「自分で自分を誇れる毎日を送ってほしい」歌手 川崎鷹也さんから高校生へ応援メッセージ
ストリーミング総再生数が3億回超えのヒット曲『魔法の絨毯』が大人気の歌手 川崎鷹也さん。
2023年6月16日公開の映画『魔女の香水』では、主題歌『オレンジ』を書き下ろしただけでなく、俳優としてもデビュー!
マルチに活躍する川崎さんから、「受験」という大きな挑戦をする高校生へ、応援メッセージをもらったよ。
1995年生まれ。栃木県出身。
一度聴いたら忘れられないハスキーな歌声と美しいビブラート、癖になるメロディーラインが魅力。
2020年8月、SNSで『魔法の絨毯』が大人気となり、同曲のストリーミング累計は2023年6月現在、3億回再生を突破。
2023年6月16日公開の映画『魔女の香水』では主題歌『オレンジ』を書き下ろすとともに、俳優としてもデビュー。
2023年6月14日に2ndアルバム『ぬくもり』をリリース。
目次
専門学校時代、「ぼくには音楽しかない」と覚悟を決めた
心にしみる曲をたくさん送り出しているシンガーソングライターの川崎さん。
実家はライブハウスで、高校時代には文化祭のステージでバンドの曲を披露するなど、音楽活動は10代のころから始めていたそう。
進路選びでは東京の専門学校に進学、そんな当時のことを振り返ってもらったよ。
専門学校への進学は東京に出てくるきっかけに過ぎなかった
Q. 高校時代には文化祭でバンドの曲を披露して、卒業後は音楽の専門学校に進学されていますね。専門学校という進路を選んだ理由は?
専門学校への進学は東京に出てくるきっかけにすぎなかったんです。
ぼくの地元は栃木県なんですけど、どこに行っても同じ風景で。
実家がライブハウスではありましたが、栃木という場所が当時は音楽をやる環境や文化が東京ほど充実していなかったのもあって、東京に出たかった。
高校生のときに何校か東京にある音楽系の専門学校のオープンキャンパスに行って、唯一、先輩がぼくに対して敬語を使ってくれたのが母校だったんです。
それ以外は先輩が偉そうでちょっと嫌だった、という理由で進学先を決めました(笑)。
本当は専門学校へ行かずに音楽をやりたかったけど、親はやっぱり「専門学校卒業」という経歴を得てほしいと思っていたみたいで。
親のためだけに進学したと言ってしまってもいいかもしれません。
Q. 母校のHPには「専門学校の良いところは、怒ってくれる人がいること、あーだこーだ言ってくれる人がいること」とメッセージを寄せていますが、専門学校に進んでよかったと思うことは?
ぼくはボーカル専攻でしたが、ある時、先生から「お前ら歌えなくなったら死ぬか?」と聞かれたんです。
「歌えなくなったり、音楽ができなくなったら死ぬ」とぼくは答えたけれど、なかには「死にません」と言う学生もいたんです。
すると「その程度の覚悟なら音楽をやめたほうがいい」と先生に言われて、そのとおりだなと。
やりたいことや夢がある人は、どれくらい覚悟をもって、どれくらい本気で目指しているか、でしかないと考えていたから、その時の先生のひとことは大きかったですね。
音楽とか歌を歌うことをやめた時、ぼくには何が残るのだろう。
自分は他に何ができるのだろうと考えた時に、「ぼくには音楽しかないな」って思えたからこそ、先生の言葉が胸に響きました。
