストは8割以上の得点を目指す」のが一つの目安です。高校の定期テストは範囲がきちんと決められているので、合計得点で8割以上になるよう、得意科目は9割を目標にします。理系志望なら数学や物理は満点をねらいましょう。苦手科目も7割は取れるように頑張ってください。

高校の定期テストは意味ない?受験勉強と両立すべき?

高校の定期テストの意味は大あり!範囲が決まっている定期テストできっちりと自分の学習到達度を測ることが何よりの受験勉強になります。

定期テストと受験勉強は、両立というより、定期テスト=受験勉強と考えるべきです。満点を取れなかった問題は自分の伸びしろ、範囲がわかっているのに解けない問題は自分の弱点なので、穴が見えたらきっちり復習をして、その都度、穴を埋めていくと、受験勉強が楽になります。定期テストなら、範囲が限られていて弱点をすぐ補強できるので、テストごとに復習する積み重ねが受験勉強につながっていきます。

小テスト→単元テスト→定期テスト→模試と、各テストの範囲が広がり、スパンが長くなるだけ。基礎の定着を図ることが受験勉強の基本中の基本です。

定期テストは自分の人生を豊かにする

定期テストは自分の人生を豊かにする
定期テストの勉強は「自分のために」やるものと考えよう
高校の定期テストを頑張ると、どんな未来が待っているのか。最後に堀先生から、定期テストを頑張るキミに向けて、アドバイスをもらった。
高校の定期テスト対策で勉強する科目のなかには、受験に必要ない科目はあるけれど、人生に必要ない科目はありません。

なぜテスト勉強をするのか、その答えは「自分の人生を豊かにするため」です。例えば、国語の勉強を頑張ってたくさんの言葉を身につけると、「話がおもしろい魅力的な人』になれますよね。

また、テスト勉強を頑張ってきた人には、計画力、時間管理術、目標をもって努力する力、自分で考えて動く行動力、質問するコミュニケーション能力など、さまざまなスキルが自然と身につきます。目標とする大学に進学できれば、同じようなスキルをもった人たちに囲まれて過ごすことになり、お互いに高めあえる友達や恋人ができますね。

定期テストは、社会に出たときに役立ち、人生を豊かにするための知識や能力がどのくらい身についたのか、確認できるいい機会になります。「テストを乗り越えて、また少し賢くなったぞ!」と思えるよう、「自分のために」勉強しましょう!

取材・文/やまだみちこ 監修/堀浩司 構成/寺崎彩乃(本誌)