手汗を止める対策法。緊張したときすぐできることを専門家が解説!
テスト中やデート中など、ベタベタして気になる手汗。「何とかしてサラサラの手を保ちたい!」と悩んでいる高校生も多いのでは?そこで今回は、全国の高校生206名に「手汗の悩み」や「手汗を止める方法」などについてアンケート調査!
みんなが実践している方法や専門家に聞いたアドバイスを紹介する。
目次
高校生に「手汗のお悩み」をアンケートしてみた!
高校生206名のアンケートから、リアルな手汗の悩みを紹介する。約7割の高校生が手汗に悩んでいる!
※緊張する大事なシーンで手汗をかく人も多いはず
まず、「手汗が気になったことがある?」と質問したところ、69.9%が「ある」と回答。多くの高校生が手汗を気にしていることがわかった。
手汗が気になるタイミングは?
※手をつなぐと手汗が出るのは共通のお悩み
どんなときに手汗が気になるのか、手汗を気にしている高校生にアンケートした!気になるタイミングとしては、
・「テストやテニスの試合など、緊張するとき。シャーペンやラケットが滑って困った」(高1男子・埼玉)
・「夜中になっても宿題が終わらないときに手汗をかく。集中できなくなる」(高3男子・三重)
・「人と手をつなぐと手汗が出る。恥ずかしくて手がつなげない…」(高2女子・愛知)
・「握手するとき。相手の表情が気になってしまう」(高1男子・東京)
・「ゲームに熱中したとき。コントローラーがベタベタしてしまう」(高1男子・富山)
「人に気づかれると恥ずかしい…」というだけでなく、ペンが滑って持ちにくかったり、ベタベタして不快だったりと、さまざまな障害が生まれているよう。
池袋西口ふくろう皮膚科クリニックの藤本智子院長にインタビュー!
ではいったい、手汗を抑えるためにはどうしたらいいんだろう?そこで今回は、みんながやっている「手汗の改善方法」を紹介しつつ、それが正しいものなのか、池袋西口ふくろう皮膚科クリニックの藤本智子院長に聞いてみることに!
●藤本智子先生
池袋西口ふくろう皮膚科クリニック院長。日本皮膚科学会や日本発汗学会などに所属しつつ、「多汗症」をはじめとした皮膚科全般の治療を行う。原発性局所多汗症の診療ガイドライン2023年改訂版の策定委員も務める。
https://fukurou-hifuka.com/
みんなが手汗を抑えるためにやっているテクニック
高校生は、手汗を抑えるためにどんなことをしているのだろう。手汗をかいたら「とにかくふき取る」人が多数
※タオルやハンカチでふき取るのは定番だけど…
・「タオルでふくけど、時間が経つとまた同じ状態になる」(高1女子・大阪)
・「ふくときはボディシートを使う。これでふけば治まる」(高2男子・福井)
ただ、
なかには洗ったり乾かしたりする人も
※洗えば確かにすっきりするけど、大変だし洗えないシーンもあるよね
・「手汗が気になるときは、空中で手を扇いで乾かしてる。ただ、考えすぎるせいなのか余計に汗をかく気がする」(高2女子・三重)
・「手にハンディファンの風を当てて乾かす。でも、またすぐに汗が出てくる」(高3女子・愛知)
ただし、サラサラの状態を保つのはなかなか難しいようだ。
制汗剤やベビーパウダーで対策している人も多い
※すぐできる対策としてはアリだけど…
・「皮膚科でもらった“塩化アルミニウム”が入った薬をつけている。一時的に改善できた」(高2男子・群馬)
汗をふき取るだけよりは、抑止効果が高そう!?
藤本先生が教える手汗を抑えるためのテクニック
専門家の藤本先生に、手汗を抑えるための効果的な方法を聞いた!手汗の量が多い人はタオルで、少ない人はボディシートでふき取る!
※ふき取るのは手軽でいい方法
一度にたくさん汗をかく人は、吸水性が高いタオルやハンカチでふき取るのがオススメですが、少量の場合はボディシートを使ってみるのもいいですね。
ボディシートはエタノールなどのアルコール成分が含まれているものが多く、アルコールは気化するときに手の表面の温度を下げてくれます。そのため、スッキリとした状態が少し長続きするかもしれません」
試験中にハンカチを使いたい人は診断書の依頼を!
※とにかく試験に集中できることが大事!
緊張して手汗が出て、解答用紙がにじんだり、鉛筆が滑って集中できない…ということを避けるためにも、不安な人はぜひ一度、皮膚科で診察を受けてみてください。
私の病院にも毎年、手汗が気になる受験生が来て、診断書を出しています。受験シーズンは年明けの1月から2月ごろだと思いますが、秋ごろに一度来院しておくことをオススメします」
制汗剤は「塩化アルミニウム」が含まれているものを選ぶ!
※制汗剤の選び方にもポイントがある!
