川越工業高校・電車班が、実際の線路も走れる電車をつくった!

埼玉県にある川越工業高校には、なんと生徒達が自力で作った電車があるという! 高校生が電車を作るって一体…? そこで実際に、川越工業高校に行ってみることに。

 

校門をくぐって奥に進むと校舎と校舎の間に電車が!

 

本物と見間違えるほどのリアルさで、電車の下には、本格的な線路まである! これを高校生が作ったなんて信じられない!

 
 

■本物と同じ動力で走行する“本格的な”電車が完成!

 

川越工業高校・電車班が、実際の線路も走れる電車をつくった!

 

「うちの学校の電気科では、3年生になると選択授業でいろんな班に分かれるんです。その中の一つに『電車班』というのがあり、2010年から電車を作り始め、毎年改良を重ねています。電子回路や、電子工作を学ぶ電気科にとって、電車作りは授業で習った技術を応用して実践するのに最適なんですよ。今年は13名の生徒で電車作りを行いました」

とは、電車班担当の君島栄先生。

 

川越工業高校・電車班が、実際の線路も走れる電車をつくった!

 

電車作りの基礎は、先生から教わったり、先輩達が作った電車の構造を引き継いでいるのだという。

 

「電車作りを始めた5年前は、電車の屋根や枠組みがなく、椅子が板の上にただ固定されているだけで…まだまだ改善点が多かったのですが、今では屋根もボディもできて、実際の電車に近づいていると思います。それに今年は、電気の供給の仕組みを大きく変えたんです。それまでは、バッテリーで動かしていたのですが、今年は本物の電車と同じように、車体の外側に電線を渡し、そこから動力となる電気を供給できるように改良しました」(森下くん)

 

川越工業高校・電車班が、実際の線路も走れる電車をつくった!

 

このように、本物の電車と同じ仕組みで走らせるには、“パンタグラフ”という電気を集める部品が不可欠なのだそう。

 

川越工業高校・電車班が、実際の線路も走れる電車をつくった!

 

川越工業高校・電車班が、実際の線路も走れる電車をつくった!

 

「パンタグラフは、電気を受け取るとき以外は、畳まれた状態なのですが、その折りたたみの動きをスムーズにするのが本当に難しくて…。何度も作り直して、完成までにすごく時間がかかりました」(鹿島くん)

 

パンタグラフだけでなく、その他の部品も購入したものをそのまま使うことはほとんどない、と江原くん。

 

「買った部品を削ったり、他の部品と溶接したりして僕たちの電車に合うオリジナルの部品を作るんです。部品一つは小さいものですが、それがうまくハマらないと、電車が動かないんですよ」

 

電車作りには想像以上に高い技術が必要なんだ! ほかにも、こだわりのポイントはまだまだあるようで…?

 

「線路幅は、実際の電車と同じ1m67cmに揃えているので、この線路の上を本物の電車が走ることもできるんですよ! 線路の長さは、60mあって50秒かけて走行します。ちなみに、使用している座席は、西武鉄道から譲り受けた本物なんです!」(江原くん)

 

川越工業高校・電車班が、実際の線路も走れる電車をつくった!

 

川越工業高校・電車班が、実際の線路も走れる電車をつくった!

 
 

■本物の電車を僕たちで作っているんだという自信

 

彼らがこれほどまでに、電車作りに情熱を注げるのはなぜなのだろう?

 

「実際の電車と同じ仕組みで動いたり、人が乗り込めるような本格的な電車を作っている高校生は、全国でも僕達だけなんです。『高校生でもここまで作れるんだ』『電車作りの技術は僕達が最先端なんだ』という自信が原動力になっています!」(長谷川くん)

 

川越工業高校・電車班が、実際の線路も走れる電車をつくった!

 

この経験を生かして、長谷川くんは「将来、特急電車のメンテナンスをする仕事に就きたい」とのこと。彼らの熱い夢が詰まった電車は、毎年10月に行われる文化祭で乗車可能! 世界に1台だけの電車に乗って、彼らの情熱を感じてみては?