【藤原和博×西野亮廣の未来講座⑦】少子化問題を考える
1時間目「少子化問題を考える」 藤原和博
藤原:
今日は少子化について考えてみてもらいたい。
可視化すると何が問題か見えてくる。
その中で一番大事な、一番優先順位が高いものを叩けば問題解決ができるだろう、ということで、まず要因を挙げる。
いつものブレストで少子化に関わる要因を挙げる。
例えば、「結婚しなくなったんじゃないか」とか、「出会いが難しくなってるんじゃないか」とか。
いっぱい挙げる。
①まず要因をたくさん挙げる(ブレスト)
②1つずつ「付箋紙」に書く
③大きな紙に貼りながら分類する
(1)同じものは重ねる
(2)近いものは近くに
(3)遠いものは遠くに
④グループ(系)ごとに線で囲ってネーミングする
⑤優先順位づけ(1、2、3位ランキング)
できたら一番大事な要因を叩きたい。
100もある要因のうち、些細なものを解決しようとしても君たちのエネルギーがもったいない。
少子化問題、要するに「子どもが減っている」「赤ちゃんが減っている」というのはどうしてか。
改めてよく考えて、できる限りたくさん要因を出してほしい。
10個、20個とバーっと出してね。
藤原:
それぞれのグループから要因を2、3出してもらっていいですか。
高校生1:
ひとつがお金の問題です。
あとは、家庭を持つということ以外に幸せのかたちがあるから、結婚しない。
藤原:
なるほど。
「幸福感が変わってきた」と。
ニュースで親が子を虐待した、というのをよく目にするよね。
ああいうのを見せられると、結婚して子どもを育てるっていうのは、ハッピーなことに結びつかないんじゃないかって思っちゃうかもしれないね。
高校生2:
昔は親に言われて問答無用に結婚、というのが多かったと思うんだけど、今はそういうのがなくなってきている。
藤原:
自由になったんだよね。
自由になったということはいいことなんだけど、自由だからこそ結びつきにくくなったと思うんだけど、どう?
高校生2:
もっといい人がいるかもしれないと思ってるうちに行き遅れちゃう。
藤原:
そうだよね(笑)。
この人違う、この人も違う、みたいことをやってたら40歳超えちゃったみたいな。
みなさんもお気をつけあそばせ(笑)。
他にはありますか?
もう1個ぐらいください。
高校生2:
一度仕事を始めちゃうと辞めづらくなっちゃって、子どもを産めない。
高校生3:
生物が遺伝子を残したい時は危機感があるときで、今の日本は平和過ぎてまったく危機感がないことです。
藤原:
要するに生物学的には、子孫を残せないかもしれないっていう危機感がある時に子どもがたくさん増えるわけですよね、生殖活動っていうのが激しく行われる。
そうじゃなくて平和でいいじゃないか、一人に対して一人が生まれて、戦争もないから死なないしいいじゃないか、となると自然に減っちゃうわけだよね。
高校生4:
価値観っていうか、さっきお金というのが出たと思うんですけど、安定収入がないと子どもを育てられないと思うんですよ。
今の経済状態だったら無理!ってなって、それがずるずるずるずるしているうちに、子どもを産めるような年齢にないっていうのがあると思います。
兄弟姉妹が増えると創造的な世の中になる!?
藤原:
これだけたくさんの要因が出てきたわけだけど、今、政権は何をやっているかというと、なるべく子育て世代の負担を減らすように高校の無償化だとか、 私立でさえもそれをサポートする、大学もサポートするというようなことを一生懸命やっているんだけど、それが本当に効くのか?
もっと多様な要因が出てきていると思っています。
そこで一旦、整理したいと思うんです。
要因を出したので、付箋にそれを書いていってください。
1枚の付箋に1つね。
2つ書かないでね。
「結婚することで価値観が変わってきた」とか、「子育てについて疑問が出てる」とか、「経済的に厳しくなってる」とか、なるだけいっぱい書いてください。
2分で10枚ぐらい書いてください。
(要因を書く)
藤原:
10枚書いた人もいますね。
目の前に、各グループ3人に1枚ずつA3の紙を配っていますが、貼り込んでいってください。
誰がリーダーでもいいです。
同じものは重ねて、近いものは近いもの同士というルールで貼り込んでいくうちに“系"が見えてくるので、最大派閥からまずネーミングする。
最後に優先順位づけ。
どの要因が一番大事か、ですね。
そこから何を見定めてもらいたいかと言うと、「その要因は予算と人を投下すれば変わるんじゃないか」とか、「あるいはキャンペーンを張れば意識が変わるんじゃないか」というのを、ぜひ見定めてもらいたい。
できたら1位、2位、3位とランキングをつけて、マネージメントが可能なひとつの対象を見つけてもらって、そこに資源を集中してこれをぜひ叩こうというのを各グループで1つ、「自分のチームはここを叩きます」「これをこういう風にすれば変わります」、ということをプレゼンテーションしてほしいんです。
藤原:
一体その“系"は何系なんですか?
