社会学部とはどんな学科?ゼミと卒論、学内の雰囲気、主な就職先までまとめて解説!
文系の人にとって、進学先の一つとして候補に挙がる社会学部。でも、実際に何を学ぶのかイメージがつかない人もいるのでは?
そこで今回は社会学部について徹底解説!
大学の社会学部の教授に話を聞いたほか、社会学部に通う先輩たちにもアンケートを実施したので、リアルな声を聞いてみよう。
目次
貴堂 嘉之先生
一橋大学 社会学研究科 研究科長・学部長
一橋大学 大学院社会学研究科
専門は、アメリカ合衆国の政治社会史、人種・エスニシティ・ジェンダー研究、移民研究、アジア系アメリカ人研究、優生学の世界史、歴史教育(高校世界史)など。
社会学部の特徴は?
社会学部では、あらゆる社会現象を科学的に分析する社会学を学んでいく。社会学は社会と人間をテーマに社会現象を多面的に研究する分野で、個人から国家レベルまで、研究対象は幅広い。
さらに、政治、経済、環境、都市、文化、教育、福祉、歴史、言語など扱う領域も多岐にわたる。
社会学部での4年間の学びを通じて、総合性、人間性、国際性などの能力をベースに、専門的な知識を身につけることができるでしょう」。(貴堂先生、以下同)
社会学部とはどんな学科?主な分野と概要
ここでは社会学部の主な学科として、「社会学科」「メディア社会学科」「社会心理学科」「社会福祉学科」を紹介する。大学によって「現代社会学科」という名称だったり、心理と福祉が一つの学科にまとまっていたりと、社会学部がかかわる分野は多岐にわたるため、学科の名前や学ぶ内容は大学ごとに特色がある。
社会学を学べる大学ごとに調べてみよう。
社会学科
社会学科では、さまざまな角度から社会を分析して社会の構造やしくみを理解し、人と人、人と社会の関係、社会が直面する問題を研究する。幅広い社会の知識、データ分析や社会調査の方法を身につけることで、社会に潜む問題を自ら見つけ、考え、解決に導く力をつけていく。
メディア社会学科
メディア社会学科では、新聞やテレビなどのマスメディアやインターネットを使ったソーシャルメディアなど、メディアにおける現象を社会学の視点から研究する。情報を発信する側と受け取る側のコミュニケーションの変化を学んだり、映像やWeb、広告コンテンツの制作や分析をしたり、ジャーナリズムについて学んだりと、メディアが社会に与える影響やコミュニケーションのあり方などを学んでいく。
マスコミ関連の仕事に就きたいと考える人に人気の学科。
社会心理学科
社会心理学科では社会心理学の視点から、社会で起こる事象を考察する。社会心理学とは、対人関係や集団、社会との関係を心理学で研究するもの。
犯罪、産業、消費をはじめ、友人や恋愛関係など、対人コミュニケーションにおける人間の心理や行動をデータ分析によって研究する。
認定心理士などの資格を得ることができる大学もある。
社会福祉学科
社会福祉学科では、社会における福祉のあり方を学び、福祉を通して社会を考える。一人ひとりがより幸せに、より良い暮らしができる社会づくりに貢献できる力を育成する。
大学によって社会福祉士など福祉関連の資格が取れるケースもあり、就職も福祉関連の仕事に就く人が多い傾向にある。
社会学部の先輩に聞いた!志望理由
先輩たちはどうして社会学部を選んだんだろう?理由を聞いてみると、「幅広い分野を学ぶことができる」という意見が多かったほか、「幅広く学べるからこそ就職に役立ちそう」という意見も見られた。
「社会の諸問題に関して、一つの視点にとどまらない多角的な視点から考察を行うことができる学問であり、自身の興味関心に関係したことがらについて学ぶことができるのではと考えていたから」(社会学部社会学科 23歳 兵庫県)
「幅広く、現代の社会を見つめる視点を学べるから」(社会学部社会学科 22歳 岡山県)
「社会学に限らず、国際学や政治学など幅広く学べる学科で、世の中のことを広く学びたいと思ったから。専門の学問を絞りきれていなくても、2年間で関心を絞れると思ったから」(人文社会科学部現代社会学科 22歳 茨城県)
「社会学以外にも経済や法律、経営、政治など入学してから興味のある学問を専攻できるから」(社会学部社会科学 24歳 京都府)
