【2025年度版】受験生がインフルエンザ、コロナ陽性になったら?大学受験トラブル対処法

大学入試を控えて心配なのが、風邪などの体調不良。

特に発熱などの症状が出たときには、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の感染も心配…。

そんなときに行うべき対応について、専門家の方のアドバイスとともにお届けするよ。

※記事内の情報ならびにコメントは2024年11月時点のものです。
 インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症の感染状況等は最新の情報をご確認ください。
 また、国や地方自治体から新たな方針が発表された際には、準じていただきますようお願いいたします。

Q. 直前に発熱、せきの症状が出たら?

※風邪かなと思ったらすぐにかかりつけ医に相談しよう

A. まずは、かかりつけ医か地域の医療機関に電話で相談

発熱やせきなどの症状が出た場合、まずは、かかりつけ医など地域で身近な医療機関に電話で受診の相談をしよう。

いろいろと心配になってしまうかもしれないけれど、まずは受診の準備と休養を優先しよう。
 

A. 体調不良時の受験の決まりも確認を

受診の相談や外出自粛と並行して、受験予定の試験の募集要項や大学Webサイトで、体調不良・感染症罹患時の受験の決まりを確認しておこう。
 
大学入学共通テストの場合、「受験案内」や受験票とともに送られてくる「受験上の注意」に、各大学の個別試験の場合「募集要項」や大学Webサイト内の入試情報ページに記載されている。
 
体調が悪くて自分で確認するのが難しい場合は、保護者や周囲の大人に協力してもらおう。

「何か症状があったり、体調の変化を感じたりした際には、隠さないことが、正しい診断を受けるためにも、万が一感染症だったときに感染を拡大させないためにも重要です。

また、すぐに帰宅や受診ができない場合は、「感染しているかも」と思って行動することが大切です。

例えば、しっかりとマスクをして(咳エチケット)、会話を控えること。

マスクは着用の効果を最大限発揮するため、素材は布やウレタンではなく不織布とし、しっかりと顔にフィットさせ(あごマスク、鼻出しマスクは×)、感染を広げる可能性のある行為は控えましょう。」(看護師:佐々木さん)

Q.インフルエンザ、コロナ陽性と診断されたら、受験はどうなる?

A.大学入学共通テストは追試験の受験申請を、個別試験は各大学の規程に従う

大学入学共通テストも、各大学の個別試験も、原則、学校保健安全法が定める出席停止期間(インフルエンザの場合は発症(=発熱)した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで。新型コロナウイルス感染症の場合は、発症(=発熱)した後5日を経過し、かつ、解熱した後1日を経過するまで。)は受験不可としている。

受験できなかったときの対応として、大学入学共通テストは「追試験」の受験機会が用意されているが、大学の個別試験については、大学によって対応が異なる。

大学入学共通テストと、各大学の個別試験、それぞれの対応を詳しく見てみよう。 

1.大学入学共通テストの場合

当日の試験は受けられず、追試験を受験するよう「受験案内」や「受験上の注意」に記載されている。
 
追試験の受験申請は、「受験上の注意」に書かれている申請受付時間内(試験4日前から、試験2日目までの所定の時間)に次の手順で行おう。
 
申請は本人か代理人どちらでもOK。

【追試験決定までの流れ】

1.受験票に記載されている「問合せ大学」に電話連絡する

2.申請受付時間内に、「受験票」と「医師の診断書」(治療期間が明記されたもの)を「問合せ大学」に持参し、申請する

3.追試験の受験が許可された場合、追試験受験許可書が交付される 

2.個別試験の場合

「振替受験、受験料返還、追試験等の対応は行わない」「後続する入試日程への振替受験の申請を受け付ける」「受験料の返還の申請を受け付ける」「追試験を行う」など、対応は大学によって異なる。

募集要項や大学Webサイトの入試情報ページで確認しておこう。

また、振替受験や受験料返還、追試験の受験を申請する場合、医療機関の診断書の提出を求める大学が多い。

必要書類についても、募集要項や大学Webサイトの入試情報ページで確認しよう。。




◆陽性の場合、高校などへの連絡も忘れずに!

