土木?環境?名前では見分けにくい学科名

橋や道路、空港、港、発電所といった巨大な建築物をつくるための学問といえば土木工学。日本が高い技術力を誇る分野の一つで、「スケールの大きなものづくりに携わりたい」と思っている高校生にとっては関心の高い学問だろう。

 

しかし、今では、大学の「土木工学科」がすっかり減少。信州大学、芝浦工業大学、東海大学、東京理科大学、日本大学など全国で10に満たない大学にしか存在しない。

 

といっても急速に減っているのはあくまで「土木工学科」という学科名。一昔前は、理工学部、工学部に土木工学科が多数設置されていたが、90年代以降、「土木」という泥臭いイメージの名称を変更する大学が相次ぎ、最近でも名称変更の流れは続いている。では、どんな学科名に変わったのかというと、これが実にさまざまなのだ。一例を挙げてみよう。

 

○社会環境工学科
○社会基盤学科
○社会基盤システム工学科
○建築・社会環境工学科
○地球環境工学科
○環境建設工学科
○都市システム工学科
○都市環境学科
○都市環境デザイン学科
○都市創造工学科

 

まだ「建設」「建築」といった言葉が入っていれば土木工学と関連づけられそうだが、それ以外は、何が学べるのか一見しただけではイメージしにくいというのが正直なところ。「社会」「環境」「都市」などのキーワードがほかの分野の学科名にも多用されているため、混乱を招きやすい面もある。例えば、「環境」は、この場合、文字通り「Environment」の意味で使われていることが多いが、自然保護やエコロジーを連想する高校生も当然いるはず。

 

もちろん、名称変更にともない学科のコンセプトも変わっていたり、環境保護寄りの教育に比重を高めたりしている大学もあるが、土木工学の本質や基本は変わっていない学科がほとんど。その一方で、同じような名称でも土木とはあまり関係のない学科も実際にあるので、学科名だけで内容を推測するのは危険。

 

土木工学志望の高校生はもちろん、環境、建築、都市計画など周辺分野の志望者も含めて、受験先を選ぶ際には、カリキュラムをしっかり調べることがポイントだ。

 
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