「観光学だけでなく法律や世界文化などたくさんの分野を学べることに魅力を感じたから」(文化学部文化学科観光学専攻 22歳 高知県)
「大学で学びたいことや就きたい仕事が絞れていなかったため、幅広く学べることに魅力を感じた。人と人のかかわりにも興味があったため、自分に合っていると感じた」(社会学部社会学科 20歳 東京都)
【興味のある分野だった】
「当時、株や心理学に興味があったから」(社会学部社会学科 22歳 茨城県)
「ジェンダーや性産業への差別に興味関心があったため」(社会学部社会学科 22歳 神奈川県)
「高校生の時、放送部に所属しておりマスメディアに関心があったから」(総合社会学部総合社会学科 19歳 大阪府)
「社会福祉に興味があって、専門的に学びたいと思ったから。人と人とのつながり、人間の心理や行動に興味があったから」(社会学部社会福祉 20歳 広島県)
「人と人との関係性を心理的な視点から研究したかったから」(社会学部社会心理学科 22歳 千葉県)
「社会と人における関係性について、地域の面から見てみたかった。幅広い学問から地域との関連性を学べると思ったのでこの学部に進学した」(地域政策学部地域づくり学科 20歳 群馬県)
「観光政策が地域に与える影響の大きさについて興味があったから」(地域政策学部観光政策学科 22歳 群馬県)
「地域と共にスポーツを通じて、街を盛り上げていきたかったから」(社会共創学部地域資源マネジメント学科 18歳 愛媛県)
「社会とスポーツを採り上げている学部はほかにないから」(現代社会学部スポーツ社会学科 19歳 京都府)
【資格取得や就職をふまえて】
「社会福祉士の資格が取りたかったから」(現代社会学部社会福祉学専攻 21歳 愛知県)
「福祉に携わる仕事をしたいと思ったから」(公共政策学部福祉社会学科 18歳 京都府)
「教員免許を取れるから」(社会福祉学部 23歳 長野県)
「地域のことに特化していた学部であったので、職業選択の幅が広がると考えたため」(社会科学部 20歳 青森県)
「専門性が低く、どんな職種にもなれそうだったため」(人文社会学部現代社会学科 21歳 愛知県)
社会学と似た学問は?社会科学との違い
※社会学と社会科学は関係し合っている学問だけど実は違う!
文学部の中に社会学科や社会心理学科が設置されている大学があったり、社会科学部が設置されていたりと、社会学を学ぶ環境は大学によってさまざま。なかでも「社会学」と「社会科学」は似ているように思えるが、「社会学」は「社会科学」の一分野。
『社会科学』では社会学のほか、哲学・思想、歴史学、文学、教育学、政治学、法学、社会人類学、社会心理学などの多様な学問を総合的に学ぶことができます。
『社会科学部』をもつ大学もありますが、一部の大学では『社会科学』を学ぶ『社会学部』を設置している、ということを知っておきましょう」。
社会学部で学ぶこと、授業内容、卒論
※座学だけではなく、調査としてフィールドワークに出ることも
社会学部ではどんなことを学べるのか、授業内容や卒論を具体的に見てみよう。社会学部で学ぶこと
社会学部では、社会への関心をもち、常識や自分の当たり前だと思っていることにとらわれず、隠れた社会問題や社会のニーズを発見する力を養う。発見した問題を考えたり、実証したりするに当たり、アンケートやインタビュー、観察などの社会調査によってデータを収集し、科学的に分析する方法も学んでいく。
また、多種多様な文化や価値観をもつ人たちで成り立つ社会がどうすればより良くなっていくのか、互いに認め合ったり、当事者のかかえる問題を自分のこととしてとらえたりと、多様性も身につけることができる。
さらに、グローバル化に伴い、英語に力を入れている大学も多く見られる。
大学によっては社会学部独自の留学プログラムを用意しているところもあるので、調べてみよう。
そのほかにもゼミの中で多文化を経験する機会があったり、英語で社会学の授業を受けられたりと、大学によって地球規模の課題解決に挑むための教養・思考力・構想力・実行力を養うプログラムが用意されています。
グローバルな挑戦を学部としてもサポートする体制があるのは、社会学部ならではの特長の一つと言えるかもしれませんね」。
社会学部の授業内容
