国公立大学のAO入試定員が3年ぶりに増加。その理由とは?
■注目しておきたい国公立大学のAO・推薦入試の導入
大学進学予定の新高校3年生はそろそろ志望校と同時に入試方法も選ぶ時期。
一般入試とAO・推薦入試では入試時期も対策や準備も違ってくるので、できるだけ早めに決めたいところだ。
ただし、各大学が実施する入試方法は毎年同じとは限らない。志望校が新しい入試制度を導入することもあるので、しっかりと最新情報にアンテナを張っておくことも大切。
なかでも注目しておきたいのが国公立大学のAO・推薦入試の導入だ。
私立大学の場合はAO・推薦入試の入学者が全体の約半数にまで達しているが、国公立大学は2割程度。また、国公立のAO入試の募集人員は一時期増えていたものの、2012年度入試をピークに減少していた。AO・推薦が学力低下の要因の一つと考えられていたことなどがその背景にはある。
■九州大学法学部は2015年度からAOを復活
しかし、2015年度の入試では、AO入試を行う国公立大学の数や募集人員が3年ぶりに増加。前年度から2大学1学部増の71大学172学部がAO入試を実施し、募集人員は171人増えた3387人だった。例えば、九州大学法学部は、一時期廃止していたAO入試を2015年度入試から復活させている。
また、2016年度入試からは東京大学が「推薦入試」を、京都大学がAO入試や推薦入試を含む「特色入試」をスタートすることはすでに発表されており、大きな話題になった。
■大学入試改革の大きな流れに沿った動き
では、どうして一度盛り下がりかけた国公立のAO・推薦入試が再び増え始めたのだろうか?
その理由は、政府の「教育再生実行会議」という、教育改革についての提案を行う機関が、大胆な大学入試改革を打ち出したことにある。わかりやすくいえば、一点刻みで細かな知識の習得度を測る入試はやめて、もっと人物を多面的・総合的に評価する入試にしようという改革が、今、着々と進行しているのだ。
すでに、大学入試センター試験を廃止して新たな試験制度を導入する計画も進められており、早ければ2021年度入試から大学の入試は大きく変わる。
今、国公立大学でAO・推薦入試を新たに導入しているのは、まさにこれを先取りした動き。今後も広がっていくことが予想されるので、国公立志望の高校生は要注目だ。