小悩み解決!スタサプ目安箱「スマホが気になって勉強に集中できない…スマホ依存かも?」編
「みんなも同じく悩んでいるから大丈夫」では済まされないのが、勉強や友達関係に影響する悩み。いつまでも悩んでいるよりも、小悩みのうちにスッキリ解決しちゃおう!
スタサプ目安箱(という名の月末フォロワー読者アンケート)に送られたみんなの小悩みを、スタサプ編集部が専門家の力を借りて解決していくよ。
今回スタサプ目安箱に寄せられた小悩みはコレだ!
小悩み:スマホが気になって勉強に集中できない! これってスマホ依存かも?(高2・JK)
うっ、このお悩み、大人も一緒かも…! 専門家の先生に相談してみよう!
初村英逸 (はつむら・ひではや)
品川メンタルクリニック梅田院院長。
大分大学医学部卒業後、長崎大学医学部付属病院、松阪厚生病院に勤務。
新宿ストレスクリニック(現・品川メンタルクリニック)名古屋院院長、本院診療部長を経て、現職に就任。
心療内科・精神科の医師として、ストレスやうつ病治療を行う。
目次
スマホをつい触ってしまうけど、これって大丈夫?
勉強しなくちゃいけないのに、友達のお話を聞いている途中なのに、どうしてもスマホが気になってしまうこと…、あるよね。たまになら良いけど、日がな一日気になって、ソワソワしてしょうがない。もしかしたらスマホに依存している兆候なのかも?
初村先生に、スマホが気になり過ぎてしまうしくみと、その影響について聞いてみたよ。
「依存」ってどういう状態? 当てはまるものをチェック
スマホは楽しくて便利で、コミュニケーションツールのひとつでもあります。今やすっかり暮らしになくてはならないものです。だからこそ、気になってしまうし、側にあるスマホをチェックしてしまいます。
特に、SNSや動画はバズらせることを目的にされているので、中毒性が高いものが多く、一度見始めると止まらなくなってしまったという経験は、みなさんにも多いのではないでしょうか。
たまになら問題ありませんが、頻度が高く生活に支障が出ているのなら、依存度が高くなっていると言えるでしょう。
下記の項目をチェックしてみてください。当てはまる項目が多ければ多いほど、依存度が高くなっている傾向にあります。
初村先生に聞いた「6つのチェックリスト」、みんなはどのくらい当てはまるかな?
【スマホ依存かも!?チェックリスト】
☑スマホばかり見るのは良くないとわかっているけどやめられない☑手元にスマホがないと気持ちがソワソワして落ち着かない
☑無意識にスマホを手に取っている
☑食事中もスマホを触ってしまう
☑寝る前にスマホを見てしまい、睡眠時間が削られ睡眠不足
☑気づくとスマホに夢中で、ずっと同じ姿勢のまま運動ができていない
チェックしてみて当てはまることが多いけれど実感がよくわからないという場合は、一度スマホを触らない状態を作ってみてください。
この時に、手放すことにとてつもない抵抗がある、例えば食事や睡眠、運動など、人間が生きるためにやらなければならない時間を削ってまでも手放したくないと感じたのであれば、今は大丈夫でも、将来的に生活に支障が出る可能性が高いと言えるでしょう。
「一日に何時間以上触っていたらスマホ依存」「触る頻度が一日に何回以上だったらスマホ依存」というよりも「ご飯を食べる・眠るなど生命維持の時間にもスマホが食い込んでいるかどうか」がポイントなんだね!
ダメだとわかっているのにどうして「依存」してしまうの?
依存や中毒の怖いところは、「いつの間にか」その対象なしではいられなくなってしまうところです。
スマホも然り。面白くて夢中になって、食事や睡眠、運動の時間をスマホに割いているうちに、いつの間にか自覚もなく、スマホなしではいられなくなってしまいます。
なぜこのようなことが起こるのでしょう。それは、脳内ホルモンのドーパミンに関係しています。
スマホにはたくさんの情報があり、ゲームがあり、友達や遠くの人と繋がるツールがあります。
情報を目にして新しいことを知ったり、ゲームで何かを攻略したり、SNSで承認欲求が満たされると、そこで「楽しかった」「気持ちよかった」「うれしかった」という感情が生まれます。
これを何度も繰り返していると、スマホで気持ちよくなれる、楽しくなれると、脳が学習し始めます。
そのまま対策をせずに使い続けると、徐々に自分一人ではコントロールが不可能になります。
ドーパミンの神経回路がスマホに乗っ取られてしまうのです。
脳内ホルモンのせいだったのか…!
スマホばかりに気を取られてしまうと出る影響は?
スマホを使い過ぎると、勉強や受験、友達関係だけではなく、身体や精神状態にも変化が現れます。
まず、スマホをずっと見ているため脳が疲れてしまい、物事を考える力が低下します。
集中力が欠けてしまい、机に座っていても勉強を続けることが難しく、成績にも影響してしまうかもしれません。
さらに、スマホの中だけの世界に閉じこもっているため、人とリアルでのコミュニケーションがうまくいかなくなります。
相手の感情を読み取ったり、自分の感情を相手に伝えたりする方法を忘れてしまうのです。
依存症が高じると、スマホを触っていなくては不安で仕方なくなり、何をしていてもスマホが気になり落ち着きがなくなります。
最終的には、感情の制御が難しくなるなどの鬱症状が現れます。
現在ではスマホは必要不可欠! コントロールする方法は?