社会学部の授業では、まずは基本的な概念や理論などの基礎科目で社会学を学ぶうえで必要となるベースを身につける。社会で起こっている現象や問題を理論的に理解し、説明するためには、しっかりとした調査やデータをふまえて考える必要があり、社会調査の方法を学ぶことができるのも社会学部の学びの特長だ。
社会調査では、自分で仮説を立て、調査の対象や質問内容など設計して調査を実施。
データの分析や得られた結果を報告書にまとめるまでの社会調査の一連の作業を体験していく。
調査でデータを得るため、Webを使った情報処理やプログラミングを学ぶこともあるほか、座学だけでは学べない情報を得るために実際に現場に行ってインタビューや観察などを行うフィールドワークを取り入れる授業も多い。
大学によっては海外で行うフィールドワークのプログラムがあり、海外の街づくりを学んだり、ボランティア活動を通じてその国の文化に触れたりもできる。
その社会問題に対して、『歴史的に』『経済的に』『心理的に』など、どんなアプローチで研究を深めていくかを決め、3年次以降の時間をかけて卒論としてまとめていきます」。
社会学部の卒論
社会学部での学びの総仕上げとして自分で決めたテーマを社会学的な視点でまとめる卒論。幅広い学びができる社会学部では、卒論のテーマも多彩。
例えば、人種差別や移民問題、戦争などの社会問題を取り扱う学生もいれば、医療や食文化について、さらにはスポーツ、アート、ヒップホップ、映画、人気テーマパーク、インターネット広告など、アメリカ史を学生自身の関心のある切り口で研究をし、卒論をまとめています」。
社会学部の先輩に聞いた!おすすめの授業やゼミ・卒論のテーマ
社会学部でおすすめのおもしろい授業やゼミ、卒論のテーマが決まっている先輩にはそのテーマを、理由も含めて教えてもらった。「『社会学への招待』という授業は社会学部の先生方がオムニバス形式で展開していく授業です。それぞれの先生方の専門分野や社会学を学ぶとはどういうことか、知ることができます」(社会学部社会学科 19歳 神奈川県)
「統計学。データを見る視点が学べておもしろい」(社会学部社会学科 22歳 岡山県)
「民俗学。自分がよく知っているはずの地域のまだ知らない風習が少し不気味でおもしろい」(文学部現代社会学科 21歳 香川県)
「現役の新聞記者やテレビ関係者が、学校に実際に出向き講演してくれるという授業は特におもしろいし、ほかの大学・学部にはないポイントだと思う」(総合社会学部総合社会学科 19歳 大阪府)
「社会福祉の領域は広く、児童、障害、高齢に限らず、司法や地域でも必要とされています。法律や制度について覚えることもけっこうありますが、対人援助を行うので面接の技法も学ぶなど、いろんな学習方法があります」(社会学部社会福祉 20歳 広島県)
「関係人口がもたらす経済効果」(人文社会科学部地域政策課程 18歳 岩手県)
「情報活用の授業でナンバープレースなどのパズルを用いたものがおもしろかった。パズルのおもしろさだけでなく解き方やどこが難しいかなど学生同士で伝え合う際にまさに十人十色といった感じで、さまざまなバックグラウンドをもつ学生が集まる大学ならではの授業だと感じたから」(現代社会学部現代社会学科 23歳 北海道)
「人間の行動を心理的現象として説明される心理学の授業が今まで受けた中でおもしろいです」(環境ツーリズム学部環境ツーリズム学科 18歳 富山県)
「おもしろかった授業は、恋愛の心理学という授業。名前のとおり恋愛を心理学的に見る。実際の恋愛に役立つことがあって、楽しかった」(人間総合学部人間文化学科 22歳 東京都)
「人類学がおもしろい。私がもっている価値観がすべて覆され、当たり前が当たり前ではないということが身に染みてわかる」(社会科学部 20歳 青森県)
「日本文化論という授業がおもしろいと思います。日本の文化について身近な事例を交えながら講義をしてくれます。今話題の死生観や宗教について学べるのでおもしろいです」(地域政策学部地域づくり学科 20歳 群馬県)
【卒論のテーマ】
「児童虐待。最近児童虐待の痛ましいニュースを見ることが増え、救える命がなぜ救えなかったのか、その背景にはどのような要因があるのか疑問を感じたから」(現代社会学部社会福祉学専攻 21歳 愛知県)