直前期にインフルエンザやコロナ陽性と診断されたら、ショックや不安で押し潰されそうになることもあるかもしれない。

とはいえ、状況を変えられないのも悲しいけれど事実。

少しずつ気持ちを切り替えて、受験を続けるため、また、感染拡大を防ぐために次に挙げる手続きや連絡を進めていこう。
 
体調が優れないときは無理をせず、保護者や周囲の大人にサポートしてもらいながら進めよう。

☑ 高校や塾の先生に連絡する

感染拡大防止のための対応をとる必要があるため、できるだけ早くに連絡しよう。

君のその行動がほかの多くの受験生を守ることに繋がる。
 

☑ 受験予定の大学の対応に従い、必要な手続きを行う

別日程への振替手続き、受験料の返還手続きなど、必要な手続きがあれば進めよう。

☑ 今後の受験計画を検討する(必要に応じて)

治癒にかかる期間をふまえて、このあとどの試験から受験できそうか、また、振替可能な試験の有無や日程などを確認し、必要であれば受験計画を練り直そう。
「高校や塾は対応を検討する必要があるので、陽性とわかる前、体調不良の時点から、受診後の結果、検査の有無など、タイムリーに情報共有していけるとよいと思います。

また、自分の体調だけでなく同居家族など、いつも身近にいる方が体調不良の場合も、同様に情報共有することで、速やかな対応につながります。
 
いずれも検査は偽陰性の場合もあり、100%正確ではありません。
 
陰性であっても体調に不安がある場合には、無理せず休息をとることも大切です。」(看護師:佐々木さん)
「受験の日に向けて一歩一歩積み上げてきたことを思うと、受験生のショックは計り知れないものと想像されます。
 
簡単に気持ちを切り替えられることではないと思いますが、3月入試を視野に入れるなど、受験できる可能性もゼロではありません。
 
まずは休養を優先して、できるタイミングで学校の先生や塾の先生と受験計画を練り直しましょう。」(スタサプ講師:神﨑先生)

Q. 家族や友人がコロナに感染してしまったら、受験はどうなる?

※もし身近な人がコロナに感染してしまったら…

A.発熱・咳などの症状がなければ受験可能

大学入学共通テストも、各大学の個別試験も、いわゆる濃厚接触者の受験を制限していない

ただし、発熱や咳などの症状がある場合は、受験しないよう呼びかけている大学は多い。
 
募集要項や各大学Webサイトの入試情報ページを確認しよう。

なお、大学入学共通テストの場合、発熱・咳などの症状があるなど、体調が万全でない場合は無理して受験せず、追試験の受験を申請するよう「受験案内」に記載されている。

感染症は身近な人ほどうつりやすいです。
 
そのため、同居している家族や、おしゃべりや食事をよく一緒にする友人などが感染した場合には、自身も感染する(している)可能性が高くなります。
 
症状がなければ検査をする必要はないと思いますが、潜伏期間を考え、特に1週間程度は注意深く体調を観察し、症状が出たらすぐに相談・報告をしましょう。」(看護師:佐々木さん)

Q.試験会場で受験生がやるべき感染症対策は?

A.各大学の指示に従おう

試験会場で受験生に求められる感染症対策として、一律のものは定められていない。
 
ただし、各大学の判断で、定期的な換気や速乾性アルコール製剤の設置などの感染対策を実施している場合があるため、受験生への注意喚起がないかどうか、募集要項や大学のWebサイトで確認しておこう。

大事な受験の機会に感染症が広がらないよう、各大学は感染症の特徴に応じた対策をとる。

急な発熱・体調不良時にやるべきことチェックリスト

ここで、もう一度、大事なポイントをおさらいしよう。

このリストをスクショして、スマホのロック画面&ホーム画面の壁紙に登録しておくとすぐに確認できるよ。
【発熱や風邪症状が出た場合】

☑ かかりつけ医か身近な医療機関に電話で相談する

☑ 募集要項・大学Webサイトで、体調不良時の受験の決まりを確認する

【インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症陽性と診断された場合】

☑ 高校や塾の先生に連絡する

☑ 受験予定の大学の対応に従い、必要な手続きを行う

☑ 今後の受験計画を検討する(必要に応じて)

