文理選択で迷わない!文系・理系の違いと進路選びで知っておくべきポイントをチェック

文理選択とは、高校2年以降、文系と理系のどちらのコースに進むかを決めることだ。
 
文理選択は、この選択は、単に授業科目が変わるだけでなく、その後の進路や将来の職業にも影響を与える可能性が高い、人生のターニングポイントの一つになる。
 
この記事では、進路指導・キャリア教育の専門家・浦部ひとみ先生に、文系・理系の違いや文理選択で知っておくべきポイントを教えてもらった。
 
文系か理系か悩んでいる人や、文系と理系で将来どんな違いが出てくるのか気になる人は、ぜひチェックしてみて。

目次

今回教えてくれたのは

浦部ひとみ先生

進路指導・キャリア教育のスペシャリスト。東京都高等学校進路指導協議会前事務局長。都立高校勤務。

文理選択とは

文理選択によって進路が変わってくる

文理選択とは、高校生が卒業後の進路に向けて文系理系のどちらを選ぶかを決めること。
 
一般的に、高校入学後早々に最初の調査が行われ、一学期間の指導を経て高1の秋には文理選択を行い、、高2から文系と理系に分かれて授業がスタートする。
 
文理選択によって、高2校以降の学ぶ科目が変わるだけではなく、高校卒業後の進路、ひいては描く将来像にも大きなインパクトを与えることになる。

つまり、文理選択は、みんなの将来を左右する高校で最初の大切な選択になるんだ。

文理選択はいつ?スケジュールとやるべきこと

秋の文理選択に向けては、高校では入学したばかりの1学期の段階から説明会や希望調査、先生との面談が始まる。
 
文理選択が決定するまでに具体的に何をするのか、スケジュールに沿って詳しく見ていこう。

高1・1学期 文理選択に向けた活動開始

高1になってすぐの段階で、科目選択に関する指導が始まる。

 将来の進路希望に関する説明会や調査が行われたり、先生との面談が始まったりする学校もある。

高1・夏休み オープンキャンパスに行く

まだ文系か理系か迷っている人、そもそも選ぶための準備が整っていない人も多い時期。・
 
このタイミングでいろいろなことを調べたり、先生や保護者と話したり、大学や専門学校のオープンキャンパスに参加して個別相談を受けるなど、自分の進路をじっくり考えることが大事。

高1・2学期 最終希望を提出

文理選択の最終的な希望を提出する時期。保護者の確認や先生の最終チェックを経て、文系理系を決めていく。

高2・1学期 文系・理系に分かれた授業がスタート

文理選択を経て、高2からは文系と理系にコース分けやクラス分けがされたり、選択科目が決まったりして、授業がスタート。

知らないと後悔!文系理系でここまで変わる!

文理選択によって、卒業後の進路、将来の生き方までもが大きく変わってくる。

文理選択は、単に高校の授業内容が変わるだけではない。

それゆえ、文理選択によって単に高校の授業内容が変わるだけではない。

 卒業後の進路はもちろん、その後の生き方をも大きく左右する可能性が高いだけに、しっかりと考えていこう。
 
ここでは、文系と理系で将来がどれだけ変わるのかを見ていく。

受験科目が変わる

文系を選択した場合、理系の学部の受験に必要な理科や数学IIIなどを履修しないことが一般的なので、受験できる学部が限られます。
 
また、理系を選択した場合、数学が可能な文系学部もありますが、地理や歴史などを履修していないと、受験自体が難しくなることも。
 
このように、大学や学部、学科によって指定される受験科目が変わるので、文系・理系の選択は進路に大きな影響が出てきます。
 
一方、受験科目には含まれていなくても、大学や専門学校に入学してから必要になる科目もあります。

受験にないからと安易に勉強をやめたりすると、後になって後悔する場合もあるので気をつけましょう。(浦部先生)

