ケアレスミスをなくすには?今すぐできる対策10選&効果的な方法!原因まで解説
試験の答案を見直して「えっ!何でこんなところで間違えているの?」「わかっていたのに…」と思った経験ってある?テストや受験などでは致命傷となるかもしれないケアレスミス。
今回はケアレスミスはなぜ起こるのか、またどうしたらケアレスミスを防ぐことができるのかについて、専門家の先生にうかがってきたよ。
目次
和田秀樹先生
1985年東京大学医学部卒業。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック(アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化したクリニック)院長。
代表を務める緑鐵受験指導ゼミナールは毎年無名校から東大合格者を出し、話題となっている。
主な著書に『受験は要領』(PHP文庫)、『ケアレスミスをなくす50の方法』(ブックマン社)などがある。
ケアレスミスとは?
ケアレスミスとは、不注意によって起こる間違いのこと。
「careless」の意味のである「不注意な」「軽率な」のとおり、よく考えればわかるのにうっかり間違えてしまうことや、問題の読み間違いや都合のいい解釈などの勘違い・思い込みによって起こるミスを指す。
なぜケアレスミスは起こるの?対策はできる?
ケアレスミスが起こる理由は、慣れや気のゆるみから確認を忘れる・怠る、または、過信や慢心から脳が「正しい」と判断してしまうことが挙げられる。
そのほか、緊張やプレッシャー、疲れなどもケアレスミスが起こる要因となる。
ケアレスミスをなくすには、原因をしっかりと分析することが大切だ。
ケアレスミスが起こる主な原因を和田先生に聞いたので、次にまとめてみたよ。
ケアレスミスが起こる主な原因
※何でこんなところを間違えているの⁉と思うことも少なくない
「大丈夫」という油断や慢心
先述の通り、ケアレスミスの原因の一つは、慣れが出てきて油断したり、気がゆるんで確認を怠ったりすること。
みんなのなかにも、初歩的な計算ミスや確認忘れによるミスを経験したことがあるという人は多いのでは?
答えが合っているという自信があるから見直そうという気にならない、合っている前提でさらっと見直しを済ませてしまうなど、「大丈夫だ!」という過信や慢心がある時こそ、ケアレスミスが起こる可能性が潜んでいる。
「正しい」という思い込み
誤った情報が正しい情報として脳にインプットされる、思い込みによるケアレスミスも多い。
「問題文の意味を勝手に解釈していた」「カタカナで解答する問題に平仮名で書いてしまった」など、都合のいい解釈や勝手な思い込みがケアレスミスにつながっている。
自分では「きちんと確認した」と思い、脳が「正しい」と判断してしまうと、それを疑う思考が働かなくなるため、明らかなイージーミスであってもその場で気づきにくくなる。
この場合、別の角度からも問題を検討する、ちょっと時間を置いてから見直しをするなど、「フリーズした脳を解凍する」必要がある。
緊張のしすぎや焦り
適度な緊張状態のほうが能力を最大限に発揮できると言われるが、緊張のしすぎが脳の働きを低下させ、ケアレスミスにつながることがある。
人間は、緊張すると脳内でノルアドレナリンという神経伝達物質が分泌されて集中力が増すが、ノルアドレナリンが過剰に分泌されると、情報の混乱が起きて逆に思考力や判断力が低下してしまう。
また、時間がないと焦っている時ほど、手早く問題を解答しようとして問題文の条件を見落としたり、強引な計算に持ち込もうとしたりするので、ケアレスミスが起きやすくなる。
「焦りすぎて頭の中が真っ白になってしまった」という状態になったら、ひと呼吸おいて余裕を取り戻し、視野を広げる意識をもとう。
問題文の情報整理をせず、見切り発車で解答
問題文からの情報をきちんと整理しないまま、「こんな感じだろう」と見切り発車で解き始めることも、ケアレスミスの原因。
問題の意図を把握するという最初の大切な段階をおろそかにすることでボタンのかけ違いが生まれ、思わぬところでケアレスミスが出てしまう。
見切り発車で解答しないためには、問題文などの情報を目に見える形にして把握する「情報整理力」が求められる。
疲れや集中力の低下
集中力の持続には限界があるため、脳の疲れによって思考力が低下することで、ケアレスミスが起こりやすくなる。
試験の後半に疲れてきて、集中できず注意散漫になったり、頭がボーっとしてきたりするとケアレスミスが生まれやすい。
ひとつのことに集中しすぎると脳が疲れて思考力が低下するので、いったん別の問題を解くなどして脳をリフレッシュさせよう。
ケアレスミスをなくすには?ケアレスミスの対策10選
※ちょっとした工夫でケアレスミスはなくせる!
