受動態の使い方をわかりやすく解説!役立つテスト対策法も伝授!
定期テストで受動態が出題範囲だけど、「受動態って何?」「受動態と能動態って何が違うの?」と受動態についてよくわからないという高校生のために、今回はスタサプ講師の肘井先生に受動態について詳しく解説してもらった。テストで出題されそうな問題も一緒に教えてもらったので、英語が苦手という人はテスト前に確認してみて。
目次
肘井 学先生
慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒業。
さまざまな予備校の教壇に立ち、現在はリクルート運営のネット講義サービス「スタディサプリ」で講師を務める。その授業は、高校生から英語を学び直す社会人にまで、圧倒的な満足度を誇る。特に、「英文読解」の講座は年間約25万人が受講する盛況ぶり。また、全国各地の高校で講演活動も行う。
著書に、『改訂版 大学入試 肘井学の ゼロから英文法が面白いほどわかる本』『大学入試 肘井学の 読解のための英文法が面白いほどわかる本 必修編』(KADOKAWA)などがある。
英語の受動態とは
英語の受動態とは、「れる・られる」と行為を受ける表現のことです。例えば、My bag was stolen.「私のカバンが盗まれた。」などの文を指します。
動詞の部分をbe動詞+過去分詞で表すのが特徴です。
これ以降過去分詞は、p.p.と表記します。
「その建物は、有名な建築家によって設計された。」のような日本語の受け身に近い英文法のことです。
受動態と能動態の違い
受動態の理解を深めるのに、反対の能動態を理解すると役に立ちます。例えば、The boy broke the window yesterday.「その少年は昨日窓を割ってしまった。」のような文が能動態です。
受動態の「れる・られる」と違って、能動態は「~する」という通常の文体を指します。
受動態の作り方とポイント
能動態から受動態を作る手順を理解しましょう。まずは、① 能動態の文の目的語を主語にします。
続いて、② 動詞をbe動詞+過去分詞にします。
最後に、③ 主語をbyと合わせて後ろにもってきます。
もっとも、この場合のby someoneは通常省略されます。
実はそれこそが、受動態にする一つの理由でもあります。
一例ですが、「誰がその行為をやったのかがわからないとき」に受動態にします。
「財布を盗まれた」、「窓が割られた」のように、犯人がわからなくて被害を伝えたいときに受動態を使う、と理解しておきましょう。
次の例文に進みます。
Stars can be seen here at night.「ここでは夜に、星が見える。」という受動態の文です。
ここで星が見えるのは、誰でしょうか。
そうです、一般の人です。
このように、一般人が主語で、「あえて主語を言わなくても良いとき」にも受動態は使われます。
受動態の基本的な形式
受動態の否定文
受動態を否定文にするときは、notを使います。
be動詞の受動態なら、be動詞の後ろにnotを置きます。
すでに紹介した英文を使うと、My bag was not stolen.「私のカバンは盗まれていなかった。」のように使います。
助動詞を使った受動態では、助動詞の後ろにnotを使います。上の例文を否定文にすると、Stars cannot be seen here tonight.「ここでは夜に、星は見えない。」とします。
受動態の疑問文
受動態を疑問文にするときは、主語とbe動詞を逆の語順にして、最後にクエスチョンマークを付けます。
すでに挙げた例文のMy bag was stolen.を疑問文にすると、Was my bag stolen?「私のカバンは盗まれた?」となります。
助動詞を使った受動態の文を疑問文にするときは、助動詞と主語を逆の語順にして、最後にクエスチョンマークを付けます。
Stars can be seen here at night.では、Can stars be seen here at night?「ここでは夜、星が見えますか?」とします。
基本をマスターしたら応用編もマスターしよう
第4文型・第5文型の受動態
ここからは 、簡単なクイズ形式で説明を進めていきます。This ring was ( ) me by my husband. この指輪は夫が私にくれたものだ。
① given to ② given for
能動態の文を想像してみましょう。
受動態のbyの後ろが主語で、受動態の主語が目的語になるので、My husband gave me this ring.になります。
SVO1O2のO2であるthis ringを主語にして受動態にすると、This ring was given to me by my husband.になります。
この時に、toを使うかforを使うかの区別は、「相手が必要な行為はto」、「相手が不要な行為はfor」を使うと覚えておきましょう。
「与える」という行為は相手が必要なのでtoを使います。
一方で、「作る」、「買う」のような行為には、相手は不要なのでforを使うこともおさえておきましょう。
