1分は暗記、3分は選択式、5分あれば友達と!超短時間のスキマ勉強法
共通テストも終わって、いよいよ入試本番、志望校合格へ向けてラストスパート!
高校3年生のみんなは、時間を惜しんで受験勉強を頑張っているよね。
この追い込みタイミングで、少しでもライバルに差をつけたいなら、スキマ時間をフル活用しよう!
1分・3分・5分という超短時間でも、有効に使いこなすことで、合格ラインに近づくはず。
高校1年生、2年生のみんなも、これからコツコツとスキマ時間を活用する習慣をつけていけば、チリも積もれば山となる、で、かなりの勉強時間を積み重ねられる。
吉田穂波 先生
医師・医学博士・公衆衛生学修士
三重大学医学部卒、名古屋大学大学院医学系研究科修了。
ドイツ・イギリス・日本での医療機関勤務などを経て、第3子を日本で出産した1ヵ月後より、アメリカ・ハーバード公衆衛生大学院へ留学。
留学中に第4子を出産して、大学院を修了。
現在、4女2男の母であり、神奈川県立保健福祉大学大学院 ヘルスイノベーション研究科 教授として活躍中。
著書に、『「時間がない」から、なんでもできる!』(サンマーク出版)、『「つらいのに頼れない」が消える本――受援力を身につける』(株式会社あさ出版)、『「頼る」スキルの磨き方』(KADOKAWA出版)ほか多数。
スキマ時間のみつけ方
「スキマ時間を活用しよう!」といわれても、「そもそもスキマ時間って何?」「どんなときがスキマ時間になるの?」とギモンに思う人もいるだろう。
そこで、まず「スキマ時間のみつけ方」を吉田穂波先生に聞いてみた。
何もしていない時間を有効活用!
誰にでも一日24時間しかありません。
その「時間の長さ」は変えられないけれど、「時間の質」を変えることはできます。
例えば駅で電車を待っているとき、何も考えずにボーッと立っている1分と、単語帳を見て英単語を1つか2つ覚える1分では、同じ時間でもその1分の価値が大きく変わってきます。
教室を移動するとき、友達と好きなアイドルの話をする1分と、前の授業でわからなかったことを聞く1分でも、その後に残る記憶が大きく違いますよね。
1分をどう過ごすか、その1分をどう価値のあるものにするか、「時間密度」を高めることが大切なのです。
1分~5分くらいのスキマ時間なら、一日のそこかしこに転がっているはず。
ただし、いくら時間を捻出しても、集中できなければ意味がありません。
スキマ時間を活用してでも合格したい、成績をアップさせたいというポジティブな気持ちがあれば、ちょっとしたスキマ時間を自分から探しにいけると思います。
こんなところにある!スキマ時間の例
どんなタイミングでスキマ時間ができるかは、人によって違う。
けれど、歩いているときや座って何もしていないとき、ボーッとしたり、すぐスマホを見てしまったりするスキマ時間がないか、自分の生活を見直してみよう。
・家から最寄り駅まで歩いている時間
・駅のホームで電車を、バス停でバスを待っている時間
・次の授業が行われる教室に友達と話しながら移動する時間
・席について先生が来るのを待つ時間
・自宅でトイレに入っている時間
・食卓に座って食事が用意されるのを待つ時間
・お風呂に入って浴槽につかっている時間
・ふとんに入って寝つくまでの時間
スキマ時間の使い方のポイント
どんなときがスキマ時間になりそうか、なんとなくイメージできそうだけど、せっかくスキマ時間をみつけても、しっかり活用できなければ意味がない。
スキマ時間に勉強するときに気をつけることを教えてもらった。
(1)スキマ時間を使いたくなるような目標設定
目標があれば、「スキマ時間を使い倒してでも達成したい!」と頑張ることができると思います。
例えば、問題集が1冊あったら、何月何日までに終わらせようと目標を決めます。
100ページの問題集を10日でやるとしたら、1日あたり10ページ。
毎日決めている勉強時間内に終わらなかった場合、目標をクリアするのにどこで時間をとるか、と考えると、自然にスキマ時間を探しにいくでしょう。
(2)to doリストでスキマ時間を予約
まずはスケジュール帳などを見ながら1週間単位と1日単位で、to do リストを作ります。
