アプリ考案からスイーツ企画まで行う「鯖江市役所JK課」とは?

メガネのフレーム生産で有名な福井県鯖江(さばえ)市。今年4月、この町に女子高生による「鯖江市役所JK課」が誕生した。まちづくりへの「新しい市民参加のかたち」として、全国から注目を集めている。

 

■女子高生のトレンド感や女子力に期待

 

鯖江市役所JK課の第1期メンバーは女子高生13人。Twitter等でメンバー募集を知った女子高生が、「人のために何かしたい」「なんだか楽しそう」などそれぞれの思いのもと集まった。

 

ただし、女子高生が市役所の職員になったわけではない。この鯖江市役所JK課は、正式な鯖江市の課名ではなくプロジェクト名なのだ。メンバーはあくまで高校生活に支障がない範囲で、鯖江市職員はじめ地域の大人たちと連携しながら、自らが「やりたいこと」を中心に地域活動を行っている。

 

(写真1)最初のワークショップでは、メンバーが「やりたいこと」「活動に対する思い」などを付せんに書き出し、いくつかのプロジェクトにまとめていった

(写真1)最初のワークショップでは、メンバーが「やりたいこと」「活動に対する思い」などを付せんに書き出し、いくつかのプロジェクトにまとめていった

 

周囲からは、若い世代が住み続けたいと思えるまちづくりや、若者や女性の行政参加を進めるために、JK課の感性や女子力が期待されている。

 
 

■図書館空席確認アプリを考案

 

4月の発足からわずか数カ月だが、さまざまな活動を行っている。

 

例えば、地元の企業や団体と連携して市民に呼びかけた、まちの清掃活動「鯖江ピカピカプラン」。

 

(写真2)県内各地から集まった約130人が参加し、メンバーとともにゴミ拾いを楽しんだ

(写真2)県内各地から集まった約130人が参加し、メンバーとともにゴミ拾いを楽しんだ

 

市内のスイーツを盛り上げるための「鯖江スイーツフェア」では、新しいケーキのアイデアを出し、イベントに参加。来場者の意見も直接聞いた。

 

(写真3)メンバーのアイデアをもとに市内の若手パティシエ・グループと意見交換を繰り返し、5つの新作を制作。イベント当日にお披露目された

(写真3)メンバーのアイデアをもとに市内の若手パティシエ・グループと意見交換を繰り返し、5つの新作を制作。イベント当日にお披露目された

 

また、市内のIT企業と協力して、自習などに使える図書館の個人ブースの空席情報を検索できるアプリを開発した。アプリの名は「鯖江」「本」「データ」にちなんで「Sabota」(サボタ)。自習室に人が座席に着くと反応する赤外線センサーを取り付け、アプリに反映させるというしくみだ。

 

(写真4)空席状況がリアルタイムでわかるアプリ「Sabota」。別ページでは図書の検索もできる

(写真4)空席状況がリアルタイムでわかるアプリ「Sabota」。別ページでは図書の検索もできる

 

アイデアを出したのはメンバーの「みどりん」さん(高3)だ。

 

「学校の図書館が改修工事で使えなかった時に苦労したことから、こんなアプリがあったらいいなと思って提案しました。こんなに早くに形になり、市内外から反響をいただいて驚いています」

 

「Sabota」のイラストを担当した「りんちょ」さん(高3)は、JK課の取り組みの楽しさについてこう話す。

 

「今までは大人に意見を言っても否定されたり聞いてもらえるだけだったりということが多かったのですが、JK課では肯定してもらえ、本当に形になる。JK課を卒業しても、いろんなことにチャレンジしたいと思うようになりました」

 

JK課の活動には、市内外の幅広い年代から「うちの市でもこういう活動をしたい」との反響があり、JKメンバーの励みになっているという。

 

 

JK課の活躍に触発され、自発的に40~50代女性によるまちづくり市民団体「OC(おばちゃん)課」も発足した。市長に公園施設に関する提言書を提出するなど、活発な活動を行っている。「おばちゃん」たちをも動かしたJK、おそるべし!