第4文型の受動態は、2パターンあることがあります。
例えば、先ほどのMy husband gave me this ring.を例にとると、I was given this ring by my husband.とすることも可能です。
SVO1 O2のO1を主語に持ってきたパターンです。
この場合は前置詞を使わずにO2をそのまま動詞の後ろにもってくるので、おさえておきましょう。
次のクイズに進みます。
She was ( ) open her bag. 彼女はカバンを開けさせられた。
① made ② made to
空所の前のwasと選択肢のmadeから受動態とわかるので、元の能動態を想像します。
主語を仮にTheyと補うと、受動態の主語は能動態の目的語なので、They made her open her bag.となります。
①のようにmake O do「Oに~させる」をそのまま受動態にすると、O
was made openのようにどれが動詞かわからなくなってしまいます。openはあくまでCの役割なので「動詞ではないよ!」という合図のために②のto openとするのが正しい形です。
正しい英文は、She was made to open her bag.になります。Cに動詞の原形を使う第5文型の受動態では、toが必要になることをおさえておきましょう。
通常の第5文型の受動態は、SVOCのOを主語に持ってきて、Vをbe動詞 + p.p.にして、Cを動詞の後ろに続けます。
Sは最後にby ~としますが、省略されることもあります。
例えば、We called her Helen.「私たちは彼女をヘレンと呼んだ。」という文を受動態にします。SVOCのOにあたるherを主語にして、動詞をbe動詞 + p.p.にして、CのHelenは動詞の後に続けて、She was called Helen (by us).とします。
この場合のby usは一般の人を指すので省略します。
助動詞+受動態
次のクイズです。空所に入るのに適切な選択肢を選んでください。This game ( ) by young children. このゲームは幼い子どもにもできる。
① can be played ② is can played
助動詞は後ろに動詞の原形を伴うので、willの後ろをbe blamedにして、He will be blamed for the accident.とします。助動詞 + be p.p.の形で覚えておきましょう。
よって、クイズの正解は①になります。
受動態の進行形
次のクイズです。空所に入るのに適切な選択肢を選んでください。A hotel is ( ) near my house. 私の家の近くで、ホテルが建設中だ。
① being built ② been building
しかし、②を使ったis been buildingではbe動詞+過去分詞のis beenを先頭に持ってきているので誤った表現になります。
進行形を先に持ってきて、その後ろに受動態を続けます。
よって、進行形(be doing)+受動態(be p.p.)から、be being p.p.「~されている最中だ」が進行形と受動態を合わせた形になります。
よって。クイズの正解は①になります。
完了形(have p.p.)×受動態(be p.p.)の組み合わせ
次のクイズです。空所に入るのに適切な選択肢を選んでください。My car ( ). 私の車を修理してもらった。
① is had repaired ② has been repaired
完了形(have p.p.)と受動態(be p.p.)の組み合わせです。have p.p. + be p.p.なので、p.p.とbeを合わせるとbeenになります。
よって、完了形の受動態はhave been p.p.になります。My car is repaired.を完了形にすると、My car has been repaired.になるので、②が正解です。
群動詞の受動態とは
群動詞とは、2語以上で1つの動詞とみなすものをいいます。例えば、speak to「~に話しかける」、 laugh at「~を笑う」、take care of「~の世話をする」などです。これらの群動詞を受動態にすると、ある問題が出てきます。
群動詞の受動態について説明する
空所に入るのに適切な選択肢を選んでください。I was ( ) by a foreigner. 私は外国人に話しかけられた。
① spoken to ② spoken
元々の能動態をイメージすると謎が解けます。いつもの受動態を作る手順を逆にします。by以下を主語に持ってきて、動詞を元の形に戻して、受動態の主語を能動態の目的語にして、A foreigner spoke me.が能動態の文です。
文法的に誤りなのが、spoke meという表現です。speakは後ろに目的語を取るときは、基本的にtoが必要なのです。よって、クイズの正解は①となります。
be spoken to by「~に話しかける」
上のクイズで紹介したように、「~に話しかけられる」はbe spoken to byです。前置詞のtoを忘れないようにしましょう。be laughed at by「~を笑う」
