2025年度スタート!共通テスト新課程「情報I」を徹底分析!受験対策も解説

大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、2025年度入試より新課程に対応した内容に切り替わる。

そこで新たに追加される科目が、「情報I」だ。

2022年度以降に高校に入学した生徒は全員が履修している科目であり、国公立大学の一般選抜では受験が必須になっているところが多い。

初年度ということもあり、難易度はそこまで高くないと考えられるが、しっかりと対策をしておくことが大切になってくる。

共通テストではどのような問題が出題されるのか、どのように対策をすればよいのか、スタディサプリ「情報」講師の阿部百合先生に解説してもらった。
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共通テストの基礎知識!一般入試と何が違うの?2025年度入試について解説!

【プロフィール】
阿部百合先生
阿部百合先生

公立高校講師。情報科教育に関する発表・講演を多数行うほか、文部科学省や情報処理学会の教材開発への協力、教科書の編集協力を行うなど、情報科教育の発展に向けて多方面で活躍している。

共通テストに新しく加わる「情報Ⅰ」とは?

共通テストに新しく加わる「情報Ⅰ」とは?
「情報」は、2025年入試から共通テストに新しく加わる教科。

出題科目は新課程のカリキュラムで必履修となっている「情報Ⅰ」で、「情報Ⅱ」は含まれない。
共通テスト「情報I」のポイント
配点 100点満点
時間 60分
出題範囲 「情報I」の全分野が範囲
対策 大学入試センターから試作問題が公開されているので
必ずチェックしておこう!
注意点 「情報Ⅱ」は含まず


試験時間は60分で、2025年度の共通テストでは2日目(1月19日)の17:00~18:00に実施予定だ。

素点は100点満点(実際の配点は大学により異なる)となっており、共通テストの満点は従来の900点から1000点に変更になる。

共通テストに「情報I」はいつから加わる?

共通テストに「情報I」はいつから加わる?
共通テストに「情報I」が加わるのは、2025年1月18日(土)・19日(日)に実施される2025年度の入試から。

2025年度入試から、共通テストは新課程に対応したものになる。

それに伴い、新課程で必履修となった「情報I」が加わることになるのだ。

ちなみに、「2025年度入試」とは、2024年度に高校3年生になった学年が受ける大学入試のこと。

また、この学年は高校1年生の時から新課程のカリキュラムで学んでおり、「情報Ⅰ」についても全員が履修しているため、「新しいもの」と過度に恐れることはない。

共通テストの時間割はこちらの記事をチェック

共通テストの「情報I」は受験必須科目?


共通テストの「情報I」は、国公立大学を受験する場合は必須科目になる場合がほとんど。

ただし、大学によっては「受験は必須だが得点には加算しない」というところもあるため、自分の志望校・受験校がどのように扱うのかをよく調べておこう。

なお、私立大学の共通テスト利用入試の場合は、「情報I」は選択科目の一つに含まれるケースが多く、必須とするケースは少ない。

「情報I」の問題を分析してみよう

情報の問題を分析してみよう
では、「情報I」ではどのような問題が出題されるのか、大学入試センターが公表している「試作問題」をもとに分析してみよう。

「情報Ⅰ」ではどんな問題が出題されるの?

問題は、「情報I」の全範囲から出題される。

試作問題では「必答問題のみの大問4問構成」で選択問題の出題はなかった。同様の形式が想定されるが、本番では他教科のように「必答問題+選択問題」という形式で出題される可能性もあるため、冊子の表紙をよく読んで確認しよう。

「情報Ⅰ」の問題構成 は?


試作問題では、大問4問構成で以下のようだった。本番も同様な形式が想定される。

第1問は小問集合。情報社会の問題解決分野、知識問題中心に出題された。

第2問は中問2題。ここでは情報デザイン分野。初見の問題が出題されやすい。

第3問はプログラミング、第4問はデータの活用。問題文や図表が多い大問形式。

試作問題にはなかったネットワーク分野の問題や分野横断型の問題なども出題される可能性がある。

「情報Ⅰ」の配点は?

配点は、第1問は20点、第2問は30点、第3・4問は各25点の合計100点。

本番では多少変更になる可能性もあるだろう。

「情報I」を受験するメリットは?

大学入試ではわずかな点差で合否が分かれるので、「情報I」で少しでも高い得点を取ることができれば、それだけ合格に近づける。

初年度は一般的にそこまで難度の高い問題は出題されないと言われているので、「情報I」は他教科より得点が取りやすいという見方もできるだろう。

逆に言うと、配点が低いからといって「情報I」を軽視していると、痛い目にあいかねないので要注意だ。

また、今後、大学で学んだり社会で働いたりするうえで必要になるという意味においても、「情報I」の素養を身につけておくことの意義は大きい。

「情報I」のテスト対策ってどうすればいいの?

