「大学の秋入学に賛成」は高校生38%、高校の先生18%
大学の秋入学に、あなたは賛成か?反対か?――リクルート進学総研が実施した2つのアンケート調査から、高校生と高校の先生とでは秋入学に対する認識に大きなズレがあることがわかった。
高校生対象の調査では「賛成」が37.8%、「反対」が19.5%と、賛成の多さが目立つ。
一方、高校で進路指導を担当する先生を対象とした調査では、秋入学について「賛成」は17.7%、「反対」36.3%で、高校生とは対照的に反対が多い結果となっている。
なぜ高校生は賛成し、先生は反対するのか。それぞれの理由を見てみよう。
■高校生が賛成する理由
1位 高校卒業してから大学入学までの期間を有効に使える(67.5%)
2位 留学しやすくなる(43.9%)
3位 受験が終わって、ゆっくりする時間ができる(43.5%)
■高校の先生が反対する理由
1位 高校卒業してから大学入学までの期間がムダ(68.7%)
2位 高校在籍中の進路指導が難しくなる(40.4%)
3位 家計の負担が増える(32.0%)
先生が反対する理由のトップは「高校卒業してから大学入学までの期間がムダ」、高校生が賛成する理由のトップは「高校卒業してから大学入学までの期間を有効に使える」。どちらも高校卒業から大学入学までの“ギャップターム”に対することだが、先生は「ムダ」とネガティブに捉え、高校生は「有効」とポジティブに捉えていることが、賛否の差の背景にあるようだ。
秋入学をめぐっては、最近もさまざまな動きがある。昨年いち早く検討を始めた東京大学は、浜田純一総長が1月の報道各社との懇談会において、社会制度の対応が整っていない中での秋入学全面移行の困難さを語っている。また、秋入学は企業の採用にも関連する問題であることから、1月末に関西経済連合会の呼び掛けにより企業、大学、自治体による合同の会合がスタート。
秋入学に対する賛成・反対は明確にせず、影響と課題を洗い出すことから始めるという。高校生と高校の先生の間でも認識が大きくくい違うテーマだけに、方向性が定まるまでにはまだ時間がかかりそうだ。
※データ出典
●高校の先生:リクルート進学総研「2012年 高校の進路指導・キャリア教育に関する調査」
●高校生:リクルート進学総研「高校生価値意識調査2012」