一日のうちのどこでそれをやるか、スキマ時間ができそうなところを探し、この時間にできなかったら、この時間を使おう、と、自分のフリーな時間を予約しておくといいですね。
机に向かって勉強だけに集中できる時間に問題集の8ページ分ができたとしたら、残りの2ページをどこでやるか、スキマ時間に1/2ページまたは1/4ページずつでも進めて、その日のうちに計画した分を終わらせるようにしましょう。
(3)スキマ時間を同じ科目に使うと再開しやすい
スキマ時間にやる勉強は、月曜日に英語、火曜日が数学、というように1日単位で科目を決めておくこと。
いろいろ手を出すのではなく、この日は英語だけ、と決めておくほうが集中力は上がります。
まずは最初のスキマ時間に問題集の1問だけやって、続きは次のスキマ時間と、スキマとスキマのつながりを意識するとスムーズに進めやすいですよ。
スキマ時間は、中断、中断があたりまえ
自分の勉強部屋などでじっくりと取り組める時間は、文章問題や大問など、特に集中力が必要な勉強をしましょう。
スキマ時間には、暗記モノや一問一答の問題など、途中で終わって細切れになっても大丈夫だとわりきれることに使うといいですね。
スキマ時間の勉強は、中断、中断があたりまえ。
1分とか5分しかないわずかな時間に最後まで終わらせようと思わない、完璧を求めないことが大切です。
電車を待つ時間に1問だけ解いて、続きは電車に乗ってから、で構いません。
一番エネルギーを使うのが「最初の一歩」だから、どんな小さな一歩でも、まず踏み出してみると、二歩めは一歩めよりも楽に進めるはず。
人間の脳は、中断している時間も持続的に考えているといわれています。
中途半端になっていること、うまくいかなかったことは、頭の片隅に残っていて、ずっと考え続けているのです。
スキマ時間の1分で問題が解けなかったとしても、次にその問題を解くまで中断している時間に頭の中で考えているから、再開したときに考えがまとまっているかもしれないし、ずっと考えることで記憶として定着することもあります。
中断すると、もやもやしてしまう人もいると思いますが、同時進行で考え続ける時間ができてラッキーだと考えてみてください。
1分・3分・5分のスキマにおすすめの時間別勉強法
スキマ時間1分なら…【暗記モノ】
電車を待っている間、信号を待っている間など、スキマ時間が1分あれば、単語帳を見て英単語を1つ覚えたり、英単語のCDをイヤフォンで聞いてスペルを考えたり、暗記モノをひとつずつマスターしていきましょう。
英単語や構文をはじめ、古典の単語や文法、数学の公式、理科・社会の用語など、1分のスキマ時間に1つずつ覚えていくだけで、1日5回のスキマ時間で5つ、1週間で35もの単語や用語を暗記することが可能です。
スキマ時間3分だと…【選択問題や計算問題】
スキマ時間が3分あったら、即答できるような選択式問題や簡単な計算問題、短い文章の穴埋めなどがおすすめ。
1~2分で解答して、残りの1分で必ず答え合わせをしましょう。
1問だけでもいいので、スキマ時間内にすぐ答え合わせをすることがポイント。
もしわからなければ、先に答えだけ見ても大丈夫です。
1問ずつでも答え合わせをすることで、「進んでいる」という達成感が、次のスキマ時間へのモチベーションにつながります。
わからなかった問題は時間をおいて、別の日のスキマ時間にもう一度解いてみるといいでしょう。
スキマ時間5分あれば…【友達と一緒に勉強】
例えば休み時間の5分で、友達と前の授業に関するクイズを出し合ったり、わからないことを教え合ったりしてもいいですね。
こんな質問をして恥ずかしいとか、自分だけがわからなくてバカにされるのでは、なんて思わないで、相手へのリスペクトの気持ちを込めて聞いてみましょう。
誰かと会話をしながら覚えたことは記憶に定着しやすいといわれていて、試験本番で「あのとき教えてもらったことだ」と鮮明に思い出すかもしれませんし、友達も「あのとき、○○ちゃんに教えたところだ」と逆に感謝されることもありますよ。
問題集を5分でやる場合は、3分のときと同様に、最初の2~3分で1~2問を解いて、残りの時間で必ず答え合わせをすること。