大学や専門学校の生活が変わる

文系では、講義形式の授業が多めで、理系に比べて授業時間にはゆとりがあるように見えます。
 
逆に、理系に進むと文系よりも実験や実習が多く含まれる関係上、どうしても授業時間数や課題が多く、学生生活が忙しくなる傾向にあります。

 一口に理系といってもさまざまな学科がありますが、実習の関係等でアルバイトや余暇の時間が限られてしまうこともあるので、あらかじめ学生生活の具体的なイメージを押さえておきましょう。(浦部先生)

なりやすい職業が変わる

職業によっては理系の道、文系の道、またその専門分野ではっきり方向性が定まるものもあります。
 
医師や看護師、薬剤師などの医療系は、理系の学部・学科での専門的な学術研究が必須、最終的には国家試験に合格する必要があります。

また、研究開発分野で実験が伴う仕事も理系に有利な場面が多く見受けられます。他にも、建築系、IT系などは理系の知識を活かすイメージがしやすい職業です。
 
一方、弁護士、裁判官、検察官といった法律に関わる仕事に興味がある場合、大学で法学を専攻する分野に進むための文系を選ぶことになります。

さらには文系学部である経済学経営学、商学を学んだ場合は、営業や企画マーケティング、起業など、さまざまなビジネスの場で活躍できる可能性も高いですよ。

最近では文系学部出身者でもIT関連企業に就職するケースや、理系学部出身者が文系学部出身者のイメージの強い職種に就くケースもあるので、「理系的発想」「文系的発想」という柔軟な思考回路をもつことも必要になってくるでしょう。(浦部先生)

文理選択の決め方のポイント

さまざまな視点から文理選択を考えていこう

将来の夢・目標から考える

もし、現時点でなりたい職業や夢があるなら、その夢の実現に最適な方向性を選択していくことになります。
 
気になる職業がいくつかある場合は、この段階で一つに絞り込んでおくことはありませんが、目指す方向性を見定めていくことが大事です。


例えば、メディアの仕事も営業の仕事も興味があるならば、理系分野より文系分野が近いので、まずは文系の分野から調べていくという考え方も一つです。
 
具体的な職業が思い浮かばなくても、「人の役に立つ仕事がしたい」「世界の問題を解決したい」「新しい技術を生み出したい」といった興味や関心から考えるのもおすすめです。
 
自分と向き合う時間をじっくりもち、自分の本当にやりたいことは何なのかを考えてみましょう。文系理系の選択を考えていくことは、自分の夢や目標をかなえていくための最初の一歩となるははずです。

 高1の時点では、自分の具体的な将来像が描けていない人も多いでしょう。ですが、文理選択をきっかけに、自分の将来について真剣に考え始めることが大切です。これをスターティングポイントとしましょう。(浦部先生)

学んでみたい学問や研究テーマから考える

自分にとって興味のある学問や研究テーマは何かを考えてみましょう。そして、それが文系と理系のどちらの系統に属するのかを調べてみることが、文理選択の際の手がかりになります。

 学んでみたいことがよく分からない場合、本や雑誌、ネットなどで情報収集することから始めます。大学や専門学校のオープンキャンパスに参加し模擬講義を受けたり、個別相談で担当者に直接質問したり、授業案(シラバス)を見てさらに理解を深めていきましょう。(浦部先生)

 自分の好きなことや関心があることから考える

自分の興味があることが文系寄りの分野なのか、理系寄りの分野なのかを調べてみましょう。

例えば、情報化社会、国際社会など、社会の仕組みに関心があるなら、さまざまな社会問題を広く学べる社会学部が考えられます。これは文系の分野となります。
 
このように、なんとなく興味あることや好きなことを入り口に、それがどの学問分野と関連が深いのかを探っていくことで、文理選択の方向性が見えてくることも。(浦部先生)

