合唱コンクール、全力でやってる?東葛飾高校のガチ演出に学べ!

合唱コンクールを開催する高校は多い。
 
でも、外部の人も入れる文化祭などと違って、他校の合唱コンクールを見る機会はなかなかないはず。
 
そこで、みんなに代わって7月3日に開催された千葉県立東葛飾高校の合唱祭に潜入してみた。
 
その様子は一般的な高校の合唱コンクールとはひと味違うものだった。

 
 

駅名の歌から人形浄瑠璃まで、多彩な選曲

 
同校の合唱コンクールで印象的なのは、曲のラインアップの多彩さと、それに合わせた衣装のユニークさ。
 
映画の劇中歌「美女と野獣」の黄色いドレスや、沖縄県民謡「南海にて」の琉球風装束など、
衣装はなんとデザインから制作まで、すべて生徒の手によるものだ。

 

合唱コンクール、全力でやってる?東葛飾高校のガチ衣装・演出に学べ!

画像:各クラスの趣向をこらした衣装がステージを彩った

 

さらに、途中で隊形や姿勢を変えたり、時には小芝居を入れるなど、演出も凝っている。保護者から「お金を払っても見たい!」という声があがるほどだ。
 
例えばあるクラスは、小学生の1週間を関西弁で歌う「日記のうた」を選曲。
 
体操服に紅白帽を着用し、途中で子ども役、お母さん役、お父さん役、晴れや曇りの天気役の生徒によるコントが入り、会場を沸かせた。
 

合唱コンクール、全力でやってる?東葛飾高校のガチ衣装・演出に学べ!

画像:体操服姿で揃え、コントを交えて会場を盛り上げた

 

また、別のクラスは、同校の通学に使われる常磐線の駅名を歌詞にした「ザ・常磐アーバンソング~ローカル線を添えて~」を歌った。
 
チェックのシャツをGパンにインした「鉄ちゃん」風衣装で、独特の雰囲気のあるステージに。
 
2年生ながら、特別賞の「楽民栄誉賞」を受賞する快挙をあげた。
 

合唱コンクール、全力でやってる?東葛飾高校のガチ衣装・演出に学べ!

画像:チェックのシャツをGパンにインして「鉄ちゃん」をイメージした

 

そして、全25クラスの頂点、最優秀賞に選ばれたのは3年C組。
 
歌った曲は、近松門左衛門の人形浄瑠璃作品の詩文を組み合わせて合唱用に再構築した、「ラプソディー・イン・チカマツ―貳の段」。
 
これまで同校の合唱コンクールで使われたことのない難しい曲だが、見事に歌い上げた。
 
伴奏はなく、拍子木(ひょうしぎ)や和太鼓の演奏で繰り広げられた歌声と振り付けは、まさに圧巻だった。
 
黒を基調とした渋い和装は、今年度から新設された衣装賞にも輝いた。

 
 

■選曲、演出、衣装、すべて生徒の手で

 
3年C組を最優秀賞に導いた、指揮と「音楽監督」(自称)の担当・安藤巴(とも)さんは、受賞の喜びをこう語った。
 

「歌だけでなく、ステージの演出もすべて込みで、合唱コンクールの枠を超えたものをつくることを目指しました。それができた結果、みんなが『スゲー!』『新しい!』って言ってくれたことが、何より嬉しいです」(安藤さん)

 

合唱コンクール、全力でやってる?東葛飾高校のガチ衣装・演出に学べ!

画像:最優秀賞と衣装賞に輝いた3年C組

 
衣装はもちろんオリジナル。1人2600円以内というルールがあるため、黒い布地を各自で縫い合わせ、模様は衣装係の6人がペイントとスプレーで描いた。
 
夜遅くまで作業する日もあり、「衣装プロデューサー」(自称)の泉川智香さんは「毎日遅くまでの学校で作業して大変だった」と振り返る。
 
「みんなで『今までとちょっと違うもの』を目指していたので、衣装も低いクオリティのものじゃダメだなと、自分を『プロ』だと思ってこだわって作りました」(泉川さん)
 

■一人ひとりの頑張りがクラスのまとまりに

 
苦労をともにしたからこそ、クラスの結束も強まったようだ。
 

「クラスのみんな、やる時はやる人たちで、それぞれの担当を精いっぱいやっていました。みんなで頑張ったのがほんとうに楽しくて、合唱はあまり好きじゃなかったけど、今回で大好きになりました。このクラスで卒業できるのは幸せです」(泉川さん)

 
ところで同校は、県下でも有数の進学校。3年生になって学校行事にこんなに力を入れていて、受験勉強のほうは大丈夫?
 

「みんな切り替えがうまいです。はっちゃける時は思い切りはっちゃけて、終わればスイッチを切り替えて勉強に集中しています。こういうイベントがあるからこそ、メリハリがつくのかもしれませんね」(安藤さん)

 

合唱コンクール、全力でやってる?東葛飾高校のガチ衣装・演出に学べ!

安藤さん(左)、泉川さん(右)

 
何かをやりきった経験は、仲間との友情をはぐくみ、自分の自信につながる。それは、これからの人生の支えとなるにちがいない!
 
みんなはこれから、どんな「やりきった経験」をするのだろうか?