小悩み解決!スタサプ目安箱 音読や面接で緊張して声が震えてしまいます!編
高校生の日常にひっそり現れる小さな悩み。
まだ大丈夫なんて思っていても、積み重なれば大きな悩みになってしまうかも…。
だったら、「小悩み」のうちにスッキリ解決しちゃおう!
スタサプ目安箱(という名の月末フォロワー読者アンケート)に送られたみんなの小悩みを、スタサプ編集部が専門家の力を借りて解決していくよ。
今回スタサプ目安箱に寄せられた小悩みはコレだ!
「授業中の音読やバイトの面接など、緊張して声が震えてしまいます…」(高1・DK)
音読の時って教室が静かだから余計緊張するよね。
ほかにも推薦入試で面接を受ける予定の人にもこのお悩み解決が役立ちそう!
鳥谷朝代 (とりたに・あさよ)
全国初の元あがり症によるあがり症のための協会「一般社団法人あがり症克服協会」理事長。心理カウンセラー。
中学1年の国語の本読みで手と声が震え出したことであがり症を自覚。
以来、学生生活に支障をきたし、大学進学をあきらめてしまう。高校卒業後に名古屋市に入職するもあがり症は悪化。
話し方講座を受講したことで克服し、2004年にあがり症のためのスピーチ塾を開講、独立した。2014年に非営利団体の同協会を発足し、全国各地のカルチャースクール、学校、企業・団体で年間200回以上の講演活動を行う。
著書に、『1分のスピーチでも30分のプレゼンでも、人前であがらずに話せる方法』(大和書房)、『12歳から始める あがらない技術』(秀和システム)などがある。
「一般社団法人あがり症克服協会」https://agarishow.or.jp/
目次
人前に出ると緊張して声が震えてしまうのはなぜ?
授業中に当てられて音読したり人前で話したりすると、どうしても声が震えてしまう。人によっては足や手も震えてしまうことも。
どうして震えてしまうのか、震えていない人との違いを、鳥谷先生に聞いてみたよ。
もしかしたら自分も?「あがり症」とは
「あがり症」は病名ではありません。
でも、人前に出る場面で、声が震える、身体(特に手足)が震える、普通よりもたくさん汗をかく、呼吸が苦しくなる、頭が真っ白になって何もできなくなる、などが強く現れる人がいます。
この頻度が高く、多くの場面で支障をきたす場合に、一般的にあがり症といいます。
この内、9割の悩みが「声の震え」です。
どうして緊張すると声が震えたりひっくり返ったりするの?
緊張には「自分の意志ではコントロールできない神経(自律神経)」が関係しています。私たちには呼吸や体温の調整など、みんなの意志とは関係なく24時間自動で働いている神経(自律神経)があるのを知っていますか?
自律神経には心臓をドキドキさせたり、汗を出したりなど「緊張や興奮」を促す神経(交感神経)と心臓のドキドキを落ち着かせたり汗を抑えたりする「リラックス」を促す神経(副交感神経)があります。
交感神経と副交感神経、生物の授業で習ったかも!?
血管が小さくなって筋肉も委縮してしまい、空気を十分に吸い込めなくなってしまいます。
そうすると、話の途中なのに息苦しくなってしまい、声がうわずったり震えが出たりしてしまうのです。
さらに、「自分の声が震えている」「緊張している」と自覚すると、「緊張が知られてしまって恥ずかしい」「声が震えていることをおかしいと思われているのかも」と思い込んでパニックになってしまい、さらに震えてしまうという悪循環になってしまいます。
これも、あがり症の人にはよくある傾向です。
自分の意志でコントロールできない自律神経のせいだったのか…
そして自分の声が震えてるのを自覚するとより緊張しちゃうのめっちゃある…!
緊張しても声が震えない人と、声が震えてしまう人の違いは?