「多様性への理解をテーマにした卒論。現在さまざまな社会問題が深刻化しており、今後もあらゆる側面からの問題に直面すると考え、すべての人々が安心して暮らせる世の中を構築し、誰一人取り残さない社会を目指したいと考えたから」(社会学部社会科学 24歳 京都府)
「AIの発展とそれによる影響について。プログラム系の分野に興味をもったため」(都市創造学部都市創造学科 21歳 東京都)
「男性育児休業の現実と理想。男女平等やジェンダーレスの価値観が広がる中、いまだに家事は女性がやるものという価値観は強く、実際に男性の育児休業取得率が低いのが気になったから」(社会学部社会学科 22歳 神奈川県)
「テーマは、観光地の人気度とトイレの清潔さ。観光地の人気度とトイレの清潔さに関係はあるのかを調べている。テーマを選んだ理由は、観光地を訪れた際にトイレが汚くて残念な思いをすることが多かったので、人気なところほどきれいなトイレが設置されているのではないかと仮説を立てたから。また、おもてなしトイレという制度がどのように役に立っているのか知りたかったから」(文化学部文化学科観光学専攻 22歳 高知県)
「女性のワークライフバランスについて。授業の中で女性の育児休業制度や生理休暇などを学び、その現状と課題などを知りたいと思ったから」(コミュニティ人間科学部 20歳 神奈川県)
「宗教意識が社会意識に及ぼす影響について卒論で書きました。日本の社会において希薄になってきたと言われる宗教意識は、私たちの社会意識にさまざまな影響を与えており、必ずしも宗教の役割や影響がなくなったとは断言できないことが統計から明らかにすることができました」(社会学部社会学科 23歳 兵庫県)
「ゲーム実況の話しぶりを研究する。教授のアドバイスで自分の趣味に基づいた卒論のほうが頑張れると思うと言っていたため」(人文社会学部現代社会学科 21歳 愛知県)
「世界遺産におけるエコツーリズムと環境保護をテーマにしようと思っている。環境社会学のゼミに所属していることと、世界遺産に興味があることを結びつけて、環境保護について研究したいと思った」(人文社会科学部現代社会学科 22歳 茨城県)
「コロナ禍における在日中国人留学生のソーシャルサポートについて。日本へ留学する中国人留学生はかなりの数に及ぶ。その中で、コロナ禍以前とコロナ禍ではソーシャルサポートにどれほどの違いがあったのかを研究するもの。自分が中国語を学ぶ中で中国人留学生と交流する機会が多かったことから興味をもった」(社会学部社会心理学科 22歳 千葉県)
社会学部のキャンパスライフ
※社会学部での大学生活は?先輩たちの本音を聞いてみよう!
実際に社会学部の先輩たちはどんなキャンパスライフを送っているのかな?学部の雰囲気や楽しいこと、大変なことを聞いてみた。
社会学部の先輩に聞いた!社会学部の雰囲気
学びたいことに熱心に打ち込む姿に対する意見が多く、刺激的なキャンパスライフを送っているみたい!「勉強熱心な人や何かに向けてモチベーションをもっている人が多い印象がある」(社会学部社会科学 24歳 京都府)
「すでに専門知識を身につけている人が多い印象を受ける。授業の範囲内にとどまらず自分で何か行動を起こしている人も多い」(現代社会学部現代社会学科 23歳 北海道)
「落ち着いていて、まじめな人が多い印象」(社会学部社会心理学科 22歳 千葉県)
「比較的勉強ができる人が多い印象」(社会学部社会学科 22歳 岡山県)
【やさしい】
「やさしくて思いやりのある人が多いです。また、福祉をわざわざ大学で学ぶぐらいなので、家族に障害者がいるなど、福祉とのかかわりを身近で感じていた人が多いです」(社会学部社会福祉 20歳 広島県)
「やさしい人が多く、いつも和やかな感じ」(現代社会学部社会福祉学専攻 21歳 愛知県)
【社会について考えている】
「社会に対して常に疑問を抱き解決に導きたいと思っている人が多い。地域学や福祉、教育など多様な学びをしたい人も多い。公務員志望の人も多い」(コミュニティ人間科学部 20歳 神奈川県)
「社会について批判的に考察し、さまざまな視点から物事を考える人が多く存在している」(社会学部社会学科 23歳 兵庫県)