スマホは正しく使えば便利で楽しいものだけど、依存しやすいツールでもあるんだね。自分でコントロールする方法を、先生に聞いてみたよ。
高校生のみんながやっている方法もヒントにして、自分なりのスマホとの付き合い方を試してみよう。
外に出て五感を取り戻す生活を
スマホで毎日流れてくる情報を眺めている生活を続けていると、脳疲労によりさまざまな感覚が乏しくなります。
一方的に入ってくる情報の処理が間に合わず、その情報について自分なりに深く考える時間がないため、情報を感情のないまま受け流してしまいます。
この状態に慣れてしまうと、自分の言葉で感情や考えを表現することが難しくなります。
刺激に鈍感になり、全体的に「のっぺりした」感覚になってしまうのです。
まずは、意識してスマホから離れてみましょう。
本を読む、友達の話を聞く、映画を見たり音楽を聴く、外に出て軽い運動をする、散歩で季節を感じてみる、など、スマホがなくてもできること、楽しいことはたくさんあります。
この五感を高める体験を繰り返すことが大切です。繰り返すことで忘れていた感覚を思い出すことができます。
スマホを触る以外の行動を取り入れて、スマホがない状態に慣れていくことで、意識的にスマホとの距離をコントロールできるようになるでしょう。
「外に出て五感を刺激する」、受験勉強の気分転換にもなりそう!
高校生のみんながやっている対策って効果はある?
ここからは、高校生のみんながやっている「スマホ依存対策」の効果アリ・ナシを初村先生に聞いてみたよ。みんなの対策「アプリを消す・通知を切る」
たくさんアプリがあるとどうしても見てしまうので、必要最低限のもの以外は消しちゃう。また通知が気になるので、通知がでないように設定してます。(高2・JK)
「アプリの通知を確認する時間を、例えば1時間に1回と決めて実行するのであれば効果があるでしょう。
気になって通知を何度も確認していては本末転倒なので、カバンの中にしまうなど、視界に入れないという方法もあります」
みんなの対策「電源を切る」
通知があると視界で光って見えるから、電源を切って画面を視界に入れない。(高1・DK)
「こちらも物理的に見えなくする方法ですね。
電源を強制的に切ってしまい、手に取ってもすぐに見ることができず、見るためには電源を入れるというワンクッションを挟まなければならないので、気がつけばスマホを触ってしまう人は試してみると良いと思います」
みんなの対策「物理ロック(鍵付きコンテナなど)」
寝る前にスマホを見てしまうのでタイマー付き鍵付きコンテナに入れて、強制的にスマホを遮断。(高3・JK)
「そういうのがあるのですね(笑)。
電源を切ってもやっぱり解除してしまうのであれば、物理的に絶対に見られなくするという方法しかないですね。
自発的に鍵付きコンテナに入れることができるのであれば、まだ自分でコントロールできる段階です。
スマホのない状態に慣れていきましょう」
みんなの対策「画面をモノクロにする」
スマホでみるサイトには、続けてみたりタップさせたりする仕掛けや誘惑がたくさんあるから、画面をモノクロに。見ても楽しいと感じなくなるような気がします。(高3・JK)
「何となく見てしまってのめり込んでしまい、気がつけば時間がなくなるというのがスマホです。
スマホには誘惑が多いと知ったうえでの対策なのが良いですね。
画面をモノクロにすることで見たいと思わなくなるのなら、それは本当に必要な情報ではないのかもしれません。
自分で考えて冷静に情報を取捨選択できるようになることで、スマホとの良い距離感を保てるようになるでしょう」
みんなの対策「友達と一緒に使わない時間を作る」
1人だけスマホを見ないというのは友達とのコミュニケーションに支障が出るから、友達と一緒にスマホ断ちをする。(高3・JK)
「とても良い方法だと思います。
友達とスマホを触らない時間を使って一緒に勉強したりおしゃべりしたりなど、スマホで失っていた時間に気づくこともできます。
一緒にできたという達成感も共有できますね。
この方法は、家族でも有効です。
家で家族がスマホを触っているのを見ると、自分も見たくなってしまうもの。
スマホ依存は、周りの環境も影響します。
周りの大人も協力できるとさらに良いでしょう」
初村先生からのメッセージ
スマホ依存については、データを取ったわけではありませんが、私の勤める病院でもいわゆる「Z世代」と呼ばれる若年層からの相談も、増えているように感じています。
この問題は、依存症を治療するなどの対処だけではなく、社会の問題として考えるときなのかもしれません。
現在、コスパやタイパを重視する風潮があります。情報が大量に拡散されているインフォデミックの中で、スマホとの適切な距離を意識して取らなくてはならない状態です。
高校生のみなさんが、「このままでは危ない」「良くない状態になっているかもしれない」と意識していることは、とても良い傾向だと思います。
使い方を間違わなければ、スマホは楽しくて魅力的でとても便利なものです。
スマホにとらわれてしまうと、食事や睡眠、運動、リアルでのコミュニケーションなど、人間が生きていくうえで絶対に必要な時間が損なわれてしまいます。
時間をかけて物事に取り組んだり考えたり、または美味しい、楽しい、うれしいと感じたりなどができなくなってしまいます。
せっかくの高校生活、スマホに時間を乗っ取られないように、今しかできないことをたくさん体験して感じてください。
そして、周りの大人もスマホとの適切な距離感を見せることも大切です。
保護者や周りの大人も一緒に、スマホや情報との付き合い方を考えていただければと思います。
この時代、スマホなしで暮らすのは正直とっても難しいから、完全に断ち切らなきゃ…!と焦らなくても大丈夫。
対策をとって、ほどよい関係性をもつことを意識していこう。
ちなみにこの取材、参加した私&ライターさんも「大人も気づいたらスマホを触ってる」「Twitterしすぎて長文が読めなくなった」と共感&反省の嵐でした。
とりあえず早々に、物理ロックコンテナを買って対策しようと思います。