最終的な結論を持つ必要はないんだけど、君たちの脳の中に今後おそらくどんなニュースが出てきても、少子化問題について自分の考えを持つ思考回路ができていると思うんです。
せっかくだから、女性の意見を聞いてみよう。
少子化問題、どこを叩けばいいですか?
高校生5:
育児環境の面や労働環境の面で、子育てしにくい世の中があるという内容がたくさん出ました。
そこは今政府が対策を立てているので、「もっと子どもを産んだら楽しくなるよ」というのが分かる世界にすれば、「子どもを産む幸せ」というのをちゃんと伝えてあげれば、少子化問題は解消されるんじゃないかと思いました。
藤原:
今はドラマでも、「結婚したら幸せになりました」っていうのはもうないよね。
実は昭和30年代には、そればっかり流れたんですよ。
「できたら犬も欲しいよね」とか、家族団欒で犬がいて……というドラマがたくさんあって、それにみんな憧れたんです。
そんなアメリカンライフみたいな生活を送りたいと思って、当時の人たちはみんな頑張ったんだけど、今そんなドラマを作っても誰も見ないよね(笑)。
高校生6:
去年学校で調べたんですけど、日本人の性格上、日本人は勤勉だから仕事を真面目にやるし、女性の人が仕事をしてて、結婚しますってなったら、昔だったら寿退社といってお祝いされて退社するというのが多かったと思うんですけど、(今は)そういう環境にないと思う。
藤原:
晩婚化したら、それは当然少子化する。
それは働く場のみんなの意識、そういうのが影響していると指摘してくれたんだよね。
そういうことを国会の審議会や厚生労働省なんかでも100万回くらい協議して、今のような政策をとるに至ったんだけど……。
僕なんかは非常に勝手なこと言わせてもらうと、少子化もそうなんだけど、人口が減っていくわけだよね。
建物、アパートも当然余ってくるわけですよね。
3人子どもがいたら、3人目ができたらね、「100平米以上の都心部のアパートに管理費だけで住める」というのがいいと思うんだよね。
100平米で、新宿でも渋谷でも、どうせ空き家があるんだから、そこで3人以上子どもがいる家庭、養子でももちろんいいんだけど、無条件で入れるっていうのがあればいいと思うんです。
日本では、服や食べ物の値段もだいぶ下がっているのに、家賃だけが高い。
都市部の家賃が高過ぎる。
家賃がバッと下がれば、あっという間に変わっちゃうんじゃないかな。
ずっと一人っ子とか二人っ子が増えているから、みんな大事に大事に育てられる。
君たちの中にも長男長女の人がいると思うけど、僕もそうなんだけど、両親からすると不安だから慎重に育てるし、失敗しないようにしようとか、一生懸命先回りして居心地いいように育てるんだよね。
しかも両方のじじばばが投資してくるから、長男が多いと、もしかすると保守化するんだよね。
もっとクリエイティブな社会をつくるには、(1家庭に子どもが)3人とか4人とかに増えるといい。
君たちの中にもいると思うんだけど、次男とか末っ子とかが結構面白いことをやってくれるわけですよ。
タレント活動している人も、次男や末っ子が多いんじゃないかな。
長男ってあんまりいないと思うんですよ。
長男はまっすぐに育つんで(笑)。
失敗したらヤダ!って思うのが普通なんです。
ということで、1家族内で子どもが増えるだけでもっとクリエイティブな世の中になる可能性がある。
だから、住宅の再配分が、少子化問題解消の大きなきっかけになると、僕は考えています。
2時間目「言葉通貨として流通するか」 西野亮廣
西野:
自分が今、熱を入れて何をやってるかというと、「レターポット」といって昨年末にスタートさせたんだけど、3週間経ってみて分かったことがあります。
すごい勉強になったんだけど、今日はその話をさせてください。
ちなみにこの中に「レターポット」って何か説明できる人いますか?
