高校生エディターが今気になるアーティストを紹介!【MONO NO AWARE&MIZ】編
早耳リスナーの高校生エディターが今気になるアーティストを紹介する連載企画が始動。記念すべき第1回は、スタサプ編集部のイチオシ!として、4人組ギターポップ・バンドMONO NO AWARE、そしてアコースティックユニットのMIZとしても活躍する玉置周啓(Vo/Gt)と加藤成順(Gt)が登場!
Shukei Tamaoki Seijun Kato from MONO NO AWARE & MIZ
左:玉置周啓(Vo/Gt)、右:加藤成順(Gt)
2017年3月、1stアルバム『人生、山おり谷おり』をリリースし、フェスやライブを中心に活動。
2021年6月には4thアルバム『行列のできる方舟』を発表した。2016年よりMIZとしての活動もスタートさせ、これまでにアルバム2作品をリリース。
Instagram:@mono.no.aware.0630
二人のルーツ、八丈島での高校生活。
周啓「ぼくは八丈島では最も厳しいとされていた野球部だったので、部活のリズムに縛られた学校生活でした。
学校には年柄年中何かしらのブームがあって、クラスの中心的なやつがバンドを始めればバンドブームが来るし、それがゲームになるときもある。
だけど、受験勉強だけブームが起きなかった(笑)。同級生が70人いるなかで、計画的に勉強をしていたのはぼくの体感では4〜5人くらい」
成順「ぼくは部活には入っていなかったので、楽しみは体育祭と文化祭でした。ライブハウスとかもないから、自分たちで企画したり、文化祭に向けて練習したり。
『3年間の学校生活をこの環境で最大限に楽しむ』みたいなムードがぼくらの高校には流れていて、ぼく自身も勉強したくなかったから、推薦入試で幼稚園の先生になれる群馬の学校に進学しました。姪っ子とよく遊んでいたし、子どもが好きだなと思ったので」
周啓「推薦が取れる人が羨ましかった。ぼくは一般受験だから勉強しなきゃと思いながら入試の3日前を迎えて、ホテルで缶詰になってわーっと勉強した結果、第一志望校には落ちちゃいました。
ぼくは音楽が好きなので詩を学びたかったんですが、そのための大学はなさそうだったので、哲学を学びました」
東京にてMONO NO AWAREを結成!
「バンドを続ける決意表明の意味も込めて、1年間で100万円貯めました」――加藤成順(Gt)
成順「周啓とは高校でも一緒にコピーバンドをやったりはしていたけど、正式にバンドを組んだのは20歳のころ。音楽をやっている人は多いなかで、オリジナルで曲を作っているのは周啓くらいだったし、すごくいいなと思っていたので誘いました。
大学を卒業した先に目的があるわけじゃないし、だったら今楽しいと思えるバンドを続けようと思って、バイトして1年間で100万貯めて、群馬から東京に出てきました。100万は4カ月くらいでなくなりましたが(笑)。
イベントに顔を出したりして人脈を広げて、結果、今のマネージャーさんにも出会えました」
「MONO NO AWAREでやっていく未来に光が見えていたので進みました」――玉置周啓(Vo/Gt)
周啓「ぼくは国語の教職免許を取るつもりで教育実習に行くはずだったんですが、当時、MONO NO AWAREは大塚MEETSという都内の小さなライブハウスで、週2でライブをしていたので、実習に行くと4本もライブを飛ばすことになっちゃう。めっちゃ迷いましたが、『よし、オレは大塚MEETSで行こう!』って決めて両親に電話したら、母親に爆泣きされました。
でも当時は、今がめっちゃ楽しいから、将来はどうでもいいっていうよりも、MONO NO AWAREでやっていく未来に光が見えていて、この方向は恐らく間違っていないという感覚があったので進みました」
音楽活動は自分の生活が回転する要素。
周啓「好きなことがみつかったり、気の合うコミュニティーに入ることで何が起きるかというと、生活が回転するんです。楽しいから時間の流れが速くなる。それがぼくにとっては、曲を作るということ。生活が回転するひとつの要素です。
なので、好きなことがみつからない人は、生活が回転する術をみつけてほしいなと思います。
