認知特性が導くタイプ別学習のススメ

いよいよ夏休み〜! とよろこんでばかりいられないのが、高校3年生の現状...。
この夏休みをどう過ごすかによって、秋からの受験生生活に大きな差が生じてしまうのだ。

そこでみんなに知ってほしいのが、自分の「認知特性」。
初めて聞いたー!という人も多いと思うんだけど、人それぞれ異なるこの能力を知ることで、自分にピッタリの暗記方法や勉強スタイルがみつかるのだ。

さっそく自分の「認知特性」をチェックして、自分の勉強方法を見直してみよう!
今回は二人の先生にお話を聞きに行ったよ!

本田真美 先生
医学博士、小児科専門医、小児神経専門医。国立小児病院にて研修後、国立成育医療研究センター神経科、都立多摩療育園、都立東部療育センターで勤務、現在はみくりキッズくりにっくで院長を務めている。
著書 『タイプ別「頭がよい子」になるヒント』(自由国民社)、『誰にでも才能はある。問題はその「原石」をどう見つけて磨くかだ』(中経出版)、『医師のつくった「頭のよさ」テスト認知特性から見た 6つのパターン』(光文社新書)など多数。





粂原圭太郎 先生
ソーシャルデータバンク株式会社社長室顧問。京大経済学部に首席合格後、オンラインで受験指導を開始。小学生から小倉百人一首競技かるたを始め、現在八段、レーティング日本一位。
著書『やる気と集中力が出る勉強法』(二見書房)、『第一志望に受かる勉強法』(二見書房)、『偏差値95の勉強法』(ダイヤモンド社)など多数。

まずは「認知特性」について学ぼう!

本田先生
認知特性とは、五感を使って外から取り入れた情報を脳内で整理→理解→記憶し、それらを表現する能力のことで、人によってその処理の方法に得意不得意が生じます。「みんなできているのに、自分だけできない」それは、自身の能力や熱意が劣っているわけではなく、認知特性の違いのために、100%の力を発揮できていないという可能性があるんです。
例えば、英語の勉強方法でも、単語や文法を“書く”ことで覚える人もいれば、ラジオやCDを“聞く”ことで話せるようになる人もいるし、先生や塾が薦める参考書でも、特性の合う人が使えば成績アップに繋がるけど、そうじゃない人では、うまく結果に反映されないという状況が生まれる。

この違いが認知特性であり、自分の特性を知ることで最適な勉強スタイルや暗記方法をみつけることが可能なのだ。

キミは視覚・言語・聴覚どの特性が優位かな?

本田先生
認知特性は以下の3つの特性に分けられています。
視覚優位→見た情報を処理するのが得意なタイプ。
言語優位→読んだ情報を処理するのが得意なタイプ。
聴覚優位→聞いた情報を処理するのが得意なタイプ。
視覚優位の人は映像や画像、図形から内容を理解、記憶するのが得意。 例えば、ほかの歴史に比べて、絵画の年号を覚えるのが早かったり、雑誌の表紙写真の記憶から、何年何月に発行されたものなのかがわかったり。目で見た情報と記憶を結びつけて思い出す人が多い傾向にある。

言語優位の人は、文章を読み書きして理解を深めていくのが得意で、学校の授業などはこの特性の人に適した学習方法と言える。きれいにノートをまとめることが得意で、論理立てて物事を考えたり、文章を書くのが得意な人も言語優位に多い。(ちなみに本田先生は言語優位とのこと)

聴覚優位の人は、黙読するのではなく音にして聞いたり、誰かに話すことで情報が残りやすい傾向がある。年号をゴロで覚えるのが得意だったり、英語も文法から学ぶよりは耳で聞いたほうが覚えやすく、ヒアリングは得意という人が多い。(粂原先生は聴覚優位なんだって)
本田先生
認知特性は、遺伝・環境とふたつの要素があり、遺伝が強い傾向にあるとされていますが、人間関係や文化など社会的環境によって変動するとも言われています。
もともと日本人は言語優位が多かったが、昨今の映像や画像コンテンツの増加、タブレットを使った授業の普及により、視覚優位の数値が高く出るタイプも増えているそう。

また、ラジオや音楽を好きで聞いているうちに、聴覚優位の傾向が表れる場合もあるんだとか。

6つのタイプ別勉強法を紹介

 視覚・言語・聴覚に分けられている認知特性は、さらに2つずつに枝分かれした全6タイプが存在する。
ここからは、それぞれのタイプの特徴や粂原先生によるオススメの勉強法をご紹介!

視覚優位:カメラタイプ

情報を写真のように2次元でとらえ思考するタイプ。

目から得た情報を画像として記憶するのが得意なので、図や表に起こすと理解しやすい。また文章の内容をイラストや写真などに置き換えると内容が定着しやすくなる。
粂原先生
例えば「漫画でわかる歴史」など、コミックやイラストで説明してくれる参考書を使うことで、理解が早くなるのもこのタイプ!

視覚優位:3Dタイプ

空間や時間軸を使って考えるタイプ。

見た情報を3次元でとらえて記憶するタイプなので、覚えたい情報そのものだけでなく、周囲の状況や環境も一緒に考えると記憶しやすい。
粂原先生
古文や歴史なら、その時代に誰が何をしたのか、どんな事件がどのように起こったのかなど、頭の中でドラマ化すると、年号も暗記しやすくなります。動画から学ぶと理解が早いので、YouTubeを使った学習もオススメ!