「地元の観光事情に危機感をもち、熱心に討論している」(現代社会学部現代社会学科 21歳 富山県)
【興味の幅が広い】
「学生の興味が幅広く、学生同士で話していても自分があまり注目していないような社会問題や現象についても考えを深めることができて刺激的である」(社会学部社会学科 19歳 神奈川県)
「興味の幅が広い人が多い印象。必修科目で法律や民族文化論、日本語学などがあるのでさまざまな分野に興味をもつ機会が多いことも関係があると思うが、みんな違う職業を目指している印象がある。強いて言うなら公務員や銀行などに就職する人が多い」(文化学部文化学科観光学専攻 22歳 高知県)
「社会学部が幅広い分野を扱っているということもあり、学生も個性の強い、違ったタイプの人が多く存在しています。みんなそれぞれ違う分野に対して興味があったりするので話していて楽しいです」(社会学部社会学科 22歳 神奈川県)
「必修科目が少ないので、本当に自分が学びたい教科や好きな分野の授業を取ることができる」(総合社会学部総合社会学科 19歳 大阪府)
「一つのことに縛られず、社会問題や文化、観光などいろいろな学びをしている人が多い」(社会学部社会学科 20歳 東京都)
「好奇心がある人が多い」(環境ツーリズム学部環境ツーリズム学科 18歳 富山県)
【将来の夢ややりたいことが具体的】
「公務員になりたい人、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取りたいと考えている人が多い。教授はとてもやさしい人が多く、教授と学生の距離が近い」(公共政策学部福祉社会学科 18歳 京都府)
「自由で自分の学びたいことを好きにできる。自分が何をしたいか決まっている人が来るべき」(人間社会学部現代社会学科 19歳 東京都)
「多くの学問を学びたい人。法学や哲学など、社会系ではない学問も多く学べる。将来は、公務員になりたいと考える人が多い。いろんなことに興味がある人は楽しいと思う」(地域政策学部地域づくり学科 20歳 群馬県)
【やりたいことが定まっていない人も】
「希望すれば海外とかかわる機会が多く、第二言語の選択幅も広い。また同じように、特定の学びたい分野が決まってない人が多いことから本当にいろいろな人がいる」(政策科学部 22歳 大阪府)
「やりたいことがない人が来る学科だとけっこう言われているので、みんなゆるくて良い。ただ卒論は書かなければならないので、自分で問題をみつけて研究できる気持ちがないと大変」(人文社会学部現代社会学科 21歳 愛知県)
「将来について何も決まってない人が多いイメージ。社会学とか人間関係系って広いから、何でもできるし何にでもなれる」(人間総合学部人間文化学科 22歳 東京都)
社会学部の先輩に聞いた!楽しいことと大変なこと
社会学の幅広さに楽しさを感じる反面、何をテーマに研究を深めるか迷うという声も聞かれた。「社会学の中でもさまざまな分野があり、自分が思いつきもしない視点を学べる」(社会学部社会学科 22歳 岡山県)
「もともと気になっていた観光系以外にも、心理学や経済学などさまざまなジャンルの授業を受けられること。今まで受けたことない授業では、新しい知識がつくのが楽しいと感じるから」(環境ツーリズム学部環境ツーリズム学科 18歳 富山県)
「たくさんの分野の授業が受けられる。最初はつまらなそうだと思っていた授業も、受けてみると意外に興味をもてたりして自分の知識の幅を増やすことができるから」(文化学部文化学科観光学専攻 22歳 高知県)
「社会のしくみやさまざまな人への理解を深められること。障害者や児童など、普段かかわることのない人たちについて学ぶことができる。演習ではペアやグループで面接練習をしたり、事例検討を行うなど話し合いも多くて交流ができる」(社会学部社会福祉 20歳 広島県)
「ゲストスピーカーの講義。実際に資格を取って働いている方のお話が聞けるから」(公共政策学部福祉社会学科 18歳 京都府)
【楽しいこと/グループでの学び】
「グループワークの時にみんなで盛り上がれること」(現代社会学部社会福祉学専攻 21歳 愛知県)
「グループディスカッション。多種多様な価値観をもった人と話せるから」(社会学部社会学科 22歳 神奈川県)