受験期の恋愛は「アリ」だと思う
川崎さんと言えばやっぱり恋愛ソングをイメージする人が多いけど、高校生時代の恋愛はどんな感じだったの?恋愛観や奥さまとの出会いのエピソードも聞いてみたよ。
Q. 恋愛の歌をたくさん作っている川崎さん、高校生から「受験期の恋愛ってアリですか?」というお悩みがよくあるけどどう思う?
「アリ」だと思います。
ちょっとした連絡をするだけでも励みになって頑張れることがあるので、いいと思いますよ。
ぼく自身も、好かれたい、気に入られたい、かっこよくいたい、かわいくいたいという気持ちを大事にしています。
そういう気持ちをもっている人って輝いているので、自分のモチベーションになったり、頑張ろうという気持ちになれる存在がいるということは、すごくいいことだと思います。
だから、受験期でも恋愛をしていいのではないでしょうか。
Q. 高校時代から思いを寄せていた先輩とご結婚され、その奥さまとの生活から『魔法の絨毯』などの素敵な楽曲を生み出している川崎さん。高校生の時に奥さまに対して「この人だ!」と思った「ときめきポイント」ってあった?
この人だって思ったポイントは、「話していて波長が合う、居心地がいい、気を遣わなくていい」とかでしょうか。
ぼくが高校1年生で、奥さんは高校3年生の時にバス停で初めて会ったんですけど、「結婚するならこういう人だな」ってふと思ったんです。
本人とはひとこともしゃべってないのに(笑)。
こういうところが気に入ったとか、はっきりとした理由とかは特になくて、人間としての感覚みたいなものは何かあったような気がします。
映画『魔女の香水』で伝えたいこと
黒木 瞳さんが演じる魔女と呼ばれる女性・白石弥生が創る香水の香りが、夢に挫折し将来への希望を見失った桜井日奈子さんが演じる若林恵麻を華やかな未来へと導くシンデレラストーリーが映画『魔女の香水』。
主人公が成長していく姿を歌に描いた
Q. 主題歌『オレンジ』を書き下ろし、さらに、恵麻をサポートするやさしい先輩・河原優也という主要キャストで俳優デビューを果たした川崎さん。主題歌と俳優と、どんなふうにオファーされたの?
もともと主題歌のオファーがあり、曲を書く段階で、監督の宮武由衣さんから「演技に興味はありますか?」と聞かれたんです。
「演技にチャレンジできる機会があればやってみたい」という話を軽くしたら、こうなりました(笑)。
オフィスの清掃員とか、ちょっと見切れているけど、よく見たら、主題歌を歌っている人じゃない、みたいな感じだと思っていたんですけど、すごくしゃべる役をいただき、びっくりしましたね。
Q. 主題歌『オレンジ』で伝えたいことは?
ぼくが演じた河原目線の恵麻の香り、なびく髪、横顔、後ろ姿など、抽象的ですが、映画のワンシーンを切り取った部分を歌詞として落とし込んでいます。
河原が先輩として見守っている恵麻が成長していく姿を描きました。
Q. 俳優としても出演されることで、主題歌の書き方は変わった?
今回の主題歌は現場で書こうと思って、大部屋の楽屋で作ったんです。
現場の雰囲気や空気感を味わいながら、桜井日奈子さんの表情や演技を目の当たりにして、ひとことのセリフでも、いろいろな言い方や伝え方、届け方があることを体感しながら、桜井さんの笑顔をイメージして主題歌を書いています。