言語優位:ファンタジータイプ

読んだり聞いたりした内容を映像化して思考するタイプ。

言葉から映像が想像できるタイプなので、覚えたい情報はストーリーに仕立てて覚えておくとGOOD。
​粂原先生
例えば、英単語の場合は自分が英語で会話している状況をイメージしたり、アルファベットの並びから連想されるイラストを描いてみると記憶が残りやすくなります。

言語優位:辞書タイプ

読んだ文字や文章をそのまま言葉で思考するタイプ。

ノートの取り方がうまい人に多く、覚えたい情報の要点をまとめて、図式化して書き出してみるのがオススメ。
粂原先生
例えば歴史の場合、ファンタジータイプは時代劇のように、ストーリーに仕立てて覚えた方が記憶に残りますが、辞書タイプは家系図や相関図など文字の情報のみで覚えられる傾向があります。

聴覚優位:ラジオタイプ

文字や文章を「音」として耳から入れて情報処理するタイプ。

書いたり見たりするよりも、耳で聞いて情報を理解するのが得意なので、参考書や教科書を黙読するのではなく、音読するほうが効率がよい。
粂原先生
覚えたい項目は録音して、何度も聞いて記憶を定着させるのがオススメです。寝る前や通学時のスキマ時間を有効活用してみてください。

聴覚優位:サウンドタイプ

音色や音階といった音楽的イメージを理解・処理できるタイプ。

メロディーがあると記憶が定着しやすいので、暗記物は口ずさめるような替え歌にする、または自分でメロディーをつけてみるのも良いかも!絶対音感の持ち主も多いとのこと。
粂原先生
年号のゴロ合わせなど意味を成さないものでも、リズムや抑揚をつけて繰り返し口ずさむことで記憶に残りやすくなりますよ。

自分のタイプを理解して効率良く学ぼう!

認知特性テストで自分のタイプがわかったとしても、ひとつだけ突出していたり、複数のタイプに高い数値がでたり、どのタイプも平均的な数値だったり...結果は十人十色だし、そのとらえ方に迷ってしまうかもしれない。
粂原先生
「“絶対合格する受験勉強法”や“絶対使ったほうがいい参考書”などを試してみたけど、うまく結果が出なかった。自分はダメなんだ...」と落ち込む必要はないんです。人それぞれの“個性”を考慮せずに、“絶対”はないことだけは覚えておいてください。またそんな時は、ぜひ自分の認知特性を参考に、勉強への向き合い方を変えてみることをオススメします。今までは手に取ってこなかった参考書やYouTubeを使った勉強法など、気分転換のつもりで試してみたら、意外に偏差値アップに繋がった⁉︎ なんてこともあるんです。
例えば、文章力や計算力、空間認識力、論理的思考などはもともと備わっている、または学習によって得た「能力」であって、忍耐力、集中力、適応力、コミュニケーション力などはその人がもっている「気質」といえる。
 
その人を司る能力と気質が組み合わさることで、自分に合った勉強スタイルや暗記方法を見つけることができるのだ。

認知特性が進路を左右するきっかけに!?

本田先生
認知特性を学ぶことで、効率的な勉強方法がみつかるのはもちろん、友達とのコミュニケーションや進路・職業選択にも役立てることが可能なんです。相手の認知特性が自分と異なる際は、伝え方に工夫をしてみる。特性的に得意な分野にチャレンジすることで、良い結果が残せたりするなど。ぜひ、新しいことへ踏み出すきっかけにしてみてください。
例えば、自分は言語優位だけど友達が視覚優位とわかれば、LINEだけで説明するのではなく、スタンプで感情を表現したり写真を添えたりするとより伝わりやすかったり。
 
視覚優位ならデザイナーや建築家、言語優位なら作家や教師、医者や心理学者、聴覚優位ならアナウンサーや教師、音楽家など、適職も見つけやすくなる & 向いている職業がわかれば、学部選択にも役立つこと間違いなし。

認知特性テストをきっかけに自分への理解を深め、悩んだ時やつまずいた時には、気分転換のきっかけとしてぜひ参考にしてみてほしい。
from スタサプ編集部
認知特性テストはどうだった? 特性に合わせた勉強方法は、すぐに試せるものばかり。今の勉強方法に悩んでいる人、気分転換してみたい人はさっそく取り入れてみよう。
 
特性はひとそれぞれ。自分の認知特性に合ったスタイルに変えることで、これまでなかなか覚えられなかったことが、スッと暗記できるようになったという声もたっくさん。(ちなみに粂原先生も怪我がきっかけで耳からの勉強法に切り替えたことで、成績がぐ〜んとアップしたんだって)
 
認知特性で自分の傾向を知って、楽しく効率よい勉強スタイルと暗記方法で受験の天王山を乗り越えよう!

気になった人は「本田40式認知特性テスト診断ツール」で検索して診断してみてね。
ちなみに編集部員たちの診断結果はこんな感じに...♡

ね、結果は十人十色でしょ〜!

© 本田式認知特性研究所

Text_Yukiko Sakuraba
Edit_Mizuki Kanno