書道パフォーマンスで観客を魅了する松山女子書道部に直撃!
音楽に合わせてダンスをしながら、大きな紙に書を書き上げる「書道パフォーマンス」。
埼玉県立松山女子高等学校の書道部は、その「書道パフォーマンス」で数々の実績を残している。
昨年、NHKの「スクールライブショー」という番組で行われた「書道パフォーマンスバトル」で優勝。さらに、JOC(日本オリンピック委員会)が主催するオリンピック選手の激励会では、一般人で唯一招待され、その場でパフォーマンスを行ったという!
そんな松山女子高校書道部のスゴさを体験するべく、実際に書道パフォーマンスの練習を見に行ってみた!
■迫力満点のパフォーマンス
部室に入ると、約50枚の模造紙を合わせて作った大きな黒い紙が…! この巨大な紙に書道パフォーマンス用の大きな筆とカラフルなペンキで字を書くという。
流行のアップテンポな曲が流れると、約10名の生徒が曲に合わせて大きな筆で同時に歌詞を書いていく。赤と白のペンキがそれぞれついた筆を両手に1本ずつ持ち、“二刀流”で書かれた文字は、2色の色が立体感を生み出し、作品が引き締まる! 利き手じゃない方の手で書く文字も利き手並みのうまさですごい!
周りで踊る部員、ペンキの入ったバケツを持つ部員、文字を書く部員…約40人それぞれの生徒が自分の役割をきっちりこなし、パフォーマンスに真摯に向き合う姿に心動かされた。
■書道部は運動部!?
普通の書道とは全く異なるパフォーマンス書道。一体、どんな練習をしてここまで上達したのだろう?
「筆は大きいし、立って腰を曲げたまま字を書かないといけないし、とても体力がいる“スポーツ”なんです。最初はみんな筋肉痛になって大変でした(笑)。それに一人で書く書道と違って、部員同士の連携がすごく必要なんですよね」
とは菅原夏実さん(3年生)。
また、音に合わせながら大きな紙に文字をキレイに書くためには、バランスとリズム感も必要だとか。小林菜々子さん(2年生)に聞くと、
「文字と文字のバランスは、体が感覚を覚えるまで何度も練習しています。それに、みんなで作り上げる作品なので、自分が書いた部分だけうまくいってもダメなんです。いい作品を作るために普段から意見交換は欠かせないですね。音楽は自分たちが好きな曲や元気がある曲がリズムをとりやすいというのはあるんですが、パフォーマンスを見て下さる人に合わせて曲を選んだりするんですよ」
と教えてくれた。
「『字がうまくなりたかったらマナーを身につけて』って部員にいつも言うんです」
とは、書道部顧問の石原裕子先生。
「文化部は、でき上がった作品がすべてだという傾向がありますが、パフォーマンス書道は、作品を作り上げる“過程”がとても大切なんですよ。なので、日々の練習、生活態度が作品に反映すると思っています。『今何をするべきなんだろう』と相手の立場、その場の状況に応じて考える力って礼儀マナーから身につくと思うんです。それを考えて行動できる人は、繊細な文字のバランス、作品の良し悪しを理解できるようになって、いいパフォーマンスができると思っています」
確かに、「こちらにかばんを置いてください」「こちらにお座りください」など、取材中、部員の方たちのていねいな対応にとても感心した。
さらに、日々練習を重ねている書道作品でも展覧会で好成績を納めているというからすごい。パフォーマンス書道だけではなく、本来の書を身につけることで、よりレベルの高いパフォーマンス書道ができるそうだ。
最後に、パフォーマンス書道の魅力を聞くと、
「みんなで一つの作品を作ること。そして人を感動させられること」
と語ってくれた。
松山女子書道部のパフォーマンスを見て感動するのは、日々、礼儀とマナーに重んじ、和の心を大切にして生活していることが文字に表れているからなのかもしれない。