【楽しいこと/身近なことへの学び】
「生活に身近なことを考えられること。高校までの教科書の学びとは異なり、身の回りに当てはめて理解したり皆で協力して考え出すことが多いから」(社会学部社会学科 20歳 東京都)
「メディアなど私たちの身近な内容について学べる。メディアは必ずしも新聞やテレビなどに限らず、アニメをはじめとしたサブカルチャーも含まれており興味関心をもちやすいから」(社会学部社会学科 23歳 兵庫県)
【楽しいこと/実習・課外授業】
「実習。自分の興味関心に突き進める」(社会科学部 20歳 青森県)
「ゼミ。2年間を通して深く学べる、またゼミ合宿など課外授業もある点」(政策科学部 22歳 大阪府)
「実地調査。観光に来ている人の声を生で聞くことができるのは貴重な経験だから」(現代社会学部現代社会学科 21歳 富山県)
「社会調査の授業。アンケート調査を自分たちで企画して実行することで、『研究』ができている感じがして楽しい」(社会学部社会心理学科 22歳 千葉県)
【大変なこと/課題・テスト】
「課題。課題量は多くないが、テストよりレポートの確率が高いため、自分の意見を相手にわかりやすく文章化できるようにしなければならないから」(社会学部社会科学 24歳 京都府)
「レポートやテスト。高校までとは違い、記述が多く自分の意見が求められたり内容を端的にまとめる力が求められたりするから」(社会学部社会学科 19歳 神奈川県)
「授業の課題、レポート、テストの分野が多岐にわたること。文系科目だけではなく化学や物理学などもあるのでレポートだけではなくテストの時もある。その切り替えが大変」(文化学部文化学科観光学専攻 22歳 高知県)
【大変なこと/データ集計・分析】
「データ集計。膨大な量のデータを一つひとつ入力していくのはなかなか骨が折れるから」(現代社会学部現代社会学科 21歳 富山県)
「データ分析。専用のソフトなどが使えないとうまくいかない」(社会科学部 20歳 青森県)
【大変なこと/自分なりの意見をもつ】
「自分自身で問題提起しなければならないなど、能動的に取り組まなければならない」(社会学部社会学科 22歳 岡山県)
「取り上げる論題がほかの人と被りがちなこと。自分なりの特色をもつために常にアンテナを張っておくことが必要だから」(現代社会学部現代社会学科 23歳 北海道)
「自由すぎてとっ散らかってしまうこと。いろんなジャンルに手を伸ばせるがゆえに、本当に何に興味があるかがわからなくなってしまう」(人間社会学部現代社会学科 19歳 東京都)
社会学部で目指せる主な資格
※大学ごとに取得支援をしている資格には違いがある
ここでは社会学部で目指せる主な資格として、社会調査士と教職を紹介。この2つ以外にも、図書館司書、学芸員、社会福祉士、社会福祉主事、社会教育主事、認定心理士など、大学によってさまざまな資格の取得課程が用意されているケースがある。
学科によって取得できる資格も異なるので、調べてみよう。
社会調査士
社会調査士とは、社会調査に必要な知識と技能、さらには応用力や倫理観を修得している社会調査の専門家。インタビューやアンケートなど調査方法を設計し、情報処理やデータ分析をするなど、社会調査の準備から実施、分析まで行う。
世論や市場動向、社会で起こる事象などを正しくとらえるためには、高い水準で社会調査を行う能力が求められており、社会学、福祉学、経営学を学ぶうえで役に立つ資格だ。
社会調査士の資格を得るためには、社会調査協会が定めた6科目の単位を大学で履修し、大学卒業時に申請する必要がある。
社会調査士の資格取得に必要な単位が大学の卒業に必要な単位と同じという場合があり、社会学部では取得する人が多い。
どういった進路に進んでも役に立つ能力であり、特にシンクタンクやマスコミなど、調査関連の企業へ就職を希望するなら、注目しておきたい資格と言える。
教職
必要な単位を修得することで、中学校教諭一種(社会)、高等学校教諭一種(地理歴史・公民)などの教員免許を取得できる大学も。1年次から計画的に必要な科目を履修する必要があるので、希望する大学の社会学部で取得が可能か、調べてみるのがおすすめだ。
社会学部で人気の就職先
※社会学部はマスコミ系の就職に強いと言われるけど本当?