文理選択をするときに注意したいこと

安易な考えで文理選択をするのは避けよう

文理選択を考えるとき、「仲の良い友達が選ぶから」「数学が苦手だから文系」といった理由で決めてしまう人もいる。

 しかし、将来の進路を大きく左右する文理選択だからこそ、簡単には決められない。
 
ここでは、文理選択の際に注意しておきたい点を紹介していく。

表面的なイメージで選ばないこと

「理系=かっこいい」「文系=ゆるそう」といった先入観は危険。実際に学んでいく中で自分の興味や適性と合わず、後悔することにもつながりかねません。
 
また、「どうしてもあの有名大学に行きたい、分野は何でもいい」といったブランドイメージ先行も考えもの。
 
最近「理系女子」のような社会トレンドも耳にします。社会のニーズに合わせた選択も考えてみる価値はありますが、世の中のトレンドと自分の将来像とをごちゃ混ぜにしてしまうと、ミスマッチにつながる可能性もありますので注意しましょう。(浦部先生)

科目の得意不得意で選ばないこと

「数学が苦手だから理系は難しい」といった消去法での選択にも注意が必要です。

 大切なことは、自分の将来の目標や夢から逆算して今を、そしてこれからを考えることです。
 
高1の段階だと、中学校時代に苦手だった分野を、それが自分の実力と決めつけていたりしませんか?
 
なぜ、どこが苦手なのか、一度立ち止まって考えてみてはどうでしょうか。
 
そして、その分野が将来の目標達成のために必要ならば、もう取り戻せないのか、克服するにはどういった手立てが必要なのかを考えたり、先生や周りの人に相談してみましょう。(浦部先生)

「友達が選ぶから」「人気だから」で選ばないこと

高校生が周りの影響を受けることは自然なことです。
 
しかし「友達が選ぶから」「人気があるから」といった理由だけで文理選択を決めるのはリスクがあります。
 
大切な自分の将来は人任せにしない、自分が決めるという姿勢が大切です。「本当に自分が興味のあることは何か」「将来何をしたいのか」という視点から自分と向き合い、考えて悩んだ後は実行力をもって決断していくことが重要です。(浦部先生)

ここも気になる!文理選択Q&A

さまざまな文理選択の悩みを紹介していく。

将来を左右する大切な選択だからこそ、文理選択にはいろんな疑問や不安がつきもの。
 
ここでは、高校生のみんなが気になる文理選択の疑問について答えていく。

「数学も理科も苦手だからとりあえず文系」でもいいの?

中学校時代の経験が先入観となってそのように決めてしまうとしたら、将来の可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。

自分で「文系」というレッテルを貼ってしまい、本来持っている可能性を早々と切り捨ててしまってはいないでしょうか?
 
苦手意識があるとしても、まずはその苦手の内容にしっかりと目を向けてみることが大切です。

「何がどう苦手なのか」を具体的に把握することで、克服できる部分が見えてくるかもしれません。(浦部先生)

将来の夢がない場合は、どう決めたらいい?

ぜひ、この文理選択というタイミングで、自分の将来についてしっかり考えてみましょう。

 「将来の夢がない、やりたいことがわからない」と言う生徒も少なくありませんが、それは、考えることを先送りにしてしまっている結果でもあるのです。
 
日々の生活、保護者や先生との会話、勉強、部活動、委員会活動など、周りには夢や目標を考えるためのチャンスや材料がたくさんあります。
 
また、オープンキャンパスに行って在学生先輩と話してみたり、本や雑誌を読んだり、ネット情報を検索したりして、さまざまな知識を蓄積していきましょう。
 
考え、悩む、そのプロセスこそがとても大事です。文理選択を、自分の将来像に向き合うチャンスとしてくださいね。(浦部先生)

後で文転や理転はできる?

結論から言うと、あとからでももちろん文転や理転は可能です。
 
しかし、最初の文理選択の段階でじっくりと考えておくに越したことはありません。

というのも、途中で転向すると、受験準備やそれ以外の面でも、どうしても出遅れてしまうからです。
 
もし、高2以降、進路活動や受験準備を進めていく中でどうしても続けられない、方向性を変えたいということになったら先生や保護者に相談し、自分の気持ちをしっかりと伝えることです。

決して自己判断のみに陥ることのないよう、慎重に進めていきましょう。
 
「なぜ今変えたいのか」「変えた場合、変えなかった場合のメリット・デメリットは何か」をしっかりと考えて、後悔のない決断をすることが大切です。(浦部先生)

親や担任の先生と方向が違うときはどうすればいい?

