3月14日は「数学の日」。数学ってなんで必要なの?

3月14日といえば、ホワイトデーを思い浮かべる人が多いだろう。実はもうひとつ、円周率の近似値「3.14」にちなんだ「数学の日」でもある。普段は「数学は苦手」と避けている人こそ、今日ぐらいは数学について考えてみてはどうだろうか。

 

「数学なんて、社会に出たら役に立たない!」――そう思っている人もいるだろうが、はたして本当にそうなのか。“ハッピーな大人になるための数学”を提唱する、国立情報学研究所教授の新井紀子先生に聞いてみた。

 

「今の時代、数学の必要性は、確実に高まっています。その理由の1つはコンピュータの普及です。仕事をするには単にコンピュータの操作ができるだけでなく、コンピュータが理解できる、いわば“数学語”がわかると、自分の思いどおりにコンピュータに仕事をさせることができます。

 

また、世の中のあらゆることが複雑化し、合理性が求められる現代では、直感や経験だけでは通用しませんよね。論理や関数、統計がわかれば、例えば仕事で売れる商品をつくろうとする際にも、選挙で政策の中身をみて投票する際にも、より確実な判断ができるでしょう」(新井先生)

 

しかし、必要だからといって、数学が好きになれるわけではない。新井先生もまた「学校の数学は嫌い」だという。そして、「数学が嫌いな人は習っていることの意味や、数学が実際どう役立つかがわからないからでは?」と、数学嫌い解消のヒントをくれた。

 

「わからないことを無理にやらされるのは辛いもの。そこで、『今日の数学の授業は何の話をしていたのか』を、2行ぐらいで書くようにしてみてください。すると、何のための勉強かがわかるようになるでしょう。数学が嫌いな人に目立つ『計算ミス』は、あまり気にしなくても大丈夫。大学以降は計算機に任せておけばいいのですから。それよりも、文系的にざっくりと意味を把握することのほうが大事。それが社会で役立つ数学への第一歩だと思います」(新井先生)

 

ざっくりした数学の意味とは、例えばこんな感じだ。

 

「まず、関数は“確実な未来を予測する”ためのもの。例えばチリで地震が起きた時、いつか津波が日本にくるかもしれないとは、文系でも予想できます。そこで関数を使うと、いつどのぐらいの規模の津波が到達するかまでわかるのです。また、方程式は“今観測したものから原因を究明する”もの。例えば、地震が起こったという現象しか見えない時にも、方程式を使うと震源地はどこか、規模はどれぐらいかを究明できます」(新井先生)

 

このほか「累乗って?」「微積分って?」などについては、新井先生の著書『生き抜くための数学入門』(イースト・プレス)で、文系の高校生にもわかりやすく説明されている。数学との付き合い方をちょっと変えて、テストや受験のためでなく、楽しみながら社会でも役立つ力を鍛えよう。

 
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