多くの人は、人前に出ると緊張するものです。
しかし、この緊張に慣れている人もいれば慣れることができない人もいます。
また、多少声が震えたとしても気にしない人もいますし、ちょっと震えただけでパニックになってしまう人もいます。
この違いは、成功体験の数です。
「緊張して声がちょっと震えてしまったけど最後までできた!」
「声が震えたけど気づかれずにうまく話せた!」
という成功体験を重ねることで、「緊張しても大丈夫」という安心につながり、身体をリラックスさせる方法を学んでいきます。
しかし、成功体験がないまま、何度も人前で声が震えてしまい落ち込んだり逃げたりすることを繰り返していると、自分に自信がもてないまま、成功のきっかけを逃してしまいます。
「自分に自信をもって!」と励まされても、あがり症の人には逆効果になりがちです。
自信をもつための方法はひとつ!
一度でも成功の体験をしてみることなのです。
「成功しないから困っているのに!」と思ったかもしれませんね。
でも大丈夫。
緊張をしなくなることは無理ですが、声の震えを改善することは可能です。
一度でも声が震えることなく人前で話せるがわかれば、それがきっと自信につながるはずです。
声の震えを改善することができるのか!知りたい!
日本人は緊張しやすい民族?
まったく緊張しない、という人は滅多にいないでしょう。緊張して当たり前ですし、むしろ緊張することで集中や意欲の向上など、よい影響もあります。
怖がる必要なんてないのです。
とはいえ、日本人は諸外国に比べて、緊張しやすい民族という説もあります。
日本は「恥の文化」と言いますが、昔から日本では、人前に出て自己をアピールすることを良しとされてきませんでした。
なので、幼いころから自分の意見を述べる授業を行ってきた海外の子どもに比べて、日本人は人前に出て自己アピールをすることに、まだまだ慣れきっていないのかもしれませんね。
自分でもできる! あがっているように見せない・震えない方法
緊張は当たり前。
緊張しているのは自分だけじゃないと割り切って、緊張を見せないテクニックを身につけていきましょう。
「震えない」「パニックにならない」、先生も日頃やっている、効果抜群のトレーニングを教えてもらったよ。
緊張した時に起こる体のしくみを知っていれば怖くない
人の身体は、緊張すると交感神経が活発化することで、より身体が硬くなります。そうすると、猫背になってしまい、呼吸に一番重要な筋肉(横隔膜)を広げることが難しく、十分に空気を吸い込むことができません。
空気が吸いこめないので呼吸が浅くなり、話の途中で息継ぎをせざるを得なくなり、リズムよく話せなくなります。
お腹に力が入らないため大きな声が出せません。
これらができないのに、無理に大きな声を出そうとすると、震えが出てしまうのです。
緊張による体の変化は意志でコントロールできない自律神経に任されているので、自分ではどうしようもないことです。
でも、緊張して体が硬くなるとわかっていれば、たとえ緊張しても体が固まらず、大きな声を出せるように対策を立てることができますね。
そこで大切なのが、緊張しても体が固まらない日頃のトレーニングです。
3つのストレッチで声の震えを改善しよう!
実は、声が震えてしまう人の多くの人は体が硬い傾向があります。
この硬い体をやわらかくすることで、震えは大幅に改善します。
このため日頃から、緊張してもリラックスできるしなやかな体づくりが大切です。
喉や肺、お腹など声を出す機能がある上半身を重点的に、3つの簡単なストレッチで体をやわらかくしていきましょう。
①首のストレッチ
まずは首です。
緊張すると前かがみになり、喉の筋肉が硬くなることで喉が締まってしまい、震えが出やすくなります。
なので、首を回したり左右に倒して伸ばしたりするストレッチでやわらかくしていきましょう。
肩をぐるぐる回すのも効果的です。
②腹筋・横隔膜のストレッチ
空気をたくさん吸い込むためにも、横隔膜や腹筋も伸ばしておきましょう。
脇腹を伸ばすストレッチや腹筋を鍛える運動を取り入れてください。
③背筋のストレッチ
背筋も大切です。姿勢を良くすると喉が開き、声も大きくなります。
手を後ろで組んで上げる運動は、ストレッチにも背筋をつけるにも効果的。