この悩みもありがちです。最終的にその進路で勉強をするのは本人なので、本人が自らの意思で主体的に選択することが重要です。
 
もっとも、保護者や先生は、あなたのことを思ってアドバイスをしてくれていることを忘れないように。

その意見に真っ向から反対するのではなく、なぜそう言うのか、その背景に何があるのかを汲み取る姿勢も大切です。
 
アドバイスをきっかけに調べてみることで視野が広がりますし、「やっぱり私はこの方向でいきたい」と自分の考えが改めて固まることにもつながります。
 
そして、なぜ自分がこの方向で行きたいのか、自分の気持ちを理由とともに保護者や先生に納得してもらえるよう、粘り強く説明することが必要です。(浦部先生)

総合型選抜や学校推薦型選抜を利用する場合、文理選択はどのように影響する?

総合型選抜や学校推薦型選抜を利用する場合でも、文理分離選択は重要な影響を与えます。

 大学や学部によっては、出願資格として特定の科目の履修が必要な場合があるため、行きたい大学や学部がある場合は、早い段階から募集要項を確認し、必要な科目を把握しておくことが不可欠です。
 
また、志望理由書を作成する際「なぜこの学部を志望するのか」という問いに対して、文理選択で選択した科目と大学で学びたい分野とがずれてしまうと、面接等でその点を指摘される可能性もあります。
 
そのため、興味のある分野についての知識や情報を早めに集め、考えるための材料を事前にどれだけそろえられるかが物を言います。(浦部先生)

