女子高生が最高経営責任者!やりたい気持ちへの素直さが道を開く
写真の笑顔がかわいい女子高生2人。
みんなのクラスにもいそうな、ごく普通の高校生だが、実は世界をまたにかけてビジネスを行う会社「株式会社GLOPATH」のCEO(最高経営責任者)とCOO(最高執行責任者)である。
■世界中の子どもたちと人生ゲームを制作中
会社はCEO仁禮(にれい)彩香さん、COO齊藤瑠夏(るか)さんらが中学生だった2011年に設立した。現在、2人のほか中学生6人のメンバーがいるというから驚きだ。
彼女たちの会社ではさまざまな活動を行ってきたが、その中心にあるのは“子どもたち”だ。例えば、現在、戦争のない世界を創造するため、世界11カ国の子どもたちとともに各国版の人生ゲームを制作する「グローバル人生ゲーム・プロジェクト」が進行している。
「各国の子ども達の環境や考え方が反映された人生ゲームで、世界中の子どもたちが遊ぶことにより、互いの国を理解し合うことを目指しています」(仁禮さん)
ほかにも、世界中の子どもたちがアイデアを共有し合うソーシャル・ネットワーク・サービス「GLOPATH HOMEROOM」の開発、母と子どものためのカフェスタイルの学校「g cafe」をプロデュース、東日本大震災の経験を生かして減災に取り組む大人や子どもたちを集めて「ポストクエーク・イノベーションフォーラム」の開催などに取り組んでいる。
GLOPATHが目指すのは、“子どもたちの、子どもたちによる、子どもたちのためのプラットフォーム”づくり。国内外を問わず、グローバルに活動をしているのが大きな特徴だ。
■幼稚園の出会いが人生を変えた
彼女たちが会社を立ち上げたきっかけは何だったのだろうか。
仁禮さんと齊藤さんの2人は、日本人向けインターナショナルスクール(湘南インターナショナルスクール)の幼稚園の出身。そこで身につけた世界で通用するコミュニケーション力や思考力が、今の力になっているという。
「幼稚園まで、答えは自分たちでみつけていくもので、人と考えが違って当たり前だから答えもたくさんあると思っていました。それが私たちにとって、とても納得感があって楽しかったんです」(齊藤さん)
公立小学校に進んだ2人は「幼稚園で学んだように学べる小学校をつくってほしい」と訴えた。それがきっかけとなり、翌年、同幼稚園の法人が小学校を開校。2人は2年生から転入し、日本の小学校のカリキュラムとは異なる独自の教育を受けた。
■あえて自分たちが最も知らないものに挑戦
小学校卒業後も2人は同じ私立中高一貫校に進学。小学校と交流するクラブを立ち上げ、先輩として小学生に自分たちの経験を語ったり、一緒に学校行事に参加したりする活動を行っていた。
「楽しかったのですが、仲間内で完結することに物足りなさもありました。自分たちが学んできたコミュニケーションや思考のスキルを生かして、もっと世界とつながりたい。どうせ何かやるなら、自分たちが最も知らないビジネスというものに挑戦してみよう!と考えました」(仁禮さん)
そこで2人は、出身小学校で合気道を教えていた、企業経営経験の豊富な有田曉生さんに相談。有田さんは「彼女たちに資金はないが『知恵と感性と勇気』という資産がある」と、創業者・アドバイザーとしてGLOPATHを支える役割を買って出た。
ただし、活動の中心となっているのは、あくまで2人を中心とした中高生たちだ。クリエイティブに頭を使ってきた彼女たちからは、「こんなことやりたい」というアイデアがぽんぽん出てくる。それが関連する企業や大人たちを巻き込み、事業として形になっていく。
「私たちは天才でも何でもない。自分たちの感覚を大事にし、目の前のチャンスをつかんで全力で取り組んでいるだけ」(仁禮さん)
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彼女たちは小さいころから、常に自分の気持ちを素直に言葉にし、それをきっかけにチャンスをつかんできた。勉強も、部活も、GLOPATHも、「誰かに言われてやっているのではなく、自分がやりたいからやっている」という2人。そうした姿勢が、彼女たちのような会社運営に限らず、充実した高校生活を送る基本なのかもしれない。