体調が優れないなか、ひとりですべてを抱え込もうとすると、辛くなってしまうもの。

保護者、学校や塾の先生など、信頼できる大人と相談しながら進めることで、精神的にも落ち着いて対応することができるはずだ。

また、余裕のある時期に、あらかじめ受験校の募集要項や大学入学共通テストの受験案内を確認しておけるとさらに安心。

この記事を読んだ人は早めに準備しておこう。

感染症対策として気をつけるべきこと

※インフルエンザやコロナの予防をしっかりとしよう

最後に、インフルエンザやコロナの予防のために、どんなことに気をつければいいのか、専門家の意見を聞いたよ。 
「体調不良になったときに必要な対応を知っておくことはもちろん大事ですが、より重要なのは、体調を崩さないように日頃からできる予防策をとること。

勉強のために睡眠時間を削ってしまう受験生もいますが、あまりおすすめできません。

直前期は、十分な睡眠と食事をとって規則正しい生活をすることを心がけ、体調管理に努めてください。」(スタサプ講師:神﨑先生)
「受験シーズンは例年感染症が流行しやすい時期と重なります。
 
基本的な感染予防策を実施するとともに、いつも以上に注意して感染リスクが高まる行為は避けることが望ましいと思います。

また、感染経路で最も多いのが家庭内感染ですので、家族の協力も不可欠となります。

家族も含め、以下に挙げる基本的な感染対策をしっかりと行いましょう。

いわゆる3密(密閉・密集・密接)空間への出入りや行動は最小限にする
 
・3密空間などでの適切なマスクの着用(鼻出し、あごマスク等になっていないか)。マスクの着用は口や鼻の乾燥予防にもなる。

手洗い・手指消毒(外出から帰ったあと、食事の前、トイレの後などは特に)

汚染されている可能性のある手で、目や口、鼻を触らない(人は無意識に顔に手がいく習性があります)

部屋の換気と加湿(空気が乾燥すると呼吸器感染症のリスクが高まります)

最後に、感染症に負けない身体づくりが大切です。

これは、特別なことではなく、バランスの良い食事をとり、睡眠・休息もとるということです。

勉強の頑張りすぎや無理をして体調を崩したら元も子もありません。

また、予防法の一つとしてインフルエンザやコロナにはワクチンがあります。

ワクチンの主な効果は、インフルエンザは発症や重症化予防、コロナは重症化予防です。
 
最近では、新たな種類のワクチンも出てきていますので、接種を考えるにあたっては、効果や副反応、価格などをふまえ、かかりつけ医などに相談してみるのもよいと思います。
 
ワクチンを接種する場合、接種後2週間程度から効果が発揮されますので、計画的に行いましょう。

上記のさまざまな対策を組み合わせて実施することで、予防効果が高まると思います。

体調万全で本番に自分の力を最大限発揮できることを心よりお祈りしています。」(看護師:佐々木さん)
<監修者プロフィール>

看護師:佐々木恭兵さん

日本看護協会感染管理認定看護師。
2009年看護師国家試験合格、同年、国立病院機構村山医療センターに入職。
整形外科(脊髄損傷病棟)での勤務を経て、16年、日本看護協会感染管理認定看護師の資格を取得。
17年10月より感染管理専従として活動している。
また、20年度より東京都看護協会感染対策委員会の委員として、地域の看護職員への研修運営などにも携わっている。


スタサプ講師:神﨑史彦先生

株式会社カンザキメソッド代表取締役。スタディサプリ講師。私立学校研究家。
高大接続・教育コンサルタント。21世紀型教育機構リサーチ・フェロー。
大学卒業後、大学受験予備校において小論文講師として活動する一方、通信教育会社や教科書会社にて小論文・志望理由書・自己アピール文の模擬試験作成および評価基準策定を担当。
のべ6万人以上の受験生と向き合うなかで得た経験や知見をもとに、小論文・志望理由・自己アピール・面接の指導法「カンザキメソッド」を開発する。
現在までに刊行した参考書は26冊(改訂版含む)、販売部数は延べ25万冊、指導した学生は10万人以上にのぼる。
取材・文/浅田夕香 監修/佐々木恭兵、神﨑史彦 取材協力/公益社団法人東京都看護協会感染対策委員会 構成/寺崎彩乃(本誌)
参照/令和7年度 大学入学共通テストQ&A 令和7年度 受験上の配慮案内  独立行政法人 大学入試センターHP
※2024年11月更新 


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