大学・短期大学で学べる学問領域

行きたい学部や興味のある学問の分野から文理選択を決めることがポイントだけど、どんな学問があるのかわからない高校生もいるはず。

大学の学部は大きく分けて、文系、理系、そして文理融合系に分類される。
 
一般的には、文系学部を志望するならば文系科目を、理系学部を目指すのであれば理系科目を選択するのが基本的な流れになる。
 
ただし、文理融合系の学部については、どちらの科目を選択していても受験できるケースが多い傾向にある。
 
ここからは、文系、理系、文理融合の各学部には具体的にどのような分野があるのか見ていこう。

文系学部

文系といっても、法律・経済・人文・教育などさまざまな分野がある。

まずは、人文や経済、法律などを学ぶ文系の学部を見ていこう。

文学・人文・人間・心理分野の学部

文学、哲学、史学、人間科学などいろいろな側面から人間や社会について学ぶ。
 
人間とはどのような存在なのか?過去から現在に至るまでの文化や歴史はどのように形成されてきたのか?といった人の感情や行動、考え方などを深く掘り下げていく。

●この分野で学べる学問
地理学歴史学考古学文化人類学日本文化学言語学語学(日本語)日本文学外国文学児童文学文芸学哲学・宗教学心理学人間科学  

●この分野の代表的な学部
文学部/哲学部/史学部/人間科学部/心理学部

 経済・経営・商学分野の学部

社会を取り巻くお金の流れやモノの流れ、そして企業の活動について学ぶ。
 
ニュースでよく耳にする「物価上昇」「景気後退」「企業の戦略」といったキーワードの中身や、それらが私たちの生活にどのように影響を与えるのかを追求する。

●この分野で学べる学問
経済学経営学商学
 
●この分野の代表的な学部
経済学部/経営学部/商学部

 社会・メディア分野の学部

本文
文化や流行といった身近な社会現象から、集団心理や社会構造といった複雑なしくみまで、幅広いテーマを扱う。
 
また、現代社会に不可欠なメディアや情報の管理・活用についても専門的に学ぶ。

●この分野で学べる学問
社会学観光学情報学図書館情報学コミュニケーション学マスコミ学メディア学
 
●この分野の代表的な学部
社会学部/観光学部

法律・政治分野の学部

社会のルールとなる法律と、国や社会の進むべき方向を決める政治、そして社会の課題を解決するための具体的な計画である政策について学ぶ。

●この分野で学べる学問
法学政治・政策学総合政策学
 
●この分野の代表的な学部
法学部/総合政策学部

外国語分野の学部

外国語をコミュニケーションの道具として学ぶだけでなく、その言葉が使われている地域の文化、歴史、社会、そこで暮らす人々の価値観まで掘り下げて学ぶ。

●この分野で学べる学問
語学(英語)語学(英語以外の外国語)
 
●この分野の代表的な学部
外国語学部

 教育・福祉分野の学部

幼児期から高齢期までの各ライフステージにおいて、教育やさまざまな支援を必要とする人々にかかわる専門知識と実践力を学ぶ。

●この分野で学べる学問
教育学保育・児童学福祉学
 
●この分野の代表的な学部
教育学部/子ども学部/社会福祉学部

美術分野の学部文理融合学部

音楽、美術、デザイン、舞台・演劇といった分野で、それぞれの専門的な理論を研究すると同時に、自身の表現や感性を磨いていく。

●この分野で学べる学問
音楽美術デザイン舞台・演劇学
 
●この分野の代表的な学部
芸術学部/舞台・演劇学部など

 文系でないとなれない職業

弁護士、裁判官、検察官、司法書士のような法曹・法律系の仕事は、法学部で法律を学ぶことで、その後の法科大学院への進学や司法試験につながる基礎を勉強することができる。
 