また、制汗剤も『塩化アルミニウム(別名、アルミニウムヒドロキシクロライド)』という成分が含まれているものを使い続けることで、皮膚の外側にフタが作り上げられて、汗が出にくい皮膚に近づけることができます。
皮膚から出られなかった汗は、血液に戻って尿になるので、身体への悪影響もありません。
制汗剤にはスプレータイプなど、さまざまなものがありますが、液体タイプやクリームタイプなど、肌にきちんと密着するものを選ぶといいですね。まばらに撒くスプレーより効果が見られると思います」
制汗剤や塗り薬は毎晩寝る前に塗り続けることが大切!
※手汗対策も「継続は力なり」
皮膚に汗を防ぐフタを作るためには、それらを毎日継続して塗り続けることが大切ですね。『昼間に塗ると、汗と混ざって気持ち悪い…』という人も多いので、寝る前に塗って、朝起きたらシャワーで洗い流すのがオススメです。
市販の制汗剤を塗り続けて、それでも効果を感じられない人は、皮膚科で塩化アルミニウムの濃度が高い制汗剤や薬を処方してもらうといいですね」
自己対策が難しければ、皮膚科での治療も!
※自分でできる対策だけでは難しい場合もある
例えば『イオントフォレーシス』という治療では、1週間に5、6回、手に電流を流すことで、汗の量を減らすことができるはずです。
ただ、何度も通院する必要があるので、時間がないという人には『ボトックス注射』という方法もあります。
ただし、手の筋力が低下してペンを持ちにくいことなどがあるので、事前に医師に相談をするといいでしょう。
また、保険が利かず自費治療になってしまうので、受験シーズンや大事なテストが続くときなど、ここぞというときの治療法として覚えておくといいかもしれませんね」
安心できる環境づくりが、手汗の改善につながる可能性がある
※そもそもなぜ"手汗"をかくの?
そもそも、なぜ手汗をかいてしまうのだろう。藤本先生に解説してもらった。手汗がすごいのはなぜ?汗のメカニズム
ひとつは、夏場や運動したときに体内の熱を逃がすために出る『温熱性発汗』というもの。
もうひとつは、緊張や不安などを感じたときに出る『精神性発汗』というものです。手汗は『精神性発汗』がほとんどで、心の状態が大きくかかわっているとされています」
体温調節に必要な発汗で、全身のエクリン汗腺が体温、気温、湿度などを感知して、体温中枢の視床下部から発汗の指令が出て発汗する。
体温調節機能のほかに、汗には保湿作用や抗菌作用もあり、人の体に必要不可欠なものだ。
●精神性発汗のメカニズム
手足や腋窩の発汗。緊張や集中したりする精神活動を感知すると、脳の前頭葉や偏桃体と言われる部位が興奮し、発汗を促すという仮説がある。
従来は動物が外的に襲われたりする場合に滑り止めなどの役割としてあった機能が残った結果であるとも言われる。
精神性発汗の約5%が手の多汗症と言われ、発汗量が非常に多く出てしまい、日常生活に支障が生じる。
しかし、なぜ量が多すぎるのかについては、まだわかっていない。
手汗をかきやすい人の性格は?
手汗をかきやすい人はどんな性格なのだろう。手汗を緩和させるためには深呼吸をして緊張を抑えたり、手をつないだりするときは一緒にいるだけで緊張してしまう初デートではなく、少しリラックスできる間柄になってからにするなどの対策が考えられます。
要するに、自分が安心できる環境を作ることで、ある程度の改善が望めるかもしれません」
手のひら多汗症のレベルの目安
手汗が気になるけれど、自分がほかの人に比べて手汗が多いのかどうかわからないという場合は、下記の表を参考にしよう。重症ではなくても、試験のときに用紙が湿って困るなど、日常生活に支障を来たしていれば、対策をするために病院に行くのに、十分な理由になる。
深刻に考えすぎないことも大切
それはつまり、『多くの人が自分と同じように手汗をかいている』ということ。
手汗をかかない、気にならないという人のほうが少ないんです。
だからこそ、コンプレックスに感じたり思い詰めたりすることなく、『みんなも同じような悩みをもっているんだ』と楽な気持ちでとらえてみるのがいいのではないでしょうか。
皮膚科に相談に来る人のなかには、『診察を受けたことで少し安心して、症状が緩和した』という人もいるので、気軽な気持ちで医師に相談してみるのもいいと思います。
汗をかくことは決して悪いことではないので、あまり考えすぎないようにしてくださいね」
手汗は重く受け止めすぎないほうがいいけど、やっぱり日常的に手汗で困るようであれば、大きな支障が出る前に病院を受診してみよう。
手汗を止める対策方法のまとめ
最後に、先生がオススメする手汗を抑えるためのテクニックのポイントをまとめてみた。
●ただし、試験中にハンカチを使いたい人は診断書の依頼を
●制汗剤は「塩化アルミニウム」が含まれているものを選ぶとよい
●制汗剤や塗り薬は、毎晩寝る前に塗り続けることが大切
●自己対策が難しければ、皮膚科での治療も
●安心できる環境を作ることで、改善が望めることがある
手汗が出やすいタイミングは多いけど、あまり考えすぎないほうが改善しやすいかも。
藤本先生のアドバイスを参考に、みんなも自分の手汗と向き合ってみよう。
文/アオキユウ、蜂谷智子(2023年3月一部加筆) 構成/岡本雄太郎(本誌)
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