あんまりいないよね、ちょっと分かりにくいよね。
大人でも難しいと思う。
「レターポット」って何だろう、というのを理解しようと思ったら、まず大前提として頭に入れておかないといけないのは、「紙幣の成り立ち」なんですよ。
紙幣っていったいどうやってできたのかというのを把握してないとよく分からない。
もう1回、改めて紙幣はどうやってできたのかを駆け足で説明するね。
お金をお金たらしめているもの、要素は何かっていうと、換金の有無ではなくて、「みんながこの紙ペラに価値があると信じたらそれがお金になる」ということだよね。
ここがすごい大事。
100ゴールドって書いてあるだけのただの紙ペラに価値があると信じる人がある程度いたら、それがお金になる。
それは信じればいいだけの話で姿形はもはやどうでもいい。
何でもいいんです。
信じればいいんです。
で、ここで、どういったものが信じられるんだろうか?
何でもいいとはいえ、本当に何でもいいのか?
通貨になる要素っていうのは、「腐っちゃダメ」とか何個か要素があるわけですよ。
大きくは3つあります。
まず、通貨の機能というのは「保存ができる」ってことだよね。
置いておけるってことだよね。
肉や魚だと腐っちゃうけど紙ペラだったら腐らない。
置いておけるから貯金しておける。
なので、好きな時に好きな分だけ使える。
通貨の1つめの機能は、保存ができること。
2つ目は、「価値の尺度」である。
つまり100円のリンゴと1000円のメロンどっちがいいの?ってなったら、メロンの方がいいでしょ。
こっちは1000円なんだから。
りんご10個分がメロン1個だよね。
ものさしとしての機能がある。
3つ目は、「交換の手段」です。
1000円払ったらこれくださいよ、っていう交換手段。
基本的にお金っていうのは、この3つの機能さえ備わっていれば、僕たちはそれをお金として信用できるということです。
この3つの機能性が乗っていれば、姿形は何でもいいというのがまずわかった。
それで、通貨を作ってみようと思ったんです。
とにかく1回作ってみようと。
理由は2つあります。
1つは「西野の作品に触れざるを得ない世界を作ってしまいたい」ということ。
であれば、みんなが普段使うものに自分の作品を入れたほうが良い。
じゃあみんなが使うものって何なんだろう?って思ったら、お金って絶対使うんだよね。
お金か!ってなったんだけど、一万円札には福沢諭吉がいるけど、あそこにプペル(注釈:西野さんの作品に登場するキャラクター)がいてもいいわけですよね?
例えば円とかドルとか単位があるんだけど、あれ別にプペルでもいいわけだよね。
お釣り20プペルでもいいですよね。
贈った側も、贈られた側もうれしい仕組み
「レターポット」っていうものを作るきっかけになったのは何かというと、「いらないものをいらないって言える世界を作りたい」
差し入れをいただくことがあるんだけど、例えば生もので今は食べられないけど捨てたくないからスタッフさんにお裾分けするんだけど、スタッフさんも食べられない場合がある。
ではどうなるかっていうと、この差し入れはゴミ箱に捨てられてしまう。
誰も捨てたくないんだけど、傷んでしまうから泣く泣く食べ物を劇場のゴミ箱に捨てるんだよね。
わがまま言ってるわけではなくて、悲鳴をあげてるってことなんです。
苦しいんだっていう悲鳴をあげてるんです。
悲鳴をあげても、贈った側の理屈が通ってしまうわけです。
阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震でもそういうことがあった。
誰が悪いんだろう?諸悪の根源は何なんだ?って考えたら、結局悪い奴は誰もいなくて。
原因は何かっていうと、「“物が不足していた時代の常識"と“物で溢れてる時代の常識"が、今はぶつかっちゃってる」
常に物が不足していた時代は贈り物が本当に相手の幸せに繋がっていた。
お腹ペコペコの時代に「これ食べや」って言われるとすごく喜ばれるんだけど、今はものも溢れているし、食べ物も溢れている。
僕たちはなるべく持ち物をコンパクトにして、手の隙間をつくって、好きなものを好きな分だけ取ったり食べたりしたいこの時代に、贈り物を贈るっていうのは、場合によってはその自由を奪ってしまってることになりかねない。
この問題を解決しようと思ったら、贈り物を贈る機会、クリスマスや誕生日、記念日だとかに
お金さえ送ってしまえば全部解決するんだよね。
けれども一方で、プレゼントの本質っていうのはそこに費やされた時間であるわけで。