また、国家公務員の総合職や一般職、外交官といった職業は、国際政治、国際法、経済学など幅広い文系分野の知識が求められる。
 
新聞記者、編集者などのマスコミ系や、銀行や証券などの金融業、社会福祉士などの社会福祉系の仕事も、文系学部出身者が比較的多い。

理系学部

医学・理学・工学・農学などが理系のジャンルになる。

次に、医学や理学、農学などの理系の学部を見ていこう。

医・歯・薬分野の学部

人々の健康と生命にかかわる専門知識と技術を学ぶ学部。

医師、歯科医師、薬剤師を養成したり、病気の予防法や治療法、薬品の安全性や影響を研究したりする。

●この分野で学べる学問
医学歯学薬学
 
●この分野の代表的な学部
医学部/歯学部/薬学部

看護・保健・衛生分野の学部

看護師をはじめとする看護専門職を目指す。技術のほか、倫理観も学ぶ。

●この分野で学べる学問
看護学保健・衛生学リハビリテーション学医療技術学
 
●この分野の代表的な学科
看護学科/保健学科/保健看護学科

 理・工分野の学部

理学部では、自然界の法則や原理を深く探求していく。
 
工学部は、私たちの生活をより便利で豊かにするための技術やシステム開発を学ぶ。
 
どちらも科学技術の発展には欠かせない分野だ。

●この分野の代表的な学部
理学部/工学部

農・獣・畜産・水産分野の学部

いずれも食料や生物資源にかかわる分野。

農産物、水産物の生産・加工・流通を研究したり、食肉や乳製品などの生産について学んだり、動物の健康管理を学ぶ。

●この分野で学べる学問
農学バイオ・生命科学生物学森林科学・水産学獣医・畜産学
 
●この分野の代表的な学部
農学部/水産学部/獣医学部

理系でないとなれない職業

医師、歯科医師、薬剤師、獣医師は、理系の学部を卒業しないと、国家試験の受験資格が得られないため、理系でないとなれない代表的な職業。
 
科学、工学などの研究者も、専門分野の深い知識と、実験やデータ分析などの方法を理解していないと難しい。
 
IT系であるエンジニアは、最近では文系からも就職しているケースも見られるが、コンピューターサイエンスなどを大学で学ぶことによって就職で有利に働く可能性が高い。

文理融合学部

グローバル化が進むことによって文理融合学部が注目されるようになった

文理融合学部では、「文系」「理系」という従来の枠組みにとらわれず、双方の幅広い知識を学ぶことで、現代社会の複雑な課題に対する多角的な視点と解決能力を養っていく。

家政・生活分野の学部

衣・食・住といった日常生活の基盤から、家族、地域社会などのかかわりまで、人間の生活全般を総合的に学ぶ。

●この分野で学べる学問
栄養・食物学服飾・被服学住居学生活科学
 
●この分野の代表的な学部
家政学部

 健康・スポーツ分野の学部

人間の健康維持・増進、運動能力の向上、スポーツ文化の発展などを学ぶ。
 
指導者としての専門知識や技能も身につける。

●この分野で学べる学問
スポーツ学健康科学
 
●この分野の代表的な学部
体育学部/健康科学部

国際関係分野の学部

政治、経済、安全保証など、さまざまな国境を越えた幅広い課題を学ぶ。
 
また、文化、宗教のような異文化についても研究を行う。

●この分野で学べる学問
国際関係学国際文化学
 
●この分野の代表的な学部
国際関係学部/国際文化学部/国際教養学部など

教養・総合分野の学部

学問の枠にとらわれず、幅広い領域を横断的に学び、総合的な視野と深い洞察力を養うことを目的としている。

●この分野で学べる学問
教養学
 
●この分野の代表的な学部
教養学部

文理融合型だと有利な職業

進路はさまざまな選択肢がある。

国際関係の学部であれば、培ったコミュニケーション力などを生かしてサービス、メーカー、商社、流通に進んだり、外資系企業などでグローバルに活躍する人も多い。
 
健康・スポーツ分野は、体育教員やスポーツクラブなどが有利になる。

専門学校の職業分野

公務員・法律・政治の分野の専門学校

国家公務員や警察官、消防官などを含む地方公務員になるために、公務員試験で出題される法律や経済などの知識を学べるほか、それぞれの仕事についても学べる。

●こんな職業に就きたい人に向いている
国家公務員地方公務員警察官消防士自衛官

ビジネス・金融・不動産に関する分野の専門学校

働くために必要なマネジメントや接客、IT、簿記・会計の知識、語学力などが学べる。
 
税理士や公認会計士などの資格を目指せる学科・コースも。

国際・語学の分野の専門学校

英語をはじめとする語学力や異文化理解能力、国際ビジネスに関する知識などを学ぶ。

旅行・観光・ホテル・ブライダルの分野の専門学校

旅行・観光業界、ホテル業界、ブライダル業界などでサービススタッフとして働くために必要な専門知識やホスピタリティについて学ぶ。

音楽・イベント関係の分野の専門学校

テレビ番組や映画、演劇、イベントプランナーや照明・音響スタッフなど、それぞれの職種に対応した知識を学ぶ。

●こんな職業に就きたい人に向いている
役者・俳優芸人・お笑いタレントタレント・モデル声優歌手・ボーカリスト映画監督映像ディレクター映像カメラマンCGデザイナー美術スタッフ映像ディレクターラジオ・テレビ番組プロデューサー編集者雑誌記者ライター校正者アニメーターキャラクターデザイナー漫画家声優コピーライター広告プランナーイラストレーター歌手・ボーカリストギタリストベーシストドラマーピアニスト作詞・作曲・編曲家サウンドプログラマーPAエンジニア音響スタッフコンサート・ステージスタッフ楽器クラフトマン楽器リペアマン楽器演奏者楽器店員・店長楽器インストラクター音楽プロデューサーコンサートプロモーターイベントプロデューサー照明スタッフ