ケアレスミスをなくすには、頭の中だけで完結させずにメモをするなど情報を視覚化して整理すること、思い込みにとらわれずに視点を変えて検討・確認することが大切。
例えば、問題文の重要だと思った部分に下線や印をつけて確認する、問題文を目に見える形にビジュアル化する、暗記している公式をいったん書き出すなど、記憶や暗算に頼らず『頭+手+目』を使って確認することで、ケアレスミスをなくすことができる。
そのほかにも、例えば正しい選択肢を選ぶ問題なら、正しい選択肢を探すことに加えて、間違いの選択肢を消して残ったものが同じ解答になるかを確認したり、見直しの時に「6×7」という計算式を「7×6」と計算順を逆にして検算したりと、視点を変えて考える対策も効果的。
ケアレスミスには一定のパターンがあり、それを防ぐための対策やテクニックがあるので、今回はその一部をご紹介します。
対策をとって試験を受けるとかなり違いがあるはずですので、ぜひ試してみてください」。(和田先生:以下同)
2. 積極法と消去法のセットで答えを選ぶ
3. 設問の条件に印をつけて確認
4. 簡単な計算こそ慎重に
5. 符号は移項直後に慎重に確認
6. 公式を書き出してから数値を代入
7. 忘れそうな条件は解答欄付近にメモ
8. 頭の中だけで考えず、図を描いて考える
9. ミスを記録するノートを作る
10. 人の失敗から学ぶ
次から、ひとつずつ詳しく見ていこう。
プロが教える!ひと手間でケアレスミスをなくす方法
1. 指差し&小声でつぶやき、写し間違いを防止
「例えば簡単な問題のはずなのに途中で行き詰まった時は、問題を写し間違えている可能性も。
こうした写し間違えを防ぐためには、写したい文字を指で差し、その文字を小声でつぶやきながら慎重に書き写す方法がおすすめです。
写し終わった後も1字ずつ指で差しながら声に出して再度チェックしましょう。
テスト中など、声を出すのが難しい場合は、心の中でつぶやくだけでも効果があるでしょう。
特に、数学では長い数式は細かく区切って書き写すといいですね。計算式で導き出した答えを解答欄に記入する時も写し間違えが起こりやすいので注意が必要です」。
2. 積極法と消去法のセットで答えを選ぶ
「選択肢を選ぶ問題では、『正しい選択肢を探して解答する』という『積極法』と、『間違いの選択肢を消して残ったものを解答する』という『消去法』の2つのやり方があります。
『積極法』で考える場合、『これが正しい』と思うとすぐに解答したくなるものですが、そこは頭を切り替えて『消去法』で見直してみてください。
広い視野で全体を見直すことで思い込みによるミスを防ぐことができるので、『積極法』と『消去法』を併用して使うことがおすすめです」。
3. 設問の条件に印をつけて確認
「計算式や検算に意識が集中し、そもそも出した答えが設問の条件に合っていなかったという経験をした人もいるのではないでしょうか。
特に設問の条件が複数ある場合は見落としやすい傾向があります。
設問を読みながら『重要』と思った箇所に下線や印をつけておき、解き終えたら導き出した解答が条件を満たしているかを確認します。
確認ができた条件から下線や印に『✓』マークをつけて確認漏れを確実に防ぎましょう」。
プロが教える!計算時のケアレスミスをなくす方法
※「簡単!」という気のゆるみに注意!