「あいつ何が似合うかな」とか考えてる時間、この時間にすごく価値があるから、お金を渡されたら便利なんだけど、ちょっと寂しい。
この問題を解決しようと思ったら、「プレゼントするお金に時間をかけてあげて、それを“見える化"する“可視化"する」
1万円渡すのも1秒でできるし……どうやったらお金に時間をかけることができるんだろう?と考え、出した答えが「レターポット」なんだけど、実は前に話した時と今回で若干ルールが変わったんです。
どう変わったかを順を追って説明すると、まずリリースする前に株式会社西野亮廣という運営会社をつくりました。
その運営から「レターポット」は一文字5円の文字を買います。
「文字を買う」という経験をみんなしたことないと思うんだよね。
TwitterでつぶやくのもLINEで文字を送るのもタダだからね。
一文字5円と決めたときに意見が割れたのは何かというと、リリースの1週間前に最初は換金できる準備をしていたんです。
1000文字を受け取った人が運営に言ったら5000円が入ってくる仕組みでサービスをスタートしよう!となっていたんだけど……換金はいらないんだよね。
なんでいらないかって言うと、今だったら「レターポット」のユーザーが約4万人いるんだけど、それだけの数の人がここに価値があるってことを知ってるんだよね。
紙幣が生まれた瞬間と全く一緒。
ただの紙ペラに100ゴールドの価値があるっていうのと、1000文字に5000円の価値があるってみんな知ってるわけなんだよね。
言葉だけでも経済圏をつくれるということで、換金の仕組みを外したんです。
換金をしなくても、言葉だけでも、ユーザーがどんどんどんどん増えていったってことが、結果として出たんです。
やってみてやっぱり換金を外してよかったなと思いました。
“換金あり"だったら、送るレターがお金になるから、日本円になるから、ただお金を送っちゃってるのと同じ状態になって、送金サービスになっちゃうわけだよね。
それだとまずタレントが使えない。
事務所抜きでタレントがお金をもらえちゃうわけだから、じゃあ事務所いらないじゃんってなっちゃうから。
僕が事務所の社長だったら禁止すると思うんだよね。
もうマイナスでしかない。
「レターポット」っていう経済圏は、使っている人が多ければ多いほど使い勝手がいいわけだから、タレントのようなインフルエンサーが使えない時点で価値がないと思ったんですよ。
外してみた結果、大丈夫だった。
換金しなくてもやっぱりみんながここに価値がある、一文字に価値があるというのを信じてしまえば、それは通貨として機能するんだっていうのが分かった。
尺度としての機能も持っているわけですよ。
好きな人にはすごい長文の文字を送るし、興味ない人には短いし。
尺度としての機能を持っているし、保存もできる、言葉も腐らないからね。
色々通貨の機能を兼ね備えているのに、なんで言葉ってそもそも通貨になってないのかな?って考えると、流通量に問題があったんですね。
元来、“ことば"は美しいものである
1万円が発行されすぎちゃうと、みんなの持ってる一枚には何の価値もないわけだよね。
正確な年は忘れたけど、2008年だったかな、ジンバブエでひどいインフレが起こった。
ハイパーインフレだよね。
大きなニュースになったよね。
100円持ってジンバブエで両替したら300兆ジンバブエドル!!みたいな。
みんなが札束持って歩いている。
ものすごい量だから捨てたんだよね。
お金が道端とかゴミ箱に詰まってるわけ。
ジンバブエはむちゃくちゃお金を刷ったからお金の価値がなくなっちゃったわけだ。
お金の価値がなくなっちゃってるということはお金として機能しない。
これがすごくヒントになった。
それで先週のことなんだけど、友達の友達に一人が末期がんで、一人が急性白血病に冒されている人の話を聞いたんです。
余命3ヶ月と言われて、彼の書いた文章これやねんけど、って渡されて読んだ。
そしたら、すごい美しいんだよね。
全然無駄がないんだよ。
それで彼のお見舞いに行ってきたんです。
1、2時間しゃべったんだけど、やっぱり美しい。
選ぶ言葉が美しくて、無駄がないんだよね。
変なことも言わない、寄り道も一切しないの。
これ一体何なんだろうって、なんか変な感じだな。
なんで彼の言葉はこんな美しいんだろう……分からないままで。
「レターポット」をやってる時にようやく分かったんだけど、「レターポット」で僕のところに2万件ぐらい届いてるのね。
2万件だよ?