主題歌のタイトルの『オレンジ』は、恵麻が出会った平岡祐太さん演じる横山蓮が使っていた香水の金木犀からきています。
金木犀って黄色かもしれないですけど、ぼくが栃木で過ごしていたころに見た金木犀は、オレンジ色のイメージだったので。
※(c)2023映画『魔女の香水』製作委員会
まわりの意図も考えて表現することを学んだ
Q. 音楽と演技、表現する仕事として共通点や違いはある?
違っている点は、いっぱいありますね。
今回の役は、ぼく自身のキャラクターや、ぼくが音楽で伝えたい部分からそんなに離れていない。
だから、役作りとか、こういうふうに思わなきゃいけないとかがあまりなかったんです。
わりと純粋に、恵麻を応援する気持ち、やさしさ、自分が思っているようなことをそのままセリフとして言えたので、そこはあまり苦労しませんでした。
ただ音楽と演技の大きな違いは、誰が正解をもっているか。
音楽の現場では、ぼくが100%正解をもっているので、ぼくのやりたいように表現する。
ぼくらミュージシャンは、ひとりよがりで、好き勝手やってますから(笑)。
でも俳優の仕事は、監督がいて、共演者がいて、照明や音響のスタッフがいて、ぼくが正解をもっていない。
ひとりよがりではなく、監督の意図、共演者の表情や間、このシーンでは何を伝えたくて、このカットでは何を言いたいのか、というところまでを考えなくてはいけないんです。
そこは俳優の皆さんのすばらしいところだなと思いますね。
Q. 映画の主題歌を作るという、普段とは違う曲の作り方をしたことで影響はあった?
これまでは家族だったり、チームだったり、身近な人へ向けて曲を書いていましたが、演技をすることによって、いろいろな角度の目線があるなぁ、と改めて感じています。
映画はセリフがあるから、登場人物が何を考えているかというのがより伝わってくるので、いろいろなところの目線がある。
演技で体験したことを生かして、今後、さまざまな目線のアプローチのしかたもしてみたいと思いましたね。
きっかけをみつけてチャレンジを
Q. 進路に迷っている高校生に見てほしいところは?
ぼくも高校生のころは悩みまくっていましたし、音楽をやるかどうか、すごく考えていました。
恵麻もそうですけど、結局、何か行動を起こす時には覚悟がいるし、誰でも悩むと思いますが、最終的にその一歩を踏み出すかどうかを決めるのは自分自身。
この映画では、香りがきっかけとなって、恵麻の信条や行動が変わっていくんですけど、高校生のみんなにも、どこかにきっかけがあるはずです。
先生や保護者、友達のひとことかもしれないし、たまたま見た映画や好きな歌の歌詞かもしれない。
そこに気づいた人から行動していって、行動していった人から何かを得られているんじゃないかなと思うので、チャレンジしてみることが進路をみつけるきっかけになるのではないでしょうか。
高校生活では、うまくいかないこと、理不尽なこともあると思うけど、また明日から頑張ろうと、自分を鼓舞するような映画になれたらいいなと考えています。
この映画でいう香りのような、自分のスイッチを入れるきっかけをみつけてもらえたらいいですね。
※(c)2023映画『魔女の香水』製作委員会
「受験」に挑戦する高校生へのメッセージ
Q. 映画では恵麻が天職を探していましたが、川崎さんにとって音楽は天職?
ぼくにとっては音楽が天職ですね。
あんまり仕事だと思っていないんですけど(笑)。
自分のやりたいことを好きなようにやらせてもらっている現状は、天職だと言っていいと思います。
ぼくは、18歳から音楽活動をしていますが、ほんの数年前まではライブをやってもお客さんは0人でしたし、物販で誰もCDを買ってくれない時もありました。
いろいろな思いはあったんですけど、やっぱりステージに立って、何か表現して、それをひとりのお客さんにでも届いて涙を流してもらえた、っていう瞬間を見た時、やっぱり音楽ってすばらしいなと実感できるんです。
進化したいと思い続けて、自分の道を決めてほしい
Q. 映画『魔女の香水』にでてくるような、人生の転機になった出会いとかきっかけは?
ぼくは、けっこうありましたね。
いろいろなシーンで、いろいろな人と出会って、ここまで来た。
自分ひとりの力でここまで来たわけじゃないと実感しています。
ぼくの人生が変わった一番の転機は、約10年前。
18歳の時に事務所の社長と出会わなかったらアルバムをリリースしていなかったでしょう。
また、レーベルの担当者がいなければメジャーデビューするつもりはなかった。
ぼくは、「この人とやることに意味がある」という考えで仕事をしています。
彼らと出会って、彼らとじゃないとやりたくない、と強く思ってきたので、その出会いときっかけがなかったら、今の自分はなかったかもしれません。
Q. 主題歌に加えて映画初出演も果たすなど、新しいことやジャンルが異なることに挑戦されている川崎さんから、「受験」という大きな挑戦をする高校生へメッセージをお願いします。
常に向上心をもってください。
ぼくは、現状維持は衰退だと思っています。
自分が自分自身を誇れるかどうか、昨日より今日の自分は頑張っているのか、ということを常に意識し続けることが大切だと考えています。
重要なのはモチベーションです。
そのモチベーションを維持し続けるのは自分しかできないので。
誰かに元気づけられたり、何かひとこと言われたりして、その時は頑張ろうと思っても、1週間後にまったく同じモチベーションでいられるか、というとそうではないでしょう。
それをできるのは、自分自身が常に進化したいと思えているかどうか。
それを日々思っている人が上へ上がっていけるのです。
結局、自分の道を決めるのは自分だと思うので、自分で自分を誇れる毎日を送ってください。
※(c)2023映画『魔女の香水』製作委員会
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2023年6月16日(金) TOHOシネマズ 日比谷 他全国ロードショー
配給:アークエンタテインメント
出演:黒木 瞳、桜井日奈子、平岡祐太、川崎鷹也
監督・脚本:宮武由衣
製作統括:菅原智美
製作:映画『魔女の香水』製作委員会
公式サイト:https://majo-kousui.jp/
Twitter・instagram:@majo_kousui
取材・文/やまだみちこ
撮影/沼尻淳子
ヘアメイク/髙徳洋史(LYON)
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