例えば複数回分のスキマ時間で10問全部を解いてから答え合わせをすると、最初のほうの問題で悩んでいたことを忘れてしまうかもしれません。
できるだけ1回のスキマ時間内に1問ずつ完結させるようにしましょう。
勉強だけじゃない!スキマ時間の活用法
出願書類の作成や申し込みをする
自分の勉強机に向かっている時間は勉強のために確保しておきたいから、模試の申し込み、出願関係の書類の作成、出願手続きなどは、スキマ時間にやってしまいましょう。
勉強以外で優先的にやらなくてはいけないことがあって気にかけていると、ストレスにつながり、脳がそこにエネルギーを使ってしまうといわれています。
例えば、志望理由書を書いたり、併願校を決めたりするとき、一人で自分の部屋に閉じこもって悩むよりも、通学途中の広い場所で考えるほうが、視野が広がって、いいアイデアが浮かぶかもしれません。
学校の休み時間には、友達や先生に相談することもできるでしょう。
出願手続きなら、最初のスキマ時間はインターネットで新規登録をして、次のスキマ時間に個人情報を入力して保存し、と細切れに進めていけばいいのです。
志望理由書では、スマートフォンのメモ書きなどで少しずつ書いていくと、くり返し考えることで、いろいろなアイデアがでて、文章がまとまっていくと思いますよ。
自分へのごほうびのスキマ時間も大切
心の余裕がないと集中力は続きません。
ありとあらゆるスキマ時間を勉強に使って、つめこみ過ぎると、ストレスがたまり、心に余裕がなくなってしまいます。
一日のスキマ時間の予定を立てるときに、自由時間も作っておきましょう。
たとえ5分~10分だけでも、音楽を聴く、動画を見る、ゲームをやる、マンガを読むといった好きなことをやる「ごほうびの時間」で満足感が得られると、次は勉強を頑張ろうとモチベーションが上がるでしょう。
好きなお菓子を買いに行ってもいいですね。
ごほうびのスキマ時間では、自分を甘やかしてあげてください。
受験は孤独になりがち。
中学校の友達や親戚など、普段は接点のない親しい人に「最近どう?」とSNSなどでメッセージを送ってみてもリフレッシュできるかもしれませんね。
自分に合った超短時間勉強法をみつけよう
1分でもいいからスキマ時間を探していく
英単語を覚えるとき、耳で聞く、発音する、書く、目で見る、など、いろいろな方法があります。
口に出したほうが覚えやすい人は、道を歩きながら、お風呂の浴槽につかりながら、など、声を出せるシチュエーションのスキマ時間を使えばいいし、リングタイプの単語帳を持ち歩いてマメに見たり、トイレなどに覚えたい単語を貼っておいたり、英単語のCDをイヤフォンで聞いたり、自分に合った勉強法をみつけましょう。
夜、すぐに寝つけない人なら、好きな科目や得意な科目の読み物系のテキストなどを見ると、ポジティブな気持ちで眠れますよ。
ただし、寝る前に動画を見ると興奮して熟睡できなくなることもあるので、スマートフォンやタブレットではなく紙のものがいいですね。
スキマ時間にやる勉強は、得意な科目をさらに伸ばしたいのか、もうちょっと頑張りたいと思う苦手な科目を底上げしたいのか、自分のモチベーションが上がるほうを選べばいいと思います。
ただ、友達と話しながら勉強するときは、苦手な科目がおすすめ。
人の力を借りて弱点克服しましょう。
スキマ時間は、自分からみつけようとしなければみつかりません。
ほかの人にはただの移動時間でも、自分にとって貴重なスキマ時間になるかも?
一日の中にはたくさんのスキマ時間があると意識することが大切。
1日20分のスキマ時間を確保できたら、3日間で1時間、1カ月で10時間もの勉強時間を、睡眠時間を削ることなく捻出できるのです。
スキマ時間でポイントを稼ぎ、少しずつレベルアップすることで、ステージをクリアしていきましょう。
ぜひスキマ時間マスターを目指してください。
ちょっとしたスキマ時間をいかに活用できるかが勝負の分かれ目になることもある受験勉強。
たった1分、されど1分の気持ちで、身の回りのスキマ時間を探してみて。
From スキマ時間をみつけて仕事を進めていきたいスキマ時間マスター見習いのスタサプ編集部SENより