社会学部で身につけた力は多方面で発揮できる可能性があり、就職先も多岐にわたる。社会学的な視点での調査力や分析力を生かせる仕事として、マスコミをはじめ、商品企画・開発、マーケティングにかかわる仕事が人気のよう。
また、大学院に進学をして、さらに社会学の学びを深める人もいる。
マスコミ関連
人気の就職先として、新聞社、広告代理店、出版社、テレビ局などマスコミが挙がるのが社会学部の特長。社会学部では新聞・広告・出版・放送など、広くマスコミ全般の研究を行ったり、マスコミと情報のさまざまな問題について研究をしたりと、マスコミに関する知識を身につけられ、社会学部の中でも特にメディア系の学科の学生に人気が高い職種。
メーカーなどの製造業関連
ものを作り、販売する製造業。営業、商品企画・開発、宣伝・広告など、社会に向けて商品を販売するうえでは、社会の動向やニーズを的確に把握する必要があり、社会学部で培った調査力や分析力を生かせる仕事と言える。
またグローバル化に伴い、商品を海外展開するほか、海外拠点をもつ企業もあり、日本だけでなく海外で挑戦したいという人にも人気の就職先だ。
情報・通信などIT関連
社会学部では、コンピュータなどの情報処理技術を用いて、社会問題を解決するノウハウを身につける社会情報学を学ぶこともでき、システムエンジニアなどIT関連の職種を目指す人も。IT関連の企業においても、営業やマーケティングなどの部署ではデータの統計や調査、分析が重要となり、社会学部出身者ならではの力を発揮できる。
公務員
地域に根付いた仕事がしたい、社会の役に立ちたいという理由から、地方公務員や国家公務員を目指す人もいる。公務員の中にもさまざまな仕事があり、それぞれ公務員試験を受けて合格する必要がある。
大学で公務員試験対策講座などのサポート体制を設けている場合があり、社会学部の授業と並行して試験対策講座を受講するなど、公務員を目指している人は計画的に情報を集めて対策を取っている。
教育関連
大学によっては社会学部で、中学校教諭一種(社会)、高等学校教諭一種(地理歴史・公民)などの教員免許取得を目指すことができ、それほど多くはないものの教員になる人も一定数いる。さらに、図書館司書、学芸員、社会教育主事など教育にかかわる資格取得を支援している大学もあるので、興味のある人は調べてみよう。
社会学部の先輩に聞いた!人気の就職先
卒業後はどんな職業に就きたいか、社会学部の先輩に聞いてみたよ。マスコミ・IT関連の企業や公務員のほか、街づくりや街の活性化に携わりたいという意見も挙がった。
また、社会福祉関連や社会心理学関連の学科を専攻している人は、その学科で培った専門性を生かして就職したいと考えているようだ。
「マスメディア関連の会社に就職したい」(総合社会学部総合社会学科 19歳 大阪府)
「編集者。自分の言葉で誰かに何かを伝えられたらいいなと思うから」(人間総合学部人間文化学科 22歳 東京都)
「出版社の編集、もしくはエンターテインメントにかかわる仕事に就きたい。自分が好きでワクワクすることを、人々に提供できる仕事がしたいから」(人文社会科学部現代社会学科 22歳 茨城県)
【IT関連】
「システムエンジニアと事務を主軸に、気になるものを見ていくつもり」(社会学部社会学科 22歳 茨城県)
「システムエンジニアになりたいと思う。これからの需要があるし、稼げると思ったから」(都市創造学部都市創造学科 21歳 東京都)
「ITやソフトウエアの開発業に就きたいです」(社会学部社会学科 22歳 神奈川県)
【福祉関連】
「福祉系の仕事に就きたい。誰かのために働ける仕事、人とかかわれる仕事に就きたいと考えているから」(現代社会学部社会福祉学専攻 21歳 愛知県)
「社会福祉士の資格を生かせる仕事」(公共政策学部福祉社会学科 18歳 京都府)
「病院での医療ソーシャルワーカー、または精神科クリニックなどでの精神科ソーシャルワーカー。高齢者だけ、児童だけ、でなくさまざまな年代の人とかかわりたいし、支援してみたいと思うから」(社会学部社会福祉 20歳 広島県)
「公認心理師の資格を取得予定なので、カウンセラーなどの心理職を考えている。また、英語や中国語も学んでいるので、多言語対応のカウンセラーについても検討している」(社会学部社会心理学科 22歳 千葉県)
【観光・地域】
「ホテルで接客業をする予定。観光学専攻として学んだことを会社のために役立てたいと思ったから」(文化学部文化学科観光学専攻 22歳 高知県)
「インフラ関係に就きたい。大学で学んだ地域活性化やワークライフバランスを生かして、住民に近い存在になりたい」(コミュニティ人間科学部 20歳 神奈川県)