4. 簡単な計算こそ慎重に
「理数科目の場合、ケアレスミスは計算プロセスで起こることがほとんど。特に、簡単な計算だから暗算でも大丈夫という油断が一番危険です。
暗算に頼らず途中式をきちんと書くことは普段から習慣づけておきましょう。
『頭』だけで計算するのではなく、『頭+手+目』を使って確認すること。これでミスを未然に防げるようになります」。
5. 符号は移項直後に慎重に確認
「『+と-を書き間違えた』『計算問題で()を外す時、+と-を逆にして解答した』など、意外と多いのが符号のミス。
これは『当たり前の作業』と慣れてしまったことによるミスと言えます。
このミスに対しては、途中式をきちんと書くこと、移項した直後の符号確認を徹底することが効果的です。
符号のチェックをする際に、移した項に下線を引き、移項前の符号と逆になっているかを確認し、逆になっていれば下線の下に『✓』マークを入れるとよりミスを防ぐことができます」。
6. 公式を書き出してから数値を代入
「時間に追われている時ほど、公式を書かずにいきなり数値を計算したくなりますが、それがケアレスミスの元になります。
公式を適用する問題では、記憶している公式をいったん書き出して『目に見える形』にしてから数値を代入する習慣をつけましょう」。
プロが教える!長い文章問題でのケアレスミスをなくす方法
7. 忘れそうな条件は解答欄付近にメモ
「問題文に重要な条件がいくつか出てきても、問題文が長くなるほど解いているうちにその条件を忘れてしまうことがあります。
そうしたうっかりミスを防ぐために、問題文を読んでいて『ここは重要』と思ったタイミングで解答欄付近に条件をメモしておく方法があります。
そして、答えが出たら、メモした条件と合っているかを確認します。さらに条件の見落としを防ぐため、最後に問題文を再読するといいでしょう。
解答欄付近に条件をメモする時は、鉛筆で薄く書くこと、簡潔に短く書くこと、答えを記入したら消しゴムで消すことがポイントです」。
8. 頭の中だけで考えず、図を描いて考える
「問題文を自分で図形やグラフ化してから解く方法も有効です。
文章題で重要なのは、情報を整理して問題の意図を把握すること。図を描くことによって視覚的に問題の意図が把握しやすくなります。
図を大きめに描けばそこに情報を書き加えることもできるので、どんな簡単な問題でも図を描く習慣をつけるといいですね」。
ケアレスミスには日頃からの対策が必要不可欠
「ミスの可能性を疑って冷静に見直しをすることは重要です。
ただ、最近の試験の傾向を見ると、長文問題をいくつも解くなど情報処理能力を問う試験が増えているので、そもそも見直す時間がないという人も多いのではないでしょうか。
だからこそ、大切なのが、ケアレスミスへの事前対策です。日頃から対策をとり、ケアレスミスを起こさない工夫や努力をすることも重要なのです」。
ケアレスミスは試験中に気をつけたり、見直しで拾ったりするものだと思っていたけど、和田先生によるとミスを防ぐ事前の対策があるそう!
さっそくその対策も教えてもらったよ。
プロが教える!ケアレスミスをなくす事前対策
※試験当日だけでなく、事前にケアレスミス対策をしておこう
9. ミスを記録するノートを作る
特にケアレスミスに関しては重く受け止めず、『次から気をつけよう』とその場で思って終わりにしてしまうことが多いのではないでしょうか。
本当にケアレスミスをなくしたいと思うなら、失敗から学び、繰り返さないための工夫や努力をしましょう。
そこでおすすめなのが、ノートに自分のケアレスミスを書き出したり解答用紙を貼り付けたりして、失敗を記録した『ミス集』を作り定期的に見直す方法です。
そうすることで、自分がしたミスと向き合い、なぜ間違えてしまったのか、どうすれば防げたのかを検証することができます。
さらに、自分がしやすいミスの傾向もわかるので、ミスを防ぐ解き方の工夫や対策が見えてくるはずです」。
10. 人の失敗から学ぶ
「人がする失敗は自分もしやすいもの。そこで、『失敗博物館』を作る方法もおすすめです。
これは、友達とケアレスミスの内容を共有するなど、いろいろな人がしてきた失敗の事例を集め、どんなケアレスミスが起こったのかを知るということです。ミスが起こった経緯や原因、そしてその対策を把握することで、自分自身のミス防止につながります。
人の失敗を笑うのではなく、自分も同じミスをするものだと考えて参考にしましょう」。
ケアレスミスと向き合って点数アップ
※ケアレスミスを防ぐことが合格への1歩かも⁉
「ケアレスミスを防ぐことで1割くらい点数が上がることもあり、試験に合格する確率がグッと上がります。まずは、過去の試験でケアレスミスでの失点が何点あるか調べてみるといいでしょう。
失敗から学ぶ姿勢や困難を乗り越える強い意志は、社会人になってからも役立つはずです。自分を信じて頑張ってください」。
日頃から対策を立てることはもちろん、試験当日の問題を解く工程や見直しの方法など、和田先生に教えてもらった方法を試してケアレスミスをなくし、試験の点数アップをねらおう。
監修/和田秀樹 文/ミューズ・コミュニティー 構成/編集部 ※2024年1月更新
★和田先生の著作はこちら
▼『ケアレスミスをなくす50の方法』(ブックマン社)
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