デザイン・写真・芸術・ファッション・和裁の分野の専門学校

雑誌や広告などのグラフィックデザイン、WEBサイトを制作するWEBデザイン、家電をはじめとする工業製品のデザイン、インテリアや家具のデザインなどを学ぶ。

特定の職業に必要な知識を学べるのが専門学校の特徴だ

ゲーム・コンピュータ・WEBの分野の専門学校

ゲームクリエイターやCGデザイナーなどのクリエイティブを学んだり、新たなサービスをしかけるアプリの開発、AIを活用した最新のテクノロジーを駆使するための知識を習得したりと多岐にわたる。

機械・電気・電子・化学の分野の専門学校

家電や、工作機械、ロボット、各種部品、食品、化粧品などを作る企業の製品企画や設計・開発、研究職として働くために必要な、機械工学や電気・電子工学、化学などの専門知識を学ぶ。

自動車・航空・宇宙の分野の専門学校

自動車関連ではカーデザインや自動車整備、航空機に関してはパイロットや航空整備士、空港スタッフを目指して学ぶ。
 
実際に自動車や航空機に触れられる実践的な授業を行う学校も。

建築・土木・インテリア関係の分野の専門学校

道路や橋、ダムなどを造る土木、住宅や店舗、ビルなどを造る建築、建築物の内装・内観をデザイン・演出するインテリアなどの分野で活躍できる人材を育成する。

動物・植物・自然・環境・バイオの分野の専門学校

ペット関連ではトリマーやドッグトレーナー、動物園や水族館の飼育員など、植物関連では農業やフラワーアレンジメントなどを学ぶ。
 
また、生態系など自然環境のしくみを理解したり、バイオテクノロジーを学んだりすることで、研究開発職などで活躍するチャンスを得ることもできる。

美容・理容・ヘアメイク・メイク・ネイル・エステの分野の専門学校

美容師・理容師の資格取得を目指したり、メイク・ネイル・エステのそれぞれのスペシャリストを養成したりする。

保育・教育・福祉関係の分野の専門学校

心理学、栄養学、保健・衛生学などの幅広い知識を学び、保育士資格の取得を目指す。
 
また、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士などの国家資格に向けた勉強を行う学校も。

医療関係の分野の専門学校

看護師や臨床検査技師、診療放射線技師など、専門学校で学んで目指せる医療の職種も数多くあり、国家試験対策と実習を重ねる。

健康・スポーツ・栄養・調理・製菓の分野の専門学校

健康科学や基礎医学、リハビリテーション学、調理や栄養などを学ぶ。

文理選択は、自分の将来について真剣に考える絶好のチャンス

文理選択は、まさに進路選択の第一歩。
 
高1の段階で将来像がはっきりしていない人は多い。
 
だからこそ、この大切な機会を逃さず、自分の将来について真剣に考えるきっかけにしてみよう
 
世の中は、あなたの知らないことで満ちあふれている。
 
あなたは今、これから歩んでいく長い道のりのスターティングポイントに立っているから、考えること、悩むことを恐れずに力強く最初の一歩を踏み出してほしい。
 
何事も自分次第で大きく道が開けてくるはず。
 
今しっかり自分と向き合うことが、高3になったときの自分をつくる!
 
取材・文/田原奈奈 取材協力・監修/浦部ひとみ


 
★関連記事をチェック
 
高校の科目選択で後悔しない方法!文系理系別の選び方、決定前の最終チェックリストつき【高校生なう】|【スタディサプリ進路】高校生に関するニュースを配信
 
高校生必見!迷いを力に変える進路選択のポイント【高校生なう】|【スタディサプリ進路】高校生に関するニュースを配信
 
大学の学部・学科63を一挙解説!後悔しない大学選びに役立つ!学部学科選びのヒントも【高校生なう】|【スタディサプリ進路】高校生に関するニュースを配信
 
専門学校の種類64選!どんな分野があるの?失敗しない専門学校選びをサポート! 【高校生なう】|【スタディサプリ進路】高校生に関するニュースを配信
 
将来の夢がない高校生へ!やりたいことを見つけるために今できること8選【高校生なう】|【スタディサプリ進路】高校生に関するニュースを配信