「地元横浜に携わりたい。地方自治という面もそうだし、イベントやスポーツなどを通して、横浜に住みたい、行きたいと思ってくれる人を増やしたい。横浜の魅力を広げたい。横浜が長く続くまちであるためのことをしたい。横浜が好きだから。一極集中が進む東京に近い政令指定都市として横浜だからこそできることが何かあるのではないかと思っているから」(社会学部社会学科 19歳 神奈川県)
「街づくり会社」(地域政策学部観光政策学科 20歳 群馬県)
【公務員】
「市役所に就職して、地元の観光をより良くしたい」(現代社会学部現代社会学科 21歳 富山県)
「公務員」(人文社会科学部地域政策課程 18歳 岩手県)
【その他】
「教職」(社会福祉学部 23歳 長野県)
「広報や商品開発に携わりたい。アイデアを出すことが好きだから」(社会学部社会科学 24歳 京都府)
「コンサルティング系の職に就きたい。共に解決策を議論し発展させる手伝いができると思うから」(現代社会学部現代社会学科 23歳 北海道)
「経理職に就きたい。大学で学んだ企業のコンサルタントや資格での勉強を生かせると思うから」(地域政策学部地域づくり学科 20歳 群馬県)
「スポーツイベントの企画運営に携わりたい」(現代社会学部スポーツ社会学科 19歳 京都府)
【検討中】
「マーケティングや経営戦略などに就きたい。また、教育についての職業も気になっている。たくさんの心理学を大いに生かせると思うから」(総合社会学部心理系専攻 19歳 兵庫県)
「ざっくりですが、公務か観光系、または経済系の職業に就きたいと思ってます」(環境ツーリズム学部環境ツーリズム学科 18歳 富山県)
「どんな職業に就くか迷ってる。だが、大学で学んだことを生かせるような仕事に就きたい」(社会科学部 20歳 青森県)
【大学院】
「大学院に現在進学しており、宗教社会学をはじめとした社会学に関してより深く学ぼうとしている。修士終了後は仏教学について学ぶために、他大学の修士課程に進学することを考えている」(社会学部社会学科 23歳 兵庫県)
社会学部に向いている人
※社会学部は留学を考えている人におすすめという意見も!
どんな人が社会学部に向いているのか、貴堂先生に聞いてみた。たくさんの分野を学べる学部なので、大学で学びながら『自分が本当にやりたいこと』をみつけることができるはずです。
多角的な視点を育てる学部なので、大学によっては将来グローバルな活躍ができる力を養うこともできるでしょう。
そういった面では、在学中に留学したい人にもおすすめと言えます」。
社会学部の先輩に聞いた!社会学部に向いている人
社会学部の先輩たちにも、どんな人が社会学部に向いていると思うかを聞いてみたので、参考にしてみよう。「現代社会というものの歴史から最新の情勢まであらゆることが学べるので、興味が広範囲にあり絞れない人に向いていると思う」(文学部現代社会学科 21歳 香川県)
「将来の夢が決まってない人も多いので、大学で探したいという人にもおすすめ」(社会学部社会学科 20歳 東京都)
「さまざまなことを結びつけて研究したい人に向いていると思う」(人文社会科学部現代社会学科 22歳 茨城県)
「フィールドワークが好きな人、地域の課題を誰かと一緒に解決したいと思えるような人」(社会科学部 20歳 青森県)
「街づくりが好きな人におすすめ」(地域政策学部観光政策学科 20歳 群馬県)
「エビデンスに基づいた論理的思考力を身につけたい人におすすめです」(社会学部社会学科 23歳 兵庫県)
「文系にしては統計など数学的概念を用いる場面があるため、数学に苦手意識があまりない人におすすめ」(社会学部社会心理学科 22歳 千葉県)
社会学部の学費
学費は国立・公立・私立で異なるほか、学部によってもさまざまなので、事前に目安を知っておきたいところ。下記の記事では、大学の学費の平均などを詳しく解説!
社会学部を目指す人は、記事内にある社会福祉学部の金額を参考にしよう。
★大学の学費はいくら?受験料、入学料、授業料を分野別に見てみよう
社会学部を目指す高校生へのメッセージ
貴堂先生から高校生のみんなにメッセージをもらった。受験勉強を一生懸命する中で、どんな学問を学びたいか、はっきりと決まっていない人も多いのではないでしょうか。
そういった人であっても在学中に多様な研究分野に触れていくことで、『これを学びたい』と関心をもてる領域が必ず出てくるはずです。
そして、いい先生との出会いもあるでしょう。
知的好奇心に満ちた学生との出会いを私たちも楽しみにしています」。
取材・文/ミューズ・コミュニティー 監修/貴堂嘉之 構成/寺崎彩乃(本誌)
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