空所に入るのに適切な選択肢を選んでください。I was ( ) everyone in my family. 私は家族全員に笑われた。
① laughed at by ② laughed by
受動態のby以下が能動態の主語、受動態の主語が能動態の目的語なので、Everyone in my family laughed at me.になります。
laughは「~を笑う」の意味では、通常atを置いて、その対象を後ろに置きます。よって、laugh atとセットで使うことが正しいので、正解は①になります。
be taken care of by「~の世話をする」
空所に入るのに適切な選択肢を選んでください。My daughters are ( ) by my mother. 私の娘たちは私の母が世話をしている。
① taken care of ② taken care
take care ofで「~を世話する」の意味になるので、「~に世話をされる」はbe taken care ofとなります。
よって、①が正解です。ofを忘れないことを覚えておきましょう。
by以外のまちがえやすい受動態
be known to「~で知られている」
空所に入るのに適切な選択肢を選んでください。He is known ( ) people all over the world. 彼は世界中の人に知られている。
① by ② to
be known to「~に知られている」は、toの到達のイメージから、主語の名前がto以下に行き渡るという文脈で使います。
be known byは「~で判断される」という意味になります。上の問題では「彼が~に知られている」という文脈なので、②が正解です。
be known ~の熟語には、他にも、be known for「~で知られている」、be known as「~として知られている」などがあるのでおさえておきましょう。
be covered with 「~で覆われる」
空所に入るのに適切な選択肢を選んでください。My house was ( ) snow. 私の家は雪で覆われていた。
① covered by ② covered with
受動態にすると、A be covered with B「AがBで覆われている」になるので、②が正解です。
be covered with「~で覆われている」で覚えておきましょう。家や車が雪で覆われているという文脈でよく使います。
be killed in「~で亡くなる」
空所に入るのに適切な選択肢を選んでください。Many people were ( ) the accident. 多くの人がその事故で亡くなった。
① killed by ② killed in
よって、クイズの正解は②です。直接的に「誰かに殺された」わけではないので、byを使わずにinを使います。
交通事故や災害、戦争などで亡くなる場合はbe killed inとするので、おさえておきましょう。
テストによく出る受動態9選
ここまで受動態の説明をしてきました。中でも、テストで狙われる表現を9つ挙げてみたいと思います。第5文型であるmake O doの受動態である
① be made to do「~させられる」、進行形の受動態である
② be being p.p.、完了形の受動態である
③ have been p.p.、群動詞の受動態である
④ be spoken to by「~に話しかけられる」、
⑤ be laughed at by「~に笑われる」、by以外の受動態である
⑥ be known to「~に知られている」、
⑦ be known for「~で知られている」、
⑧ be covered with「~で覆われている」、
⑨ be killed in「~で亡くなる」になります。
肘井先生からのメッセージ
一見難しく見えるものも、この記事で説明したように、細分化して、一つずつ理解を積み重ねていくことで、必ず得意になります。受動態の作り方 →第4文型・第5文型の受動態 → 助動詞と受動態・完了形と受動態・進行形と受動態 → 群動詞の受動態 → by以外を使った受動態と、順序だてて理解すれば、受動態は必ず得意になります。
まとめ
どうだった?受動態は理解できたかな?受動態が苦手という人は出題されているクイズを何度もトライしてみよう!
その時、問題を解くだけでなく説明文を何度も読んで理解することが重要だよ!
群動詞は「be spoken to by」「be covered with」などすぐにセットで思い出せるまで繰り返し学習しよう。
受動態は定期テストでもよく出題されるのでこの機会に苦手を克服しよう!
定期テストや受験勉強と合わせて学校のパンフレットを取り寄せてモチベアップもしてみてね!
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文/肘井学 (スタディサプリ英語講師) 構成/編集部
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