「カワイイ」が学問に?―シンデレラ・テクノロジー【前編】
ビックリするほど実物よりかわいく写るプリクラ写真。これほど技術が進歩したのは、「かわいくなりたい!」という女の子の強い気持ちがあったから。
一見関係なさそうな「女ゴコロ」と「情報工学」。この2つをかけ合わせ、プリクラに代表される学問テーマに取り組む研究者がいる。
■テクノロジーの力で女の子の「かわいくなりたい」を現実に
東京大学大学院(情報理工学系研究科)特任研究員の久保友香さんは、「シンデレラ・テクノロジー」と名づけたテーマの研究を行っている。
その代表的な例がプリクラだ。画像処理によって、絶妙なバランスで目が強調され小顔になる。その裏側では、たくさんのデータにもとづいて、みんなの「こんな顔になりたい」というぼんやりしたイメージを数値化し、複雑なプログラムによって変換しているのだ。
プリクラのようなデフォルメ(特徴を誇張・強調した表現方法)は、日本の歴史をたどると、美人画といわれる絵巻や浮世絵、そして現代のマンガにもみられるという。
■目指すのは「女の子の努力が報われる社会」
久保さんがシンデレラ・テクノロジーの研究で目指しているのは、美しさを測るモノサシを作ることだという。
女の子の「こんな顔になりたい」という理想形はぼんやりしていて、メイクで近づこうとしてもイメージどおりにするのは難しい。一歩間違えれば変になってしまうことも。そこで、理想形を「数値」というモノサシで表すことができれば、具体的にどこをどうすればいいかがわかりやすくなる。例えば、「流行の顔にいかに近づけているか」など。久保さんは、そんな「女の子たちの努力がもっと報われる社会」を思い描いているのだ。
■ガールズトークも研究のうち!?
研究では、コンピューターに向かってばかりではない。ガールズトーク(?)も研究のうちだ。
女の子の生活をもっと楽しく便利にさせる、姿見大のモニター「スガタミラー」の研究にも取り組んでいる。
インターネットにつなげ、画面上でさまざまな服を試着したり、その写真を撮ってオーディションに応募することもできるという。
男性研究者が多いテクノロジー分野でも、女性の視点を生かすとこんなに新鮮なものに。理系を目指す女子高生も身近に感じられるのでは? 後半の記事では、このシンデレラ・テクノロジーに至る久保さんのストーリーを紹介するので、参考にしてほしい。
☆もっと詳しく知りたい方はシンデレラ・テクノロジーのWebサイトへ
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