情報のテスト対策について

共通テストについては、基本的には教科書の範囲外の内容が出題されることはないので、教科書をベースに勉強に取り組もう。

加えて、学校の定期テストの問題を見直したり、教科書に沿った問題集を解いたりして、「問題を解く」ことにも慣れておきたい。

また、全体を通してグラフや図表が含まれる問題が多いので、その読み取りや活用に慣れておくことは非常に重要だ。

さらに大事なのが、日常的に身の回りのことにアンテナを張っておくこと。

例えば、電車の乗り換え案内がどのように表示されているかなど、情報へのアクセスのしやすさ・わかりやすさに興味をもち、そのしくみや特徴を意識して調べたり確認して学ぶようにしよう(実際、試作問題では路線図が出題された)。
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大学入学共通テストの対策法。背景や基礎知識から各教科のコツまで網羅!

「情報I」に関するみんなのギモン

「情報I」を選択しないことは可能?

共通テストの「情報I」は、国公立大学を一般選抜で受験する場合は、必須科目になる場合がほとんど。

国公立大学志願者は受験必須の心づもりで準備をしておこう。

一方、私立大学では「情報I」は他科目との選択科目となるケースが多いので、選択しないことも可能だ。

ちなみに、新課程(現行課程)のカリキュラムでは、「情報I」は必履修科目となっており、全員が高校で学ぶ。

つまり、学校で学ぶ科目としては、「選択しない」という選択肢はない。

過去問がないけど、どう対策すればいい?

過去問がないことに不安を感じる受験生は多いかもしれないが、「情報I」の基本は教科書をベースにした勉強であり、過去問演習にこだわる必要はない。

ただし、読みなれていないと難しいプログラムの記述、データの活用分野のグラフはさまざま練習しておくと安心だ。

不安な人は、試作問題を1回通しで解いてみて、出題形式や時間の感覚をつかんでおこう。

各社から予想問題集などが出版されているので、実践演習の時期にはそういったものも活用するとよいだろう。

参考書や問題集を選ぶ時のポイントとしては、教科書の範囲に対応したものを選ぶということ。

基本情報技術者試験のテキストなど範囲外のことが載っているものを選ばないようにしよう。内容をしっかり見て選ぼう!

「情報I」の対策に割く時間がない…!

特に国公立大学志願者は受験科目が多く、なかなか「情報I」に時間を割けないのが実情だろう。

「情報I」の内容は、大学受験に必要であるだけでなく、一般的な素養としてこれからの時代には重要になるもの。

教養を身につけるというとらえ方をすると、肩の荷がやや軽くなるかもしれない。

具体的には、他教科の勉強の息抜きがてら「情報I」の解説動画を視聴したり、読み物として教科書を読んだりしてみるのもおすすめだ。

また、他教科で情報に近い分野を勉強する時に、これは「情報I」にも関係するな、という意識をもつだけでも変わってくる。

対策を後回しにしてしまうと足を引っ張る弱点になりかねないので、負担を抑えながら学べる工夫をしてみよう。

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共通テスト用のプログラミング言語に慣れておくべき?

プログラミング言語は?
共通テストでは独自のプログラミング言語が用いられるが、プログラミングのしくみやルールといった本質が理解できていれば、解ける問題となっている。

それゆえ、基本的にはあらかじめ慣れておく必要はない(実用的な言語ではないので習得すること自体には意味がない)が、プログラミングに苦手意識がある人や不安な人は、共通テスト用のプログラミング言語で書かれたプログラムの問題を解いておくのもいいだろう。

むしろPython、JavaScriptなど言語はなんでもいいので、自分が学びやすい言語をひとつ定め、その言語のプログラムを読んだり書いたりする経験を増やし、その都度理解していくことが大事である。

「情報I」は、気負わず楽しく学べる教科!

共通テストの「情報I」については、今後も随時、情報がアップデートされる予定だ。

初年度は不確定要素も多いので、大学入試センターのホームページ等をこまめにチェックしておくこと。

また、自分が受験する大学・学部における「情報I」の配点も、学習戦略を立てるうえでは重要な情報なので、必ず調べておこう。

「情報I」は、実生活で役立つ知識が身についたり、情報社会を支えるしくみを知れたりするといった点において、他教科よりも気軽に楽しく学べる教科だ。

受験勉強と気負いすぎず、ぜひ、前向きにワクワクしながら学習に取り組んでほしい。

ライター/笹原風花 構成/黒川安弥(編集部)

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