姿勢が良くなり、胸が開きますよ。
3つのストレッチをした後で声を出してみてください。
感覚がまったく違っていることに気づくでしょう。
続けることでしなやかにやわらかくなり、声が震えにくい体を作ることができます。
呼吸を制する者は緊張せず! 震えない呼吸と発声のコツを身につけよう
ストレッチと合わせて、たくさん空気を取り入れて大きな声を出すための呼吸法もマスターしましょう。
効果的なのは、深呼吸です。
おなかを使って呼吸をする腹式呼吸で、鼻から大きく息を吸い込み、ゆっくりと口から吐いてみましょう。
息を吸い込むとき、おへその下に空気を貯めるイメージでお腹をふくらませるとうまくいきます。
口から吐くときは、おなかをへこましながら空気をすべて出し切るようにするのがポイントです。
これを何度か繰り返します。
腹式呼吸でお腹の筋肉を十分に動かせるようになり、丹田(おへそから5㎝ほど下の辺り)に力が入るようになったら、今度は声を出してみましょう。
大きくはっきりと声が出ない人は、口角の筋肉が緩んでいる場合も。
母音「あ・い・う・え・お」を、おなかから呼吸に乗せて声を出します。
おなかに力を入れて声を出す感覚がわかったら、「あーーーー」「いーーーーー」というようにロングトーンも練習してみましょう。
ストレッチと呼吸、発声練習を終えた後に音読をしてみると、声の出しやすさがまったく違うことがわかります。
声が震えなくなれば、不安度はかなり下がります。
メンタル効果も大きいですね。 身体へのアプローチは、思ったよりも強力なのです。
緊張=メンタルの問題だと思いがちだけど、体を調整することで声の震えを抑えられるんだ!
本番中にもこっそりできる手首足首体操
どんなに準備をしても、本番前はやっぱり緊張するもの。
本番中にだって、ふとしたことで震えが出てしまうかもしれません。
また、上で紹介した3つのストレッチは体を大きく動かすため、本番中にできないこともあるでしょう。
そんな時は、直前でも本番最中でもこっそりできる手首と足首の体操で、体をやわらかくしていきましょう。
やり方は簡単。 上で紹介した深呼吸と合わせて手首と足首をくるくる回したり、ブラブラさせたりするだけです。
緊張が出やすいのは「首」という文字がつく部位です。
この「首」を動かすことで、身体をリラックスさせることができるのです。
見えない机の下で手首を動かしたり、音読する前に足首をグルグル回すのも良いですね。
緊張は生きている証拠! 十分な準備でポジティブに転換して
鳥谷先生から高校生のみんなへ
私は極度のあがり症で、中学も高校も、声が震えてしまうので授業中の音読ができず、保健室に逃げ込む毎日でした。
あがり症のために面接も試験もできず、大学進学をあきめてしまいました。
みなさんのなかにも、人前に出ると極度に緊張してしまう、面接や試験が怖いという理由で進路の選択肢を狭めてしまいそうになっている人がいるかもしれません。
でもそれはとてももったいないことです。
人前に出るということは、自分がステップアップする場面でもあります。
そんな場面で、まったく緊張しない人なんていません。
これまで頑張ってきたからこそ、奮い立ち挑もうとして緊張するんです。
あなたが一生懸命に生きてきた証拠です。
あがり症は克服できます。
特に声の震えは、ストレッチや呼吸、発声のトレーニングで改善できます。
声が震えなくなれば、自分の考えを相手に伝えることができるし、自信をもって挑むことができます。
震えない体づくりをして、緊張を味方につけて自分の夢をつかんでください。応援しています!
緊張してしまうのはメンタルが弱いから、と思いこんじゃうのはもったいない!
筋肉(物理)をトレーニングすることによって少しでもみんなの声の震えが落ち着くことを祈ってるよ。
そして私もプレゼンとかでけっこう緊張するタイプなので、3つのストレッチ&首対策、やってみようと思います!
『12歳から始める あがらない技術』(秀和システム)
鳥谷先生が書いた『12歳から始める あがらない技術』にも、今回の「あがらない技術」が載っているよ。
もっと詳しく知りたい!という人は、ぜひ読んでみてね。
https://www.amazon.co.jp/dp/4798066435