そして、ぼくらの曲がそのきっかけになってくれたらうれしいなと思う。ぼくも小さいころは曲を聞くことにのめりこんでいたので、ぼくらの曲もそうなってほしいです」
高校2年生へのメッセージ
from 加藤成順(Gt)
「高校2年生のころのぼくは、進路も将来のことも何も決まっていなかったけど、とりあえず生きていれば、親も周りもよろこんでくれるから、やりたいと思ったことをやっちゃえばいいと思います。
自分にうそはつかない。こんなぼくでも生きているから大丈夫。先のことを考えて、悩む必要はないと思います」
from 玉置周啓(Vo/Gt)
「親や学校や友達など、あまりにも人を中心に物事を考えすぎると動けなくなっちゃうときがあるから、例えば塾の先生とか、別の物差しをもっている人の話も聞いたほうがいいと思う。違うコミュニティーに行ってみるとか。
ひとりで自分のことを考えていても、答えは返ってこないから、自分を知るためにも、環境を広げたほうがいいと思います」
周啓さん、成順さん教えて!なーんでもお悩み相談室
読者のみんなから寄せられたお悩みへのアンサー。
Q. 自分のやりたいことが何かわかりません。(とろ・高3女子・富山県)
周啓:学校では、自分の「好き」とか「得意」が関係なく、みんな平等な生活を送るから、その感覚に縛られる前の自分に決めてもらうのがいいと思います。映画好きだったなとか、泳ぐのが得意だったなとか。そこにヒントがあるんじゃないかな。
成順:高校生で将来のやりたいことをみつけるのは難しいよね。ぼくは大学っていう場所で、いろいろな人と出会えたから、進学したことに意味があったと思っていて。環境を変えたその先に、やりたいことがみつかるかもしれない。
Q. 大学を推薦で決めるか、自分の実力で決めるか迷っています。(あずき・高3女子・岐阜県)
周啓:楽な道を選ぶというより、今が楽しければ推薦でいいと思うけど、推薦で将来を確保した結果、今暇みたいな状況になるんだったら、勉強して汗を流すほうが充実した生活になりそう。
成順:チャレンジしようか迷うなら、やってみたほうがいいと思う。ぼくは自信がなかったから。
Q. 大学は決まったけど、友達ができるか不安。(のりまきたろう・高3女子・新潟県)
周啓:コミュニティーは自分が望んだ形で手に入るものじゃないと思う。例えば、気乗りしないで始めたバイトの先輩と気が合って、そこから輪が広がったり。たまたま隣の席に座った人だったり。高校ではクラスだけで世界ができていたけど、大学にはサークルも、バイトもあるし、一人ぼっちばかりが集まっているから大丈夫!
成順:ぼくは入学前にSNSでコミュニティーを作ったりしていましたが、ネット上でいくら人と繋がっても結局形には残らない。今はご時世的に大変かもしれないけど、人と対話する。それが大切だと思う。
Q. 部活が忙しくて受験勉強する時間がない。(ここ・高2女子・岡山県)
周啓:高校の同級生で9教科平均90点以上の秀才がいたけど、志望する大学のために高2の夏で部活を辞めて、受験モードになっていました。多分、学校の勉強と違って、受験勉強は一種のスポーツだと思うので、部活との両立は体力的に難しそう。一番大切なのは、どちらを一生懸命やるのか、はたまた両立させるのか、自分で決断することだと思う。そこで課したミッションを成し遂げる努力をする。
成順:高3まで続けて最後の大会に出るっていう経験も貴重だからね。決めちゃえばいいとぼくも思う!自分で決めたことなんだから、悔いはない。
鮮やかなポップサウンドと言葉遊びのような歌詞が紡ぐ楽曲群はどこか懐かしくて、学生時代を思い出しつつ、大人になった今の自分にそっと寄り添ってくれます。
心が疲れたときに聴くとポカポカしてくるので、肩の力を抜きたいときのお供にオススメ!
私は夕暮れの帰り道に、MONO NO AWAREの曲を聴くのが好きです。
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Text&Edit / Mizuki Kanno
Photography / Reina Tokonami、Risa Nishimura(Live Photo)
Design / Moe Watanabe
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