東大入試に見る「0.0001点の重み」
1月19日、20日のセンター試験を手はじめに、いよいよ本格化している今年度の大学入試。東大の一般入試の前期日程では、受験生の得点が小数点以下第4位まで算出され、合否判定されているのをご存知だろうか。
そもそも国公立大学の一般入試は、センター試験と2次試験の2段階で選抜される。
東京大学の場合、センター試験はすべての科類で5教科7科目、もしくは6教科7科目の受験が必要で、満点は900点。この900点が110点に圧縮され、110点プラス2次試験の440点を合わせ、計550点満点で合否が判定される。
900点を110点に圧縮すると1点は約0.12点になる。また論述式が多い2次試験でも採点が細かく分かれ、小さな表現の違いで点数が変わってくる。2つの試験の得点を合計し、最終的に小数点以下第4位まで点数が算出される。
このため「0.0001点」のわずかな差が合格・不合格の分かれ道になる。例えば平成24年度の文科一類の2次試験合格者の最低点は「371.7000点」。これは「371.6999点」で不合格となる受験生がいるということなのだ。こんな熾烈な戦いに勝つためには、どんな対策をとればいいのだろうか。
河合塾本郷校校舎長の箱崎恒さんは「東大入試にはそれなりの対策の仕方があります」と言う。東大受験者を何人も指導してきた長年の経験に基づいて、いくつかの鉄則をお話しいただいた。東大に限らず、入試の対策として活用できるノウハウが詰まっているので、ここにご紹介しよう。
1:問題数が多いセンター試験では時間配分が重要
「何を今さら…」と思われるかもしれないが、1点が合否の分かれ目になるからこそ、時間管理はいっそう重要になる。特にセンター試験は限られた時間で多くの問題を解かなければいけない。1問でも多く正解するためには、時間配分に失敗することは許されないのだ。
2:採点の基準や傾向を知ることも大事
河合塾では毎年、東大を受験した約2000人の受験生の得点情報開示や再現答案をもとに、東京大学の採点基準を分析し、対策に役立てている。例えば2次試験の英作文で、万が一指定文字数をオーバーしても即採点の対象外となるわけではない、というようなことが見えてくる。ただし、問題文の指示を厳守することは重要であり、指定文字数を1字でもオーバーすれば減点となることは肝に銘じておかなければならない。
身につけた知識を限られた時間内で指定文字数にまとめる力を磨き上げる、つまり答案作成力を身につけるためには、第3者による添削指導が欠かせない。また、1点でも多くの得点を稼ぐためには大学ごとの採点基準を知っておくことも重要なポイントだ。採点基準のルールを知ることで、力の入れどころ、抜きどころがわかり、効率的に得点できるのだという。
3:2次試験では、1点でも多く得点できる問題を選ぶ「見極め」も大事
2012年度入試における文科一類合格者のセンター試験と2次試験の合計の平均点は、550点満点中約401点、(センター試験で9割を取ったとすれば、2次試験では302点、7割の得点率まで必要ない)。同平均点が最も低かった理科二類は約343点。つまり全体の約6割の点数をとれれば合格となる。このためすべての問題をやり切るのではなく、自分が得点しやすい問題を選んでそれに集中するやり方も一つの方法なのだという。
東大とはいわなくとも、高い目標を掲げるほど成長の可能性は大きくなる。実力以上の志望校でも、対策をしっかりすれば挑戦する価値はあるのではないだろうか。東大流の入試のコツを参考に、みんな、入試を頑張ってきてほしい!