スタートしてから2万件、すげー文字が届いてるんだけど、誹謗中傷が一個もないんだよね。
キングコングの西野に誹謗中傷が一個もないって異常事態だよね(笑)。
このネット社会に。
僕のとこに誹謗中傷がないってことは一般の方のとこにも絶対ないと思うんです。
僕が誹謗中傷に一番近いところにいるからね(笑)。
と考えた時に、ジンバブエの話と、白血病の彼と末期ガンの彼との話と、「レターポット」すべてに合点がいきました。
僕たちは、例えば「レターポット」の場合、文字数があるわけで。
残り20文字だったとしたら、そのうち10文字を使って人の悪口に使うか、すごくお世話になった人にありがとうって伝えるかとしたら、絶対後者だよね。
僕たちは残り文字数が少なくなった時に、汚い言葉ではなく綺麗なほうを選ぶ。
白血病の彼も、末期癌の彼も、もちろん生きる望みを捨てちゃいないんだけど、とは言え最悪の日のことも覚悟していて。
彼らはもう自分たちに残された文字数が少ないってことを知っているから、無駄玉が一切ない。
何が言いたいかというと、元来“言葉"は美しい。
僕たちが使う言葉って美しくて、何で言葉を汚しているかというと、言葉の世界がインフレを起こしているから。
もう無限にあると思っているから、バンバンバンバン使っちゃう。
そっか、人間が生まれて、言葉が生まれて、言葉が通貨になってなかった理由は何かというと、言葉の世界はそもそもハイパーインフレを起こしているんじゃないか?
であれば、言葉の流通量を完全にコントロールしてしまえば、言葉が通貨として動くようになる。
言葉に価値が生まれるね、ってことで、完全に発行数をコントロールしているんですよね。
何をコントロールしているかというと、ユーザーの方がそれぞれ平均何文字持っているかっていうのを知ってるんですよ。
知っていて、これが上がり過ぎちゃうと「レターポット」の中の経済圏の中に文字が溢れすぎちゃってる状態で、文字の価値が落ちちゃうから、どこかのタイミングでレターが買えなくなる時もあるだろうし、5円払っても一文字も買えないことになるかもしれない。
「買えない」という状況を作る。
市場から文字を消滅させるっていうこともする。
そこをコントロールさえしていれば、言葉を通貨として回すことができる、ということがこの3週間でわかった。
だけど、一番の発見は「元来“言葉"は美しい」ということ。
「僕たちは追い込まれた時に美しい言葉しか使わない」というのが一番勉強になって、今日一番言いたかったことなんです。
GIVE & GIVEがこれからの生き方っぽい
「レターポット」の中で最近出てきた、レターポット内でのスターって誰かっていうと、一般の方からポッと出てきたんだけど、目黒さんっていう女性なんですよ。
目黒さんが面白くて、全く無名の女の子なのに15、000レターも集まってんのね。
これってやっぱり異常で、3週間でこれだけ集まるってあまりないんだよね。
みんなが「レターポット」を使ってくれたら分かるんだけど、言葉で説明するのって難しいんだよね。
例えば、アマゾンの奥地に行って1万円札を持って、これ価値があるんですよって説明するのって難しいよね。
それをいち早く察して、目黒さんが「レターポット」の説明を図解したの。
自分がデザイナーだから、イラスト書いてすごい簡単な感じで。
誰でもわかるような説明をつくってくれたのね。
それをTwitter に投げた。
「レターポット」というのは、こういうことですよって。
すると目黒さんの「レターポット」に、「なるほど、ありがとうございます」「ありがとうございます!」って感じであちこちからレターが集まった。
つまり彼女は最初に見返りを求めてやったんじゃなくて、ひたすら与えたんだよね。
しかも集まった15、000レターは何百人もの人が送ってくれたと思うんだけど、目黒さんは「レターポット」を使い初めの人に「どうぞどうぞ」って配ったんだよね。
0レターの人って、本来は買わなきゃスタートできなかったはずなんだけど、目黒さんからレターをもらってすごい喜んでるし、最初に図解を見てレターを送ってきた人も目黒さんに感謝しているわけ。
どちらからも感謝されているんだよ。
それでついこの間なんだけど、その目黒さんが16~17万円するパソコンが欲しいと「ポルカ」(身近な友だち同士ではじめるクラウドファンディング)を1口500円でやったら、1日で目標金額に到達したんだよね。
あれが、今の時代の生き方っぽい。
これまでは「GIVE&TAKE(ギブ&テイク)」だったんだよ。
絶対に。
これやってくれたら1000円払いますよ、1000円払うからこれやってください、という。
でもね、「GIVE&TAKE(ギブ&テイク)」はコスパが悪いんだよね。
5を与えたら5しか返ってこない。
これからは「GIVE&TAKE(ギブ&テイク)」よりも「GIVE& GIVE(ギブギブ)」。
利己的でなく、利他的。
他人に対して与えている人のほうが最終的な取り分がでかくなる。
与えてるってことが見える化されたわけだからね。
彼女の動きがそれを象徴しているなって。
「レターポット」を始めて、思ったことです。