センター試験志願者数は増えたのに東大志願者数は減少…その理由

2013年度の大学入試センター試験志願者数が57万3344 人と、前年比3.2%増を記録した(関連記事はコチラ)。

 

この志願者増は18歳人口の増加などを背景としたもの。受験生が増えているのだから、素直に考えれば国立大学の2次試験も軒並み志願者増となりそうなものだが、意外な現象が起きた。

 

東京大学、一橋大学などの国立大学で、昨年度より志願者数が減少したのだ。これらの大学の対前年度比志願者数割合を挙げると以下の通り。

 
東京大学   前期 93%  後期 90%
一橋大学   前期 90%  後期 93%
名古屋大学  前期 91%  後期 83%
大阪大学   前期 103%  後期 65%
神戸大学   前期 96%  後期 85%
 

大阪大学は前期日程こそ増えたものの、後期日程も足したトータルの数字は86%に留まった。また、私立大学でも、慶應義塾大学が対前年度比99%、早稲田大学が98%と微減。東北大学、広島大学など一部の地方大学では志願者数が伸びているので、受験生の地元志向が強まったことの影響もあるのだろうが、原因はそれだけなのだろうか?河合塾 教育情報部の富沢弘和チーフに話を聞いた。

 

「要因として大きいのは今年のセンター試験が難しかったこと。よく『旧帝大に合格するならセンター試験で8割の点数が必要』といわれますが、今年は8割に達した受験生は昨年の約6割しかいませんでした。そのため、弱気になって狙いを下げた受験生が多かったのだとみています。難関大学では、大学全体の志願者数減に加えて、同じ大学内でもより難易度の低い学部に受験生が流れる現象もみられました」

 

なるほど…。しかし、ここで一つ疑問が。センター試験の平均点が下がったのであれば、8割という数字にそこまでこだわらなくてもいいのでは?

 

「そのとおりなんです。もちろん経済的な問題から浪人ができないといった事情などもありますが、受験生が、目先の数字や昨年度の数字に振り回されて、必要以上に弱気になりすぎる傾向はあると思います」

 

つまり、冷静にセンター試験の結果を分析できれば、目標より点数が悪くても志望校を変更する必要まではなかったケースもあるということ。むしろ志願者が減った分だけチャンスは広がる。逆に、前年の志願者が減った大学に受験生が殺到する例もあった。

 

この場合、みんなが安全パイを狙いにいったことでかえって競争率は上がってしまう。こういった「隔年現象」も大学受験の世界ではありがちな動きだと富沢チーフは話す。

 

志願者数にしてもセンター試験の平均点にしても、「この数字を受けてみんなはどう行動するか」までを考えて分析することが重要。数字だけに惑わされて、つい「みんなと同じ」行動をとってしまうことはかえって裏目に出やすいのだ。